皆さん、お日様の光に当たっていますか?当たらないと骨がもろくなりますよ!
以前、カメを飼っていました(もうお亡くなりになりましたが)。うちは日の当たらないアパートで、カメも「甲羅干し」できない環境でした。なので大金をはたいて「紫外線を照射するライト」と「暖かい光が出るライト」の2種類を日中点灯させていました。すぐ切れちゃうので、半年に1回は交換ね。1本5000円とかする蛍光灯を2本と、1個2980円とかする電球1個です。おかげでカメはでかくなりましたけど、一瞬の油断で、水が不衛生になってしまったせいで;
すまんかったカメ(涙)
それはおいて、日が当たらないと何が悪いかというと、「ビタミンD欠乏症」となり、骨が弱くなり(カメの場合は甲羅が柔らかくなったり、奇形になったりする)、「くる病」という病気になってしまうと。世にはカメ飼育サイトは山ほどありますが、たいていこのことに言及しています。
◆NHKスペシャル「病の起源 第2集-骨と皮膚の病~それは“出アフリカ”に始まった
とても興味深い内容でおもしろかったです。おもしろかった、というより「良い内容」というべきか。受信料払う価値もあるというものですね。見ない人は払わないのもいいと思いますが、見るんだったら払いんさいよ!
番組の冒頭、ちょっと転んだだけで大腿骨を骨折したおばあさんが登場。冬場、なぜかちょっとしたことで骨が折れてしまうお年寄りが多いそうです。骨折は寝たきりの原因の第2位だとか(1位は脳卒中)。
ロンドンに住むインド系のご家族も登場します。生後1年ちょいのお子さんがいるのですが、未だに歯が生えてこない。乳児の頃には、突然気を失って痙攣を始めたこともあったとか。
共通するのは「ビタミンD欠乏症」。
ビタミンDは、血液中でカルシウムを運んだり、骨に吸収させる役割を担っています。ロンドンに住むインドのお子さんは、ビタミンD不足で血液中のカルシウムが極度に不足して筋肉が動かなくなったそうです。歯が生えてこないのもビタミンD不足らしい。
ビタミンDは、太陽光の紫外線を浴びることで作られます。冬場に転倒骨折が多いのは、冬は家に引きこもりがちになり、また、太陽光も弱いからではないのかと。
ロンドンに住むインド系のご家族は、肌の色が褐色なので、高緯度で太陽光が弱いイギリスでは、紫外線を肌の中のメラニン色素が遮り過ぎてしまい、十分なビタミンDを作れなくなってるからだと。特に移民の子供は、母親もビタミンD不足なので、産まれる前からずっとビタミンD不足だから、影響がでかいらしい。
ロンドンでは、産業革命期の遺跡から、骨が以上に細く、曲がった子供の骨が大量に出土しているそうです。工場が出す煤煙が空を覆い、太陽光が地上に届きにくい環境で、子供が犠牲になったとか。その社会問題の様子は絵でも残されています。出土する骨から、その割合は1割にも達していたと。学者の方は、「当時は何が起きているのか、知る術もなかったでしょう・・・」と。
医学の進歩は本当にありがたいことです。
メラニン色素ってご存知ですよね。夏に太陽に当たりまくると日焼けして皮膚が黒くなります。身体が、「やべぇ紫外線がたっぷりだ!」ということで敏感に反応して、強烈な紫外線から身体を守ろうとメラニン色素を作りまくった結果が日焼けです。
では何で人はメラニン色素を獲得したの?おもしろかったのはここからの展開です。なるほどと。
人の祖先は、アフリカ大陸で誕生しました。同じアフリカ大陸に住む、人に一番近いチンパンジーは、森に住んでいます。身体が体毛で覆われています。しかし、毛の下の肌の色は白いです。一方、今の人間は体毛がほとんどなくなっています。昔はあったんですけど。
ここで、体毛が太陽光線に対してどういう影響を持つのかを示す実験の紹介。
毛皮の右半分だけ剃ったものに、ライトを照射します。温度モニターを見ると、毛がない方はどんどん温度が上がります。毛のある方も上がりますが、毛がない方ほどではありません。
この毛皮に霧吹きをあげて、風を当てます。霧吹きは汗の代わり。毛がない方はどんどん温度が下がりますが、毛のある方はなかなか下がりません。
人類の祖先は、毛むくじゃらの頃には、アフリカの森から出ることができませんでした。移動しようと森から出ても、熱中症になって動けなくなり、他の肉食獣の餌食になる。森から出ようと思ったら、体毛を薄くしなければなりませんでした。
進化して体毛を薄くした人類の祖先2号は、今度は紫外線の害にさらされました。例えば、紫外線は、胎児に必要な何とかっていう素を壊すそうです。お腹で胎児を育てられないということは、子孫を残せないということに直結します。
こうして、人類はメラニン色素を獲得したのですよと。
メラニン色素を獲得した人類3号は、森を出て、栄養のある食べ物をたくさん手に
入れることができるようになり、またどこまでも歩いて生息範囲を拡げていきました。アフリカからアラビアへ、アラビアからアジア、ポリネシアを経てオーストラリアへ達するのに僅かに2万年。1万5000kmの大移動。
一方、人類がヨーロッパから北欧に出るには、もっと時間がかかりました。アラビアから地理的に近いにも関わらず、です。6000kmに2万年かかっています。
なんでか?
