チャイコフスキー庵 Tchaikovskian

有性生殖生物の定めなる必要死、高知能生物たるヒトのパッション(音楽・お修辞・エンタメ・苦楽・群・遺伝子)。

「3幕7場」

2005年01月06日 15時16分10秒 | スペードの女王さまの黒槍責め
マット・デイモン主演の映画「リプリー」(1999)は、
往年の二枚目アラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」のリメイクである。
モーリス・ロネがジュード・ローに、マリー・ラフォレがグィネス・パルトロウに、である。
ときに、年食ったドロンのご面相はジャック・ニコルスンふぜいに似てきてしまったが、
若いときは本当にイイ男であった。パスカル・プティ、ミレーヌ・ドモンジョ、
ジャクリーヌ・ササールら美女を手玉にとる「お嬢さん、お手やわらかに!」(1959)
のときなどはまぶしいくらいであった。名作に出演したのもいくつかあるが、
ドロンの本領は若い頃に主演してたD級ギャング映画である。最後、幸せになる……か、
というところで、突然撃たれて死ぬ、というパターンである。
フランスのギャング映画はトーンが暗く、全体にテンポがトロイから廃れたのである。さて、
「トゥローィカ、シミョールカ、トゥース」……「3、7、A(1)」。
この「順番」を違えたら……「7、3、1」とか……おおごとである。
世の中、なべて「順序」が大事なのである。たとえば、
「衛生」。手を洗ったあとに蛇口をひねって水を止めたのでは、
手水の意味がないのである。そして、
「相続」。死人に口なし、とは言われるが、こと相続に関しては、
死に順、がものを言うのである。ところで、
モーツァルトのk.「371」といえば、
「独ホルンとオケのためのロンド(変ロ長)」である。
♪【ド<レ|<ミーミ>ド・<ファーファ>レ|<ソーーー・ミッ】○ドッ○♪
オヤジであるLeopoldの作とされてる「カサッチオ」の中の3章からなる
「おもちゃの交響曲」の「終楽章」は、
♪【ド<レ、<ミ>ド、<ファ>レ|<ソッ○、ソ>ミ】、<ラ>ファ♪
である。さて、
チャイコフスキーが「自らの死」をそう遠くなく感じながら書き上げた力作
オペラ「スペ女王」が「3幕7場」であるのに対し、30台半ば、
冷たくてネヴァネヴァした川に浸かって体調を崩して、
そのあげくに「自然死」しようとしたあとに書かれた力作
抒情景「エヴ・オネ」も「3幕7場」である。いずれも、原作は
ナイナイの岡村の顔との区別が難しいプーシュキンである。ときに、
映画「リプリー」で、金持ちジュード・ローのふりをしたデイモンが
大企業令嬢に誘われた「オペラ」は、「イヴギェーニィ・アニェーギン」である。
「決闘景」が画中では演じられてた。それはともかく、
「オネ」は「ジョソウ」と22曲からなるので、曲数は3の倍数ではない。もっとも、
#03が「オーリガの夢見る少女のアリア」、
#06が「レーンスキィの『オーリガさん、私は貴女を愛します』アリオーソ」、
#09が「タチヤーナの手紙景」、
#12が「オネーギンの貴女は眼中に非ずアリア」、
#15が「レンちゃんとオネちゃんの気マズルカ雰囲気と、
     ハンケチ落とし&拾いゲーム(耳たぶ噛みかみプレイは行われない)」、
#18が「オネちゃんからの狙撃弾によるレンちゃんの決闘死景」、
#21が「オネーギンの横恋慕アリオーソ過ぎ(タチ場逆転手紙景の節)」
となってて、3の倍数曲が要所に置かれてるのである。
以上が、3*7=21。そして、そのあとの3幕3場は#22のみ。
つまり、#22は「エクストラ・シーン」、「おまけ」だったのである。
覆水盆に帰らず。悔恨の中でオネがつぶやく。
「タチヤーナ、セ・レレゴォ~ンス・ドゥ・レ・モデハン!」
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「子息演算」

