マイマイのひとりごと

自作小説と、日記的なモノ。

【官能小説】淫獄の宴

2012-07-08 07:25:52 | 自作小説
『今日20時、倉庫で』

ふいに届いたメールがわたしの心から落ち着きを奪う。まだ仕事中なのに、デスクの上に広げた資料の文字がもうひとつも頭に入ってこなくなる。震える指で返信を打つ。

『わかりました』

 逃れられない罠。

 あと1時間後、あられもない痴態を晒している自分の姿を想像すると、それだけでわたしの体は熱くなる。下着をつけていない胸の先が、薄いブラウスの生地に触れるだけで疼き始める。

 望んでなどいないはずなのに、あの時間のことを考えただけで足の間が潤ってくるのがわかる。ああ、もう待ちきれない。わたしはまとめかけていた資料をデスクに残したまま、ひとりあの場所へと向かった。


 始まりはちょうど1年前だった。あの日の喧騒、お酒の匂いまでが強烈なフラッシュバックで蘇る。


 それは、会社の新入社員歓迎会の日。わたしはまだ大学を卒業したばかりで、慣れない会社の雰囲気に戸惑い、宴会の最中も酒臭いおじさんたちに囲まれてなんとなく居心地の悪い思いをしていた。

ほとんど男性ばかりの職場に女性が入ってくるということで、みんながわたしのそばにわらわらと集まってきた。酔った男性たちは無遠慮にわたしの肩を抱き寄せてきたり、露骨に足を触ってきたり。お酒がそんなに飲めるわけでもなく、酔っ払いをうまくあしらうすべも知らなかったわたしはどうしていいのかわからず、ただ顔を真っ赤にしてじっと耐えていた。

 隣に座っていた部長の手が、わたしのスカートなかを探り始め、太もものその奥の下着を撫でながら荒い呼吸を始めたとき、とうとう耐えきれなくなって「お手洗いに行ってきます」と席を立った。

 店の中は他にもたくさんのグループが飲み会をしていて、楽しそうな嬌声が飛び交っている。わたしは居酒屋の廊下を走り、女子トイレに駆け込んで泣いた。どうしてこんなことされて黙っていなくちゃいけないんだろう。でも就職難のなかで、せっかく勝ち取った就職先を失うわけにはいかないし。

 いままでおつきあいした男性にも一度も触れられたことのない体を、あんな酔っ払いにべたべたと触られることが吐き気がするほど苦しかった。

トイレの個室でさんざん泣いていると、ドアを何度もノックされた。個室の数は多くない。あわてて涙を拭って、使ってもいないトイレのレバーを捻って水を流した。

 すみません、と個室を出て次のひとに譲り、手を洗いながら鏡を見た。居酒屋の薄汚れた鏡に映るのは、乱れた髪に真っ赤な目、涙で流れてしまったお化粧、ひどい顔。こんなことくらいで泣いてしまう自分の弱さに腹が立って、それが悔しくてまた泣けてくる。ざぶざぶと水道の水で顔を洗い、ハンカチで拭った後、もう今日はこのまま帰ってしまおうと心に決めた。

 女子トイレから走り出たところで、思い切り何かにぶつかった。暗い廊下にバッグや化粧ポーチが散らばる。よろけた体をがっしりとした腕に抱きとめられ、反射的に顔を見た。

「坂谷さん・・・」

 爽やかな笑顔。社内でも取引先でも評判の良い、上司たちから可愛がられている男性社員。思わずつきとばしてしまった。嫌だ、男の人に触られたくない、気持ち悪い。体の震えが止まらない。

「ご、ごめんなさい・・・」

「いいよ、気にしないで。大森さん、気分悪そうだったから心配で見に来ただけだから」

 坂谷さんは微笑んだまま、散らばったバッグの中身を拾い集めてくれた。入社したその日から何かと世話をやいてくれる。わたしよりもずっと年上で、大人の余裕が感じられた。

「わたし・・・あの・・・」

 バッグを受け取りながら、今日はもう体調が悪いので帰りたいと小さな声で伝えた。坂谷さんは立ち上がって残念そうにうなずいた。

「そうか・・・みんな大森さんが帰ったら寂しがると思うけどな・・・じゃあ、俺、みんなに言ってくる。ちょっと待ってて、途中まで送るから」

「そんな、大丈夫です、ひとりで帰れますから・・・」

「もう時間も遅いから、ね?店を出たところで待ってて」

「あの・・・」

 あっというまに坂谷さんはみんなのいる部屋へ戻ってしまい、わたしは仕方なくお店を出てすぐのところでぼんやりと立っていた。来週からの仕事のことを考えると、無視して帰るわけにはいかない。

