さて、脊柱管狭窄症の症状というと間欠性跛行が有名ですが、他にも様々な症状があることはご存知でしょう。
しかし、自律神経症状に言及したものはほとんど見たことがありません。単に私が不勉強なだけかも知れませんが。
自らが経験した症状を紹介します。
<起立性低血圧> 所謂、立ち眩みです。リハビリの一環として、ぶら下がり健康法ではありませんが、手術後1年くらいしてから、自宅でも牽引療法に変わるものとして、ぶら下がり運動を始めました。そんなことをしてもすべり症が戻るとは考えていませんでしたが、やってみるととても気持ちがいいことに気づき、自宅車庫の梁に介護用の小型の手すりを取り付け、寝る前などに僅かな時間ぶら下がるようにしました。すると、何の関係か分かりませんが、ぶら下がると立ち眩みが出現し、意識を失いそうになることがありました。中学生の頃、立ち眩みから気を失ったことが2度ほどあり、自分でその直前の感じを覚えていますので、今では意識を失う前に危険な姿勢を直すことが出来ます。このぶら下がりの時も、目の前が暗くなる感じが出てきたところで、手すりから降りて、事なきを得ましたが、少し休んで再び試すと立ち眩みがまたやってくるのです。3回くらいは再現できました。このようなことが、おそらくその日の体調との関係でしょうが、時々現れます。脊椎に伸展刺激が加わると、迷走神経の異常な反射が誘発されるのではないかと想像しています。個人的な経験ですが、環椎軸椎亜脱臼の患者さんで何人かで起立性低血圧によると思われる、失神を見たことがあります。脊椎病変で、そういうことが起きうると思っています。
<体温調節障害>此は、今にして思うと、かなり早い段階で出ていた症状だと考えています。30代の頃、間欠性跛行の症状が出始めていた頃、下肢の症状として、寒暖の感覚障害とそれに伴う体温調節障害があります。
どういうことかと言いますと、足は冷えているように感じるのに手で触れてみると逆に暖かく、寧ろ火照り気味だったり、逆に熱く感じているのに触れると冷たかったりということがあります。特に日中、長時間歩行した夜、寝床でそういう感覚のためになかなか寝付けないことがよくありました。最近では、お年寄りの「足が冷えて寝付けない」という訴えに、「触った時には冷たくないでしょう?」と確認すると、「そうなんです」という答えが返ってきます。こういう人たちには、脊柱管狭窄症が隠れていないか、確認の検査をおすすめします。大抵は軽症ですので、リマプロストなどがよく効きます。
自覚的に熱い、冷たいと感じているだけではなく、その状態に対して体温調節が働くと、足が冷えていると感じる時には、全身は体温を上昇させる方向に働き、足は冷たく感じているのに嫌な汗をかくように体が火照って来ます。逆に足が火照っていると感じるときには、体が冷えていくということになりがちです。どちらも深いな症状です。若いお医者さん達にはわかりにくいと思いますが、年寄りや若くても狭窄症がある人には、このような症状もあることを知っていると、対処の仕方が変わるでしょう。