チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「ロリン・マゼールの死にあたって/チャイコフスキー 交響曲第5番 第2楽章」

2014年07月16日 17時43分37秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー
13日に米国のクラ音指揮者
Lorin Maazel(ロリン・マゼル、1930-2014)が84歳で死んだ。
ユダヤ系ロシア人の父親リンカンが27歳、
ハンガリーとロシアの血を引く母親のマリオンが35歳のときの子で、
その名のとおりいろいろな民族の混ぜるDNAが
高度な音楽の才能を生んだのかもしれない。
母親は1992年に97歳、
父親は2007年に106歳で大往生したので、
自分も100歳までは頑張ると言ってたらしい。
ヨーハン・シュトラウス父子伝統の、ヴァイオリンを自ら弾きながら
ウィンナ・ワルツを指揮するという芸当ができる指揮者がもういないので
当分ニューイヤーコンサートでもそうした光景は見られない。

マゼールというと、今年が生誕150年だった
リヒャルト・シュトラウス同様に金銭に貪欲なことが喧伝されてたこともあって
とくに日本のクラ音評論家どもやファンからは"浅薄"と蔑まれてた。
だが、"深淵"でとおってるフルトヴェングラーのような
節穴目の笊な指揮者を崇めてるような連中である。
金持ちを妬む左翼思想(クラ音関係者や愛好者はほとんどが左翼)
に加えて音楽のオの字も解ってないのが
いかにも哀れである。

マゼルの指揮は実演も数えきれないほど(おおげさではなく、実際数えられない)
聴いたし、録音物もCDでは相当数を収集した。
感銘した数少ない指揮者のひとりである。
ヴァイオリン演奏ではドヴォルジャークの「ユーモレスク」もいいし、
ガーシュウィン(ハイフェッツ編曲)の「イット・エイント・ネセセリリ・ソウ(世の中にぜってぇってことはねえんだ)」
はその"スウィング"感に聴きほれる。
アンナ・モッフォがタイトル・ロウルを歌った「カルメン」の演奏もすばらしいが、
なんといってもチャイコフスキーの「交響曲第5番」を若かりし日に
ウィーン・フィルと録音したものがマゼルの極みである。
各楽章ことごとく粗雑で無神経なムラヴィンスキーなどとは雲泥の差である。とくに、
第2楽章の繊細さには恍惚となってしまうほどである。とくに、
コーダの弦群が第2主題を交互に、
後ろ髪引かれるがごとくせつなく、さやぐように奏するところなど、
鳥肌ものである。CDでは減ぜられてしまったが、そこの箇所で
クレッシェンドとディミヌエンドを繰り返すところなど、レコードでは
デュナミークの再現がチャイコフスキーの意図をきちんと汲んでるのがよく判る。
この「5番」で印象深かったのは、
1995年のピッツバーグ響との来日公演である。
初めて聴いたそのホルンの主席がとてつもなく巧かったので、
いっしょに聴きにいってた隣席の女性に
アメイズィングというような顔をしながら(う・ま・い)とクチパクで伝えた。
演奏後、マゼールはそのホルン奏者を立たせて讃えた。
結局は管楽器を順番に立たせてって全パートに拍手させるようなよくある
儀礼的なものとは違って、マゼールはそのホルニストただひとりだけを
賞賛したのだった。William Caballero(ウィリアム・カバリェーロウ)のことなのだが。

(チャイコフスキーの「交響曲第5番」の第2楽章を
音楽作製ソフトのSibelius Firstで自分なりに作ってみました。
廉価版なので思うようにならないところも多々あるのですが、
ヘタなオケを扱のはこういうふうに大変なのだろうなとがまんしつつ、
マゼールの死を悼みながら急仕上げで作製してみました。
https://soundcloud.com/kamomenoiwao01/tchaikovsky-symphony5-2nd-mvt )
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「チャイコフスキー(ピアノ曲)夜想曲(op.10-1)/It's nice!」

