いぬの歌
2022-10-15 | 詩
いよいよ俺は死ぬのだ
濡れたズボンを履き直して
脳死寸前の歌を!
浮かび上がって来る女の裸を
卓上の日常茶飯にするまでは死ねんよ
(『人間牧場』収録)
悲惨な終着を待望して居る
とりあえず現在は堕落
疲れ果てたふりをしつつ、負け惜しみをするのである
都市の煙に為りて理性を保って居る
余分に伸びてしまわれた髪を其の妻にふり乱し
嬉しそうで何よりで笑ろう
御理解などされたくはなくて
苦しみから解放されたくもない
失う事も恐れることはなくて
手配されてみたいだけなのだ こう謂った罪との
(『人間牧場』収録)
失言は許されぬよ
悠悠とした大広間で
楽をして生きている蟻共が番号を振り与えられている
野放しにして居た君への愛というものを
食事室へと移して一緒に食べませう
どう考えても 此の世の中で
路を無くして台所などで静止して居ればいいものを
(『人間牧場』収録)
寺に存在する温かい人間をぶちのめして
木に吊るして運河で洗浄する
当夜の目標は夢を見ずに寝ることと
生まれた方法について考えて見る
人間を阿呆に為るのが一番楽しいから
辞めろと謂われても ルウスに行きますよ
(『人間牧場』収録)