二〇二二年は芥川龍之介生誕一三〇年。全作品は約三八〇。編年体一〇冊の旧版角川文庫で五割強を読む。(徐々に落ち込みそうな予感の読書なので明るい龍之介の写真を貼り付けた。)
「河童・玄鶴山房」(九冊目、36作品収録)、大正十四年~昭和二年初頭、三三・三四歳
・「馬の脚」対中国政策を揶揄してるんだろうけど、余りに奇想天外。
・「春」珍しく終始、抑制的に進むので期待してしまうが、未完。
・「点鬼簿」自身は淡々と書いているのだろうが、複雑な生育環境を考えるとやはりしんみりしてしまう。
・「彼」抑制的な筆致が友人Kにマッチ。Kの台詞もなかなかいい。
・「玄鶴山房」重なりあうも少しづつずれていきながら続いていく登場人物の心の闇を見事に描いている。
・「河童」両棲類の河童を描くが、読後感は乾いている(苦笑)。厭世感のせいだろう。
(小説は十九作収録だが、以前とは異なるイメージの作物が多い。あまりフィットしなかった。)
・「明治文芸に就いて」芥川が酷評したのは、露伴。
・「小説作法十則」シニカルな内容。ただ、文章は鍛練せよ、と。
・「文芸的な、余りに文芸的な」論争の存在だけは知っていた。片方の主張だけ読んでも無益と割りきり斜め読み。とにかく詩的な精神を重んじる芥川。経年的に作物を読むと志賀直哉を激賞しているのも頷ける。
メモは(主として)印象が残ったもののみ記す。(再読のため)
出来事
(大正十四年)
・三男也寸志生まれる。
・健康が衰え、創作活動低調に
(大正十五年、昭和元年)
・湯河原・鵠沼にて病気療養
・不眠症が昂進
(昭和二年上半期)
・義兄の放火・保険金詐欺疑惑と鉄道自殺への後始末と整理に奔走。
・神経衰弱が悪化。
「闇に置く光一条眼閉ずれば孤独を知るは指先のみぞ(新作)」」
~芥川龍之介「玄鶴山房」~
不尽
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