こんな夢を見た。
ドライブをしていた。
乗っているのは軽自動車で、運転しているのは父だった。
助手席には母親が座り、後部座席には私が乗っている。
車は急な上り坂の山道をゆっくりと進んでいた。
パワーの無い車なので、三人も乗っていると一車線で追い越し禁止の道なのに、次々と後ろから抜かれていった。
それでも運転する父は安全運転を心がけているのか、左側に寄って追い越しをしやすいようにしている様だった。
秋の終わりで快晴だが、外は風が強く吹いており、車が横風に煽られることもある。
そんな道を進んでいると急に視界が開けた。
「海だ」
父がそう言った。
車は山を登り切った様で、目の前に海が見える。その前には小さな町が見えた。
町に着いて車を降りた。
海岸線の道を挟んで商店街があり、向かって右には海が広がっている。
夏場の海水浴シーズンならば人で溢れかえっているだろうと思えたが、今はシーズンオフであり、観光客は私たちと同じドライブ目的の人たちであり、それほど多くの人はいなかった。
この町最大である商業施設に入った。
中には食品売り場とフードコート、そして個人商店がいくつも入っていた。
両親と別れた私は店の中を歩く。
小腹が空いたので目に留まったマクドナルドに入って注文をしようとメニューを見た。
他に客はいなかったので、すぐに店員に声をかけられる。
「ご注文は?」
私はメニューを見て、おかしなプレート料理しかない事に気がついた。
「ハンバーガーはありませんか?そしてこの無国籍な料理は何ですか?」
「すいません。当店ではハンバーガーは取り扱っていません。かわりにこの町の特産物である海鮮と、豚肉の焼き物をオリジナルソースで提供させて頂いております」
私は考えた。
私はハンバーガーが食べたいのだ。
そしてポテトは外せない。
「ソースはオリジナルの他に、スペインソースも選べます」
スペインソースがどういうものかわからないし、オリジナルソースもわからなかった。
そもそも私は醤油派なのだ。
「すいません。また今度にします」
私はそう言って店を離れた。
するとすぐに他の客が来て「ポテトください」と言うと、店員がすぐにポテトを揚げ始めた。
私はポテトは有るのかよと思った。
店内を歩いていると壁に無料の住宅情報誌がかけられていたので手に取った。
表紙には張り紙が貼ってあり、イタズラをしないでくださいと書いてあった。
中を見ると紙面が黒のマジックで塗りつぶされている。
この辺りの家賃相場を見ようと思ったが、賃貸のページはほぼ塗りつぶされており、確認する事は出来ない。
他のフリーペーパーも同じような有様で、求人情報も見る事は出来なかった。
町の情報を紹介する記事が少し読めた。
坂道が多い町なので、電動アシスト自転車を勧める記事だった。