チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「チャイコフスキー『マンフレッド交響曲』09 第4楽章綜覧」

2013年11月26日 22時26分53秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー
今般の特定秘密保護法立法に対して
"反対"と貶日左翼らが騒ぐのは当然だが、
一般人までもがその"反対勢力"に賛同してるのには、
怖さを覚える。日本の安全保障に関わる
重大な秘匿情報を露中韓朝にチクる公務員を罰するのは
悪いことだと言ってるのと同等なのに、である。言葉を換えれば、
貶日左翼らは自分らに都合のいい、自分らに協力的な、自分らのスパイを、
日本の機密を探らせる目的で諸官庁や国会に送り込んでるんだ、
それが機能しなくなるから反対だ、と言ってるようなものである。
貶日左翼にとっては、たとえば日本人の自衛隊幹部が
諜報目的でまんまと結婚した中国人妻に
情報をどんどん垂れ流してくれたほうがいい、
に決まってる。だが、
れっきとした日本人である一般人がそんなのに同調するなんて、
アホウにもほどがあるというものである。
2009年に投票者の7割が貶日左翼の民主党に投票した過ちを
また忘れて、あんな思想かぶれに靡くのである。
どんな不出来な輩でもヒト一人と数えられる過半数が物を言う社会では、
不特定または馬鹿もしくは多数とは、
まことに恐ろしいものである。
「馬鹿につける薬なし」
とはよく言ったものである。
救いようのない懲りない面々である。

救われない、といえば、
キリスト教の救済を受け入れなかったマンフレッドを題材にした、
チャイコフスキーのいわゆる「マンフレッド交響曲」は
4つの楽章から成る。その【第4楽章】は、
大きく分けて、3部から成る。
第1部=悪と闇の神アリマニスの神殿とマンフレッドの主題断片の提示
同、アリマニスの神殿とマンフレッドの主題断片の再現
第2部=第1楽章の回帰(アスタルテを偲ぶ主題の回帰。3拍子化されたマンフレッドの主題の回帰)
第3部=マンフレッドの死。
(詳細は後述)

2♯(ロ短調)に始まり、無調号(実質ロ長調)に終わる。
この第4楽章は、劇詩的には、
第2幕4場「アリマニスの神殿」と第3幕「マンフレッドの居城」全般
部分に相当する。

悪と闇の神アリマニスの神殿にたどりつき、
アスタルテの魂を呼んでもらう。
マンフレッドはアスタルテに許しを請うが、要領を得ない。ただ、
解決がもたらされることだけはわかった。
マンフレッドは城に戻り、死を待つ。
サンモリッツの僧院長アボットが死が迫るマンフレッドに
神による救済をしようと手を差し伸べる。が、
マンフレッドは拒絶する。そして、
"Old man! 't is not so difficult to die."
(拙大意)院長君! 死ぬのは簡単なことだった。
(old man=親しい男への呼びかけ)
と言って、
"Manfred expires."
(拙大意)マンフレッドは息を引き取った。
僧院長アボットはつぶやく。
"He's gone, his soul hath ta'en its earthless flight;
Whither? I dread to think; but he is gone."
(拙大意)逝ってしまわれた、魂は安息の地なく彷徨ったまま。
どちらに向かわれてしまったのだろう? と考えるだに恐ろしい。
がしかし、いずれにしても、お方様は身罷ってしまわれたのだ。
(hath=has)

