セグメントゲームズ

元ゲームプランナーという、しがない肩書きだけが取り柄のゲームブログ。生ラジオの告知が中心で、たまにテキスト対談を更新中!

『ゲーム、いろいろ、対談しよう。』 vol.3-3「近年のゲーム雑誌の現状」

2007年11月30日 07時53分51秒 | 【旧】コンテンツ集
共通テーマ2:『近年のゲーム雑誌の現状』
対談のお相手:フォックスさん(「任天堂タイムス」管理人)
対談日時:2007/11/24



●二次創作物の変遷(へんせん)
partygame : フォックスさん、ゲーム雑誌は何か購入されていますか?
フォックスさん :ニンテンドードリーム(以下、ニンドリ)」さんと「電撃DS&Wiiスタイル」さんですね。
partygame : あ~ニンドリいいですよね~。京都に来てから全く見かけなくなったので買えなくなりまして…。私のほうは、今は毎週ファミ通ですね。
フォックスさん : とある機会があってサオヘン(左尾 昭典)さんとお会いしたことがあるのですが、やはりニンドリは良くも悪くも抑えておきたいといった感じです。
partygame : ほほう。それはそれは。
フォックスさん : ただ、最近のゲーム雑誌は、昔…そうですね、電撃NINTENDO64や64ドリームの頃といったらいいでしょうか。あの頃より、パワーが落ちてきているような気がするのですね。
partygame : 「パワーが落ちるちてきている」というのは具体的にどういった面ででしょうか?
フォックスさん : 1ページ当たりの情報量や、読者ページなどにおけるはっちゃけっぷりが、衰えてきているような感じなんですね。
partygame : まあ、あまりはっちゃけすぎるのも怖いのかもしれませんね。ゲーム雑誌の売り上げが落ちてきているのは事実なので。
フォックスさん : 昔は、メーカーの規制がいろんな分野で緩かったというのもありますからね。
partygame : 確かに、いろいろ規制が厳しくなった気はしますね。ゲーム雑誌に限らずあらゆるメディアが。
フォックスさん : 昔趣味で集めていた「ゲーム4コマ漫画」も、ここ最近は任天堂に限ってはほぼ全滅に近いところまできてしまっていますしね。
partygame : 私はゲーム雑誌てあんまりそういうところは見なかったりする派なんですが、それでも4コマはかつてニンドリにも気に入っていた人はいましたけどね。
フォックスさん : 双葉社の4コマまんが王国や、旧エニックスの4コママンガ劇場などは、昔は本当に任天堂関連のものを数多く発売していましたからね。これは投稿者の皆さんをどうこう言うわけでは全くないのですが、10年くらい昔の4コマ本の内容は、本当に凄かったです。電撃N64の読者ページ「ゲームの素」なども、同様に凄かった。
partygame : 最近はやはり、4コマ漫画の本は減ってきているという感じですか?
フォックスさん : 任天堂関連では、全滅というよりは、ほぼ絶滅に近いですね。
partygame : なんか最近は4コマ本を買わなくても、ネットを散策していたらそういったゲームをネタにした面白いものはあちこちで見つかりますからね。
フォックスさん : それから、最近出ているものは、明らかに昔より規制が入っていて「つまらない」と、昔から4コマ本を見てきた懐古な自分にはそう見えてしまうんですね。東静馬先生、吉田創先生など毒のあるマリオ4コマを描かれていた方がどんどん消えて、皆顔やネタが同じような個性のないものになっているというのが、最近の4コマ本を見ていて感じることですね。これは他のマンガなどにもあることですが、最近の「萌え」とかそういったものに流れて、皆同じようなものになってしまった、といった感じなんですね。
partygame : marukomuさんの対談でも「萌え」についての話は出ましたね。日本で「萌え」という言葉が広がっていることで、それに合わせているということなんでしょうかね?
フォックスさん : あるサイトが「そういったアニメでは皆、顔が同じだ」などと茶化していましたが、なんだかそういった感じなんですよね。なのでそういった意味で、私は近年のオタク受けする漫画やアニメには面白さや魅力を感じられなかったりして、正直冷ややかだったりするんですね。漫画としての本質的「ネタ」の部分を「萌え」という要素でカバーしているような、そんな違和感があるんです。昔の4コマ本などはかなり下手が絵でもネタが面白いといったものが多く採用されていたのに、最近はネタより絵が優先しているような感じもありますね。
partygame : そういう意味では、フォックスさんは「萌え」という存在はあまりお好きじゃないという感じですか?
フォックスさん : いえ、もちろん「萌え」の存在を否定するわけではないです。ただ、それはあくまで一つのファクターとして、他にもより強力な魅力も備えているなら、ごく一部のマニアだけでなくより多くの皆さんの共感を集めますし、本質的にに面白いと思うんですね。近年の例では「初音ミク」はそれにあたると思います。絵だけでなく「ネタ(技術力とクリエイティブ性、そして将来性)」が非常に強力なので、盛り上がりが明らかに違う。マニアだけでなく本当に多くの皆さんの間で爆発的な人気があり、その心をガッチリ掴んでいる。WiiやDSなど最近の任天堂のそれとも通じるものがあると思います。
partygame : なるほど。


