
酸化ストレスは生活習慣病や老化の進行に最も重要に関わっています。酸化ストレスとは、生体の酸化反応と抗酸化反応のバランスが崩れて前者に傾き、好ましくない状態に置かれることです。酸化ストレスの原因は体内で発生した過剰な活性酸素やフリーラジカルです。近年、フリーラジカルという言葉は医学や化学の専門外の人々でも耳にするほど一般的に知られるようになってきました。フリーラジカルが市民権を得たのは、サプリメントなどの健康食品ブームが到来した2,000年以降ではないかと思います。
フリーラジカルとは「不対電子を持った原子または分子」の総称で「他の分子と容易に反応する不安定な過激分子」です。安定な分子は原子間で電子(e-)を共有し、ペアーを形成した電子によって共有結合した状態にあります。フリーラジカルは電子がない状態を打破するため、近くの分子から電子を一つ横取りします。この暴力行為の犠牲になった分子は、変形したり壊れたりします。さらに始末が悪いのは、電子が一つ足りなくなった分子やその残骸自体がフリーラジカルになってしまい、傍らに存在する罪もない別の分子から電子を奪う可能性が高いことです。すると、一気に連鎖反応がおこり、タンパク質、脂質やDNAに損傷が広がります。
フリーラジカルによるタンパク質、脂質やDNAの損傷、すなわち酸化ストレスを治療するために抗酸化剤を用いることがありますが、この治療は本当に正しいのでしょうか。抗酸化剤は元来、フリーラジカルになりやすい性質を持っています。抗酸化剤はフリーラジカルと反応してフリーラジカルを比較的安定な分子に変化させます。ところが、フリーラジカルに電子を渡した抗酸化剤は不安定なフリーラジカルに変身し、近くにある脂質と反応します。脂質は過酸化脂質となってタンパク質やDNAを酸化し、「フリーラジカルの連鎖反応」を引き起こすのです。
フリーラジカルがプレーボーイなら、抗酸化剤は恋多き女性とまじめな男性が共有結合したカップルです。恋多き女性がプレーボーイに接近して結びつくと、残された彼氏はフリーラジカルにさせられ、寂しさのあまり脂質家の妻と不倫に走るかも知れません。脂質、タンパク質やDNAはすべてフリーラジカルと反応しやすい性質を持っているので、ひとたびフリーラジカルに出会うとこれらの平和な家庭が次々と崩壊の憂き目に遭うのです(イラスト参照)。
これで、抗酸化剤を用いてもフリーラジカルによる健康被害から逃れられないことがわかっていただけたでしょうか。酸化ストレスを予防するためには、抗酸化剤に頼るよりも体の中でフリーラジカルを発生させないことの方が大切なのです。
このブログは風詠社出版の『長生きしたければミトコンドリアの声を聞け』の一部を抜粋、編集したものです。小著は真のサクセスフル・エイジングとは何かをテーマに、健康長寿を目指す「人」と「社会」に向けてミトコンドリアの立場からメッセージを送ります。
フリーラジカルとは「不対電子を持った原子または分子」の総称で「他の分子と容易に反応する不安定な過激分子」です。安定な分子は原子間で電子(e-)を共有し、ペアーを形成した電子によって共有結合した状態にあります。フリーラジカルは電子がない状態を打破するため、近くの分子から電子を一つ横取りします。この暴力行為の犠牲になった分子は、変形したり壊れたりします。さらに始末が悪いのは、電子が一つ足りなくなった分子やその残骸自体がフリーラジカルになってしまい、傍らに存在する罪もない別の分子から電子を奪う可能性が高いことです。すると、一気に連鎖反応がおこり、タンパク質、脂質やDNAに損傷が広がります。
フリーラジカルによるタンパク質、脂質やDNAの損傷、すなわち酸化ストレスを治療するために抗酸化剤を用いることがありますが、この治療は本当に正しいのでしょうか。抗酸化剤は元来、フリーラジカルになりやすい性質を持っています。抗酸化剤はフリーラジカルと反応してフリーラジカルを比較的安定な分子に変化させます。ところが、フリーラジカルに電子を渡した抗酸化剤は不安定なフリーラジカルに変身し、近くにある脂質と反応します。脂質は過酸化脂質となってタンパク質やDNAを酸化し、「フリーラジカルの連鎖反応」を引き起こすのです。
フリーラジカルがプレーボーイなら、抗酸化剤は恋多き女性とまじめな男性が共有結合したカップルです。恋多き女性がプレーボーイに接近して結びつくと、残された彼氏はフリーラジカルにさせられ、寂しさのあまり脂質家の妻と不倫に走るかも知れません。脂質、タンパク質やDNAはすべてフリーラジカルと反応しやすい性質を持っているので、ひとたびフリーラジカルに出会うとこれらの平和な家庭が次々と崩壊の憂き目に遭うのです(イラスト参照)。

これで、抗酸化剤を用いてもフリーラジカルによる健康被害から逃れられないことがわかっていただけたでしょうか。酸化ストレスを予防するためには、抗酸化剤に頼るよりも体の中でフリーラジカルを発生させないことの方が大切なのです。
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