死んだら天国も地獄もないのが真理なのに、
キリスト教信者というものは、かように
"死後の世界""精神世界"を気にするものである。

【第4楽章】の音楽綜覧
(第1部)
[Allegro con fuoco(アッレーグロ・コン・フオーコ=速く、燃えたぎるような熱情をもって)、
四分音符=144、4/4拍子、2♯(ロ短調)]
♪ラー・ーー・・<シー・ーー│<ドッ・<レッ・・<♯レッ<ミッ・<♯ファッ♪
というアリマニスの神殿の主要主題のあと、
タタタ・ターという運命動機に導かれて、
♪(実質嬰ハ短調)シ<レ>(♯)ド>シ・<ファ>ミ>レ<ファ・・>シ<レ>(♯)ド>シ・<ファ>ミ>レ<ファ│
<シッ<レッ・>ドッ>シッ・・<ドッ●・(実質イ短調に転調)>ララララ│
<ドー>シ>ラ・<シーッ<ドーッ・・<レーーー・レレレ<ファ│>ミー>レ>ド・>シーッ>ラーッ・・<ドーーー♪
という魑魅魍魎が跋扈する副次主題が繰り広げられる。
[Lento(レーント=重々しく遅く)、四分音符=60、4/4拍子、2♯]
沈んだ曲想のあと、第1楽章のマンフレッドの主題の後半部分が繰り返される。
[Tempo primo(テンポ・プリーモ=最初の速度で=アッレーグロ・コン・フオーコ)、
四分音符=144、4/4拍子、2♯(ロ短調)]
アリマニスの神殿の主要主題、次いで、魑魅魍魎の副次主題が再現される。
[Andante(アンダーンテ=歩を進める速さで)、第1部の二分音符を四分音符の音価とする。無調号]
マンフレッドの主題の亜型にアリマニスの神殿の主題が絡む。
(第2部)
「Adagio, ma a tempo rubato(アダージョ、マ・ア・テンポ・ルバート
=くつろいだときの心拍数の速度で。ただし、適宜緩急つけて)、
四分音符=60、3/4拍子、無調号(実質ト短調)]
→[Andante quasi moderato(アンダーンテ・クワーズィ・モデラート=歩を進める速度だが、
ほとんど常識的な尺度の範囲に抑える速度に近く)、四分音符=80]
→[A tempo(ア・テンポ=元の速度で)、四分音符=60]
♪ラ>♯ソ<ラ(3連符)│<ミー・>♯レー・ー♪
亡きアスタルテを偲ぶ主題後半部の断片が現れる。
→[Molto piu lento(モルト・ピウ・レーント=さらに重々しさを増した速度に)、四分音符=66]
♪●ミ・>レ<ラ・>ソ>ミ│<ファ>レ♪(実質変ロ短調)
亡きアスタルテを偲ぶ主題の前半部の断片が現れる。
→[Allegro non troppo(アッレーグロ・ノン・トロッポ=あまりはなはだしくなくなく速く)、
♪ラー・<シー・<ドー│<レー・>ドー・>シー│>ラー・>ソー・>ファー│>ミー・>♭ミー・ーー♪
→[Andante]
→[Allegro molto vivace(アッレーグロ・モルト・ヴィヴァーチェ=はなはだ熱情的に速く)、四分音符=166]
マンフレッドの主題の主要動機の断片が現れる。
→[Andante con duolo(アンダーンテ・コン・ドゥオーロ=歩を進める速さで、罪を後悔する悲しみをもって)、
四分音符=69、3/4拍子、2♯(ロ短調)]
第1楽章終いの、3拍子化およびロ短調化されたマンフレッドの主題が再現される。
→[Allegro、四分音符=138]
(第3部)
[L'istesso tempo(リステッソ・テンポ=同じテンポで)、
四分音符=138、3/4拍子、無調号(ハ長調)]
→[Largo(ラールゴ=あふれるほどたわわに遅く)、直前までの付点二分音符を四分音符の音価に、
4/4拍子、無調号(実質ホ長調→実質ロ長調)]
♪ミーー│ーーー│<ファーー│ーーー│<ソーー│ーーー│>ド<レ(2連符)│<ミーー│ーーー│ーーー♪
リード・オルガンが加えられ、マンフレッドの死が描かれる。
「怒りの日(ド>シ<ド>ラ<シ>ソ<ラ)」が現れる。
→[Piu lento(ピウ・レント=さらに重々しさを増して遅く)
オーボエ、クラリネット、ファゴット各2管のロ長調の主和音が消え入るようにして曲は終わる。
音楽はじつに感動的な結尾である。
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「チャイコフスキー『マンフレッド交響曲』08 第3楽章 田園交響曲とノルウェーの森とあたりまえ体操」