●情報媒体として大きく苦戦しているゲーム雑誌
partygame : 読者ページについては分かりましたが、では「1ページ当たりの情報量」についてはどうでしょうか?
フォックスさん : 少し前のニンドリさんは、ここに問題点があるなと思っていましたが、最近は必然的にソフトが増えたことで、逆に誌面が逼迫している感じですね。
partygame : それは、情報を伝える能力が低下しているということなんでしょうか?
フォックスさん : 今の月刊のままでは、もう厳しいでしょうね。ネットとの兼ね合いもありますし、ある意味で、ニンドリさんなどは私のサイトとは「商売敵」だったりすることもある。
partygame : そんなこと言い出しますと、攻略サイトだって攻略本の敵になってしまいます。ゆえに最近のゲーム雑誌だとか、攻略本はどうかは知りませんが売り上げが乏しいのは「ネットで何でも調べられちゃうから」なんだと思いますね。もちろんそれが全てではないと思いますが。
フォックスさん : ネットが出てきて、その上でゲーム雑誌の意味も問われていますよね。WiiやDSで市場が様変わりしたように、ゲーム雑誌も転換点なのかもしれません。
partygame : 「ゲーム雑誌だからこそ」という大きな特徴を生み出さないことには、ネット利用者はそのうち誰も買わなくなるでしょう。
フォックスさん : WiiやDSで増えた新しい層はゲーム雑誌は読まないということで、これら読者を引き入れる試みも過去に見られたものの、概ね失敗しているようで、電撃DS&Wiiスタイルの最新号では「Wii Fit」などの新機軸の記事はすっかり姿を消していましたね。
partygame : あ~そうなんですか。確かにWiiやDSの元々ゲームをしていなかった層は主にCMでその存在を知り、そして店頭でパッケージを見て購入する。ゲーム雑誌を情報媒体として利用していないケースが多いかもしれませんね。
フォックスさん : 先月と今月のニンドリも、表紙に今年最大のWiiの目玉の「Wii Fit」の文字がないくらいですしね。
partygame : そうなんですか…。
フォックスさん : 逆に他の雑誌がWiiやDSについて触れていて、そちらのほうが影響があったりするような、そんな印象ですね。
partygame : 逆にゲームでないメディアのほうが率先して取り上げているということですか?
フォックスさん : 一般的な報道でも、DSやWiiについては取り上げていますからね。
partygame : ある種それが、DSやWiiが築き上げた他機種にない強みではあるんですよね。まさに「ゲーム人口拡大」にうってつけの強みだと思います。
フォックスさん : 専門誌だけでなく一般的な報道で露出するという点は、本当に強みですよね。
partygame : 「任天堂の風頼みの現状」の話でも出ましたけど、見ただけで楽しいことが分かる、という分かりやすさも他メディアが取り上げやすい理由かもしれませんね。
フォックスさん : 単純に視聴率を取るネタとしても、都合が良いのかもしれませんね。ただ、ゲーム雑誌はその拡大した「ゲーム人口」の層が殆ど入っていないので、今後任天堂がよりその方向を強めた場合、どうなっていくかは、いろんな意味で興味深いですね。
partygame : 確かにそうですね。それこそ「非ゲーマー層向けのゲーム雑誌」なんて作らなければいけなくなるかも…?なんか売れそうにないですね(笑)
フォックスさん : 私も一時そう考えたことがあるんですよね。ビジネス誌やファッション誌に近い装丁で…などと。ただ、そうして売れるかどうかはまた別なんでしょうね。
partygame : もちろん、売れないと商売としてやっていけないですしね。


●これからゲーム雑誌が目指すべき強みは…?
partygame : ゲーム雑誌とはちょっと違うかもしれませんが「Nintendo Online Magazine(以下、N.O.M.)」がありますよね?あれは本当にオンラインでしか見れないということですが…。ああいう形の雑誌…というか広告媒体って、どうなんでしょうね?
フォックスさん : あれは結構昔から連載していますよね。ある意味で、ネット雑誌の老舗のような。ネット上での雑誌という点では、一般的なウェブサイトやブログとどう違いを出すか、そこで続けるだけの収益をどう上げるかが関わってきそうですね。会員制や有料制にしても、外部にコピーされたら…ということになってしまいますので。
partygame : オンライン情報を有料…というのもなかなか敷居が高く感じられそうですね。
フォックスさん : 私も、お金を払う仕組みはちょっと…と思いますね。
partygame : 個人的にですが、最近のN.O.M.は開発者のインタビューが多くなってきている傾向があるみたいで、そういう、ブログなどには真似できないところで価値を見出しているのかもしれません。まあ、我々もこうやって対談はしてますけどね(笑)
フォックスさん : 一般的なウェブサイトとの差別化を図る上で、独占インタビューは大きいですね。ニンドリさんがインタビューに注力するのも、そこにあるのではと考えています。
partygame : 独占でインタビューという時点で、そこでしか聞けない話もたくさんあるかもしれませんしね。ファミ通なんかを見てても、インタビューももちろんですが有名クリエーターのコラムなどもかなり増えてきて、そういうところで読者を引き込もうとしているところがあるのかもしれません。それが今度大事になってくる「ゲーム雑誌ならでは」という特徴になっていきそうですね。
フォックスさん : いわゆる「初出しゲーム情報」というものは昔より減りましたね。そして、ニンドリさんが読者ページに注力されているのも、やはりネットとの差別化があるんでしょうね。電撃DS&Wiiスタイルでも、昔の「ゲームの素」を担当されていた中川大明さんが復帰されましたし。個性や独自性を出すことで、たとえ全体の読者数は多くなくても投稿などの形で支持してくれる濃い層をガッチリ固めるというのは、Xbox360の『アイドルマスター』の成功にも通じるものがあるような気がしますね。64が苦しかったとき、電撃N64が残ったのは、読者ページが大きいとも言われていますしね。


