はいどうも!
久しぶりの更新でございます。
読んでくださる方々に感謝。
では、以下お話の続きです。
↓↓↓
【無謀な計画】
「頼まれていたもの、これでいいかな?」
「ありがとう。さすがパパだわ……こんなに早く用意してもらえるなんて」
「ほかならぬ、マヤの頼みだからね。ほら、こっちにおいで」
佐伯から茶封筒を受け取ったマヤは、上機嫌で微笑んだ。
中身は緑色の錠剤が数粒。
いつものホテルの一室。
ソファには、備え付けのガウンを纏っただけの佐伯。
マヤはその隣にゆっくりと腰を下ろし、甘えるように腕を絡ませた。
佐伯の指が、マヤの胸元に伸ばされる。
器用な指先が、片手だけでするすると洋服を脱がせていく。
早くも露わになった下着の上から、胸のふくらみを持ち上げるようにして揉まれる。
久保田とは全く違う、慣れた手つきが心地良い。
「で、君は何をしようとしているんだい? あのメールだけでは、よくわからなかったんだが……」
「んっ……聞きたい……?」
「ああ、もちろんさ」
「協力、してくれる?」
「はは、パパを試しているのかい? マヤのためなら、何だってしてあげよう」
乳房を揉み上げる指が、少しずつその先端へと移動する。
ついさっきまで、久保田に可愛がられていたせいか、少し触れられただけで声がでてしまう。
「あぁんっ……」
きゅっと乳首をつままれる。
ブラの上からでも刺激に耐えきれなくなり、思わず手を払いのけようとした。
佐伯が体重をかけて、マヤの体にのしかかる。
かたくしこった乳豆はよりいっそう強く捻られ、背筋がびくびくと震えた。
「どうしたんだい? パパに触られるのが嫌なのか?」
「違うの、……お話、するから……ちょっと待って……」
「駄目だ。このまま、しっかりお話しなさい」
下着が押し上げられ、豊満な乳肉がまろび出る。
すでに隆起した薄桃色の突起が指の腹で押し潰され、甘い痺れが子宮にまで届いていく。
足の間が熱を持つ。
じんじんするその部分を慰めるように、ふとももを擦り合せた。
「やあんっ……! あ、だめ……あぁっ……」
「やけに反応がいいね。ほら、ちゃんと言いなさい。君がしようとしていることを」
指が乳房を締めつけるように、ぎゅうぎゅうと食い込んでくる。
そのまま根元から揉み上げられ、堪え切れない喘ぎを漏らしながら、マヤは話し始めた。
「あ、あのね……もう、逃げちゃうことに、したの……っ」
「逃げる? ほう。それはまた、なんというか……急だね」
社長から与えられる拷問のような時間。
他の社員たちからの、嫉妬交じりのいじめ。
部長からの、ありえない要求。
そして、差出人のわからない、写真入りの手紙。
佐伯にはもともと、会社での出来事も、生徒の父親たちとの行為も話してある。
この一週間にあったことを切れ切れに聞くだけで、だいたいの事情は察してくれたようだった。
「それで? 逃げてしまえば、収入も無くなるんだろう……お母さんのことはどうするんだい? 必要があれば、少しぐらいは援助させてもらうが」
「そんな……パパに、迷惑をかけるつもりは、ないわ……」
「他に当てがあるのか?」
「やるしか、ないもの……あぁっ……」
いつのまにか捲りあげられたスカートの奥に、指が忍び込んできた。
パンティが荒々しい手つきで引き下ろされる。
黒々とした茂みを探られ、そこをゆっくりとなぞられていく。
「し、社長室に、お金があるのよ……表に、出せない……お金が……」
「それを奪おうっていうのか。大胆だな」
「隠し金庫から……社長に、お金を出してもらうわ……それを持って、逃げるの……」