2013年10月06日 20時17分06秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー
チャイコフスキーのいわゆる「マンフレッド交響曲」は
4つの楽章から成る。その【第3楽章】は、
<Pastrale. Vie simple, libre et paisible des montagnards>
(パストラル。ヴィ・サンプル、リーブル・エ・ペズィーブル・デ・モンタニャル)
「(拙大意)牧歌。山人の自由で平穏な素朴な生活」
と題されてる。
死に場所を求めて彷徨ったあげく
崖から飛び降りて死のうとするマンフレッドだったが、
チロリアン・ハットの房飾り素材用の
シャモワ(カモシカの仲間)を撃つ狩人に助けられてしまう。
彼らの(学問や教養はないが)素朴な生活こそが救いかと思うものの、
城主で博学なマンフレッドには所詮そうした生活になじめなかった。

この楽章の主要主題は、
[アンダーンテ・コン・モート、付点四分音符=48、6/8拍子、1♯(ト長調)]
♪【ソーーーーー・ラーー、>ソ、>ファー、│>ミーーーーー・>レーーー、>ドー】│
<レーーー>ラー、・<ファーーーーー│ーーーー、>レー、・レーー、<ミ、<ファー│
<ソーーー>レー、・レーーーーー│ーーーー、レー、・レーー、<ファ<ラー、│
>ソーーーー・>レーーーーー♪
と、オーボエのソロで提示される。この主要主題は、
この楽章が"Pastrale(パストラル)"と名にし負うだけに、
偉大なるベートーヴェンの第6交響曲から採られてる。とはいえ、
終楽章である第5楽章の
"Hirtengesaenge(ヒアテンゲゼンゲ=牧童の歌々=牧歌)"
ではなく、その前の第4楽章
"Sturm(シュトアム=嵐)"の不穏な雨模様の主要動機である
♪●【ソ・<ラ>ソ・・>ファ>ミ・>レ>ド】│
>シ<ド・<レ<ミ・・<ファ<ソ・>ファ>ミ♪
なのである。ただし、
この動機もこの楽章の終いでは、
おもに2分音符に替えられて穏やかな曲想になってる。

ちなみに、
"Pastrale(パストラル)"ということでいえば、この楽章の
2つめの動機、
♪ソー・<ラーー、<シ<ミー│>ドーーー、<ソー・>ファーーー、<ソー│
>ミーー、>レ>ドー・<レーーーーー、│>ソーーー♪
(実質ロ長調)の下で、fis(階名ソ)をヴィオーラが、その
13度下(オクターヴ8度を法とする5度)をコントラバスが、
それぞれ通奏し、
4つめの動機、
♪ソ>ミ>ド(3連符)<レー、・<ミーー>ド<レー、<ソ>ミ>ド(3連符)│<レー♪
と(ト長調)クラリネットが吹奏する下で
ファゴットがgとその5度上のdをドローンとした音色で吹き続けてるのである。

ところで、
この♪【ソ<ラ>ソ>ファ>ミ>レ>ド】♪というパストラルな動機を
歌謡曲に採りいれたのが、ビートルズである。
"Norwegian Wood(ノーウィージアン・ウド=ノルウェイの木材)"
♪【ソーー・<ラ>ソ>ファ・・>ミーー・>レ(<ファ>ミ)│>ドーー】♪
黒人奴隷を含めた三角貿易で栄えた港町リヴァプールからすれば
ノルウェーはパストラルなのかもしれない。が、
木村藤子女史と大槻義彦のしゃべりかたと
そのときの目つきの違いが見分けれない
拙脳なる私の推測にすぎない。ともあれ、
この歌謡曲の拙大意は、こうである。
「昔、女をひっかけた(あるいは女が俺をひっかけた)ことがあった。
女は自分の部屋に俺を誘った。
ノルウェイ産の木材(オウシュウトウヒ。ノルウェイ・スプルース)を使った壁の安っぽい部屋だった。
女は俺に泊まってってとせがみ、どこにでも坐ってと言った。
で、俺は部屋を見まわしたんだが、椅子のひとつもなかった」
(中略)
「翌朝、俺がsexの誘いに応じなかったので女は俺を置いて
仕事に出てってしまってた」
"And when I awoke I was alone, this bird had flown."
(アンド・ウェナイ・アウォウク・アイ・ワズ・アロウン、ディス・バード・ハド・フロウン。)
の箇所である。
"had flown"というのは、抱いてもらえず恥をかかされた
ことからのトウヒというよりは逃避である。ともあれ、
最後はこう締めくくられる。
"So I lit a fire, isn't it good, Norwegian wood?"
(ソウ・アイ・リタ・ファイア、イズニト・グード、ノーウィージアン・ウド?)
「だから、火をつけてやったのさ。
何か悪いか? ノルウェイ産の安木材だったんだからよ」