 目の前を週末の夜を楽しむカップルや飲み会帰りのグループが楽しげに笑いながら通り過ぎていく。わたしもあんなふうに笑いたい。また少し悲しくなって、街灯の光が滲んで見える。

 5分ほど過ぎたころ、店のドアが開いて坂谷さんが出てきた。

「あはは、みんな残念がってたよ。さあ、行こうか」

 大きな手がわたしの背中を軽く押す。やっぱり触れられるのが嫌で、やんわりとその手を押し戻して距離をあけた。それでも特に気分を害した様子も無く、坂谷さんは歩きながらわたしの話をゆっくりと聞いてくれた。部長やほかの男性に体を触られるのが嫌で泣いてしまったことも話した。

「それは大変だったなあ・・・でもいまどきちょっと触られたくらいで泣いちゃうなんて、大森さんは純情なんだね」

 坂谷さんは冗談めかして笑った。

「みんな大森さんのことが可愛くてしかたないんだよ。ほら、スタイルもいいし、美人だし。俺だってすごく可愛いって思ってるよ。ねえ、彼氏はいるの?」

「そんなひと、いませんよ・・・」

 きれいだとか可愛いなんて、これまで一度も言われたことが無い。嬉しくなって、少しずつ気分が良くなって、一緒に歩くうちに気がつけばわたしは声を出して笑っていた。ちょっとほめられたくらいで単純すぎると思うけれど、やっぱり女性として誉めてもらえるのは嬉しかった。

 もうすぐ電車の最寄り駅に着くというところで、坂谷さんが立ち止まった。もうずいぶん散ってしまった街路樹の桜の下、漠然とした不安に落ちつかなくなる。

「坂谷さん・・・?」

返事が無い。怪訝に思って顔をのぞきこもうとしたとき、腕を掴まれて建物の影になるところに引っ張り込まれた。思い切り抱き締められ、息もできなくなる。わたしは何が起こったのかわからず、ただ呆然とされるままになっていた。

「大森さん・・・可愛いよ、ねえ、キスしてもいい?」

「えっ・・・」

 その言葉に答える前に、もう唇は重なっていた。困ります、と言おうとしても、腕の中から逃れようとしても、すごい力で押さえつけられて身動きができない。舌が口の中に絡みついてくる。思い切り吸われて息も苦しくなる。どうにか顔を背けて腕の中でもがいた。

「んっ・・・やめ・・・やめて・・・」

「少しだけ、少しだけだから」

 坂谷さんの手が白いブラウスのボタンを引きちぎる。布が裂ける音がする。下着も外されて乳房が丸見えになってしまう。太い指が痛いほどの力で胸を揉みしだく。乳首のまわりを舌が這い、固く尖ってきたところを思い切り噛まれた。

「痛っ・・・痛い・・・っ」

 それでも坂谷さんはやめてくれなかった。何度も何度も裸の胸に吸いついてくる。すぐ脇の通りを過ぎるひとたちは、チラリと横目でこっちを見てもすぐに見ないふりをして行ってしまう。

 坂谷さんが耳元で囁く。

「ああ、可愛いよ、大森さん・・・君があんまりかわいいからこんなこと・・・」

「ひどい・・・坂谷さん・・・っ」

 乳房をさんざん嬲られているうちに、恐怖に強張っていた体が少しずつ熱を持ち始める。乳首に唇が当たるたびに全身がびくびくと震える。

「僕と一緒に来てくれる?このままじゃ帰れないだろ?」

 坂谷さんが引き裂かれたブラウスの上から自分が来ていたジャケットをかけてくれた。胸の先が痛いくらいに敏感になり、自分の体に生まれた未知の感覚をどう処理していいのかわからない。坂谷さんの言葉がぼんやりと聞こえてきて、わたしは深く考えることもできずに「はい」と小さく答えた。