2014年05月07日 18時16分13秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー

チャイコフスキー 夜想曲(op.10-1) ノクターン ヘ長調


現行暦の今日5月7日は、
Пётр Ильич Чайковский
(ピョートル・イリイーチ・チィコーフスキィ、いわゆる
ピョートル・イリイッチ・チャイコフスキー、1840-1893)
の誕生日である。誕生日といえば、
イエスの誕生日が12月25日に"決定"されたのは、
西暦325年のニカイア(ニケーア)公会議で、である。
韓国の船の事故とその処理はひどいものだが、
その船のオウナーはキリスト教系の新興カルト宗教の教祖だという。
儒教精神で李王の王宮より高い建造物は禁忌だったから
都には二階屋は建てれなかった、という咄がある。が、実際には、
複階層の建物が容易に造れなかったことへのいいわけ、
という咄もあるらしい。たしかに、
そんなのからまだ5代も経ってない子孫らが
客室2階分を増設したらどうなるか……。

ニカイア公会議が開かれた地は現在のトルコの
イズニクである。紀元前4世紀にこの地を獲得した
リュシマコスが最初の妻の名を採って
ニカイアと名付けたものである。
勝利の女神のことである。
英語ではNike(ナイキ)であり、つい最近、
間近になったサッカー・ワールド・カップ開催に先駆けて
マーキュリアル・スーパー・フライ開発を発表した
シューズ・メイカーもその名が由来である。
中国ではナイキの工場でストが起こったことから、
中国からの撤退をCEOがにおわせたらしい。

それはともかくも、
ヘレニズム時代の都市ニケーアは
広く交易を行って栄えてた。
その出先都市のひとつが現在のフランスの
Nice(ニース)である。その地名も
ニケーアが由来である。

ニースといえば、
1871年の暮、31歳のチャイコフスキーは、
当時の愛弟子ヴラヂーミル・シローフスキー
(シローフスキー兄弟の弟のほう)を引き連れて、
西欧に遊山に出かけた。もちろん、
この伯爵家の弟子のカネで。そして、
ニースに滞在した。このときに作曲して
シローフスキーに献呈したのが、
「2つの小品、作品10」の第1曲、
"Nocturne(ノクテュルヌ=夜想曲)"である。
[Andante cantabile、2/4拍子、1♭(ヘ長調)]
(A-B-A-B)という構成である。
この曲については、9年前に、

「ヤーコプ・ゲルショヴィッツと我修院達也」
( http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/9c001dabd710aacab8d57c8361e4eeef )

ですでにふれたので、そちらも参照されたい。
チャイコフスキーのピアノ曲の中でも
とくに好きな作品なので、また採りあげた。

(楽譜作成ソフトのSibelius Firstで作った同曲を
https://soundcloud.com/kamomenoiwao01/tchaikovsky-nocturneop10-1
にアップしました)
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「風雲急を告げるセヴァストポリ/チャイコフスキー『交響曲第2番』第1楽章序奏」

2014年03月02日 22時21分52秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー
先のソーヂ輪でも、
"美人選手"が採りあげられてた。なかでも、
ロシアのカーリングのアンナ・シードロヴァ女史が
今回の五輪の美人の代表のように報道されてた。たしかに、
米女優シャンテル・ヴァンサンテンに似てる。それはともあれ、
結果は10ティーム中9位という目も当てられないものだったが。
それなら、ウンチなんていうクソみたいな名前の選手がいる弱い国だけでなく、
ランキング下位にばかり無駄に負けて結局5位で
準決勝に進めなかった北海道銀行日本ティームよりも、
市川美余女史を擁する中部電力ティームを送り出してたほうが
よほどよかった。メダルなしといえば、
ジャンプの高梨選手だが、むしろ、
4位でよかったのだと思う。
女子ジャンプを五輪種目にしてもらうためには
米国ティームの選手らのものすごい苦労・運動という尽力があった。
それを差し置いて、
米国のエイスであるヘンドリクソン選手が怪我で実力を発揮できない、
という不幸に乗じて高梨選手がメダルをかっさらってったとしたら、
米国はどう思っただろう。高梨選手はそうしたことも
じつは感じてたのではなかっただろうか。
五輪採用最大の功労者リンズィー・ヴァン選手はすでに第一線とは言い難く、
同選手に代わるヘンドリクソン選手が万全の体勢で出場してたら、
高梨選手との一騎打ちのうえの結果はどちらに出てもよかったかもしれない。
が、米国ティームは最悪の状況だったのである。17歳の高梨選手は
日本の期待を一身に受けてたのはつらかっただろうが、
米国ティームらの恨みをかわないで本当によかったと思う。
4位という結果はじつに絶妙である。