つまり、
その女とsexするなんて
"No Way(ノウ・ウェイ=とんでもねぇよ)"だった、
という言いわけを掛けた下手なダジャレ(Norway、ノーウェイ)である。
少なくとも、女をナンパしたんだかされたんだかで
部屋まで着いてったんだから、たとえ
その夜のねぐらがなくてしかたなかってにせよ、
sexは想定内だったはずである。
それがなぜか体の関係がなくなったのは、女に、
「あたい、病気持ちで肌がかぶれてるけど、気にしないよね」
と言われたか、何かの思想かぶれだと判って
ドンビキしたからかどうかは、
ナタリー・ウッド女史と華原朋美女史の顔の判別がたまにできなくなる
拙脳なる私には推量できない。それはさておき、この
"Norwegian Wood"という歌謡曲のタイトルは日本では
「ノルウェーの森」
と誤訳された。その誤訳をそのままそっくり
誤訳と知らないで"小説"のタイトルとしたのがいた。だが、
それが"世界的ベスト・セラー"となったらしい。
"wood"は「木でできてるもの」を表す。ちなみに、
生えてるのは"tree"である。が、それが集まってると
"woods"で「森」となる。たしかに、
"wood"という"単数"で表されることもある。が、
スカンディネイヴィア半島に広く分布するような規模のものは
"woods"とは言わない。加えて、
ビートルズの歌謡曲の歌詞からも、
"ノルウェイの森"でないことが明らかなのは、
半沢なのになぜ「半返しだ!」と言わずに
「倍返しだ!」というのか、と訊くべきところを、
「仏壇返しだ!」と叫んでしまった、
拙脳でドギースタイルが好きなだけの私でも理解できる事柄である。

"Norwegian Wood"とは、英語で
"Norway spruce(ノーウェイ・スプルース)"と呼ばれる
「欧州トウヒ」のことである。
スカンディナヴィア半島やアルプスの山岳にくさるほど生えてる。
マカートニーはそのことをふまえて、
節にアルプスのマンフレッドからの引用を思いついたのかもしれない。もっとも、
東儀秀樹と沢村一樹の声を聞き分けれない
拙脳なる私の推測にすぎない。ともあれ、
欧州トウヒはイケアのような安っぽい家具の木材でもある。
北緯50度以北ではモミの木は育たないので、北の国々では
クリスマス・トゥリーとしてもこの欧州トウヒがモミの代用樹としても使われてる。
かように、
「欧州トウヒ」は雪ばっかりで太陽の陽を燦々と浴びれない地域を
生存地帯にして生き残った植物である。
都会での第一線の競争からトウヒして郊外に活路を見いだすのもまた
生き残るすべではある。
自給自足はそれなりに大変かもしれないが、また、
自分が生活してくだけなら充分なものだろう。
都会でない郊外では、羊ではないにしろ、
あるいは乳牛を"飼う"こともあるかもしれない。というより、
牛は羊と並んで家畜の代表格動物である。というわけで、
COWCOWの「あたりまえ体操(No Surprise Exercise)」(樋口太陽"作曲")にも、
ベートーヴェンの「田園交響曲」由来の
♪【ソ<ラ>ソ>ファ>ミ>レ>ド】♪動機が使われてる。
♪●ソ・ソ<ラ・・>ソ>ファ・>ミ>レ│>ド♪