2004年12月27日 00時21分49秒 | スペードの女王さまの黒槍責め
「トゥローィカ、シミョールカ、トゥース」は
「3、7、1」である。
オペラ「スペードの女王」の幕数と場数は、
(1幕)   1場、2場
(2幕)   1場、2場
(3幕)   1場、2場、3場
計「3」幕  計「7」場  から成る  「1」つのオペラ
これは既知事項である。
田辺佐保子著「プーシキンとロシア・オペラ」(未知谷刊)
でも言及されてる。が、
2場*2場*3場=「12」=スペードの女王数、
については、あまり触れられてない。ときに、
3*(7+1)=「24」=このオペラの曲数、
に関しても、書かれてるのを見たことがない。
24/2=12である。第12曲に重要なものがはめ込まれてる、
と推察するのが自然である。
#12(2幕1場)「情景と公爵のアリア」。
このナンバー後半の「アーリア」は、
伯爵夫人の孫娘(とチィコーフスキィ兄弟の台本では変更された)
リーザの婚約者イリェーツキィ公爵の独唱である。
同公爵は原作にないキャラであるから、もちろん、その歌も
プーシキンのものではない。チィコーフスキィの作詩である。
♪ヤー・ヴァス・リュブ|リューーーーーーー、
リュブリュー・ビズ|ミェールナ
(ソ<ラ<シ|ドーーー、○レ<ミ<ファ|ソー>レー♪
(拙大意)「私はあなたを愛してます。常軌を逸してるほど、
定規では計りしれないほど、愛してます」
変ホ長=「3」つのフラットの調で書かれてるのである。
さて、なぜ、チィコーフスキィ兄弟は、リーザを原作の
「伯爵夫人の養女」(替え腹益軒の「養女訓」に書かれて、ない)から
「伯爵夫人の孫娘」にとっかえたのであろうか。知らない。
が、こうは推察できまいか。
「養女」というのは通常は「血が繋がってない」のである。
でも、それでは「ドイツ人」エカチェリーナ2世と、
女系ではあるがロマーノフ家の血は繋がってるけれど
やはりドイツ人として育ったピョートル3世を「かけあわせ」てできた
パーヴェル1世が、まるでロマーノフ家と「血が繋がってない」、
とでもいうみたいである。「孫娘」なら、
伯爵夫人の子息のれっきとした娘であり、
血を「ひいて」るのである。ところで、
林家こぶ平は故三平師匠の倅(スィーン)である。
♪スィーン、スィーン、スィーン、スィーン、ニッ・キッ・ゴ・ルゥ~・フ♪
さて、エカチェリーナ2世の孫であるアリクサーンドル1世が急死して
帝位が空白だった間に「デカブリストの乱」が起こるのである。
チィコーフスキィの妹が嫁いだウクライナ貴族の
リェーフ・ダヴィードフはデカブリストの子息(スィーン)である。
領地カーメンカの家にはプーシキンも訪れたことがある由。
デカブリストの「孫」にあたるヴラヂーミル・ダヴィードフを
チィコーフスキィは溺愛し、最期に「悲愴」を献呈するのである。
余談であるが、仏語のSaint-Germainのgermainには、
「血の繋がった兄弟・姉妹」「従兄弟・従姉妹」という意味も
あることを+しておこう。

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「『スペ女王/ジョソウ』のトリプティク(じゅんでぇ~す)」

