手術後しばらくして、仰臥位で寝ることが難しくなりました。
何が起きたのか、いまだに分かりませんが、まず仰向けに寝ていると、当然、拇趾に掛け布団がふれます。すると拇趾が底屈するような筋の痙攣がおきるのです。足底に「こむら返り」が起きると思ってください。わずかに触れる布団の重さに抵抗するようにギューっとtonicな痙攣です。やむを得ず、側臥位になりますが、今度はハムストリングスや大腿二頭筋に「こむら返り」が始まります。いずれの動きも、恰も腱反射のように刺激に拮抗するように筋収縮が起こります。反射の亢進でしょうか?しかし、痙性麻痺の患者さんたちに見られるclonicな動きではなく、tonicなのです。後々、思い出したのはmyotonic dystrophy患者で観察される、母指球を叩打した際に見られる筋収縮に似ています(外科医ですが、1例だけ、myotonic dystrophyの患者さんを見たことがあります)。いずれにしろ、この筋収縮を落ち着かせる方法は、クローヌスを止めるのと同様に筋のテンションを下げることです。つまり、拇趾に背屈する刺激を加えない。膝関節を軽度屈曲させることです。具体的には、仰臥した時には膝裏にクッションを置くこと、つま先には何も触れないようにすることです。しかし、長い時間、このような姿勢で寝ていることはできません。色々試すうちに見つけた方法が、うつ伏せ寝でした。それも背中に緊張が生じないように、円座に顔を乗せ、完全に真っ直ぐな俯せです。これはかなり有効でした。2,3時間は熟睡できました。この姿勢については、後日、代替療法についてお話しする際に詳しく述べますが、大腿に関して、膝関節屈曲とは矛盾するようですが、大腿屈筋群は膝の屈曲と股関節の伸展(骨盤を起こす)働きがあります(解剖学の教科書に記述されています)。膝を屈曲させなくても、股関節を伸展することで、ハムストリングスや大腿二頭筋に対する張力は軽減されるのです。
なんにせよ、様々な症状との闘いが続きます(今も続いています)。