お気楽ナチュラリスト

都内に住んでも心はナチュラリスト。
週末は山と川で遊びたい。

山小屋グルメの旅

2018年09月18日 | 登山
足を怪我して夏山に行けなかった山ガールがしょんぼりしていたので、赤岳に行くことにした。
9月初旬まで続いた猛暑から一変して、連日の長雨。
敬老の日三連休も雨マーク連発。
雨を楽しむぐらいのつもりで行きましょう。


みんな天気予報を見て山に行く行かないを決めるのだろうか? 美濃戸口に午前9時半に到着したが駐車場には余裕があった。

てっきり雨のスタートかと思いきや、雲の切れ間から青空がのぞいたりして、いい感じである。


林道をてくてく歩いて美濃戸まで50分。
ウォーミングアップにはちょうどいい。



今日は行者小屋に泊まるので、南沢を登っていくのが最短ルートだけれども、赤岳鉱泉でランチをいただく予定なので、あえて北沢を選択。
林道をショートカットしながら爽やかな森の中を歩いていく。



山ガールや他の登山者が森の中をじーっと見ている。
何かいいものあったのかな?



なんとカモシカを発見。
向こうも木の隙間からこちらをじーっとみている。

近くにもう一頭、一回り体の小さなカモシカもいた。
夫婦カモシカだな。
いいもの見られて、山ガール大興奮。


北沢は水量が豊富なので、涼しくていい。



整備された登山道をどんどん行くよ。



コースタイムより若干早く赤岳鉱泉に着いた。
小屋の前は広大なウッドデッキになっていた。
この小屋は来るたびに進化している。



以前は小屋の中で軽食を販売していたが、玄関わきに販売ブースができていた。
さて、何を食べようか。



カウンター脇に置いてあったカレーとパスタのメニュー。
ここは山の中だぞ? 時代は変わった…。


カレーもパスタも豊富なメニューから選ぶことができる。
どれを頼んでも800円。

自分はエビのバジルクリームのパスタを注文。
平打ちのパスタに濃厚なソースがよく絡んで街中で食べているのと変わらんぞ。
赤岳鉱泉、恐るべし。


お腹も満たされたので、行者小屋へのんびり向かう。



途中、階段状のステップには、かの有名なマムートのエンブレムが。

文三郎道のマムート階段は有名だが、こっちにも進出してきたのか。
マムート恐るべし。


中山乗越までくれば、行者小屋は目と鼻の先。
天気がよければ、中山展望台まで足を延ばす予定だったのだが、ガスガスで何も見えないから今回はスルー。



木々もやや色づき始め、そこはかとなく秋の気配が漂う行者小屋に到着。



テント場はまずまずの盛況ぶり。

それにしてもガスが立ち込めていて、せっかくの景観が台無しだ。
そんなことは初めて来る山ガールは知る由もなし。


今日の行者小屋はずいぶん空いているようで、個室も余裕でとれた。
泊り客は30人いたかどうか。
こんなに空いているのは初めてだ。



何はともあれ、乾杯!



山ガールがおもむろに、「トランプやります?」

山小屋では酒と昼寝でだらだら過ごすと相場が決まっているもんだが、まさかトランプをやるとは思いもよらなかった。
ひとつわかったことは、自分は七並べが猛烈に弱いということだった。


夕食は18時から。
6人座れるテーブルを3人で使わせていただいた。
通常、客が何人いようが端から詰めて座るもんだが、客が少ないときは無理して詰めない方針みたい。
こんな小さなホスピタリティが嬉しかったりする。

食事は文句なく美味しい。
本日のメイン料理はサーモンのホイル焼き。
スープも具だくさんで美味しかった。
もちろん、おかわり自由。


携帯の電波は、小屋前のベンチでauが、外トイレの近くでdocomoが通じる。3Gだけど。
翌日の天気予報を調べると、なんだか微妙。

だめなら下山するよと山ガールに宣告してから、布団に入った。



翌朝は、案の定ガスガスワールド。
昨日よりひどい。



幸い雨は降っていなかったので、とりあえず行けるところまで行くことにした。



稜線で風雨が強まった時に逃げ込める山小屋があった方が安心かなと思い、地蔵尾根から行くことにした。

昨日は上で泊まった人が多かったようで、下山する登山者とのすれ違いが結構多かった。
稜線の風の具合をたずねるとそれほどでもないとのこと。


森林限界からは階段と鎖場の連続だ。
晴れていればどうということもないが、濡れているので慎重に行く。





すれ違いに時間がかかって、90分ほどで地蔵の頭に出た。



稜線はそれなりに風が強い。
わずか数メートルの痩せ尾根を通過するのに、腰が引けている山ガール。
しっかり歩け~。



赤岳展望荘もガスガス。

ここで山ガールに進退を尋ねると、「行きたい」とのこと。
風はそこそこだし、雨は降っていない。
山ガールに恐怖心が無いなら、先に進もう。


山肌は草紅葉が始まっている。
他に何にも撮るものがない。(笑)



展望荘から45分で頂上山荘のある北峰に着いた。
すると、目指す南峰の上空にわずかな青空が!



