字を覚えたての子供は未完成な読解力を補うために絵の入った本を読み、
やがて読み書きをある程度マスターすると、徐々に絵本から活字の本に移行する。
そして社会に出て活用できるほどの一般教養の言葉を身につけるのだ。
ところが戦後からしばらくして、絵から活字へ移行する間に漫画というものが
割り込んできた。 漫画創世期にあたる当時は、まだ絵本の延長線程度でしか
なかったが、やがて多くの漫画作家が生まれ、週刊漫画誌黄金期に突入すると、
活字への通路にドッカリと座り込んで道を塞いだ。
一時期は漫画のせいで本を読まなくなった子供が急速に増えて問題になったが、
今はもう時代の変化に対応し、漫画をメディアにどう活用するかという問題に
変化している。今の親たちが、そろいも揃って漫画世代だから仕方が無いのだ。
ところが、取り入れるべき時期に活字を取り入れないとどうなるか?
だいたい子供は成長期にあたる小学校高学年くらいに大人社会に興味をもち始め、
それを取り入れようとする。 子供なりのリアルの追及が始まるのだ。
そういった時期に、本をいっぱい読ませて活字への免疫をつけておく。そうしないと、
活字でびっしり埋まっている本を見ると眠くなる大人が出来上がってしまう。
字ばっかりの本を読むのは体力も精神も消耗するから、楽な漫画にしか手がのびない。
漫画しか読まないサラリーマンなどは、たとえその方が営業の外回りで、交渉する
話術は持ってたとしても、いざ文章を書こうとしても思うように書けなかったりする。
“話せる”のと“書く”のではまったく別物なのだ。 試しに自分の気持ちを書いてみると
わかる。 どれだけ正確に、自分の心の奥底にある気持ちを文章で表現できるか、
その難しさは試みたことの無い人にはわからない。 的確に言葉を選び構築していく
作業は、慣れないと至難の業なのである。
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