 本当に馬鹿だったと思う。

 あのとき、坂谷さんを振り切って部屋に帰っていれば、わたしは、わたしは。


 肩を抱かれたまま、駅とは違う方向へ夜道を歩いた。ひんやりとした夜風が火照った頬をさらりと撫でて過ぎていく。だんだんと街灯が少なくなる。人通りのない寂しい場所へ。体の疼きはおさまる気配を見せず、それは衣服が肌にこすれるだけで声が出そうになるほど。

 坂谷さんはそんなわたしの様子をみて、小さく笑った。


 しばらく歩くと倉庫のような建物が密集している場所に出た。潮の香りが強く、海がすぐそばにあることがわかった。港湾関係の倉庫だろうか。大きな赤いレンガ造りの建物が整然と並び、それぞれの建物には大きく数字が書かれていた。それぞれの数字が月明かりに照らされてぼんやりと浮かぶ。

坂谷さんはそのなかの「5」と番号のふられた倉庫に向かい、重厚な鉄扉に手をかけた。

 ギイ、と嫌な音が響いて扉が開いた。扉の中から薄い光が漏れてくる。その途端、わたしは背中を思い切り蹴られて前のめりに倒れた。木製の床にひざと腕をしたたか打ちつけ、その痛みに呻いた。

「痛っ・・・な、何を・・・」

「遅かったな、やっとヒロインのご登場だ」

「坂谷、おまえのことだから途中で味見してたんじゃないのか」

「こっちはもう盛り上がってるぞ」

数人の笑い声、それに交じって啜り泣くような声が反響して聞こえる。肩にかけられていたジャケットが奪い取られ、わたしは半裸の状態で床に転がっていた。

「立てよ。みんながお待ちかねだ」

 腕を強く引かれて立ち上がる。倉庫の中の異様な景色が目に飛び込んできた。 

 いくつもの蝋燭の炎が揺れている。そのたよりない明かりが照らし出す倉庫の中には、荷物はほとんどなかった。天井は高く、太い梁が数本伸びている。そしてその梁からは頑丈そうな鎖がぶら下がっていた。

 鎖のひとつには全裸の女性が両手を吊られ、片足だけを上げた不自然な形で縛られていた。啜り泣くような声は彼女のものだろうか。ズボンを下げて彼女の後ろで腰を振っている男がいた。またその足元では、別の女性が同じく全裸の状態で大きく足を開かされ、目の前に差しだされた男性の性器を舐めていた。彼女の乳房を後ろから揉みしだく手も見えた。苦しげな喘ぎ声が小さく耳に届く。

「なに・・・これ・・・」

 驚きのあまり言葉にならない。わたしのまわりを数人の男たちが取り囲む。そのなかにはニヤニヤと笑う坂谷さんと部長の姿があった。

 部長がわたしの髪をつかんで自分の方を向かせた。

「大森さん、歓迎会の途中で帰っちゃだめじゃないか。まあ、坂谷君が連れて来てくれたから良いようなものの・・・君にはいまから大切なお仕事があるんだ」

「仕事・・・?なに、坂谷さん、どういうこと・・・?」

 坂谷さんはニヤニヤとしたまま答えない。部長の手がわたしの頬を張る。予想外の痛みに声も出なかった。

「いま話しているのは私だよ。この不況の時代に、何の特技もない君のような女の子を雇う企業なんてあるわけないだろう。給料の分はしっかり働いてもらうからな」

 部長の手がわたしの洋服を脱がせていく。まわりから見知らぬひとの手も伸びてくる。下着まで脱がされて裸になった状態で、両手を天井から下がる太い鎖に繋がれた。怖い。

「さあ、本日の余興を存分にお楽しみください。そしてお楽しみいただけましたら、今後の取引の件もぜひ前向きにご検討ください」

 部長が男たちに笑いかける。男たちは下卑た笑いを漏らしながらわたしの体を眺め、よくわからない道具のようなものを手に近寄ってきた。小さな卵型のものが乳首に貼り付けられた。それはブルブルと振動を始め、さっき坂口さんに触れられたせいで敏感になっていたそこをじりじりと刺激した。

