チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「スペードの女王#14(余興劇)」

2005年03月21日 21時20分49秒 | スペードの女王さまの黒槍責め
インテルミェーヂヤ(余興劇)
「イースクリンナシチ(誠実さ)・パストゥーシュキ(羊飼いの娘っ子の)」
である。よく、「羊飼いの忠誠」「羊飼いたちの忠誠」などと訳してるものがあるが、
「パストゥーシュキ」は女性名詞「イースクリンナシチ」を後置で修飾する女性名詞
「パストゥーシュカ(羊飼いの娘っ子)」の単数生格(所有格のようなもの)であり、
男性名詞でも複数名詞でもなければ、ましてや忠誠名詞でもない。
「女性の側の誠意」なのである(内容を観れば一目瞭然のことなのだが……)。
ちなみに、私のカラオケの18番は、
♪アァ~~ニスティ~~イ、ハードィリ・エェ~ヴァ・ハァ~~~ド、アンド・
 モウゥストゥリ・ワァ~ラィ・ニィ~ド・フロム・ィユゥ~~ウゥ~~~♪
である(イヤがられるが……)。それはともかくも、この劇の骨子は、
羊飼いの娘っ子「プリリェーパ」は、イケ面だが貧しい幼馴染にして親友の
羊飼いのあんちゃん「ミラヴゾール」が好きだった。が、にえきらないミロ。
金持ちのおっさん「ズラトゴール」が横恋慕。すると、ミロも恋慕の情を喚起。
金歯を見せつけるズラおやじをはねのけ、ミロを選ぶプリちゃん、
てな具合である。男の価値は「見てくれ」という寓意である。
鉄鋼(スチール)王アンドゥルー・カーネギーも、
「金持ちになるだけだったらバカでもなれる」と言ってるくらいである。
いっぽう、イケ面遺伝子はカネでは変えれないのである。ちなみに、
「ミラヴゾール」とは「イケ面の若者」、
「プリリェーパ」とは「接着娘」、つまりは「愛する男性に寄り添う女性」
 もしくは「всё婦随(いつも夫に従う妻)」、
「ズラトゴール」とは「ゴールドで飾った傲慢オヤジ」の意、である。
а)「ホール(合唱)・パストゥーハフ(羊飼いのあんちゃんらの)
   ・イ(と)・パストゥーシェク(羊飼い娘らの)」
「パストゥーハフ」は「パストゥーフ(羊飼いのあんちゃん)」の複数生格、
「パストゥーシェク」は「パストゥーシュカ(羊飼いの娘っ子)」の複数生格。
アッレーグロ・ヴィヴァ-チェ、6/8、2♯。
♪ミー<ソ・>ミー<ソ|〃|ミー<ソ・<ラ<シ<ド|>ソ>ミ>ド♪
カドリーユである。
б)「ターニツ(踊り)・パストゥーハフ・イ・パストゥーシェク」
アンダーンテ、C、2♯。
♪ミーー<ファ>ミ>レ<ミーー、>ド<ファーー、>レ<ミー♪
サラバンドである。
в)「ドゥエート(デュエット)・プリリェーピ(プリリェーパの)
   ・イ(と)・ミラヴゾーラ(ミラヴゾールの)」
ラルゲット、2/4、3♯。
(チトィーリ(4)・ウダーラ(拍)・フ(につき)・タークチ(1小節))。
♪ソー|ドードー<レーレー|<ミーーーー、
 ミン<ソ|>ファーファー>ミーミー|レーーーーー♪
これは、「魔笛」(2幕)#20の
「グロッケンシュピールの愉快なパパゲーノ」と題されたアーリア、
♪ソー|ドードー<レーレー|<ミン<ファ>ミン>レ>ドードー、
 <ファーファー>ミン>レ<ミン<ファ|レーーー♪
と「非常に似てる」と指摘されることが多いようである。
「アイン・メーチヒェン、オーダー、ヴァイピヒェン、
 ヴュンシュト・パパゲーノ・ズィッヒ!」
(おねぇちゃんか恋女房が欲しいなぁ、このパパゲーノさまはよぉ!)