恨みをかうといえば、
日本国民の税金で助成されてる旧二期校の国立大を出て
大学で学んだ(はずの)ことを何も活かさず、かつ、
国民への恩返しもしないでタレントなどという職に就いてる
優木まおみが、愚かにも、
ブログのコメント欄をアメンバー承認者限定にした、
などというニュースが流れてた。その記事によると、
<妊娠発表してから特になんですが、
嫌なことを書いてくる人や、
ときに危険すら感じるようなものまであり、
承認前のコメント欄を見てしまったりすると、
すごく落ち込んだりしてしまうようなことがありました。>
とのことらしい。
<妊婦に対する社会の気遣いや配慮を目的に作られたはずの
「マタニティーマーク」を付けたことで嫌がらせを受けることがある、
という記事について
「世の中いろいろ怖いことあるんだなぁと思います」と、
妊娠を公表したことによる"嫌がらせ"を危惧。>
「マタニティーマーク」の傲慢さを嫌う者がかなりいる、
世の中には子ができないことを深く悲しんでる人たちがいる、
という社会状況を理解してないか、そんなのを無視する
配慮のなさが尊大と受け取られて嫌われるのである。
人気があるわけではなく事務所の力でTVに出れてるのだから、
そうした態度がさらに視聴者の反感をかうということに
無頓着なのは結局自分の頸を締めることになるのである。ちなみに、
アメンバー承認者だからといって、危険でないと思う短絡さもイタい。

こうした人物が平気で「母親」になるのであるが、
「母なる川」とロシア人が呼ぶのが「ヴォルガ川」である。
氾濫とステパン・ラージンの反乱で知られる大河である。
チャイコフスキーはその「交響曲第2番」終楽章でウクライナ民謡「鶴」を採り入れた。
(cf;「チャイコフスキー『交響曲第2番』終楽章のウクライナ民謡『鶴(ジュラヴェーリ)』」
( http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/c1802975835272828cc6c48f3cd71083 )
♪【ド●・レ●│<ミ●・<ファ●│>ミッ<ソッ・>レッ●│>ドッ>ラッ・>ソッ●】♪
童謡作詞家の「まど・みちお」が先日104歳で死んだそうである。
「やぎさんゆうびん」は大作曲家の團伊玖磨大先生が「作曲」してる。
「いクマ」なんていう動物名が入ってるくらいで動物好きなのか、
おなじく動物の「ツル(ジュラヴェーリ)」をそっくりそのまま引用してる。
♪【ドド・ド<レ│<ミー・<ファファ│>ミミ・>レレ│>ド>ラ・>ソー】♪
「し(do)ろdo)・や(do)<ぎ(レ)│<さん(mi-)・<か(fa)ら(fa)│
>お(mi)て(mi)・>が(re)み(re)│>つ(do)>い(la)・>たー(so-)」
それはともあれ、いっぽう、第1楽章の序奏では、
"Вниз по матушке по Волге"
(ヴニース・パ・マートゥシキェ・パ・ヴォールギェ)
「母なるヴォルガを下って」
♪ラーーー・ーー<シー・・<ドー<レー・>ドー>シー│
>ラー>♯ソー・<ラー<シー・<ドーーー・>Nソーーー│
<ミーーー・ーーーー・・>レーーー・<ソー>ファー│
>ミーーー・ーーーー・・ミーーー・ミーーー│
>レーー<ファ・>ミー>レー・>ドーーー・ドーーー│
>シーーー・ーーーー・・シーーー・ーーーー│
<ドーーー・ーーーー・・ーーーー・●●●●♪
という民謡の"ウクライナ版"を採用してる。
♪ミーーー・>シー<ドー・・<レー>ドー・<ミー>レー│
>ラーーー・ーー<シー・・<ドーーー・>ラーーー│
<ミーーー・ミーーー・・<ファー>ミー・<ファーーー│
>ミーーー・ーーーー・・ミーーー・ミーーー│
<ファーーー・>ミー>レー・・>ラーーー・<ドードー│
>シーーー・<レーーー・<ミー<ファー・>ミー>レー│
>ラーーー・ーーーー・・ーーーー・ーーーー♪
(民謡とチャイコフスキーの序奏を並べたものを
https://soundcloud.com/kamomenoiwao01/down-the-mother-the-volga
にアップしました)