たっぷりと潤った割れ目を、指先が意地悪く上下し続ける。
小さな肉芯に触れたかと思えば、気付かないふりで通り過ぎる。
くちゅっ、くちゅっ。
粘り気のある音が大きくなり、それと共にマヤの体が悦びに震え始めた。
「なるほど。本来あるはずの無い金なら、警察にも届けようがないな……でも、あの社長が黙って金を渡すとは思えないがね」
「ぅんっ……あっ……パパ、もう、欲しくなってきちゃった……」
「最後まで話しなさい。良い子にしていたら、ご褒美をあげよう」
「わ、わかった……ちゃんと、お話……するからぁ……んっ……!」
指に陰部を擦りつけようとして、腰を浮かせた。
それなのに、焦らすようにして指はそこから離れてしまう。
疼きが痺れに変わり、淫唇がひくひくと物欲しげによだれを垂れ流す。
「触って、ねぇ……お願い……」
「しようのない子だな……こんなところを真っ赤にして震わせて……」
愛液が溢れる裂け目。
そこに、突き刺すような勢いで指が潜り込む。
強烈な刺激が駆け抜ける。
二本同時に突き入れられたそれは、膣内をいやというほど掻きまわす。
久保田のものを受け入れたばかりの、秘密の場所。
蕩けるような快楽。
同時に、言葉にしがたい気持ちがもぞりと胸の中でうごめく。
考えてはいけない。
与えられる淫楽に意識を集中させる。
佐伯の背中に両手を回し、形の良い耳に唇をつけ、囁くように話す。
激しく出し入れされる指が、ぐちゅり、ぐちゅり、と絶え間なく淫らな音を響かせる。
「いいわ……すごく、いい……あのね、今度の、月曜日……社長に、いっぱいサービスしあげるの……エッチしてるときは、それしか考えられないひとだから……それで……」
「それで?」
マヤは自身が考えた計画を、すべて佐伯に話した。
無謀ともいえる計画。
うまくいけば、社長から金を奪い、部長に泡を吹かせ、すべての罪を久保田に着せたうえで、あらゆる面倒事から手を切ることができるはずだった。
うまく、いけば。
最後まで聞き終えた佐伯は、年上らしい心配顔でマヤを見つめた。
手の動きがぴたりと止まる。
「そうか……急ごしらえで少々無理があるような気もするが……まあ、いいだろう。ところで、そのなかで君が一番望んでいること、はずせないことは何だい?」
「そうね……社長と部長に仕返ししたいわ。子供っぽいかもしれないけど。お金も大事よ、だけど、最悪お金が手に入らなかったとしても……いまはあの二人への憎しみの方が強いの」
そして、できれば久保田を傷つけずに済ませたい。
できない。
事を起これば、必ずひとり、その罪を被る者がいなくてはならない。
逃げた後も、追いかけまわされるようなことになるのは困る。
「なるほど。その久保田という青年は……マヤの罪を被ってくれるというわけか」
「いい子よ、とっても……いい子なの」
久保田には、一度でいいから社長たちを殴りつけて欲しいと頼んだ。
わたしを傷つけ、弄んだふたりを……めちゃくちゃに殴って。
それをやってくれたら、わたしは一生あなたの傍にいるわ。
情事の後、夢見心地でいる久保田の耳元で繰り返した。
可哀そうな男は、マヤをぎゅっと抱きしめたまま、それを承諾した。
『先生のためだから……やるよ、絶対に、やってやる』
月曜日、タイミングを見て社長室に来てもらう。
計画通りに運べば、そこには意識を失った社長と、混乱した部長がいるはずだ。
久保田が覆面をし、ふたりを思い切り殴り倒している間に、マヤは金を持って逃げる。
そして警察を呼ぶ。
強盗が入った、と。
「まだ、学生なんだろう? その彼は……優秀で、将来も嘱望されていることだろうに……一生を棒に振ることになるな」
