先日、あるテレビ局のバラエティー番組で自民党の石破幹事長が小年時代に読んだ『おそまつ君』という漫画を引き合いに出し、平和の尊さについて話をされました。「登場人物が無人島で悲惨な戦争を繰り広げたことに心を痛めた」という内容であったと記憶しています。石破幹事長はその読書体験から「戦争は絶対に起こしてはならない」と言われました。ご自身が平和主義者であることをお茶の間に向かってアピールするねらいがあったのかも知れませんが、私はお世辞や揶揄ではなく、石破幹事長は立派な平和主義者であると思います。安部首相も平和主義者であると信じています。好んで戦争を始める国の指導者などいません。戦争はいつの時代も止む終えず起きるものです。わが国を滅亡の危機に陥れた太平洋戦争もある意味で国益を守るために止む終えず始めた自衛の闘いでした。国民の生命と財産を守るはずの自衛戦争が返って多くの命と貴重な財産を失う結果に終わったことは紛れもない事実です。もし太平洋戦争がアジアの同盟国を欧米の植民地支配から解放する集団的自衛権の範囲内で行われた正当防衛であったと解釈すれば、集団的自衛権の行使容認によって同じような戦争が正当化されることになるのです。戦争の抑止力は安部首相が言う武力行使を前提とした積極的平和主義ではありません。それは国家に戦争をさせない法的な縛り、すなわち集団的自衛権の行使を禁止する憲法なのです。