■ 一宿一飯
こんな夢をみた。
どんな理由か解らない。
ただ言えるのは、自分はやくざ者の抗争に巻き込まれて窮地にいると言う事だった。
旅館の二階にある一室に自分は立てこもっている。
先ほど敵対する組員達が待ち構える一階に殴り込んでいったこちら側の組員達の安否は解らない。
暫く怒号と銃声が響いていたのだけれど、その騒々しさも今は沈黙して無くなり、恐らく降りていった全員がヤられたのだと予測する。
部屋の中には私と、私より少し年上のチンピラが、敵の突入に備えてバリケードを築いていた。
振り替えると押し入れから屋根裏に逃げていくところだった。
自分もと思ったら、旅館の板前長が包丁片手に入ってきた。
「安心しとき。アンちゃんはワシが守っちゃるけんのう」
そう言って、部屋のドアを開け放つ。
■ 怒号
こんな夢をみた。
遠くで誰かが怒鳴っている。
男の人の声。
激しく誰かを罵っている。
細かい部分は聞こえなくて、詳細は解らないけれど、誰かが何かを失敗したようだ。
怒鳴り声は断続的に続いている。
何を言っているかは解らない。
響き渡る銃声。
板前長の体は蜂の巣となってしまった。
「すまんのう。アンちゃん」
アンタ何をしに出てきたんだよと思いながら、部屋の外に目をやると、部屋の外には敵対する組員達が待ち構えてる。
万事休す。
■ 夢の中で眠る夢を見る夢を見る
こんな夢を見た。
以前住んでいた家の、二階にあった自分の部屋で私は寝ていた。
穏やかな気分で目を冷ますと、自分は寝ている夢を見ていたことを思いだし不思議な気分。
窓から入る軟らかい光から、早朝であるのかと思っていた。
「お前、いつまで寝てるんだ。もう夕方の4時だぞ」
そう言って部屋に入って来たのは二十才ほど見た目が若くなった父親だった。
「もうそんな時間なの?今日は出かける用事があったんだ」
忘年会である。
どうせ近所の居酒屋だからと、寝間着の姿で家をでる。
地中海の近くにあるイタリアの街中のような白い石造りの街並みの、夕方の買い物客で賑わう商店街を抜けて目的の居酒屋の前に来る。
中の様子を覗くと、社員一同が燕尾服で正装している。
仕方ないので一度家に帰り着替えて来る事にした。
忘年会でいいだけ飲み食いし、幸せな気分で家に帰り布団に入り眠りについたところで目が覚めた。