「ひどい、って思う?」
「いや、面白い。まあ、社長がトチ狂って『金が無くなった』と大騒ぎしても、元が裏金なら、今度は国税局の相手で忙しくなるだろう。悪くない計画だ」
淫液にまみれた指先が、再び動き始める。
陰核の皮を剥き、ピアノの鍵盤を弾くようなリズムで、トントンと叩く。
そのたびに、ぴくん、ぴくんと腰が揺れてしまう。
「あぁっ……もう、いいでしょう……? お話は終わりよ、ねえ……はやく……」
「その写真の件はどうする気だい? マヤを狙っている奴がいるということだろう」
公園での不倫現場が写った写真。
それは異様に鮮明で、偶然撮られたものとは思えなかった。
誰かが、つけ狙っていたのは間違いない。
裏側に書かれた脅し文句。
おそらくは生徒の母親たちのうち、誰かがマヤと父親たちの関係に気付いたのだろう。
ただの脅しだけなのか、実際に何か仕掛けてくるのか。
あれだけでは何もわからなかった。
「いずれ……こんなことになる……かもって、思ってたわ……」
「ほう。大丈夫なのか?」
「むこうから、もう一度……アクションがある頃には、わたしはもう……いないもの」
顎をつかまれ、首をそらすようにして上を向かされる。
唇が重なり、舌が喉の入り口まで入り込んできた。
甘やかな愉悦が湧きあがる。
下半身をいじる指は、ぷっくりと膨らんだ女芯を絶え間なくもてあそぶ。
絶頂にのぼりつめそうなのに、そこまではいけない。
じれったい感覚に、おかしくなりそうだった。
「くうぅ……ん、あっ、やっ……ねえ、ちょうだい、もう欲しいよ、パパのおちんちんで、マヤのこと、いっぱい、いかせて……」
「もう、マヤとは会えなくなるんだね」
「パパ……」
せつなげな目がマヤを見下ろす。
その目を揺るぎなく見つめ返す強さは、まだマヤには無かった。
何もない虚空に、視線を彷徨わせる。
全てを捨てて逃げたい。
当然、佐伯との関係を続けるつもりもなかった。
まだ若く、綺麗でいられるうちは可愛がってもらえるだろう。
でも、それに胡坐をかいていれば、いずれ捨てられてしまうのは明白だった。
みじめな思いなどしたくない。
それならば、これまでの過去を全て捨て、金だけを持って母親の治療に専念し、縁があれば普通の男と別天地で結ばれたい。
汚れた過去の関係など、この後のマヤにとっては邪魔でしかないのだ。
寂しさとも、罪悪感ともつかないものが、心に重くのしかかる。
仕方なく、その場しのぎの嘘をつく。
「まさか……パパだけは、特別よ。落ち着いたら……また、必ず連絡するわ」
「そうか。まあ……とりあえず、マヤの望みが叶えられるように祈っているよ。協力できることは、させてもらう」
温かな声に、心が痺れる。
佐伯の妻に対して、がらにもない嫉妬心さえ抱いてしまう。
「ねえ、月曜日……全部、無事に終わったらパパに連絡するわ。お礼に美味しいものでもごちそうする。もしも、夜になっても連絡が無かったら……失敗したんだと思ってあきらめて」
「おいおい、気弱なことを言うなよ。心配になるじゃないか……そうだ、マヤ。これをあげよう」
佐伯が体を離し、バッグの中から何かを取り出した。
赤い布にくるまれた、ストラップ型の小さなお守り。
真ん中が縦に白抜きになっており、そこに『満願成就』と書かれている。
「メールをもらったときから、なんとなくマヤが特別なことをしようとしていると感じたんだ……古臭いと思われるかもしれないが、受け取ってくれるかい?」
「パパ……! ありがとう……」
演技ではない涙が、頬を伝う。
心づかいが嬉しかった。