と、まさに「そのとおり」なのであるが、モツさまご幼少のみぎりの
「クラヴィーアのためのアッレーグロ(ヘ長)」(K.1c)、
でもある。それはさておき、この「二重唱」もやはり、
モーツァルトの「25番pf協(ハ長)」主章の、
♪ソソソ|<ドードー<レーレー|<♭ミー○○○>ド<♭ミ<ソ|
 >ファーファー>♭ミー♭ミー|>レー○○○>♭シ<ド<レ|
 >♭ミー♭ミー<ファーファー|ソーーー・ー>ファ<ソ<♭ラ|
 >♭ミー♭ミー>レーレー|>ドー♪
のほうこそ「ダイレクト」な引用ネタであろうと思う。
いっぽう、「二重唱」の後半は、
♪<ソー|ソーー>ミ・<ラ>ソ>ファ>ミ|ミー<ファー♪
である。これは明らかに、K.388の「木管セレナーデ(ハ短)」を
「弦五」に移し変えたK.406(ハ短)の主章の
♪ソーーー・ーー>ミー|<ラ>ソ>ファ>ミ・ミッミッ|
 <ファーーー・ーー>レー|<ソ>ファ>ミ>レ・レッレッ♪
からの引用である。
г)フィナール
テンポ・ディ・ミヌエット(アンダンティーノ)、3/4、4♯。
メヌエットである。トームスキィ伯爵扮する金持ちおやじズラトゴールが、
「こっちの水は甘いぞ」と美しい娘をカネでつろうと歌う。
♪ドー<レン、<ミ<ファッ、>ミッ|レ(tr)ー、
 <ミー<ファン、<ソ<ラッ、>ソッ|ファ(tr)ー♪
これは、「白鳥湖」(1幕)#6「パ・ダクスィヨン」、
女好きの老いぼれ教師「ヴォルフガング」が六本木の路上で
「一日エッチ善」と酒に酔って娘っ子らを追っかけまわし、
テキトーにあしらわれて馴染みのロシアン・パブに逃げ込んで、
泣かにしなら・泣くまで揉もう・不如帰、と詠んで嘲笑される音楽、
♪ドーーー・レーー<ミ|<ファ>ミ>レ>♯ド・レーーー|
 <ミーーー・<ファーー<ソ|<ラ>ソ>ファ>ミ・ファー♪
とおんなじである。そちらもやはり「4♯=ホ長」であった。
プリちゃんがミロ君を選んで、ラルゲットの牧歌に戻る。
それが加速されて合唱となり、さらに2度加速されて、
最初のカドリーユの合唱のテンポとなって、
「羊飼いのあんちゃんと羊飼いの娘っ子」らは、それぞれ
男1人&女1人の「ツガイ」となって退場してく、のである。
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「スペードの女王#13(景)」

2005年03月18日 16時38分07秒 | スペードの女王さまの黒槍責め
花粉症がfidoい(ひどい)ことになってるのである。
東京ではみな、いちにちじゅう、鼻水垂れ流し状態である。
鎌倉、室町、江戸の源氏系幕府は、杉の花粉被害の重大さを知ってたため、
特定地域以外に杉を植樹させなかった。が、敗戦後にサングラス・マカーサー征夷大将軍様
麾下の米家系幕府(略してGHQ)に大政を握られることになった我が国は、
戦後復興の名のもとに、大量の杉を植林してしまったのである。
スギ足るは及ば猿知恵が如し。がしかし、実は、
「風が吹けば花粉対策マスク屋が儲かる」という仕組みを「植えた」、
ということなのかもしれない。いずれにしても、
マスクの厚木をしなければ、外出もままならぬのである。
ときに、マスク、といえば、「スペ女王」第2幕シーン3、「仮面舞踏会」である。
それにしても、「愛を告げ」て「献身を誓っ」たエレ公に対して、
何のレスもしないリーザってのも、ものすごい神経である。
アンダーンテ・コン・モート、C、無調号。花粉症ではなかったのであろうか、
仮面だけつけてないコスプレ姿のゲルマンが、手にメモを握って入ってくる。
♪ミ<ラ>♯ソ|<ラ、>ミ>♯レ<ミ>ド、ド>シ<ド|>ラ、
 <シ<ド<ミ<ラ<シ<ド♪
クラが無気味なパッセージを吹く。
手紙を読むゲルマン。
『劇が終わったら、広間で待っててください。ぜひ、お会いしたいのです』
(あの人に会えばすぐにこんな目論みは消え失せるさ……)
腰掛けるゲルマン。が、すぐさま邪心が脳裏に。
(3枚のカード! 3枚のカードの秘訣を手に入れさえすれば、
 俺はбогат(ボガート:金持ち)だ!)