(ベートーヴェン「田園交響曲」第4楽章「嵐」の動機、
チャイコフスキー「マンフレッド交響曲」第3楽章「牧歌」の主要主題、
ビートルズ「ノルウェイの木材」の節、
カウカウ「あたりまえ体操」の決めフレイズ、
を並べてみました。
https://soundcloud.com/kamomenoiwao-1/tchaikovsky-manfred-3rd-mov )
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「チャイコフスキー『マンフレッド交響曲』07 第3楽章『牧歌』綜覧」

2013年09月30日 15時25分35秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー
チャイコフスキーのいわゆる「マンフレッド交響曲」は
4つの楽章から成る。その【第3楽章】は、
<Pastrale. Vie simple, libre et paisible des montagnards>
(パストラル。ヴィ・サンプル、リーブル・エ・ペズィーブル・デ・モンタニャル)
「(拙大意)牧歌。素朴な生活、山人の自由で平穏な」
と題されてる。
死に場所を求めて彷徨ったあげく
崖から飛び降りて死のうとするマンフレッドだったが、
チロリアン・ハットの房飾り素材用の
シャモワ(カモシカの仲間)を撃つ狩人に助けられてしまう。
彼らの(学問や教養はないが)素朴な生活こそが救いかと思うものの、
城主で博学なマンフレッドには所詮そうした生活になじめなかった。

音楽は、素材で並べると、

[アンダーンテ・コン・モート、付点四分音符=48、6/8拍子、1♯(ト長調)]
a)第01小節め=主主題(オーボエ):♪ソーーーーー・ラーー>ソ>ファー│>ミーーーーー・>レーーー>ドー♪
[ポーコ・ピウ・アニマート、付点四分音符=60]
b)第20小節め(弦群):♪ソー・<ラーー、<シ<ミー│>ドーーー、<ソー・>ファーーー、<ソー│>ミーー、>レ>ドー・<レーーーーー、│>ソーーー♪
c)第37小節め(フレンチ・ホルン):♪ドー・ドーー>シ>ラーー│<シーーー<ドー・>ラーーーーー│ーーーー♪
[テンポ・プリーモ]
a))第47小節め(木管群)
d)第64小節め(クラリネット):♪ソ>ミ>ド(3連符)<レー、・<ミーー>ド<レー、<ソ>ミ>ド(3連符)│<レー♪
e)第75小節め(弦群):♪ラーーーー<シー・<ドーー>シ<レー│ーー<ミー>ドー・>シーー<ド>ラーー、♪
b))第89小節め(木管群)
[ポーコ・ピウ・アニマート、付点四分音符=60]→[ピウ・モッソ、付点四分音符=72]
f)第108小節め(弦群):♪ラーーーーー・<シーーーーー│<ドーーー<レー・>ドーーーーー♪
g)第152小節め(トランペット):♪フィクス・イデ=マンフレッドの主題♪+運命動機(タタタ・ターー)
c))第183小節め(フレンチ・ホルン)
[テンポ・プリーモ]
a)))第193小節め(木管群)→クライマクス:第209小節め(弦群+α)
[ピウ・モッソ、付点四分音符=72]
f))クライマクス続き
c')))第241小節め(ゲシュトップフトのフレンチ・ホルン4管):♪ラーーーーー│ーーーーラー・<シーー<ド>ラー│<シーーー<ドー・>ラーーーーー│ーーーー♪
[テンポ・プリーモ]→[メーノ・モッソ、付点四分音符=40]
d))第260小節め(クラリネット)
a))))第277小節め:主主題の断片リレイ
282小節」