嘘つきで、他人を踏み台にして逃げようとしている自分。
それなのに、こんなに思ってくれるひとがいる。
「さあ、おいで。話はこれで終わりなんだろう? あとはゆっくり楽しもうじゃないか」
「うん……」
佐伯がマヤの肩を抱き、ベッドに誘う。
わずかに身に着けていた洋服も下着も、全て脱ぎ捨てる。
ベッドに横になった瞬間、仰向けの姿勢で両足を大きく広げられた。
「ああ、すごいね。濡れて光っているよ……」
「はやく、ねえ……」
両手で淫裂をぐいっと開かれ、そこに佐伯が顔を埋める。
ぬるりとした舌先が膣襞を舐め上げながら、奥へと侵入してくる。
指は尻穴のつぼみをまさぐり、そこからも内側を刺激された。
たまらず、足をばたつかせて悲鳴をあげる。
「あっ……! だめ、もう、いっちゃう、いっちゃうからぁ……!!」
「だめだよ……ちゃんと入れてあげるから、待ちなさい……」
舌は奥から入口へ、入口からまた奥へと這いまわる。
ときおりクリトリスを音を立てながらしゃぶられ、そこを強く吸いあげられた。
もう……いく……。
気を失いそうになったとき、ふいに佐伯の体勢が変わった。
さんざんに雫を垂らすその部分に、大きく勃起した男根が押し当てられる。
その屹立した肉塊は、予兆もなく膣道に沈み込んでくる。
ぐぐっ、ぐぐっ、と一息に子宮口まで貫かれ、マヤは絶頂に達した。
「ああああああっ、パパ、だめ、それ以上、だめえええええっ!!!」
「いいね……マヤはいつでも、パパのでいっぱい感じてくれるんだね……可愛いよ、マヤ」
優しい言葉とは裏腹に、腰の動きは荒々しい。
奥まで達したそれは、素早く引き抜かれ、また一気に狭い肉路を押し広げながら、何度もマヤを貫き続ける。
溢れる粘液が、肌の打ち当たる動きに合わせて飛び散る。
激しく動きながら、乳房をつかまれ、その先の突起を口に含まれると、またマヤの口から叫び声があがった。
「いやあああああっ! もう、変になるよ、パパ、だめ……やめて……!」
尖った乳首に舌を絡ませながら、佐伯は意地の悪い声を出す。
「その久保田とかいう青年とのセックスは楽しかったかい? パパとするよりも、よかったんじゃないのかい?」
「そ、そんなはずないわ……パパが、一番、あああっ……! 一番、すごいよ……」
「さあ、どうかな……どうにも、他の男と違って、その青年には嫉妬してしまうね。ここの具合も、もっと良かったんじゃないのかい」
腰骨をつかんで引き寄せられ、凄まじい勢いで突き上げられる。
痛いのか、気持ちいいのか、苦しいのか。
わけがわからなくなる。
恐ろしいほどの快楽の渦に巻き込まれていく。
「パパ……大好きよ……」
その言葉に応えるかのように、佐伯はマヤを奥の奥まで刺し貫いた状態で果てた。
どろりと熱い塊を体内で受け止める。
全身から汗が吹き出し、息も絶え絶えになって抱きしめ合う。
その瞬間、なぜか久保田の照れたような笑顔が脳裏をよぎった。
そして、月曜日。
いつもの会議に参加するため、何食わぬ顔をして本社へと向かう。
持っている中で、一番高価でお気に入りのスーツを身につける。
体の線にぴったりとそう、オーダーのスーツ。
ジャケットのボタンはひとつだけ。
胸のふくらみを美しく強調するデザイン。
タイトスカートの背面、ふとももの真ん中あたりまでスリットが深く入っている。
ビジネスには少々刺激的かもしれないが、と、以前佐伯が買ってくれたものだった。
頭の中で、何度も計画をなぞる。
失敗したなら……それまでのこと。
大きく深呼吸をして、マヤは本社ビルの入り口を通り抜けた。
(つづく)
久しぶりの更新でございます。
読んでくださる方々に感謝。