そしてまた、ゲルマンはそんな大それた考えを抱いてしまう自分に恐れおののく。
すると、客人らが三々五々、花火見物から広間のほうに戻ってくる。
そんな中にチカ&スリもいた。この2人組はゲルの背後にこっそり近づく。
しゃがんでゲルの耳元に悪魔のささやきをフッと吹きかける。
「君が中村紀洋だ。LAドヂャーズの3番目のサード・ベイスマン候補だ」
♪ソソソソ・ソソソ<♯ソ|<ララララ・ラララ>♭ラ|
 <ソソソソ・ソソソ<♯ソ|<ラッ>♯ソッ<ラッ♪
π第1のペルソナ:サン・【ジェルマン】『伯爵』
→第2のペルソナ:『伯爵』夫人
→第3のペルソナ:【ゲルマン】(伯爵夫人の孫娘の亭主の座=『伯爵』位を狙う)
というホップ→ステップ→ジャンプ(織田→南部→田島)という算段系図、である。
わたしゃ、それらのペルソナよりユンソナのほうが断然に好きであるが、
それはまぁおいといて、さらに、「劇中劇」では、
貧しいが純朴でイケ面青年ミロヴゾールをポリーナに、
金持ちだがオヤジで見てくれも悪いズラトゴールをトームスキィ『伯爵』に、
と、それぞれ、リーザの親友、ゲルマンの友人、に演じさせてる構図である。
その「仮面舞踏会」のフィナーレには「実物イカチリーナ帝」のご来場。
「リーザ」とは「イリザヴィェータ」の愛称である。
「イリザヴィェータ」はやはりロマノフ朝の「女帝」で、
「ゲルマン人であるイカチリーナ女帝」の姑である。また、
チャイコフスキーの「スペードの女王」が書かれた当時(1890年)の
猿知恵皇太子ニコライの妃アリックス(アレクサーンドラに改名)も、
嫁いでからもロシア語を学ぼうともしない「ゲルマン人」であった。
ちなみに同女は、英国女王ヴィクトーリア(血友病保因者)の孫でもあったので、
やはり血友病の保因者であった。血友病は劣性の伴性遺伝をする。
第23染色体である性染色体のx染色体のほうに因子があるのである。
すると、xxである女は片方のxが「正常」なら発症しない(劣性ゆえ)。
ところが、xyである男はひとつしかないxに「異常」な因子があれば、
必ず発症するのである。ニコライ2世とアリックスの間にはずっと
4人の娘しか生まれなかったが、やっとできた長男アレクセイは、
果たせるかな血友病を発症した。海藻エキスを母親が飲んで祈祷してみても、
チチンラスプーチンプイプイと治すことはできなかった。
国民や支配下においた近隣民に圧制を敷いて蓄財だけに惚けてたツァーリは、
やがて、共産党多数派によって一家まるごと非公開射殺処刑されるのである。
それらはともかくも、ゲルは2人組のイタズラとは気づかない。
(なんだ? いまのは、妄想(ブリェート=Delirien)か? 
 それとも、誰かが俺をおちょくってるのか? さもなくば、俺は……)
♪ソ<ラ<ミミ♪
→アダージョ、12/8。
(……精神錯乱者か? 老書生か?)