という構成になってる。
(第3楽章のダイジェストを
https://soundcloud.com/kamomenoiwao-1/tchaikovsky-manfred-3-mov
にアップしておきました)
特段の形式にあてはめられてはない。つまり、
城内や都市部で"ホワイトカラー"な仕事をしてる者に対して、
自然と向き合う生活である山人たちの生活が
「リーブル」であることを意図して無形式にしてるのである。
いっぽう、
この楽章は6/8拍子という拍子が採られてるが、やはり、
"Pastrale(パストラル)"という標題に適うのである。
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「チャイコフスキー『フランチェスカ・ダ・リミニ』冒頭のトロンボーンの音/ムラヴィンスキーの愚」

2013年08月27日 23時51分58秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー
ダンテの「神曲」地獄篇の第5歌を題材にしたチャイコフスキーの幻想曲
"Francesca da Rimini(フランチェースカ・ダ・リーミニ=リミニのフランチェスカ)"は、
1876年に作曲された。
導入部と主部(第1乃至第3部)から成る。
主部はホ短調が主調であるが、
導入部は何調と特定することができない。
チャイコフスキーは古典的な機能和声・調性音楽作曲家なのであるが、
ときどきこのような箇所が見受けられる。
そのこととは話は違うのだが、

ファゴットと低弦の下降で開始され、金管群がハーモニーを被せる。
ファゴットと低弦は上昇し、今度は木管とホルンがハーモニーを重ねる。
次いで、木管群と両翼ヴァイオリンが半音階的に上昇するのと同時に
ファゴットとトロンボーン・チューバと低弦は段階的に下降する。それが
低い変ホに落ち着くと、他の金管と木管群がハーモニーを被せる。
ここで(第9小節および第10小節)、
ほとんどの木管・金管が
[変ホ、嬰ヘ、ハ]→[変ホ、ト、【ロ(ナチュラル)】]→[変ホ、嬰ヘ、ハ]
というハーモニーを被せるのに対して、
第1(テナー)トロンボーンだけが、
[イ]→[【変ロ】]→[イ]
と動くのである。
この[変ロ]が[(ナチュラル)ロ]なら、常識的である。だから、
1)チャイコフスキーがミスったか、
2)出版社(ユルゲンソーン)が誤記してその誤記をチャイコフスキーが校正時に見のがしたか、
3)出版社(ユルゲンソーン)が誤記してチャイコフスキーは校正の機会なくそのまま見のがしたか、
4)チャイコフスキーが意図的にそうしたか、
の4つの可能性がある、と思ってた。

そこで、最近、
チャイコフスキー・リサーチのフォーラムで質問してみた。
http://www.tchaikovsky-research.net/en/forum/forum0379.html

"Notes for First Tenor Trombone in Francesca da Rimini"
In the bars 9 and 10, the notes for first tenor trombone are [ a ] → [ b-flat ] → [ a ] .
It seems that these notes conflicts with those for other instruments, [ continuous e-flat , f-sharp, c ] → [

continuous e-flat, g, b ( natural ) ] → [ continuous e-flat , f-sharp, c ] .
Therefore ex-Soviet conductor Evgeny Mravinsky had performed them like [ continuous e-flat , f-sharp, c ] →

[ continuous e-flat, g, b-flat ] → [ continuous e-flat , f-sharp, c ] , exept for the recording in 1940.
I'm not sure that they are Pyotr Ilyich's mistakes in writing or publishers' misprints, or else it's fine

just like that.
I can't confirm composer's autographs because I'm an only amateur fun of Tchaikovsky.
Does anyone know the notes Pyotr Ilyich autographed?
Kamomeno Iwao

すると、Langston氏からこのような回答があった。

The editors of the score of Francesca da Rimini in volume 24 the Soviet edition of Tchaikovsky's complete

works (1961), compared Jurgenson's edition with Tchaikovsky's autograph, and found that the trombone parts

were identical in this section. So it was the composer's intention .