「やっ・・・あ、やめて、はずして・・・っ」

「ああ、若い子はいいねえ・・・声も可愛らしい。どれ、ここにも・・・」

 初老の男が白髪交じりの頭を屈めてわたしの股間を指で撫でた。同じ卵型のものがその指で探り当てられた突起の部分に貼り付けられる。強い振動が与えられ、わけのわからない感覚が体全体に広がった。

「ん・・・あ、だめっ・・・これ・・・いやぁっ・・・」

 誰かの手が両足を押さえて広げさせる。振動が与えられている部分のまわりをねっとりと舌で舐められた。また別の舌がお尻のまわりを這う。乳房を揉む手があり、また背中をバチバチと叩く手があった。涙で視界がぼやけてしまって、誰に何をされているのかさっぱりわからない。唇を吸われる。耳を噛まれ、舌を入れられる。

 男たちの息遣いが次第に激しく荒くなる。あらゆる場所を刺激されて、たまらないような気持ちになって、体の奥がどくどくと波打ち始める。

 冷やかな声が耳元で囁く。

「まだイクなよ。ちゃんとお願いしてからイクんだ。わたしのいやらしい顔を見てくださいってな」

「いや、そんなの、いやっ・・・あ・・・んっ・・・!」

「部長、大森さんはまだ男を知らないみたいですよ。ちゃんと突っ込んでからいかせてあげないと」

 坂谷さんの声に、まわりの男たちがどよめく。それはやがて嬉しそうな声に変わり、わたしの目の前に毒々しい紫色の大きな男性器を模した張り型が突きつけられた。

 誰かの声が言う。

「初めてが極太バイブっていうのも面白いじゃないか。さあ、足を開けよ」

 顔から血の気が引いていく。そんな大きなものが体のなかに入るわけがない。全力で足を閉じようとしたのに、男たちの手は無情にもそれを許さない。

 乳首とクリトリスの刺激はそのままに、新たな刺激がわたしの入口に与えられた。それは唸りをあげながら、強い振動と回転を繰り返しながら侵入してくる。それは少しずつ、確実にわたしのなかに飲み込まれていった。

 興奮した男たちの怒張した性器が太ももに擦りつけられる。痛いのか何なのかわからない感覚に体が引き裂かれそうになる。涙がとめども無く流れ、唾液が唇の端からこぼれ落ちる。それすらも男たちの舌は吸いつくしていく。

「いやぁ・・・お願い、抜いてぇ・・・抜いてよぉ・・・」

 叫べば叫ぶほど、それは奥へと捻じ込まれていった。一番奥まで入ったところで、男たちはわたしをなじった。

「初めてのくせにこんなぶっといのを奥まで咥えこむんだな」

「もうぐしょぐしょに濡れてるくせに、なにがいやなんだよ」

「もっと動かしてください、だろ。ほら、こうしてやるよ」

 奥まで入ったバイブがずるりと音を立てて抜かれる。そしてそれは同じ勢いのままわたしのなかに再び突き立てられた。その動きが何度も繰り返されるうち、自分の声とは思えないような声がわたしの口から漏れはじめた。

「あんっ・・・はぁん・・・・んっ・・・いいよぉ・・・気持ち・・・いい・・・」

 気持ち良くなんかないはずなのに。それでも自分のなかから突き上げてくる感覚には逆らえない。じんじんと響いてくる振動とそれに伴って高ぶる快感に弄ばれて、わたしは絶頂を迎えつつあった。

「お願いするんだよ、もっとヤッてくださいって。もっと気持ち良くしてくださいって」

 そうじゃないともうこのまま抜いてしまうよ、と言いながらバイブを抜き取られた。体の中に残された中途半端な空虚な感覚。さっきまでは抜いてほしくて仕方が無かったのに、いまはもう中から突き上げられたくてたまらない。足を広げ、お尻を突き出して腰を振りながらわたしはおねだりをした。

