もんく [とある南端港街の住人になった人]

飛行機じゃなくて良かった

本社から図面が届いた。(ここは客先工場だ。)

いつもながら図面を見てガックリ。変な寸法の入れ方がまず目に付く。
棒状の部品の(1)全長と(2)基準面からの最初の加工位置までの寸法、(3)その加工終了位置までの寸法までは普通だ。その先に(4)全長の基準面と反対側までの寸法までご丁寧に入れてある。

<何がいけないか分からない方のために解説>
(1)全長=(2)+(3)+(4)の部品なのですが、機械加工で削る場合には
(1)全長=(2)+(3)+余りの長さにならなければいけません。
余りの長さ=(4)なのですが、機械加工すると必ず誤差が出ますから全部の寸法を指定してしまうと作るのがかなり難しい(できたとしても加工の値段が高くなる)ので普通は大切じゃないところは「余りの長さ」ってことにして寸法指定しません。

この会社は誰でも知っている大きな、外国の人も知っている会社の関連会社なのにこの始末。日本の製造業ってこの程度?

最近は機械設計位のことなら時代の先端でもハイテクでも無いから、設計者は派遣社員が多い。設計者と言ってもCADが使えるトレースレベルからいるのでスキルはまちまち。

CADが使える事と設計ができるのとは違うと言われるが、実際には設計コストを下げるために下請けに出す事が多い。下請けだって安くあげたいからCADが使える程度の人間でも雇う。下請けや派遣の設計者は出来上がった物を動かす事はないし、雇う方だって時間がもったいないからそんな時間を取らせない。これではレベルが下がるのは当たり前。もう検図(描き上がった図面を検査)をする人間までこんな図面を通すようになってしまったのだからそうとうな物だ。

これじゃあすぐに中国に負けてしまうだろう。

ところで最近テレビで技術者が育たないのを懸念してヤスリを持ったりするような、かなりベーシックなところから教える企業が出てきているらしい。それって本当に必要な事だと思う。

以前にベアリングが壊れたことがあった。普通機械部品の中でベアリングが先に壊れることなんてなかなか無いものだ。ベアリングなど枯れた技術だし使い方もJISを見れば決まった使い方しか無い。にも関わらず壊れるなんてと思ったら、設計者も組立てた人間も触ったことが無かったためにベアリングは圧入(ちょっと力を入れてギュギュっと入れる)するもんだと知らなかったらしく、入りにくいと言って軸を細く削ってしまっていたのだった。

これじゃどうしようも無い。

でも良かったと思う事が一つある。
この会社が飛行機を作っている会社じゃなかったって事だ。あぶないあぶない。

エンジン3~5段目の動翼も全壊 JALウェイズ機 (朝日新聞) - goo ニュース
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