昨日今日と遠州浜岡の祖父母宅にいって、小田原に途中下車して小田原城見て帰宅。小田原はまた後ほど。
爺ちゃんの話です。
婆ちゃんは妹結婚式のときに会ったばかりですが、爺ちゃんは去年の秋頃に入院して、気管を切開して手術しないととか医者に言われたらしいのですが、嫌だって帰ってきて以来、起きるのも辛くて一日中横になってるとか。
そんなこんなで、今生の別れではないですが、行かねば!ということで。
爺ちゃんは84ですよ。話に聞いたとおり身体の方はだいぶ弱ってそうでしたが、頭は全然しゃきっとしてる、というか、めっちゃ頭が良くて博学な人なんですよ。まじ何でも知ってる。
ずっと農業やってて、農業辞めてからは地元の会社でボイラー技師の資格とったり、植木の手入れとかとにかく何でもありで70過ぎまで仕事してたんですが、弱くなってから辞めて、今は寝てばっかりなのが辛いみたい。「70年働いて、残り10年の半分寝たっきりだorz」だって。
祖父母の家にいくと面白いものがあります。大昔から新聞記事を切り抜いて集めて綺麗にスクラップしてあるのよ。新幹線が出来たとか、東京オリンピックとか、国際ニュースから何から。「張本が打って東映が勝った」みたいな記事があったりも。
一番感心するのが、昭和30年頃の元旦だかの特集記事。「20年後を予測する」みたいな朝日の記事かな? それで、20年経った昭和50年頃に、「的中したかどうか」を細かく検証して赤鉛筆で書き込みしてあるんですよ!ヒマではないんでしょうが、普通しないでしょ。偉い爺さんですまじで。
完璧に年金暮らしになってからは、株に凝って。会社四季報を毎期買って、日経を全部保管して、超研究しててね、知識はめっちゃあるんだけど肝心の金の方はすってばっかだったみたいです(笑)
それからもうひとつ感心するのが、めっちゃ合理的な生活をしてるんです。家のあちこちになにやら書いたラベルが貼ってあります。トイレのところには「必ず消灯」とか、ガスのつまみには「(こっちに回すと)→温、(あっちに回すと)→冷」とか、ありとあらゆる引き出しには、そこに何が入っているのかが、ノートやファイルの背表紙には必ず、それがどういうノートか、どういうファイルかが判るようになっています。電話のそばには当然のように電話番号一覧が貼ってあるし、テレビのリモコンにはどのボタンを押すとどこが映るか、挙げていくとキリがないほど。
見た目は美しくないですけどね、ここまで徹底してるとある意味「すごいなぁ」と思いますよ。お年寄りの知恵ですよねぇ。
話に聞いてたより元気そうで、いろいろお話できました。お年寄りの言葉というのは含蓄がありますよねぇ。
「もうえろうてかなわん。誰か殺してくれる人がいりゃあいいがおらんだ」「おれが死んだら年金がのうなってこの家はつぶれっちまうから死ねんだ」「鏡を見るとな、仏の顔になったからもうおれは長くはないわ」「遺影をとってくれ」
遺影はちょっと前の旅行いったときのとかカッコイイやつがいいじゃんと思うわけですが、今の仏みたいな顔のがいいんだそうですよ。変わってますよねぇ。
てか弱気なw
いやいや、もう80も過ぎると、自分が後どれくらい生きられるか判ってきて、覚悟というか悟りというか死生観みたいなのが固まるのかも知れないなぁと。婆ちゃんも、「頭はぼけてないしよく食べるから夏までは生きるずら」とか言ってたし!どこまで本気でどこまで冗談か判らんっての;
今回は妹夫婦もいったので、今まで妹が十字砲火を浴びてた「結婚まだか」攻撃が私にくるようになっちゃいましたよ。
母の弟、私にとっては叔父さんですが、離婚してしまって今は祖父母と一緒にいるのですが、結婚するっていうとき、この嫁さんに祖父母は物凄く反対してて、結婚してから離婚するまで酷い目にあったようで、祖父的にも「やっぱりorz」みたいな思いがあるのか、
「女はどんなのがいいのか悪いのか本当に判らんだな。わからん・・・」「器量(=外見の見目麗しさ、というような意味の方言ですかね?)は悪くてもいいだからな」「変なのに捕まったらえらい目にあうだからな。人生が狂っちまうだ」
だと。
人生経験が桁違いな人の言うことですからね!繰り返しますが含蓄がありますぜ。
「日本が良くなったのはインフレのおかげだ」
・・・インフレって今はデフレですよね。「?」と思っていたら
「それからマッカーサーのおかげだ」「農地を解放してくれただ。インフレでモノは作れば高く売れたな」
戦後すぐの頃の話ですよ!
「伊勢神宮とか天皇陛下なんてものは屁でもなかったな」
とも。今にして思えばそりゃそうですよねぇ。
「日本は悪い国になっただ。若い衆はたいへんだな」「ここらの景気はどん底なんてもんじゃないで。ひどいもんだ。東京はそんなにいいだか」
日本は悪い国になりました。本当に。そう思います。
妹夫婦には、
「仲良くせにゃあいかんに。2人ですら生きていくのはえっらいたいへんなこったに、1人で生きてくのは無理だな」「不倫は昔は死罪だでな。十字架にこう縛って、2人が脇の下を槍でな、突くだ」
私には、たばこは止めろって。ろくなことがないと。
爺ちゃんはヘビースモーカーでね、「たばこが吸えんにゃ生きてたって仕方がない」って言ってたんですけど、肺を悪くして、呼吸も辛くなって、入院してからは、これが同じ人とは思えないくらいにバシッと止めてるんです。
「入院してな、医者にタバコを取り上げてもらうだ。嫌でも吸わんようになるで」
そうしてもらわないと私もダメかも判りません;
別れ際(てか死ぬんじゃなくて帰るときね;)は、
「命と金は大事にしろ」
だって。「お金がないといかに困るか」ということを知り尽くしているというか、経験として知っているというか、とにかく生きるためにお金を稼ぐことがいかに大変かよーく知ってる人、苦労してめっちゃ働いた人ですからね、昔からお金がいかに大事かということをよく言ってました。
「世の中は金だ」とまでは言いませんが、現実には金だって。例えばお金の話はタブーな場面とかあるじゃないですか、あんまり金カネとカネのことをいうもんじゃないとか。必ず、「いやいや、先立つものはお金だ」「お金は貯めておけ」って。
ちなみに髪の毛がたっぷりあるんですよ。白いけど。それも剛毛。私の髪の毛はたぶんこの爺ちゃんの血を引いています。真っ直ぐで多くて太い。
婆ちゃんの弟はつるっ禿で、婆ちゃんも薄いんですが、母は多くて太いんです。
で、最近はあまり髪の毛を切りたがらないそうです。こう、やや長髪気味にして散切りにしてる。なぜかというと、「ダルビッシュだ」とか言ってました(笑)
よくご存知でww
ダルビッシュカッコイイですもんねぇ。
もっとたくさんのことを教えてもらいたいなぁと思いますよ。長生きして欲しいです。長生きしてくださいよ!!
長ーくなっちゃったけど今日のうちに書いとかなきゃ、と思って書いてみました。
また読み返すこともあるかも知れませんね。