9時ジャストに赤岳頂上(2899m)に到着。
お疲れさん~。



風を避けて行動食を食べながら30分ほど青空を待っていたが、晴れそうにない。
仕方ない、下山しますか。



すると、なんということでしょう。
赤岳展望荘まで下ってくると、雲がさーっと切れていくではありませんか!



富士山もくっきり!



我慢が足りなかったな。
でも、あのまま1時間山頂にとどまるのもキツイし、しょうがないか。
山ガールは、登ってきた山の全容が見えてテンションMAX。



横岳もばっちり見えた。



では、慎重に下りましょう。



下りが苦手だと言っていた山ガールが、高度感でビビッてしまい、ちょっとペースダウンしたが、登りのとき以上に時間をかけてゆっくり行者小屋まで下ってくることができた。
まだまだ、先があるので、ここで腹ごしらえ。

行者小屋のラーメンには餃子が入っていた。
ひょっとして、「ぎょうじゃ」と「ぎょうざ」を掛けているのか?


下山は南沢から。



樹林帯に入ってからは苔の美しい森をくだっていく。
キノコもにょきにょき生えていた。







実は、今回の山行の核心部はここからだった。


南沢は、しばらく平坦な森を進んでから、石がごろごろした急坂を一気に下っていく。
ここで下りが苦手な例の山ガールのペースががくっと落ちた。
はじめのうちは、こっちが5分進むと、そのあと5分くらいしてから追いついてくる感じだったが、それが次第にひどくなってきた。
声をかけると大丈夫だと言うが、「足が少ししびれる」と言う。
荷物は自分が全部持ち、空身で歩かせる。
靴紐を少し緩めたり、休憩したりしながら下って行ったが、とうとう動けなくなってしまった。
美濃戸までは、普通に歩いてあと40分はかかる。

自分が先に行って、車を美濃戸まで持ってくることも考えたが、一本道とはいえ山ガール二人を山の中に残すのも得策ではないと考え、その案は打ち消した。

症状はさらにひどくなり、ふらふらして目が回るような感じだとうったえる。
いよいよまずいかな? 救助隊かな? 判断を迫られるところだ。

水を飲ませたら、少し回復したというので、「ひょっとして、お腹空いてる?」と尋ねると「はい」という返事。
なんと原因はシャリバテによる血糖値の低下だった。
山ガールはシャリバテなんて今までの人生で経験したことないので、自分の症状がなんだかわからなかったらしい。
ゼリー飲料とチョコレートを食べさせたら、みるみるうちに回復した。

思い返してみれば、行動食もあまりとっていなかったようだし、昼食も軽く済ませていた。
もう一人の元気な山ガールは、行動食もバリバリ食べて、昼食もラーメンとおでんを平らげていたな…。

今回は天候不順だったため、安全に登らせること、下らせることに集中し、行動食を計画的に摂取する指示は出していなかった。
「登山は初めてじゃないんだし、大人なんだから自分で勝手に食べるだろう」というのは、甘かったのかもしれない。
登り下りで想像以上に神経を使った彼女は、自分が自覚する以上にエネルギーを消費していたのだろう。
疲れもあって、進んで食べようとは思わなかったのかもしれない。
こちらの配慮が足りなかった。反省。



その後は順調に歩き、なんとか日没前に美濃戸口に帰り着いた。

ちょっとひやひやしたが、彼女にとって貴重な経験になっただろう。
そして、自分自身も連れていく責任の重さを再認識した。
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4 コメント

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Unknown (ヒルマ)
2018-09-18 18:03:08
行者小屋のベンチ、居心地がよくて好きです!

疲れると食べなくなっちゃう女性いますよね・・・
シャリバテすぐに回復して良かったです
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お返事 (papachan)
2018-09-18 22:16:18
>ヒルマさん
こんばんは!
行者小屋は大好きな山小屋の一つです。
今回は人も少なくて、ベンチも空いていました。

シャリバテにもう少し早く気付いてあげるべきでした。
大事に至らなくてホッとしております。
返信する
小屋飯 (高崎)
2018-09-20 02:50:15
最近の小屋飯は美味しくなりましたよねえ!
特に八つの小屋飯は断トツでしかも風呂に入れるのも嬉しいかも。
濃霧の中の一瞬の晴れ間、感動ものでごじゃりまする!
返信する
お返事 (papachan)
2018-09-20 21:30:38
>高崎さん
こんばんは!
昨今の登山ブームを支えているのは、山小屋の努力によるところも大きいのだと感じます。
そのうちフレンチのコースなんかも出てきたりして(笑)

天気は完全にあきらめていたので、下山時とはいえ晴れたのはラッキーでした。
自分が登った山の姿を見られると見られないとでは、雲泥の差ですからね。
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