信濃路落涙釣行記

毎年、上小漁協の年券を購入しているが、今年はまだ２回しか使っていない。
このままでは赤字である。
そこで年券消化の旅に出ることにした。

天気予報が、あまりよくないことはわかっていた。
でも、少しぐらい雨が降ってくれた方が活性が上がるだろうと考えた。


９月２３日、深夜２時に自宅を出発。
しとしと雨が降る高速をとばし、目指す沢に到着したのは、明け方５時３０分。
あたりはまだ薄暗く、そして濃い霧が立ちこめていた。
ごそごそ釣り支度をしている間にそこそこ明るくなってきたので、さぁ行こうとした瞬間に頭上でピカッと閃光が走り、同時に雷鳴がとどろいた。
間髪入れず土砂降りの雨。先が見えないほどの豪雨。

仕方なく雷雲が去るまで、車の中で１時間待機する。


雨は強くなったり、弱くなったりしながら降り続いているが、雷はおさまったようなので、やっと入渓することができた。
この時点ではまだ濁りは出ていなかった。


雷に気をつけながら、こわごわキャストする。
ティップをまっすぐ持ち上げて雷が落ちると嫌なので、なるべくロッドを寝かせてサイドスローにする。（効果があるかどうかはわからないけど…）

一投目でチェイスがあり、二投目でヒット。

小さいが綺麗なイワナだ。
地元の方々は、この沢のイワナは天然物だと口をそろえて言う。


次のポイントでは、良型がヒットしたが、ネットイン直前で痛恨のバラシ。
ツメが甘い…。


この時点で濁りと増水に気づいた。
すでに木の葉も混じり始めている。
もう時間がない。



ルアーをＤダイレクトに替えた一投目。
着水して一発ロッドを煽った瞬間、「ドスン！」と来た。

逞しいヒレと厳つい顔。
黄色い腹と鮮やかな朱点。
紛れもないこの沢のネイティブだ。
サイズは、２７ｃｍ。


これは地球の分泌物である。野生の純粋な結晶である。
これに会いたくて来たのだ。


しばし撮影に没頭していると、周囲がヤバイ状況になっていた。
沢は完全に濁流と化し、大量の木の葉や枝が流れていく。
名残惜しいがイワナをリリースし、一目散に退渓した。


実釣時間、３０分…



この後は少しでも濁りのない川を探してお昼近くまであちこち車を走らせたが、結局どこもアウトだった。



仕方ないので、蕎麦を喰らう。


仕方ないので、温泉につかる。



１５時頃、再度２つ３つの川を見に行くが、最悪の状況だった。
雨は、依然としてやまない。

１泊の予定だったが、このぶんでは明日も望みはなさそうだ。
今なら、高速代も休日料金で済むし…。
貧乏くさいが、意を決して帰ることにした。


この日の車の走行距離は５００km超。あ～、ちかれた。。。
一応、釣り・蕎麦・温泉のゴールデンコースは達成したが、一番肝心の釣りが３０分間だもんな～。
釣れたからいいけど、なんかムナシイ…。