では、以下お話の続きです。
↓↓↓
【無謀な計画】
「頼まれていたもの、これでいいかな?」
「ありがとう。さすがパパだわ……こんなに早く用意してもらえるなんて」
「ほかならぬ、マヤの頼みだからね。ほら、こっちにおいで」
佐伯から茶封筒を受け取ったマヤは、上機嫌で微笑んだ。
中身は緑色の錠剤が数粒。
いつものホテルの一室。
ソファには、備え付けのガウンを纏っただけの佐伯。
マヤはその隣にゆっくりと腰を下ろし、甘えるように腕を絡ませた。
佐伯の指が、マヤの胸元に伸ばされる。
器用な指先が、片手だけでするすると洋服を脱がせていく。
早くも露わになった下着の上から、胸のふくらみを持ち上げるようにして揉まれる。
久保田とは全く違う、慣れた手つきが心地良い。
「で、君は何をしようとしているんだい? あのメールだけでは、よくわからなかったんだが……」
「んっ……聞きたい……?」
「ああ、もちろんさ」
「協力、してくれる?」
「はは、パパを試しているのかい? マヤのためなら、何だってしてあげよう」
乳房を揉み上げる指が、少しずつその先端へと移動する。
ついさっきまで、久保田に可愛がられていたせいか、少し触れられただけで声がでてしまう。
「あぁんっ……」
きゅっと乳首をつままれる。
ブラの上からでも刺激に耐えきれなくなり、思わず手を払いのけようとした。
佐伯が体重をかけて、マヤの体にのしかかる。
かたくしこった乳豆はよりいっそう強く捻られ、背筋がびくびくと震えた。
「どうしたんだい? パパに触られるのが嫌なのか?」
「違うの、……お話、するから……ちょっと待って……」
「駄目だ。このまま、しっかりお話しなさい」
下着が押し上げられ、豊満な乳肉がまろび出る。
すでに隆起した薄桃色の突起が指の腹で押し潰され、甘い痺れが子宮にまで届いていく。
足の間が熱を持つ。
じんじんするその部分を慰めるように、ふとももを擦り合せた。
「やあんっ……! あ、だめ……あぁっ……」
「やけに反応がいいね。ほら、ちゃんと言いなさい。君がしようとしていることを」
指が乳房を締めつけるように、ぎゅうぎゅうと食い込んでくる。
そのまま根元から揉み上げられ、堪え切れない喘ぎを漏らしながら、マヤは話し始めた。
「あ、あのね……もう、逃げちゃうことに、したの……っ」
「逃げる? ほう。それはまた、なんというか……急だね」
社長から与えられる拷問のような時間。
他の社員たちからの、嫉妬交じりのいじめ。
部長からの、ありえない要求。
そして、差出人のわからない、写真入りの手紙。
佐伯にはもともと、会社での出来事も、生徒の父親たちとの行為も話してある。
この一週間にあったことを切れ切れに聞くだけで、だいたいの事情は察してくれたようだった。
「それで? 逃げてしまえば、収入も無くなるんだろう……お母さんのことはどうするんだい? 必要があれば、少しぐらいは援助させてもらうが」
「そんな……パパに、迷惑をかけるつもりは、ないわ……」
「他に当てがあるのか?」
「やるしか、ないもの……あぁっ……」
いつのまにか捲りあげられたスカートの奥に、指が忍び込んできた。
パンティが荒々しい手つきで引き下ろされる。
黒々とした茂みを探られ、そこをゆっくりとなぞられていく。
「し、社長室に、お金があるのよ……表に、出せない……お金が……」
「それを奪おうっていうのか。大胆だな」
「隠し金庫から……社長に、お金を出してもらうわ……それを持って、逃げるの……」
たっぷりと潤った割れ目を、指先が意地悪く上下し続ける。