2004年12月24日 14時10分01秒 | スペードの女王さまの黒槍責め
右鏡:いわゆる「愛の動機」を折りかえす部。ニ長。
木管群&ホルによるニ長の主和音に露を払われて、
コンバス以外の弦群が2オクターヴに及ぶ3音程のウニで、
♪『ド<レ<ミ|ミン>レレーー』、『レ<ミ<ファ|ファン>ミミーー』♪
という「3度上がって2度下がる」という365歩のマーチの歌詞ふうな
チィコーフスキィにとって最大に重要な「動機」が奏される。
これは自身の(とくに晩年の重要な)作品の中で頻繁に使用されてる。
「眠りの美女」中の#18「間奏曲」、
「カス・ヌワゼト(ハシバミ割り器=人形)」中の
#5「情景とグロースファーター踊り」、
♪ソ|<『ドード|ド<レ<ミ|>レー』『レ|レ<ミ<ファ|>ミ』♪
#6「情景」中「クリスマス『ツリー』が巨大化する」場面、
♪『ラ<シ<ド|(<レン)>ド>シーー』♪
#8「情景(冬の樅の森)」、
♪『ドー<レー<ミー|>レーーーーー』|『レー<ミー<ファー|>ミーー』♪
である。ちなみに、樅の木を「上」から見おろしてみれば、
米国の国防総省に見えるのである。一般に、
「木」はフィボナッチ数列で枝分かれしてくのであるが、
それは、もっとも枝葉が重なり合わない、という合理性なのである。
トナカイの角の分かれかたも亦然り、である。
幼稚園児に「木」を描かせると、ほとんどが横からの目線で見た
「3」角形の緑に縦の幹の茶を貫いた傘、もしくは、
おでんの串にハンペンだけをつっさした図、である。さらに余談ながら、
「橇」という漢字も木に毛が3本である。オバケのQ太郎も亦然り。
それにしても、「鳥居・さん」から「3・tree」とはものすごい命名である。
ところで、英語で、「木」は「tree」で、「3」は「three」である。
いっぽう、仏語で、「木」は「bois」で、「3」は「trois」である。
ところが、独語で、「木」は「baum」で、「3」は「drei」である。が、
いわゆる「くるみ割り人形」#8は、「子どものためのアルバム」中の
「夢想」の「焼き直し」といわれてるのである。
クラーラが自分の部屋(raum)で夢(traum)をみることは
ほとんどない(kaum)が、大時計が
「12」時を打ったのち、ツリーが飾られてる大広間に
(ドレ・ドレ)とオネマの裾(saum)をひきずりながら忍びこんでって、
そこで「ネズミ対オカシ戦争」の「夢」の世界に
引き込まれてしまうことになるのである。
さて、以上のバレエ音楽も大事であるが、なんといっても、
「悲愴」主要主題である。
♪『ラ<シ<ドー>シーーー』、『シ<ド<レー>ドーーー』♪
が、それはまた、
ベートーフェン自身が命名したpfソナタ「悲愴」の主要主題なのである。
それをさらに遡れば、大バッハの「マタイ・パッション」初曲である。
♪『ラーー・ー<シ<ド>・『シ』ーー・ー<♯ド<レ|>♯ド』>シ>ラ♪
後年、この「動機」(おそらくはチィコーフスキィの「スペ女王」および
「悲愴」からのインスパイアであろうが)にトリつかれた作曲家が、
耽美にして淡い石灰光灯のような「婀娜-ジェット」を書くのである。
♪ミ<ファ<ソ|ソ>ララーー、
(←「スペ女王」ミ<ファ<ソ|ソー>レー)、
<『ソ<ラ<シ|>ラーーー』、○『ラ<シ<ド|ド>>シッシーー』、
<シ<ド<レ|<[ファ>ミ>シ<ド、<レ]>ド>♯ソ<ラ……
(→チャップリン「ライム・ライト」ド<レ<ミ>レ
<[ファーーーーーー>ミー>シー<ドー<レーーーーーーー])♪
この「愛の動機」が金管群に引き継がれると、弦群は、
「運命の動機」とされてる旋律をラルガメンテで弾くのである。
♪『『ミーーー>レー>ドー|>シー>ラー』』<ドー>ラー|
<シーーー>ソーーー、|<ドーーー>シー>ラー|
ソー<♯ソー<ラー>ミー|<ファーーーーーーー♪
「悲愴」主楽章対主題再現前の弦のラルガメンテ指定部、
♪『『ミー|>レーーー>ドーーー|ーーーーーー、
ドー|>シーーー>ラーーー|ーーーーーー』』♪
に繋がるのである。この単純下降音階な動機はまた、
シューベルトの弦四(デァ・トート・オント・ダス・メーチヒェン)主楽章、
♪『『ラーー・ーーー・ーーー・>ソ>ファ>ミ|レ』』、○○○・○○○・○○○|
<『『ミーー・ーーー・ーーー・>レ>ド>シ|>ラ』』、○○○・○○○・○○○♪
という「ベト5」の「運命の動機律動」を添えた主主題に
範を採ってるのかもしれない。が、それもまた、
「ベト3」の「なだ葬送行楽章」の、
♪ミーーミ|ミーーーーーーー<ラン>♯ソ<ラン<シ|ドーーー>ラ、
<『『ミーーーーーーー>レ>ドーー>シ>ラーー』』|<ドーーー>シ♪
がモトネタである。あの、おおげさすぎるほど「悲痛」な感の
「ジャゾットのアダージョ」然り、シェーンベルクの「禊ぎ夜」然り、である。
それらはともかくも、この間、*チュー(バ)、ティン(パニ)、コンバスという
低音群が、ニ長の属音「A」を持続してるのである(*チューは最後、外れる)。
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「『スペ女王/ジョソウ』のトリプティク(三波春夫でございます)」

