3.医者に対する心配り
①死に際に急変するのはふつう。
いちいち医者を呼び出さない
②夜間の死は息の根が止まった時刻を
覚えておいて、夜が明けてから
訪問診療医に連絡する。
※「在宅死」を諦める理由の1つに
「急変した時の不安」が挙げられていますが、
死に際には容態は急変するものです。
医者がいたからといってどうしようもないのです。
ですから、在宅死では、医者が臨終に立ち会う
必要はないのです。
ただ、圧倒的に多い「病院死」では夜間でも
当直医が臨終に立ち会ってます。
これに慣れている日本人は、医者が死亡宣告
しなければ「死んだと思わない」が一般化
しているようです。ですから、在宅死の場合、
夜間に呼んで30分後に到着したような場合、
30分放っておかれたと思うのです。
しかし息の根が止まれば、それ以上容態は
変わりません。わたしの子どもの頃
(昭和30年代)は、そろそろという
時期になると親戚が集まってきて、
息の根が止まると、一族の長老が
「おっ、死んだか」と
死亡宣告をして「お前は医者へ走れ」
「お前は湯を沸かせ」と指令を出し、
医者の到着が3~4時間後であっても、
誰も何とも思いませんでした。
「死亡診断書記入マニュアル」にも、
死亡の24時間以内に診察していれば
死体を見なくても「死亡診断書」の発行は
可能ですし。24時間以上経っていても、
死後診察して今まで診ていた病気で死んだと
思えれば「死亡診断書」の発行はできると
書かれています。
わたしの場合も「夜中はお呼びしません。
夜が明けてから連絡しますので、お手が空いたら
来て頂いて『本当に死んでいるのか、死んだフリを
しているだけか』を確かめて「死亡診断書の発行を
お願いします。」と伝えて、安心してもらってます。
おひとり様の場合でも、覚悟と信念があれば自宅で
死ぬのは可能です。
ただ、その時は家族がいませんので、死亡時刻は、
毎日来ているヘルパーさんか、訪問看護師の
発見時刻になると思います。
2020年11月
中村 仁一
※参考資料
・大往生したけりゃ医療とかかわるな「自然死」のすすめ(幻冬舎新書 2012年)
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・大往生したけりゃ医療とかかわるな「介護編」2025年問題の解決を目指して(幻冬舎新書 2017年)
大往生したけりゃ医療とかかわるな【介護編】 2025年問題の解決をめざして (幻冬舎新書) | 中村 仁一 |本 | 通販 | Amazon
・新版 どうせ死ぬなら「がん」がいい(宝島新書、近藤誠氏との共著 2018年)