小さな肉芯に触れたかと思えば、気付かないふりで通り過ぎる。
くちゅっ、くちゅっ。
粘り気のある音が大きくなり、それと共にマヤの体が悦びに震え始めた。
「なるほど。本来あるはずの無い金なら、警察にも届けようがないな……でも、あの社長が黙って金を渡すとは思えないがね」
「ぅんっ……あっ……パパ、もう、欲しくなってきちゃった……」
「最後まで話しなさい。良い子にしていたら、ご褒美をあげよう」
「わ、わかった……ちゃんと、お話……するからぁ……んっ……!」
指に陰部を擦りつけようとして、腰を浮かせた。
それなのに、焦らすようにして指はそこから離れてしまう。
疼きが痺れに変わり、淫唇がひくひくと物欲しげによだれを垂れ流す。
「触って、ねぇ……お願い……」
「しようのない子だな……こんなところを真っ赤にして震わせて……」
愛液が溢れる裂け目。
そこに、突き刺すような勢いで指が潜り込む。
強烈な刺激が駆け抜ける。
二本同時に突き入れられたそれは、膣内をいやというほど掻きまわす。
久保田のものを受け入れたばかりの、秘密の場所。
蕩けるような快楽。
同時に、言葉にしがたい気持ちがもぞりと胸の中でうごめく。
考えてはいけない。
与えられる淫楽に意識を集中させる。
佐伯の背中に両手を回し、形の良い耳に唇をつけ、囁くように話す。
激しく出し入れされる指が、ぐちゅり、ぐちゅり、と絶え間なく淫らな音を響かせる。
「いいわ……すごく、いい……あのね、今度の、月曜日……社長に、いっぱいサービスしあげるの……エッチしてるときは、それしか考えられないひとだから……それで……」
「それで?」
マヤは自身が考えた計画を、すべて佐伯に話した。
無謀ともいえる計画。
うまくいけば、社長から金を奪い、部長に泡を吹かせ、すべての罪を久保田に着せたうえで、あらゆる面倒事から手を切ることができるはずだった。
うまく、いけば。
最後まで聞き終えた佐伯は、年上らしい心配顔でマヤを見つめた。
手の動きがぴたりと止まる。
「そうか……急ごしらえで少々無理があるような気もするが……まあ、いいだろう。ところで、そのなかで君が一番望んでいること、はずせないことは何だい?」
「そうね……社長と部長に仕返ししたいわ。子供っぽいかもしれないけど。お金も大事よ、だけど、最悪お金が手に入らなかったとしても……いまはあの二人への憎しみの方が強いの」
そして、できれば久保田を傷つけずに済ませたい。
できない。
事を起これば、必ずひとり、その罪を被る者がいなくてはならない。
逃げた後も、追いかけまわされるようなことになるのは困る。
「なるほど。その久保田という青年は……マヤの罪を被ってくれるというわけか」
「いい子よ、とっても……いい子なの」
久保田には、一度でいいから社長たちを殴りつけて欲しいと頼んだ。
わたしを傷つけ、弄んだふたりを……めちゃくちゃに殴って。
それをやってくれたら、わたしは一生あなたの傍にいるわ。
情事の後、夢見心地でいる久保田の耳元で繰り返した。
可哀そうな男は、マヤをぎゅっと抱きしめたまま、それを承諾した。
『先生のためだから……やるよ、絶対に、やってやる』
月曜日、タイミングを見て社長室に来てもらう。
計画通りに運べば、そこには意識を失った社長と、混乱した部長がいるはずだ。
久保田が覆面をし、ふたりを思い切り殴り倒している間に、マヤは金を持って逃げる。
そして警察を呼ぶ。
強盗が入った、と。
「まだ、学生なんだろう? その彼は……優秀で、将来も嘱望されていることだろうに……一生を棒に振ることになるな」
「ひどい、って思う?」