(拙大意)ソ連によるチャイコフスキー全集版(1961年編)第24巻の編者らは、「フランチェスカ・ダ・リミニ」の校正にあたって、初版ユルゲンソン版と自筆譜

を比較してみたところ、この楽節におけるトロンボーン・パートが一致してることを確認した。したがって、チャイコフスキー自身が意図したもの

であると結論した。

答えはここまでしか行きつかない。
「自筆譜もこうなってる」という事実があるだけである。
これだと、私の推測の可能性の4つのすべてが否定できない。
チャイコフスキーがこの音符について言及した手紙その他も残ってないのである。
が、いずれにせよ、
「ナチュラルのロがあるべき音」であって、
「フラットのロは誤り」であることはあきらかなのである。
第1トロンボーンの音をナチュラルに直して演奏するか、
そのまま間違った音をトロンボーンにだけ吹かせるか、
のどちらかである。ところが、
"チャイコフスキーの正統派の演奏"
などとお門違いなことが言われてるムラヴィンスキーは、愚かにも、
1940年の録音よりあとの演奏では、
(おそらくチャイコフスキーがミスったのだろう)テナー・トロンボーンにあわせて
他のパートも変ロに統一して改竄してるのである。
ムラヴィンスキーの浅知恵としか言いようがない。
他のチャイコフスキーの作品でもトンデモ演奏をしてる輩であるが、
そんなのを"すごい演奏"などと崇め奉ってるのがけっこういるようである。
真理と多数決が同値でないことがよく判る例である。


(額面どおりに再現したものと、当該箇所をムラヴィンスキー・スタイルにしたものとを
https://soundcloud.com/kamomenoiwao-1/tchaikovsky-francescadarimini
にアップしておきました)
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「チャイコフスキー『マンフレッド交響曲』06 第2楽章 アルプスの魔女の誘惑の主題」

2013年08月25日 21時08分28秒 | チャイコ全般(6つの目のチャイコロジー
昨夜は、日テレ「24時間TV」のドラマスペシャル
「今日の日はさようなら」
をみてしまった。大野智の演技の巧さに。
満島ひかりのようなわざとらしい演技過多の下品な
舞台芝居のようなものと違って、じつに上質である。
絵の才能のほかに演技の才能も備わってるのである。ちなみに、
大野智の智はサトシであってサトルではないらしい。

今朝は、横浜で35歳の男が自転車のサドルばかりを200個盗んだかどで
山手署に逮捕されたというnewsがさかんに報じられてた。
子供用が付いてる、女性が乗ってそうな電動自転車ばかりを狙ってたという。
<女性が乗るサドルが好きだった。サドルの革の質感やにおいも好きだった。
サドルをなめたり、においをかいだりしていた>
と供述してるらしい。
実際に乗ってる女性を見てしまったらげんなりしてしまうのに、
そうした否定的な可能性には目をふさいで、
(女性が尻や股間を押しつけてた)
という都合のいい部分だけをピックアップして自分の
"理想像"を作り上げてしまう、
想像性あふれる者にしか描けない世界である。
典型的なフェチである。こうしたフェチとは異なるが、ナポレオンは
ジョセフィーヌの"ブルーチーズ臭"が大好きだったらしい。どちらも、
想像力に乏しい、現実を直視してしまう私のように即物的な者には
けっして味わえない嗜好である。
絵空事の小説など絶対に書けないし、
ゴッホと同じように現実にないものは描けない。
お世辞や嘘をつくのも苦手である。
岸本セシル女史と今くるよ女史の顔を判別するのに時間がかかる
拙脳なる私はつい、本音を言ってしまう。

同じく変態性愛という範疇であっても、
近親相姦は、そういった意味では、フェティシストの対極である。
きわめて現実的である。すべてがわかってる
兄弟姉妹親子の間に生まれる性愛だからである。また、
姉に対して性欲と愛情の双方をともに持ち得る点でも、
バイロンは実に"家庭的"であるといえる。
未知の異性や異なる遺伝子を追い求める
"正常な"性欲とは正反対である。
その"不足点"を補わんとして、
対オスマンのギリシャ独立戦争に加担したのである。。だから、
バイロンの詩や戯曲などにはファンタスィーが乏しいのである
荒唐無稽な設定を装ってても、その実、
きわめて現実的な世界しか描いてない。
せいぜいが、「夢でみたこと」程度である。
誰に死を求めても叶わないのに、
地獄を支配する悪の神であるアリマーナに頼むと、
その餌食になりそうになるマンフレッドには
望みどおりの死がもたらされる、
なんていう整合性に欠けた話である。