ソーヂ輪が終わるタイミングで親露なウクライナの政府が崩壊した。
ウクライナ領ながらウクライナ人よりロシア人のほうが圧倒的に多い
ウクライナの黒海への出丸であるクリミア半島の西南部の
セヴァストーポリは、クリミア戦争や第二次世界大戦でも
激戦地となった要塞である。
プーチン大統領はロシア軍をクリミア半島へ派遣することを
上院に諮った。全会一致で承認されたという。
セヴァストーポリ軍港にはもともとロシアの軍艦が常駐してるが、
そのうえ、半島全土にも露軍を派遣するのである。
ウクライナの反露親EU派がセヴァストポリを獲るつもりなら
クリミア半島で全面戦争してもいいんだぞ、
と脅しにかかったというわけである。そんな
強面のプーチンのfacebookをコリアンが荒らしまくったという。
いくら虚勢っぱりだからといって、
お人好しの日本人を愚弄するのとはわけが違って
一線を超したらヤバイ人物がいることを
まったくわきまえてないというのは
あな恐ろしあ。自国五輪開催中、
オリンピック・パーク内に設けられた参加国各国の
情報発信拠点をプーチンは訪問した。が、
"コリア・ハウス"だけは無視、スルーしたという。
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「チャイコフスキー『マンフレッド交響曲』11」 第4楽章終結/フォスター没後150年」

2014年01月13日 19時39分29秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー
昨日夜、BSテレ朝で、
「滝川クリステルのフィレンツェ紀行 もう一枚のモナリザ 天才ダ・ヴィンチの謎を追う」
という番組を放送してた。
ほとんど聞き流してた程度だったが、例によって
モナ・リザやレオナルド・ダ・ヴィンチなどに関する
トンデモ番組だった。例によって、
レオナルド・ダ・ヴィンチが師匠のいわゆるヴェロッキオより
巧く描いたのを見て師匠はそれ以降絵を描くのをやめた、
という作り話をご丁寧にまことしやかに採りあげるほどの
無教養スタッフだからしかたないかもしれないが。加えて、
モナ・リザの"45度"と同じ斜に構えたキャスターとして有名になった
滝川女史をキャスティングするというオヤジギャグ的な番組だった。
オ・モ・テ・ナ・シというよりは、ハ・シ・タ・ナ・シという感じで
いかにもズ・ボ・ラで教養も乏しそうな
滝川クリステル女史は、ロケ内でやらかしてくれた。
フィレンツェのBargello(バルジェッロ)美術館で、
少年の頃のレオナルド・ダ・ヴィンチをモデルにしたというお噺が
附加されてるダ・ヴィンチ像ならぬダヴィデ像の
作者名を見て滝川女史は、
Verrocchio(ヴェロッキオ)
=(verroヴェッロ→veroヴェーロ:ホンマモンの。
 occhioオッキオ=目。
 Verrocchio=真実を見抜く目を持つ男)
という"渾名"をなんと、
「ヴェロッチオ」「ヴェロッチョ」
と2回も読んだのである。私のようなオヤジギャガーが、
ヴェロヴェロベロッチョと舐めたくなるような美少年だ、
というのならわかる。が、同女史が
おふざけで読んだとはとても思えない。
父親はフランス人らしいが、フランス語でも
orchestreやtechniqueのような外来語のchをシュではなくクと発音するし、
おなじラテン語系のお隣の国のイタリア語を少しは解るのが普通である。が、
杏女史から小澤征悦をごちそうさんとばかりに奪った滝川女史は、
解らなければ"ローマ字読み"、というオバカ・タレントたちと同じ発想である。
というより、解らないことさえ自覚してない様子だった。
オ・モ・テ・ナ・シ以来、同女史は引く手数多だという。

[出を悩み、痴話にみまわるる、滝川の、
 アホがバレても末に、買はむとぞ思ふ](すとくホルム症候群)          

中島みゆき女史と倍賞千恵子女史の歌声を聴きわけれない
拙脳なる私には、滝川女史のどこがそんなに魅力的なのか
いっこうに解せない。フジTVの系列会社共同TVの
パッとしないアナだった滝川女史を思うと時代を感じる。

チャイコフスキーのいわゆる「マンフレッド交響曲」は
4つの楽章から成る。その第4楽章は、
大きく分けて、3部から成る。
第1部=悪と闇の神アリマニスの神殿とマンフレッドの主題断片の提示
同、アリマニスの神殿とマンフレッドの主題断片の再現
第2部=第1楽章の回帰(アスタルテを偲ぶ主題の回帰。3拍子化されたマンフレッドの主題の回帰)
第3部=マンフレッドの死。
(cf;「チャイコフスキー『マンフレッド交響曲』09 第4楽章綜覧」
http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/b538d211c386b0000ada4529b2427242 )