「いや、面白い。まあ、社長がトチ狂って『金が無くなった』と大騒ぎしても、元が裏金なら、今度は国税局の相手で忙しくなるだろう。悪くない計画だ」
淫液にまみれた指先が、再び動き始める。
陰核の皮を剥き、ピアノの鍵盤を弾くようなリズムで、トントンと叩く。
そのたびに、ぴくん、ぴくんと腰が揺れてしまう。
「あぁっ……もう、いいでしょう……? お話は終わりよ、ねえ……はやく……」
「その写真の件はどうする気だい? マヤを狙っている奴がいるということだろう」
公園での不倫現場が写った写真。
それは異様に鮮明で、偶然撮られたものとは思えなかった。
誰かが、つけ狙っていたのは間違いない。
裏側に書かれた脅し文句。
おそらくは生徒の母親たちのうち、誰かがマヤと父親たちの関係に気付いたのだろう。
ただの脅しだけなのか、実際に何か仕掛けてくるのか。
あれだけでは何もわからなかった。
「いずれ……こんなことになる……かもって、思ってたわ……」
「ほう。大丈夫なのか?」
「むこうから、もう一度……アクションがある頃には、わたしはもう……いないもの」
顎をつかまれ、首をそらすようにして上を向かされる。
唇が重なり、舌が喉の入り口まで入り込んできた。
甘やかな愉悦が湧きあがる。
下半身をいじる指は、ぷっくりと膨らんだ女芯を絶え間なくもてあそぶ。
絶頂にのぼりつめそうなのに、そこまではいけない。
じれったい感覚に、おかしくなりそうだった。
「くうぅ……ん、あっ、やっ……ねえ、ちょうだい、もう欲しいよ、パパのおちんちんで、マヤのこと、いっぱい、いかせて……」
「もう、マヤとは会えなくなるんだね」
「パパ……」
せつなげな目がマヤを見下ろす。
その目を揺るぎなく見つめ返す強さは、まだマヤには無かった。
何もない虚空に、視線を彷徨わせる。
全てを捨てて逃げたい。
当然、佐伯との関係を続けるつもりもなかった。
まだ若く、綺麗でいられるうちは可愛がってもらえるだろう。
でも、それに胡坐をかいていれば、いずれ捨てられてしまうのは明白だった。
みじめな思いなどしたくない。
それならば、これまでの過去を全て捨て、金だけを持って母親の治療に専念し、縁があれば普通の男と別天地で結ばれたい。
汚れた過去の関係など、この後のマヤにとっては邪魔でしかないのだ。
寂しさとも、罪悪感ともつかないものが、心に重くのしかかる。
仕方なく、その場しのぎの嘘をつく。
「まさか……パパだけは、特別よ。落ち着いたら……また、必ず連絡するわ」
「そうか。まあ……とりあえず、マヤの望みが叶えられるように祈っているよ。協力できることは、させてもらう」
温かな声に、心が痺れる。
佐伯の妻に対して、がらにもない嫉妬心さえ抱いてしまう。
「ねえ、月曜日……全部、無事に終わったらパパに連絡するわ。お礼に美味しいものでもごちそうする。もしも、夜になっても連絡が無かったら……失敗したんだと思ってあきらめて」
「おいおい、気弱なことを言うなよ。心配になるじゃないか……そうだ、マヤ。これをあげよう」
佐伯が体を離し、バッグの中から何かを取り出した。
赤い布にくるまれた、ストラップ型の小さなお守り。
真ん中が縦に白抜きになっており、そこに『満願成就』と書かれている。
「メールをもらったときから、なんとなくマヤが特別なことをしようとしていると感じたんだ……古臭いと思われるかもしれないが、受け取ってくれるかい?」
「パパ……! ありがとう……」
演技ではない涙が、頬を伝う。
心づかいが嬉しかった。
嘘つきで、他人を踏み台にして逃げようとしている自分。
それなのに、こんなに思ってくれるひとがいる。