チャイコフスキーのいわゆる「マンフレッド交響曲」は
4つの楽章から成る。その
【第2楽章】は3つの部分から成ってる。
1)主部:アルプスの魔女の主題
2)中間部:魔女の甘い誘惑の主題
3)主部の再現:魔女の主題
という、いわゆる[A-B-A]形式である。
私に服従すればお前の願いを叶えてやるよ、
と魔女はマンフレッドに甘い誘惑をもちかける。が、
いとしいアスタルテを思いつつマンフレッドは拒否するのである。

中間部(トリオ)。
2台のハープのアルペッジョの和音に乗って
con grazia(コン・グラッツィア=慈悲の優しさをもって)と指示されたvnプリーモだけが、
[(ヴィヴァーチェ・コン・スピーリト(=快速に、生気をこめて)、四分音符=120の)
リステッソ・テンポ(同じテンポ)]
で、アルプスの魔女がマンフレッドにお前の魂を売れば望みを叶えてやるぞ、
という誘惑の主題を提示する。

♪【ミ>レ│<ソー】、・>ミ>レ│>ドー(<レ>ド)・>シ>ラ、│<レー・ーー♪

やはりコン・グラッツィアと指示されたクラリネットのソロがこの主題を確保すると、
他弦4部に支えられて、
con tenerezza e molto espressivo
(コン・テネレッツァ・エ・モルト・エスプレッスィーヴォ
=優しさをもって、非常に感情あらわに)
と指示されたvnプリーモが主題の後半を提示する。

♪ド<レ│<ミー(<ファ>ミ)・>レ<ミ│<ソー・>ファ>ミ│>レー・ーー│ーー♪

次いで、やはりコン・テネレッツァ・エ・モルト・エスプレッスィーヴォと指示された
3管のフルートのユニゾンが主題前半を繰り返す。その後、
第1部の主題の断片が絡み、トリオの主題が展開されていく。そして、
ニ長調のトリオの主題はハ長調に転調され、
マンフレッドのアスタルテに対する強い思いが絡んでクライマックスを形成する。
マンフレッドがアルプスの魔女の甘い誘いを断った描写である。
そしてまた、第1部の主題の断片が現れ、
第3部(第1部の再現)へと移行する。最後は、
イングリッシュ・ホルンやクラリネットがマンフレッドの主題を吹く中、
vnプリーモの首席がソロでアルプスの滝の水しぶきの動機を繰り返し、
静かに消える。

このトリオの主題、
♪【ミ>レ│<ソー】、・>ミ>レ│>ドー♪
は、第1楽章で現れた、亡きアスタルテを偲ぶ主題、
♪●【ミ・>レ<ラ・>ソ】>ミ│<ファー・ーー・ーー♪
の亜種である。つまり、マンフレッドの気持ちを揺さぶる目的で
アルプスの魔女がアスタルテモドキを魔法によって出現させたものである。
ここではチャイコフスキーはgrazia(グラッツィア)とかtenerezza(テネレッツァ)といった
「優しさ」「慈悲深い心」を意味する標語を用いて、
アスタルテと見紛うばかりの"節"をさらに似せた演出をしてるのである。が、
この主題の主要動機の
♪【ミ>レ<ソー】♪
は、5年後のオペラ「スペードの女王」の
「3枚のカード(3、7、A)」の動機と発展する。
♪【ミ>レ・<ソー】、・・>【ファ>ミ・<♭シー】│>ラ♪
トランプ賭博で勝つための秘密の3枚のカード、
という悪魔に魂を売る誘惑の"3音"である。

(vnプリーモで提示されるこのトリオの主題と、
「スペードの女王」の「3枚のカード」の動機(導入曲)と、
トリオの主題がハ長調に転じられてクライマックスをむかえる箇所、
の3本だてを、
https://soundcloud.com/kamomenoiwao-1/tchaikovsky-manfred-2nd-mov
にアップしておきました)
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