第2部:
亡きアスタルテを偲ぶ主題が
半音下がって(第1楽章はロ短調→第4楽章では変ロ短調)
回想される。次いで、
バス・クラリネット+3管のファゴットのユニゾンが
マンフレッドの主題を吹奏し、最期のドラが鳴らされる。そして、
第1楽章の第3部の3拍子化されたマンフレッドの主題が回帰する。

第3部:
マンフレッドに死が訪れる。
[無調号(ハ長調→実質ホ長調→実質ロ長調)]
ここでチャイコフスキーはハーモニウム(オルガン)を加えて、
♪ミ<ファ<ソ>ド<レ<ミ♪
という主題を奏させる。バイロンの原作では
マンフレッドはキリスト教による救済を拒否したのだが、
チャイコフスキーは救いを与えてしまった。が、
あくまでも劇附随音楽でないのならバ異論は
原作者にもあるまい。ともあれ、
この音型はフランス古謡の
"La Beigneuse(→Baigneuse。ラ・ベニューズ=沐浴する人)"
の引用である。体を水で浄める沐浴はキリスト教において
洗礼、つまり、入信の儀式である。ともあれ、
この「浄化音型」を受けて両翼vnが主和音分散上昇音型を奏して
マンフレッドの昇天を示す。
じつに感動的な音楽である。
これが実質ホ長調で繰り返され、次いで、実質ロ長調で、
♪ラ<シ<ド<ファ>ミ>レ>ド♪
という脳にしみわたる音型が奏される。
これはベートーヴェンのいわゆる"歓喜の歌"が
3度めにvnによって奏されるときにヴィオーラとチェロが
その裏で懸命に奏する音型でもあり、
メンデルスゾーンがいわゆる"スコットランド交響曲"の緩徐楽章その他で
愛用した音型でもある。次いで、
両翼vnがこれまた感動に満ちた
♪ソー・ーー・・<ラー・<ドー│<レー・>シー・・<ド<レ・<ミ>レ│
<ミ>♯レ・<ミー・・ー>レ・ーー│レー・ー>ド・・ドー・>シ>ラ│
<シー・ーー・・ーー・ーー│<ド>シ・<ド♪
という旋律を奏し、その下で、
2管のファゴット+バス・トロンボーン+ハーモニウムが、グレゴリウス聖歌
"Dies irae(ディエス・イーレ=怒りの日≒神の審判の日)"を刻む。終いは、
テンポを減じられ、
2管オーボエ+2管クラリネット+2管ファゴットによる実質ロ長調の主和音に
弦楽5部による実質ロ長調の主音のピッツィカートが重ねられて
消え入るように終わる。

他の傑作群に比すれば劣る作品ではある。が、それでも
随所にチャイコフスキーの天分や工夫、そして、
感動がちりばめられてるのである。

(「マンフレッド交響曲」第4楽章のダイジェストとエンディングを
https://soundcloud.com/kamomenoiwao-1/tchaikovsky-manfred-4th-mov
にアップしました)

また、今日はスティーヴン・フォスターが死んだとされる日から150年にあたる。

「3つの命日への語彙」
http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/5bc727a415856df6dfff2744e2874c51

「マイ・オウルド・洗濯機・ホウム」
http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/84eae62f7b198036611450a18ca3b7f8

「遥かなる著作権者の呼び声」
http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/f7dc9c18cb269f2421a8abba71ae8329

「夢見る悲しいワルツ……フォスターとラヴェル」
http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/feba3f632ffb49dad5249580f50135e8

「『オーラ・リー』とベートーヴェンの耳」
http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/6e69e38dca55ca517c2f6175d5d91f70

「ピアノ協奏曲(嬰ハ短調)/フランシス・プーランク没後50年」
http://blog.goo.ne.jp/passionbbb/e/f8a6a1eaa6e8a6dd37876ee95d302e9c
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「チャイコフスキー『マンフレッド交響曲』10 第4楽章第1部主題」