partygame : これにてこの度の対談は終了となります。お疲れ様でした。
フォックスさん : これから年末に向けていよいよいろんな意味で忙しくなってきますが、スマブラXにしろWii Fitにしろ、どうなっていくか…注目していきたいですね。
partygame : そうですね。
フォックスさん : 今日は本当に有難うございました。
partygame : いえいえ、こちらこそ。また機会がありましたらよろしくお願いいたします。


関連記事:
『ゲーム、いろいろ、対談しよう。』 vol.3-1「ゲーム機のネットワークについて」
『ゲーム、いろいろ、対談しよう。』 vol.3-2「任天堂の風頼みの現状」
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4 コメント

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これからは読者ページ次第ということですかね? (ナケイ)
2007-11-30 16:40:41
任天堂系ゲーム誌ではなく、総合ゲーム誌ですが、
「ゲーマガ」の読者ページも個性的ですね。
なんたって、「月刊セクシー大臣」とかいうちょっとアレなイラストを載せるコーナーがあったりしますよ(笑)。
>「萌え」
最近、なにか勘違いしているのか、萌え=エロみたいになっていることがありますね。
(萌えって、ほんのり可愛いと感じること・・・といっても、言葉では説明しづらいです。)
そういうものでなくても、同じ系統ばっかりだとつまらないですよね。
返信する
個人的には (ハリコン)
2007-11-30 19:43:34
小林アヴ子さんの4コママンガが好きでよくザ・プレ2買ってました。



今となってはマンガどころかザ・プレ2自体が消滅してしまいましたけど(汗)
返信する
こんばんは (tapioka)
2007-11-30 20:05:02
ファミ通は毎週買ってますけど、ニュースとか新着情報はネットで見てるのでどっちかっていうとコラムとか読者ページを楽しみにしてます。
まあ特ダネ的な情報やクロスレビューは発売前にネットで公開されちゃってるんでねぇ・・。
返信する
Unknown (partygame(管理人))
2007-11-30 23:39:43
>ナケイさん
たぶんこれからは、「ゲーム雑誌」が文字通り「ゲーム」の「雑誌」という役目しか果たしていない雑誌は生き残れないだろうというのは事実ですね。お金を出して買ってもらう商品なので、ネットという「無料」の世界(厳密には通信料はかかりますけどね)で見れてしまうものであれは、もうとても雑誌などで購入しようとも思わないですし、逆にDSやWiiの新ユーザーはわざわざそこまで足を運ぶかどうかが疑問ですからね。

>>「萌え」
過去の対談でも話が出ましたが、とにかく「萌え」とう世界がどんどんエスカレートしていってるんですよ。最初のうちは、女性層を獲得できるのではないか、という意味では全然ありだと思っていたわけですが、最近はなんでもかんでもちょっと可愛かったら「萌え」扱いになりますし、ゲーム業界1つとってもけっこうそういう感じのデザインって必然的に多くなってきてますよね。それがここでフォックスさんのおっしゃっている『本質的「ネタ」の部分を「萌え」という要素でカバーしている』ということだと思います。


>ハリコンさん
ホントにゲーム雑誌の世界はどんどん厳しい状況になっていきますよね。ましてや、そういう層しか買ってもらえないということを考えると発売してすでに数年以上も経ってしまっているハードよりも、これから期待されるハードを取り上げたほうが独自のネタも多いでしょうから、そういう方向に流されていってしまうというのは致し方ないことなのかもしれません…。


>tapiokaさん
そこが大きいんですよね。まあクロスレビューとか特ダネ情報をネットに、ましてや事前に載せるのって(私も取り上げたこともあるのであまり文句は言えませんが)本来はいい行為とはとても言いがたいですけどね。普通に商品として買ってもらって見てもらうはずの内容を載せているわけですから。
しかし一方でそれが野放しになっているというのも事実ではあるので、そこらへんを取り締まっていくというのもゲーム雑誌が生き残るための1つの手段かもしれません。まあそういうことをすれば大抵のヘビーユーザーはイヤがるんでしょうけどw
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