ここでまた学者の方が登場。
アフリカでメラニン色素を獲得したのは良いが、濃すぎて、紫外線からビタミンDを作ることができない。ヨーロッパや北欧に適応するために、人はまた肌の色を変えたと考えていると。
この学者の方は、地球上の様々な地域に降り注ぐ紫外線量から、人間にとって最適な「肌の色」を計算して肌色地球儀を作ってみたとか。すると、そこに住む人々の肌の色と一致が見られたそうで。
トルコの顔、インドの顔、アフリカの顔、モンゴルの顔・・・世界の人々の顔顔顔。
・・・なんか感動的じゃないですか。触れられてはいませんでしたが、肌の色で人を差別するなんて愚か過ぎると、これを見た誰もが感じるのではないかと。
でも例外もあるよと。グリーンランドに住むイヌイットの人たち。すごく高緯度で太陽の光も弱いのに、肌の色はそんなに白くありません。
なんで?
イヌイットの人たちは、伝統的に、魚や魚を食べるアザラシを食べています。魚の内臓にはビタミンDが豊富。そればっかり食べてるアザラシもビタミンD豊富。ゆえに太陽の光が弱くても大丈夫なんだと。
・・・なるほどねぇ。
でも、最近、欧米資本の食品スーパーが進出して、イヌイットの食生活が変わってきています。安くてうまくてお手軽だから、みんな欧米系の食事がついつい増えてしまう。そうしてイヌイット伝統の食事をあんまり食べなくなってしまった人の中では、やっぱりビタミンD欠乏症が増えているって。
・・・日本人も魚を食べなくなってきてるから心配ですね。クジラも食べた方がいいんでない?
ここで、また別の病気が紹介されます。皮膚ガンの率が世界で最も高い国、オーストラリア。オーストラリア大陸の白人の方たちは、一生に3人に2人が皮膚ガンにかかる恐れがあると言われているとか。
なんでか?
って、だいたい見当がつきますよね。紫外線が強いのに、肌の色が白いからです。もともとオーストラリア大陸に住んでいるアボリジニの人たちの肌は褐色。
紹介されてませんでしたが、アメリカでももともと住んでたインディアンの人たちの肌は「赤銅色」ですよ。調べてみたわけじゃないですが、アメリカ南部でも多いんでないか。自然でないってことなんですね。
北海道でも、特に冬場、「日光角化症」という病気が増えているそうです。原因はオゾンホールではないかと考えられているとか。
てなわけで、折角長い時間をかけて太陽光線に合わせて進化してきた人類なのに、最近では、急速に暮らしのあり方が変わったり、飛行機でほいほい移民したりするから、昔(といっても遠い遠い昔)の人類には有り得なかったいろんな病気が起きてます。自然は「文明のあり方」を問いかけてるんでは?
というまとめでした。
オーストラリアの人に「クジラを食べるなんて何て残酷な!」とか言われて黙ってちゃいけませんぜ!
・・・しつこいようですが、頭の中でどうしてもそこに結びついてしまったもので。ノルウェーの人たちもクジラを食べないとビタミンD不足になるぞ!
↑美味しんぼの影響
起てよ国民!
じゃ、また。