「入れて・・・入れて、ください・・・もっと、気持ち良くして・・・ください」

「素直じゃないか。でも今度はバイブじゃない。本物をぶちこんでやるよ」

 わたしの足に擦りつけられていた誰かの性器が一気にわたしのなかを貫いた。粘液の擦れるぐちゅぐちゅという音が聞こえ、それがさらにわたしを興奮させていった。

「ちゃんと膣内で出してやるからなぁ・・・」

「だめぇ・・・それは、だめっ・・・あ・・・」

そんなのダメだって思うのに、気持ちいい、気持ちいい。乳首に取りつけられていたものは剥がされ、かわりに別の誰かの舌が這う。男の「出すぞ」と言う声と共に熱いものが広がる。足の付け根のあたりが痙攣して、全身の力が抜けていった。

 鎖が解かれる。床に崩れるように倒れたわたしの上に、また別の男が覆いかぶさる。四つん這いにさせられ、お尻の穴にバイブを捻じ込まれた。痛みと共にまた新たな快感の波が押し寄せる。誰かがわたしの口に萎びた性器を突っ込む。夢中で舐めているとそれは口の中でどんどん大きくなり、やがて苦い液体を放出して果てた。

 お尻からバイブが抜かれ、そこに男が自らを突っ込んでくる。何度も擦りあげられるうちにそこからも得体の知れない快感が襲ってきた。別の男が言う。

「おまんこにもちょうだい、って言うんだろ」

 もう何かを考えられる状態ではなかった。男が口にした言葉をそのまま声に出す。おまんこにちょうだい、わたしのおまんこにおちんちんをちょうだい・・・

 お尻に挿入されたままのわたしのなかに、別の男性が前から侵入してこようとする。わたしの体は拒むことなくそれを受け入れる。前からも後ろからも突き上げられ、それを何人もの男たちの目に晒され、わたしは絶頂の中で気を失った。

 薄れゆく意識の中で、倉庫の中で犯されていた他の女性たちも、そういえば同じ会社の別の部署の社員だったような気がするなとぼんやり思った。

 わたしは気を失った後も、男たちが飽きるまで玩具にされていたらしい。意識を取り戻した時には、自分の粘液と男たちの精液にまみれてどろどろになっていた。

 明け方近くになって気がついたとき、部長と坂谷さん以外の男たちは消えていた。犯されていた女性たちもそこにはもういなかった。部長はわたしを気遣うように笑顔でこう言った。

「これが君の本当の『仕事』だよ。昨夜は本当に良い働きをしてくれた。これからも君の『仕事』、頑張ってくれるね?」

 部長の言葉を受けて坂口さんも続けて言った。

「君のおかげで取引先の社長たちも満足していた。おそらく今度の取引は上手くいく。君のおかげだよ」

 まあ逃げようと思っても逃がさないけどね、とふたりは笑った。その手の中には、痴態をさらした昨夜のわたしの姿をおさめた写真があった。


 その日からわたしは、表向きは会社の事務員として平穏に過ごし、呼び出しがあったときには取引先の男たちの性奴隷となって先方が望むあらゆるプレイに応じた。

 はじめは、男を知らなかったわたしの体を滅茶苦茶にした部長たちが憎かった。けれどもそれが繰り返されるうちに、今度はわたし自身が激しいプレイを求めるようになっていった。

 ときに彼らはわたしに宿題を与える。今日の宿題は1日下着をつけずに過ごし、クリトリスにあの小さな卵型のローターを貼り付けたままで昼間の事務作業をこなすというものだ。それをすこし離れた席から部長たちが見ている。

 夜、あの倉庫で、今日の昼間どんなにわたしがいやらしい顔をしていたかをみんなの前でなじられるのだ。そしてお仕置きが与えられる。それを考えただけで背筋がぞくぞくとして堪えられなくなる。縛られたい、見られたい。そして思い切りいやらしいことをされたい。

 わたしは少し、おかしいのだろうか。

 さまざまな思いを胸に、わたしは今日もあの赤レンガの倉庫へと向かう。

(おわり)


1 コメント

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大森さんは (かずちん)
2014-01-07 00:25:55
おかしくないよ!
酸いも甘いもわかったんだよね
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