思い悩むゲルマンであった。
式典係のレチタ:「劇の準備が整いましてございます」
忠実なる羊飼いの物語「花粉ニスと苦労エ」の始まりはじまり、である。
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「スペードの女王#12(景と公爵のアーリア)」

2005年03月17日 17時33分36秒 | スペードの女王さまの黒槍責め
昨年の故星セイントに続き、アイカタの星ルイスが、
田園調布に家を建てずじまいで亡くなったそうである。銭トといえば、
「銭の花は白い。せやけど、その蕾は血が滲んだように赤うて汗の臭いがするで」
である。赤の補色は緑である。緑の日である。今日は、
サン=ルイでも聖路加でもなく、セント・パトリック’ス・デイである。で、
真っ昼間っから、ギネスを飲んでしまった。ダークな色のビールである。
ときに、ダーク・ボガードが道化師を演じた「ベニスに死す」は、
ミラーノの大貴族ヴィスコンティが数百年来の敵都市ヴェネッツィアを、
コレラ蔓延とボガードの化粧くずれヅラの仇ージェット噴射のエアブラシで
せいいっぱい汚く描いた映画である。美少年タージオへの愛ある絵ではない。
そのエンディングでは、死に瀕して脂汗ェンバッハたらたらなボガードの耳に、
アッレーグロ・ピーポーな速度を出してる救急車のサイレンが近づいてくると、
短いハ長ならぬその対極の変ト長が現れ、遠ざかると、長いヘ長に戻るのである。
最後にエピソードのテロップが流れる。
「お爺さんは山にしばかれに、お婆さんは川へ洗濯バサミ責めしにいきました。
お婆さんが革の衣裳で洗濯バサミ責めしてると、革の下のほうから、
大きな腿がドップラ~コ~、ドップラ~降下してきました」とさ(腿坐郎)。
さて、「スペードの女王様」である。
(前曲と)リステッソ・テンポ、C、2♯。
式典官のレチタ:「お客人がた、花火のしたくが整いましてございます」
→モデラート・アッサイ。
vnの♪レ(tr)ー|>シッ>ソッ<ラッ<シッ|<ドッ♪
客はみな庭のテントハウスに向かう。
チカ&スリがゲルをネタに茶化し話。トムはゲルをかばう。
客が庭に移動したので、ホールがカラになる。
入れ替わりに、使用人らが「劇中劇」の準備をはじめる。
→ソステヌート。
バレエ「ねむり姫」2幕#19のようなコルアンのソロ。
♪○○ミーーー>レー|ー>ド>シン>ラ・ラー>♯ソー|
 ーー<ラー・<レーー>ド|>シーーー>ラーーー♪
エレツキー公爵とリーザが歩いてくる。
エレ公:「悲しそうではあーりあせんか、ハニー殿。まるで、
     わざわいがふりかかったみたいだ。私に話してはいただけぬか」
→ポーコ・ピウ・アニマート。
リーザ:「いえ。今はその……。またのちほど……お願いですわ」
リーザは行こうとする。
エレ公:「あいや、暫く!」
→アンダーンテ。
エレ公:「すぐ、すぐに済みますゆえ。お待ちあれぇぃ」
→リテヌート。
エレ公:「リーザ殿にいまここで話せばならぬことがござる」
独チェロに導かれて、
→アンダーンテ・ノン・タント、クワーズィ・モデラート、3♭。
「イリェーツキィ公爵のアーリア」の始まりはじまり、である。
♪ヤー(それがしは)<ヴァース(貴女を)<リュブ|<リューーー(慕い申して
 おります)、<リュブ<リュー(慕い申しております)
 <ビズ|<ミェール>ナー(はかりしれぬほど)♪
この「リュブリュー・ビズミェールナ(♪レ<ミ<ファ|<ソー>レー♪)が、
リーザとゲルマンの「愛の主題」の素材が細切れに使われてるものであることがわかる。
歌い手への指定は、「コン・グランデッツァ(高貴さを・もって)」である。
いっぽう、調性は、1幕#10におけるリーザの「この涙はなんなの?」の
「ハ短」と平行調(調号が同じ「3♭」)の「変ホ長」である。
リーザ殿の悲しみ・不幸・禍は、自分が分かち合い、きっと幸せに導くぞよ、
という「滅私の精神による接近の意思表示」なのである。
この「バリトン」によるアーリアの、あまりにも「いちず」な思いには、
そのぬしが高貴なお方だけに、せつなく思え、しみじみと感じ入ってしまう。
「エヴ・オネ」3幕に登場する「グリェーミン公爵のアーリア」における
タチヤーナへの気持ち、と並べてみれば、それぞれの「結末」、
を思えば、エレツキー公のほうがより悲惨である。