2004年12月24日 14時08分58秒 | スペードの女王さまの黒槍責め
「レッツゴー3匹」のリーダーの名前がなかなか思い出せない、というかたが
少なくない。名前を忘れられるのは、ルーキー新一ふうに言えば、
両手で衣裳のジャケットの胸襟を掴んで左右に振りながら
「イヤ、イヤ、イヤァ~ン!」というほどかわいそうだが、しかし、
それだけ、このツカミのギャグが一般に浸透してた、という証左である。
レッツゴー正児、である。
中鏡:いわゆる「3枚のトランプの動機」を反射する部。(実質)ホ短。
2オボ、2クラ、2ファゴ、4ホル(ン)が「タ・ターッタ・ターッタ・ターッタ」
律動でホ短の主和音を吹き、低弦が
♪ミ<♯ファ<♯ソ<ラッ♪とホ短を後押しするのに導かれて、
2(トラン)ペットとアル(ト)&テノ(-ル)・トロ(ンボーン)の
真性ウニがマルカートで、
♪【【【シッ>ラッ<レーッ】】】、>ドッ>シッ<ファーッ|>ミ♪
という、いわゆる「3枚のトランプの動機」を吹奏する。
「3枚のトランプの秘訣」とは、
「トゥローィカ(スリー)、シミョールカ(セヴン)、トゥース(A)」である。
賭博成金大作戦初夜のカードは、やはり「3(トゥローィカ)」なのである。
かつてのpf曲集「四季」の中の「11月曲」は、
「ナ・トゥローィキ(トロイカで)」であった。
この「トロイカ」は「3頭立てのトナカイが牽くソリ」の意であるが、
この「ジョウソウ2つめ部」のホ短とは同主調のホ長の曲である。
♪【【【ラ>ソ<ドーーー】】】、<ミ<ソ|<ラ>ソ>ミーーー♪
ムーソリグスキィの「展覧会の絵」と絵の間を巡るときに乗るのも
♪【【【ラー>ソー<ドー】】】、<レ<ソ>ミー♪
というソリなのである。ラヴェルはペットのソロにしたのであるが。
そりはともかく、♪【【【シ>ラ<レ】】】といえども、
【【【>長2度下がって<完全4度上がる】】】という同じ音型である。
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「『スペ女王/ジョソウ』のトリプティク(長作です)」

2004年12月24日 14時08分09秒 | スペードの女王さまの黒槍責め
アンダーンテ・モッソ、12/8→C、2♯。
このオペラのコンセプションを考えれば当然であるが、
まず、「ジョソウ」からして「3」面からなってるのである。

左鏡:「伯爵夫人の暗い過去動機」を映しだす部、ロ短(調)。
1クラ(リネット)&1ファゴ(ット)によるオクターヴのウニ(ーゾノ)、
♪ミー|>【ラーン、ララー・ラー<シー<ドッ○・
 <レー>ドー、>シッ】○・<ミーーーーー……♪
して、弦が(vnプリ(ーモ)のみ書き出す)、
♪○【【ラ>ソ>ファ|○>ミ>レ >ド】】|○>シ>ラ>ソ♪(音価縮小)
ほとんどこの「ジョソウ」の下属調ホ短の「5番交(響曲)」1楽章である。
♪ファー|<【ラー○ララー・ーー<シー<ドー|
 <レー>ドー、>シー】・>ラーーー♪(主部主要主題)
♪【【ラ|>ソ>ファ>ミ>レ|>ド】】ーー♪(序部主題後半)
それはともかく、この冒頭の主題は、1幕でトームスキィ伯が、
「ル・モンド」の3面鏡記事にもなったとはいわれてない
伯爵夫人の過去の噂をベラベ~ラ話すストーリー屋になる場面には
4拍子の「バラード」に焼きなおされて、
♪今は昔、ヴェルサイユの「ジュ・ドゥ・ラ・レヌ(女王様の賭場)」で、
 モスクワからのオノボリ絶世美女……若き日の夫人のことさ……が
 びた一文残らずスッカラカンに擦っちまったんだとさ。
 そんとき、客の中にサン=ジェルモン伯がおってさ、
 夫人の隣のテーブルに座ってたのさ。でさ、夫人の肉体に
 破産した岸部シローや自殺した大辻シローがのりうつってさ、
 ガックリした様子で「神様、仏様、いなおりますか?」って
 つぶやきシローなさったのさ……♪
のように歌われるのであるが、そのときの調はホ短である。
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