「さあ、おいで。話はこれで終わりなんだろう? あとはゆっくり楽しもうじゃないか」
「うん……」
佐伯がマヤの肩を抱き、ベッドに誘う。
わずかに身に着けていた洋服も下着も、全て脱ぎ捨てる。
ベッドに横になった瞬間、仰向けの姿勢で両足を大きく広げられた。
「ああ、すごいね。濡れて光っているよ……」
「はやく、ねえ……」
両手で淫裂をぐいっと開かれ、そこに佐伯が顔を埋める。
ぬるりとした舌先が膣襞を舐め上げながら、奥へと侵入してくる。
指は尻穴のつぼみをまさぐり、そこからも内側を刺激された。
たまらず、足をばたつかせて悲鳴をあげる。
「あっ……! だめ、もう、いっちゃう、いっちゃうからぁ……!!」
「だめだよ……ちゃんと入れてあげるから、待ちなさい……」
舌は奥から入口へ、入口からまた奥へと這いまわる。
ときおりクリトリスを音を立てながらしゃぶられ、そこを強く吸いあげられた。
もう……いく……。
気を失いそうになったとき、ふいに佐伯の体勢が変わった。
さんざんに雫を垂らすその部分に、大きく勃起した男根が押し当てられる。
その屹立した肉塊は、予兆もなく膣道に沈み込んでくる。
ぐぐっ、ぐぐっ、と一息に子宮口まで貫かれ、マヤは絶頂に達した。
「ああああああっ、パパ、だめ、それ以上、だめえええええっ!!!」
「いいね……マヤはいつでも、パパのでいっぱい感じてくれるんだね……可愛いよ、マヤ」
優しい言葉とは裏腹に、腰の動きは荒々しい。
奥まで達したそれは、素早く引き抜かれ、また一気に狭い肉路を押し広げながら、何度もマヤを貫き続ける。
溢れる粘液が、肌の打ち当たる動きに合わせて飛び散る。
激しく動きながら、乳房をつかまれ、その先の突起を口に含まれると、またマヤの口から叫び声があがった。
「いやあああああっ! もう、変になるよ、パパ、だめ……やめて……!」
尖った乳首に舌を絡ませながら、佐伯は意地の悪い声を出す。
「その久保田とかいう青年とのセックスは楽しかったかい? パパとするよりも、よかったんじゃないのかい?」
「そ、そんなはずないわ……パパが、一番、あああっ……! 一番、すごいよ……」
「さあ、どうかな……どうにも、他の男と違って、その青年には嫉妬してしまうね。ここの具合も、もっと良かったんじゃないのかい」
腰骨をつかんで引き寄せられ、凄まじい勢いで突き上げられる。
痛いのか、気持ちいいのか、苦しいのか。
わけがわからなくなる。
恐ろしいほどの快楽の渦に巻き込まれていく。
「パパ……大好きよ……」
その言葉に応えるかのように、佐伯はマヤを奥の奥まで刺し貫いた状態で果てた。
どろりと熱い塊を体内で受け止める。
全身から汗が吹き出し、息も絶え絶えになって抱きしめ合う。
その瞬間、なぜか久保田の照れたような笑顔が脳裏をよぎった。
そして、月曜日。
いつもの会議に参加するため、何食わぬ顔をして本社へと向かう。
持っている中で、一番高価でお気に入りのスーツを身につける。
体の線にぴったりとそう、オーダーのスーツ。
ジャケットのボタンはひとつだけ。
胸のふくらみを美しく強調するデザイン。
タイトスカートの背面、ふとももの真ん中あたりまでスリットが深く入っている。
ビジネスには少々刺激的かもしれないが、と、以前佐伯が買ってくれたものだった。
頭の中で、何度も計画をなぞる。
失敗したなら……それまでのこと。
大きく深呼吸をして、マヤは本社ビルの入り口を通り抜けた。
(つづく)
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