♪エレツキィ~、よごぉれたぁ~、わたあぁしぃ~でえもぅ~~~、
 ほぉねぇ~までぇ~、ほぉねぇ~までぇ~、honeyまでぇ、
 あぁ~いしぃてっ、ほぉしいいぃ~のよぉ~~~~~♪
報われない愛は悲愴である。
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「スペードの女王/2幕(シーン3)#11(場間曲と合唱)」

2005年03月16日 16時02分41秒 | スペードの女王さまの黒槍責め
2幕のしょっぱなは仮面舞踏会(マスカラド)である。
分厚い「眉墨」の塗り具合を、濃い「マスカラ度」ともいう。
♪トゥ・ナィ・ヤ、ヤァ・ヤァ・ヤァ、ティ~アッ♪
加山雄三に言わせれば、仮面ライダーである。
初代ライダーは藤岡弘である。これぞ武士道である。武士道といえば三島である。
ときに、仮面舞踏会が催されるオペラ類といえば、他に、
「ドン・ジョバンニ」「ロメーオとジュリエッタ」「こうもり博士」
などがあるが、残念なことに故「黛」俊郎の「金閣寺」にも、ヘンツェの
「午後の曳航、もひとつおまけに曳航ラ」にも、仮面舞踏会はもちろん、
「仮面の告白」もカルメンの告白も出てこない。ちなみに、
仮面舞踏会開催中に決行されたスウェーデン王暗殺の実話が題材の
ヴェルディの「仮面舞踏会」の女占い師ウルリカ役は、
低音を出せる芸(g)が備わってないと役がもらえないのである。さて、
アッレーグロ・ブリッラーンテ・マ・ノン・トゥロッポ、C、2♯。
♪ドー・ドンド>ソー>ミー|>ドー<ミー<ソー<ドー|<ミー>レー♪
これは、モーツァルトの「(25番)pf協/ハ長」(K.503)主章冒頭、
♪ドーーー、>ソ|ソーーー、>ミ|ミー、>ドドー、
 >ソ|ソー<ドー<ミー<ソー♪
の引用である。劇中劇「忠実な羊飼い」が折り込まれてる「スペ女王」2幕は、
当然、寓意に満ちてるのである。この「羊飼いの娘」は金持ちオヤジの求婚を蹴り、
貧しくとも純朴な羊飼いを選ぶのである。ちなみに、
故ダイアナ・スペンサー女史の出であるスペンサー伯爵家は、
もとは「羊飼い」である。蓄財の能に長けてたから爵位を得れた、のである。
それはともかくも、モーさまの「本歌」は、1786年に作曲されたものである。
「スペ女王」から約100年前である。モーさまがコンスタンツェの目をかいくぐって
英国人歌手ナンスィー・ストーリス嬢と情を交わしてた頃である。それはともかく、
ロシアでは「ゲルマン人」であるイカチリーナ2世の御代だったときである。
ところで、ロシアものをゲルマン人が扱った映画といえば、私が中1のとき、
1971年暮れに封切られた「初恋(ピェールヴァヤ・リュボーフィ)」である。
ヴィーン出身の世界的俳優マクシミリアン・シェルが製作・監督・出演した。
ネタは、イヴァーン・トゥルギェーニフのSM風味が効いた佳作である。
女主人公のジナイーダ役はまだきれいだった頃のドミニク・サンダであった。が、
水田の土が大量に盗まれる、という話でも、牛肉が旨い、という内容でもない。
日本公開は冬だったが、物語の舞台は(そのほとんどが)夏の避暑地である。
中1の夏頃の私は、♪かんれのっ、くるぅ~まぁに、乗ってっ♪
という平山みきの歌謡曲をラジオで聴きながら、
「ツルゲーネフ」を読みあさってたものである。「貴族の巣」が印象深かった。
同時に、チャイコフスキーにも夢中であった。が、この「スペ女王」2幕が
モーツァルトからの引用であることは知らなかった。のちに知ったときは、
自分や他の取り巻きが崇める対象だったジナイーダが、
父と遠乗りに出かけた先の家の中で父に手を鞭打たれて怯え、
♪ツ・ラィ・ヤ、イヤァ・イヤァ・イヤァ、tear♪
と涙を流し、「もう一度『ぶとうかい』?」という見せ鞭に言葉嬲りされてる
M女だったのを目撃見してしまったアリクサーンドル少年のような気持ち、
でもなかったが、チャイコフスキーの「技」には舌を巻いたものである。
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「スペ女王#10(リーザの小唄とゲルマンとのデュオ)」

2005年03月14日 16時42分37秒 | スペードの女王さまの黒槍責め
→3♭(アンダーンテ・ノン・トゥロッポ、3/4)。
♪○ミ<♯ファ <♯ソ<シ>ラ|ラー >♯ソー♪
  ザ チェーム・ジェ・エーチ・スリョーズィ?
