先日11月29日より、私の新作電子書籍が配信開始になりましたのでお知らせさせていただきます。
今回の表紙、あづみ悠羽様の素敵なイラスト!
ふたりの絡み方も文字のくるんてなってるところも、なんかもう全部大好き。
さて、あらすじ。
本当はもっと愉しませてほしいくせに、嫌がるフリばかりだな――ある事情から都心の高級マンションで暮らし始めた杏奈。隣人はイケメンで金持ちだが変わり者の駿。ふたりはやがて会話を交わすようになり、まるで兄妹のように仲良くなっていく。ところがその関係はある夜を境に一変する。「俺と遊んでみる?」駿からの誘いを拒めない杏奈。彼から優しくしてもらえるなら――そんな杏奈の思いを裏切るように駿の様子が豹変。羞恥と混乱。止めてほしいのにもっと深い愉悦を与えられたい。倒錯した愛を駿に抱く杏奈は煽情的な企てをするが!?嫉妬心を逆撫でされた駿、罪悪感に囚われる杏奈。身体の繋がりだけじゃない、二人の思惑と真意は?
・・・というような内容です。
以下、本文サンプル。
最初の一章まるごと貼っておきます。ご覧頂いた方々に少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。
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「あ……あぁっ……」
剥き出しにされた白い太ももが、怯えるようにびくりと震えた。
男の指が淫靡な動きを繰り返すたび、しっとりと濡れた繁みの奥から温かな液体が幾筋も滴り落ちていく。
……声なんて出しちゃいけないのに。
どうしよう、誰かに見られてしまったら。
小嶋杏奈はこの上ない恥ずかしさと焦りを堪えながら、存在するはずのない視線を避けるようにうつむいた。
真夜中の海岸。
昼間は観光地として賑わっているが、いまはほかに人のいる気配もない。
雲の切れ間から漏れる月明かりだけが照らす、暗く静かな場所。
打ち寄せてくる波が、ときおり素足に付着した砂粒を洗い流していく。
そのすぐそばには、破られてボロボロになったストッキングと、小さなリボンの飾りがついたハイヒールが無造作に放置されている。
どちらも真新しかったはずなのに、いまでは浜辺に打ち捨てられたゴミのように無残な姿をさらしていた。
ひどい状態なのは、なにも靴に限ったことではない。
杏奈の髪はくしゃくしゃに乱され、ブラウスのボタンはすべて引きちぎられている。
はだけられた胸元からは、すでにブラジャーも剥ぎ取られていた。
かすかに震えるふたつの膨らみに残るのは、激しい愛撫の跡。
紺色の上品なスカートも尻の上まで捲り上げられ、ピンク色の小さな下着は丸まったまま華奢な足首に絡まっている。
どうして、こんな。
耐えられない、逃げ出したい。
それでも両腕を腰の後ろで縛られ、こうして強く抱き締められたままでは、逃げることはおろか恥ずかしいところを隠すことすらかなわない。
下を向いたまま立ち尽くしている杏奈の背後で、永見駿が不満げな声をあげた。
「なんだ、靴の汚れでも気になるのか? まだそんな余裕あるんだな」
「そ、そうじゃなくて……っ……」
びくん、と背筋に緊張が走った。
後方から秘部に差し入れられた数本の指が、真っ赤に熟した割れ目を強引に押し開いて奥へ奥へと沈み込んでくる。
ぐにゅり、ぐにゅり、と肉がこじ開けられていく感触。
やめて、と叫びたいのに、思うように声が出せない。
口から漏れだすのは、かすかな喘ぎと熱い吐息だけだった。
敏感な器官を無造作に弄られていくのがたまらない。
思わず身を捩って腕の中から逃れようとした瞬間、指がさらに深く突き立てられた。
「ん……っ……!」
「じっとしてろって言っただろ? 俺の言うことがきけないのか、杏奈」
低く静かな声が耳朶を震わせる。
ぞわりと鳥肌が立つ。
杏奈はほとんど条件反射で、ふるふると首を振っていた。
いいえ、逆らうつもりはありません。
無条件での降伏と服従。
杏奈はいくら抗ってみたところで、自分が彼に勝てるはずなどないことを知っている。
駿が満足そうに笑う。
「いつも同じだな、おまえは。本当はもっと愉しませてほしいくせに、本音を隠して嫌がるフリだけして見せる」
「わ、わたし、そんな……い、いやっ……!」
柔肉の狭間で、捻じ込まれた指たちが激しく動き始めた。
潤みきった肉襞を、これでもかとばかりにクチュクチュと擦り立てていく。
もう片方の手は胸元まで這い上がってきて、丸く膨らんだ薄桃色の乳頭を指の間に挟み込むようにして揉み込んでいく。
ひっ、と悲鳴のような声が喉の奥から迸り出た。
駿の愛撫はひどく乱雑なようでありながら、杏奈の感じやすいところを的確に責め立ててくる。
こんなことをされるのは嫌で仕方がないはずなのに、後から後から湧き上がる甘く痺れるような快感が全身を蕩かしていく。
戸惑う心を置き去りにして、肌は隠すことなく悦びを露わにして燃え盛っていく。
ぐちゅり、ぐちゅり、と鳴る淫らな音。
ざあ、ざあ、と波の音がそれに重なる。
半裸の肌を撫でる風はひんやりと冷たいのに、体の芯は熱くなるばかり。
ああ、もう。
頭の中がぐちゃぐちゃになる。
自分が何を望み、何を望まなかったのか。
そんな単純なことさえもわからなくなっていく。
息ができない。
腰が大きく揺れる。
熱くて、苦しくて。
両のつま先がびくびくと痙攣する。
とても立っていられない。
助けて。
