「遅い直球」「スローカーブ」「フォーク」の3種類の持ち球だけで通算176勝、歴代16位の2041奪三振を記録した星野伸之投手が現役時代を振り返って書かれている本です。
「はじめに」で、こう述べられています。
「投手の醍醐味とは何か。そう聞かれたら、僕は迷わずにこう答える。『小学生の投手でも、プロの打者をアウトにできる可能性があることです』と。」
その言葉に象徴されるように、本格派ではなかった星野投手が、プロで生き抜くために編み出したピッチングスタイルや投球術の数々、合理的に思える考え方の数々が、とても興味深いです。多くの「いわゆる本格派ではない」、素人の野球選手にとって、参考になる部分は多いのではないかと思います。
最も印象的だったくだりをご紹介します。
「86km/hのカーブと最速でも135km/hのストレートしか投げられない僕のような人間でも、並み居るプロの強打者・好打者と真っ向勝負ができたのだ。あなたにそれができない、とだれが決められるだろうか。」
私のような人間からすると、プロ野球選手は神のような存在です。例えばイチロー選手や王監督。雲の上すぎ。が、この本は、すぐ近くにいそうな、普通の野球選手がちょっとプロに行ってきました、というような・・・等身大というにはおこがましいことこの上ないですが、とても親近感を感じて、何とも言えない心地よい読了感がありました。