「この涙はいったいなんなの?」である。このオペラから
13年前の「4番交」カンツォネッタ章のオッブリガート、そして、
2年前の「5番交」主章ツレ主題、
♪【ミ<♯ファ<♯ソ<ラ<シ<ド>シ】♪
と同源であろうと思われる。
♪イェス・タ・デェ~~~~~~ィ、【オール<マィ<トゥラ<ブルズ
 <スィームドゥ<ソウ>ファ~】>ラ・ウェィ~~♪
ジョンの詞の世界に「異音」を感じたのか、ポールも
深く傷ついたチャイコフスキーの心情に共鳴してしまったのである。
色でいえば、ダルな「ベージュ色」の世界である。ときに、
「八」「十」「八」を組み合わせると「米」になるから「米寿」、
なんだそうである。八十八夜には1箇月ほど早いのだが、
江間章子女史が死去されたそうである。すでに米寿は越されてた。大往生である。
故アーリーン・オジェが18番にしてたとは聞かない「夏の思い出」は、
故中田喜直大先生によって、モーツァルトの
「ソナタ抜きのpfソナタ(K.331)」変奏章からアレンジされ、
流れていく風のリボンがワニになって流れていった「花の街」は、
故團伊玖磨大先生によって、文部省唱歌「茶摘み」からアレンジされ、
ともに愛唱されたものである。私の年代なら音楽の教科書に載ってたから、
覚えてるヒトもいることであろうと思われる。それはともかく、
リーザの小唄が終わると、ゲルマンがバルコニーの窓から入ってくる。
♪なぁ、リーザのバルゥ~コニィ~~でぇ、待っててぇ~♪
ゲルはリザに気持ちを伝えてから死ぬつもりだと告げる。
「あなたなしでは生きていけない」
速度、調が何度か変わり、
→アッレーグロ・アジタート・マ・ノン・トゥロッポ、C、1♭。
ゲル:「もしも万が一、あなたに憐憫の情が微かにでもあるなら、
    行かないで、見捨てないでください」
リザ:「オー、ボージェ、ボージェ!(ああ、神さま、神さま!)」
あまりの強引さに戸惑うのである。ここで、
「3度のぼって2度さがる」という「愛の主題」が、
シモテvnとチェロのオクターヴ・ユニで擦りだされるのである。
♪○♯ド<レ<ミ|ミン>レレーー、レ<ミ<ファ|ファン>ミミーー♪
ゲルの口説きが続くのである。
→アンダーンテ、3/4、3♯。
ゲルはリザの前にひざまずく。
♪○ラ<シ<ド<レー|ー、>ララ<シ<ド>ラ♪
ゲルの口説きはさらに続く。
ついに、リザが涙する。
→ストリンジェンド。そして、アンダーンテに戻って、→無調号。
横笛群と高中弦が、
♪○ド<レ<ミ<ファー|ー、ファ>ミ>レ<ミ>ド♪
と、ゲルの小唄を長化したものをffで哀切をこめて奏する。
その裏でゲルは、
「クラサーヴィツァ(美しい人よ)! バギーニャ(女神よ)!
 アーンゲル(天使よ)!」
とリザを賛美するのである。が、それも束の間。
→アッレーグロ・ヴィーヴォ、C。
足音がして、誰かがドアをノックする。
「リーザ、開けなさい!」
伯爵夫人である。ゲルを隠し、リザはとりつくろう。
ファゴとコンバスのピッツィが、
「3カードの秘訣動機」♪♯ドッ>シッ<♯ソッ♪を3度繰り返す。
弦群に「ベト5」由来の♪ダダダ・ダン♪律動が擦られる。
この間、伯爵夫人が醸しだす「冷気」に、
ゲルの邪心が「励起」されてしまうのである。
伯爵夫人は立ち去り、また、ふたりになる。
ティンパニが♪ダダダ・ダン♪律動を叩く。
→モデラート・アッサイ。
シモテvnとヴィオラによるオクターヴ・ユニで、
再び「3度のぼって2度さがる愛の主題」が囁かれる。
そして、ついにリザは口説かれ、愛が契られるのである。
「クラサーヴィツァ、バギーニャ、アーンゲル」
ゲルはまたリザを賛美し、→アンダーンテ、4♯。
♪○ド<レ<ミ<ファー|ー、ファ>ミ>レ<ミ>ド♪
が、今度はホ長、fffに強められて幕となるのである。
感動的な場面である。音楽も感動させられるものである。
「パチチーチスカヤ(感動ものの)」・ムーズィカ(音楽)である。が、
前途が明るくはけっして感じれない「感動」を呼び起こすものである。
「哀しい」感動なのである。ゲルの
「我が愛をあなたに受け入れられないのなら死ぬ」という文句は、
「アントニーナ・ミリュコーヴァからチャイコフスキーへの求愛の手紙」
とソックリなのである。その結婚の前途は明るくなかった。
暗リネットだったのである。
♪【ミー<♯ファー|<♯ソー<ラ<シ|<ドー>シー】♪
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