少しだけ One for All

公的病院の勤務医です。新型コロナウイルスをテーマの中心として、医療現場から率直に綴りたいと思います。

本気度とカモフラージュと二枚舌 3   ーーー新型コロナウイルスについてーーー

2021-04-28 23:46:31 | 日記

 「70歳以上には気管挿管処置(人工呼吸器で治療すること、いわゆる重症治療)はしない。」ということを、県の方針として、いともあっさりとひそかに決めていること。そして、おそらく現在の逼迫地域やまん延地域では、そうした方針で進めてしまおうとしているだろうこと。コロナ病床を増やす努力をあっさりと諦めていること。このことに、私は驚いていますし、信じられない気持ちでいます。ところが、どうやら私が驚いているほどにはあまり実はそんなに重大なことと思っていないのではないか、と最近思うようになってきました。

 

 今年初めの、いわゆる第3波で、特に首都圏を中心として、治療すら受けられずに亡くなる人が出る中で、黙っていることができなくなって書いたのが、このブログの始まりのテーマ「日本の医療崩壊の本質」でした。

(最下段にリンクを張りました。もしお時間のある方はご一読いただけたら光栄です。)

 そこに、なぜコロナ診療用のベッド数が増えないか、どうしたらコロナ診療用のベッド数を増やすことができるか、を記載したつもりです。現状の散漫な医療機関への要請対応では、すでに限界が見えていて、本当にベッドを確保するのならば、本当に仕事をするべき医療機関(大学病院以外にないと私は考えています)に仕事をさせるべきであることを書きました(大学病院にはもっと大切な仕事が、、、というのも建前に過ぎないことを記載したつもりです)。

 そして、重症ベッドを増やすことをしない限りは、民間病院の受け入れを進めても、本質的にコロナ患者を救うことにはつながらず、医療としては「ただ入院させるだけ」になることや、「重症者を助けることには全く寄与しない」ことを記載したつもりです。

 実際その通りになっており、重症ベッドが増えない結果、現在は70歳というところに理由もなく治療区分を作り、その人たちの重症治療をしないことで、69歳以下の重症者を救うという決定をしたわけです。それはイタリアの医療崩壊の時と同じ手段であり、すでに医療崩壊を計画的に(笑?笑いごとじゃないですが)受け入れているのです(これが笑わずにおれるでしょうか)。

  

 日本の呼吸器内科医や、集中治療医や、救急医が集中している病院がどこかを考えれば、コロナ診療の拠点を置くべき病院がどこか、自ずと答えが出る(出ている)はずです。

 呼吸器内科、集中治療、救急、、、どれも医局(医師の集まりで、会社みたいなもの)集団で存在しているのが大学病院です。専門医の集団です。

 そこにコロナ診療の拠点を置いていないこと、それが日本のコロナ診療体制を脆弱にしている諸悪の根源だと私は考えています。

 そして、独立法人化してからの大学病院は、冗談抜きで、売り上げ追求病院になっています。売り上げの最も良い科の部長が院長になり、さらに売り上げ追求を推し進めています。医療の役割だとか、使命だとか、完全に忘れ去られ、とにかく笑っちゃうほど売り上げです。このコロナ禍の中で、コロナ医療に病院を差し出さず、一般病院でもできる白内障や骨折などの手術をせっせとやっているのが今の大学病院です。先の「日本の医療崩壊の本質」にも記載しましたが、ロボット手術だって、今や大学病院でなく、周辺の関連病院でできるのです。

 売り上げを追求しているくせに、いかにも日常診療を守っているというような顔をしているのが今の大学病院です。売り上げを追求しているくせに、一般病院でできる医療を、さも自分のところでしかできない医療のようにやっているのが、今の大学病院です。

 一般病院は、売り上げがなければ本当につぶれてしまいますが、いくら独立法人とはいえ、大学病院は売り上げがなくてもつぶれません。ただ、院長が変わるだけです。つまりは売り上げ競争でしていることは、病院を守ることでもなんでもなく、自分たちの権力争いだけです。コロナ禍の中に病院を差し出すような勇断は、医療の本質を理解し、高邁な意志を持ち続けた医療者でないとできません。そんな人は、おおよそその権力闘争の中で真っ先に排除されています。だから、この逼迫状況に手を挙げないではいれないような善意の人はおらず、一般病院が苦しんでいるのをニヤニヤとして見ているような、下衆な魂が上層部で群れをつくっています。私から見れば、医師免許を持っているだけのごろつきです。大学病院内では、病院をあげて取り組まず、救急科や集中治療医のみに押し付けて、押し付けた自分の政治力に満足し、スズメの涙のようなベッドだけ提供して、まるで自分が貢献してるが如く偉そうにしている、、、この下衆なごろつきがのさばる状況を変えなければ、日本に重症ベッドは増えないのです。しかし、彼らの二枚舌は優秀で、ここまで社会を騙しおおせています。そしてなんととうとう、「70歳以上には気管挿管処置(人工呼吸器で治療すること、いわゆる重症治療)はしない。」という医療崩壊まで受け入れさせるような社会にしてしまっています。

 

 早く、この二枚舌の催眠術からみんながさめてくれないか、そんな思いで書いてます。

 

 続けたいと思っています。

 
#「日本の医療崩壊の本質(1)〜(9)」
 第3波の時(2021年2月)に記載した文章です。当時は、医療崩壊の原因として、民間病院が槍玉に上げられていました。民間病院を槍玉に上げるのは間違っていましたし、槍玉に上げたところで医療体制の歪みは何も変わらず、改善もされませんでした。当然です。大学病院が動かないかぎり、この重症ベッドの極端な不足から生まれる医療崩壊が解決することはないからです。大学病院がこのコロナ禍から逃げていることが、こんなにあっさりと医療崩壊をきたす本質であることをそこに記載しました。今もその医療体制と何も変わっていません。現在でも医療崩壊の本質は同じです。もしお時間がありましたら、下のリンクからでも、少しでも御目通りいただけたら光栄です。
 リンク:(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(8)(9) )

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 本気度とカモフラージュと二... | トップ | 対岸の火事   ーーー新型... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事