2014年01月07日 00時31分35秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー
2月の東京都知事選にあたって、あの
貶日左翼非国民売国奴らが徒党を組んでる民主党が、
細川護煕に出馬を打診してたらしい。細川には袖にされたようだが、
バカにつける薬なし。バカは死ななきゃ治らない。
とはよく言ったものである。そもそも、細川護煕は
これといった功績もないのに世渡りだけで出世した、
江戸時代のクズ大名家の筆頭である細川家の、
ガラシャの血筋でない子孫である。村山・宮沢&河野と続く、
近隣悪徳国家に虚偽による口実を与えた日本の政治家の一人で、
米国の報道官の猿真似でボールペンで質問者を指すことだけがウリだった、
愚かきわまりない無責任野郎が細川護煕なのに、である。
司直の手が入った徳州会病院からの5000万の触法借金の件で
瀬が辞任せざるをえなくなったその後釜に、
当時疑獄だらけで世間を賑わせた佐川急便からの不審な
1億円の借金の件で首相を辞めざるをえないはめになった
おサガワせ野郎細川護煕を、なんて、
まったく都民をバカにしてるのも甚だしい。
自分の損得だけで国家などどうでもいい悪い輩が
悪事を作り出す悪循環は、かようにあとを絶たない。

チャイコフスキーのいわゆる「マンフレッド交響曲」は
4つの楽章から成る。その【第4楽章】は、
大きく分けて、3部から成る。
第1部=悪と闇の神アリマニスの神殿とマンフレッドの主題断片の提示
同、アリマニスの神殿とマンフレッドの主題断片の再現
第2部=第1楽章の回帰(アスタルテを偲ぶ主題の回帰。
3拍子化されたマンフレッドの主題の回帰)
第3部=マンフレッドの死。

その第1部の主題は、
♪【ラー・ーー・・<シー・ーー│<ドー・<レー・・<♯レッ<ミッ・<♯ファッ】●♪
という音型である。これは、
悪と闇の神アリマニスの主題である。この作品(1885年)から
3年後に作曲した正規の交響曲である「交響曲第5番」の
第1楽章のイントロは、クラリネット2管のユニゾンで吹かれる。それは、
♪ドーーー・ーードド・・<レーーー・ーー>ド>シ│<ドーーー・>ラーーー・・ーーーー・ーーーー♪
という「運命のライトモチーフ」であるが、その主題の後半、
♪ラーーー│>ソーーー・>ファーーー・・>ミーーー・>レーーー│>ドーーー・ーーーー・・ーーーー♪
という下降音階にチャイコフスキーはコントラバスを対行させ、
♪【レーーー│<ミーーー・<ファーーー・・<ソーーー・<♯ソーーー│<ラーーー・・ーーーー・ーーーー、<シーーー】
│<♯ドーーー・<レーーー・・<ミーーー♪
という上昇音階を奏させてる。じつはこれは、
上記アリマニスの主題をアオフタクトにしたものに他ならない。すなわち、
悪神アリマニスのテーマ:【ラ→全音→シ→半音→ド→全音→レ→半音→♯レ→半音→ミ→全音→♯ファ】
交響曲第5番バス:【レ→全音→ミ→半音→ファ→全音→ソ→半音→♯ソ→半音→ラ、→全音→シ】
ということである。
アリマニス、アリマネス、アリマン、アーリマン、アフリマン、などと統一されない呼称のアンラ・マンユは、
善悪二元論宗教であるゾロアスター(ツァラトゥストラ)教の
「悪と闇」のほうの神である(善玉はアフラ・マズダー)。
これがキリスト教を感化して、
「善悪二元」「最後の審判」「サタン」などという概念を与えた。

「交響曲第5番」第1楽章序奏の標題としてチャイコフスキーは、
「運命への絶対的服従、あるいは、計り知れぬ神意」
というようなものを想定したという。つまりは、
「最後の審判」ということである。かように、
作曲というもっとも崇高で難儀なヒトの行為においては、
同じ(似た)楽想の発露はすなわち同じ意図・情感の表出である。
「マンフレッド交響曲」のプログラムから、
「交響曲第5番」のプログラムがアイデンティファイできるのである。

(「マンフレッド交響曲」第4楽章(終楽章)第1部悪神の主題と、
それを転用した「交響曲第5番」第1楽章序奏のコントラバスのバス進行を、
こちらで解りやすいように並べて再現してみました
https://soundcloud.com/kamomenoiwao-1/tchaikovsky-manfred-4-1 )
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