このままだと、わたし。
「だ……だめえっ……!」
膝から崩れ落ちそうになった瞬間、指の動きが止まった。
陰部に耐えがたい疼きを残したまま、圧迫感がするりと消えていく。
絶頂へと昇り詰める直前に放り出された不安と失望が、杏奈の心を埋め尽くしていく。
「駿……?」
おそるおそる振り返ると、駿は粘液で濡れた指を拭いもせずに薄笑いを浮かべて杏奈を見下ろしていた。
どくん、と胸の鼓動が乱れる。
180センチの長身、すらりと長い手足。
風に流れる艶やかな茶色の髪。
人種が違うのではないかと思えるほど真っ白な肌。
長い睫毛、澄んだ瞳。
普段は人懐こい雰囲気を湛えているのに、いまは冷ややかで鋭い光を放っている。
すっと通った鼻梁、片側だけ意地悪く吊り上げられた薄い唇。
そのすべてが、杏奈を惹きつけて離さない。
駿の微笑が深くなる。
「だめだって言うから止めただけだ。そんなに不思議そうな顔をする必要ないだろう?」
「あ……」
杏奈は頬を真っ赤にしたまま、言葉に窮した。
たしかに、そうだけど。
でも、本当にやめちゃうなんて。
さっき指で触られたところが、悲しくなるほどジンジンしている。
もじもじと両脚を擦り合わせる杏奈に、駿は優しく囁いた。
「おまえが素直じゃないから悪いんだ。ほら、俺の指をこんなに汚したくせに」
顔の正面に突き付けられた指先は、杏奈の体液でてらてらと光って見えた。
極限の羞恥心がこみ上げてくる。
駿の眼をまともに見られない。
「だ、だって……こんなところで……」
「なに言ってんだよ、この海岸に来たがったのは杏奈じゃないか。たまには一緒に外で遊びたい、ドライブしたいって」
「そ、それは、そういう意味じゃ」
また、杏奈は言葉に詰まった。
外でこんな変態まがいのエッチがしたかったわけじゃない。
ただ二人で外に出て、ドライブをしたり海辺を散歩したりしてみたいと思った。
ごく普通の、恋人たちのように。
それが言えないのは、駿との関係がいったい何なのか自分でもよくわからないからだった。
杏奈と駿に、共通点はほとんどない。
生き方も性格も経済力もまるで違う。
容姿も平凡な杏奈に比べて、駿にはどこにいても女性の視線が集中する。
唯一の接点は、住んでいるマンションの部屋が隣同士だということ。
他には何もない。
ある日を境に一緒に食事をするようになり、体を重ねるようにもなったが、これもいつまで続いていくものなのかわからない。
そんな曖昧な関係を続けて、もう二ヶ月になる。
駿の女性関係が派手なのは承知の上だったし、最初はいつ振られてもかまわないと思っていた。
けれども毎日のように抱かれていると、知らず知らずのうちにささやかな期待が心の奥で膨らんでしまう。
いつかは都合のいい隣人以上のポジションに昇格させてほしい。
そう思う自分がいる。
彼の部屋で交わる以外のことを二人でしてみたい。
まず手始めにと提案したのが、この真夜中のデートだった。
それをわかっているのかいないのか、駿は海岸に到着するなり杏奈を波打ち際に立たせたまま乱暴に愛撫し始めた。
心に抱えた想いをよそに、体はいつでもすぐにその気になってしまう。
しなやかな指に身悶えさせられ、熱く湿った舌先に幾度も快楽の頂点に昇り詰めてしまいそうになった。
これでは場所が変わっただけで、いつも部屋でしていることと大差ない。
本当にしたいのは、もっと別のことなのに。
だけど下手なことを言って面倒がられ、体の関係までなくなってしまうのは絶対に避けたい。
黙ったまま動けずにいる杏奈の髪を撫でてやりながら、駿は背をかがめて目線の高さを合わせた。
「なあ、さっきの続きがしたいんじゃないのか?」
違うという答えは想像もしていないような口ぶり。
一瞬迷った後、杏奈は小さくうなずいた。
「でも、ここでは嫌……あの、マンションに戻ってから……」
「マンションなら良くて、ここがダメな理由って何? 教えてくれよ」
今度はからかうような口調。
杏奈の反応を見て楽しんでいるらしい。
腹立たしさと羞恥心がないまぜになって、杏奈の頬を赤く染めていく。
「だって、外でこんな格好……もしかしたら、誰かに見られちゃうかもしれないし」
「だったら気にするのが遅い。さっきまでマ×コぐちょぐちょにして、ハアハア言って感じまくってたじゃないか」
アレも全部、見られていたかもしれないだろう?
脱がされながら乳首いじられて、泣きながら『もっと、もっと』っておねだりしていたところとか。
奥まで俺の指突っ込まれて、あとちょっとでいきそうになってい
たところも。
ゆっくりと語られる駿の言葉に、信じられないほど体が反応してしまう。
肌の上に執拗な愛撫のリアルな感覚が蘇ってくる。
見えない舌が、指が、夜の闇に紛れて素肌に絡みついてくるような気がした。
本当に、全部見られていたのかもしれない。
知らない誰かに。
わたしの恥ずかしいところ……。
両脚の間から、じゅん、と熱い液体が染み出してくる。
半裸の自分に、男たちの視線が集まる。
あちこちから伸ばされた手が、もぞもぞと全身を這いまわっていく。
押さえつけられ、縛られたまま。
広がっていく妄想。
それを慌てて振り払い、杏奈は涙をいっぱいに溜めた瞳で駿をにらみつけた。
「や、やめて、そんなの聞きたくない!」
自分でも驚くほどの大きな声。
動揺と焦り。
感情を隠すのが下手で嫌になる。
駿の表情は変わらない。
「ちょっと怒った顔もいいなあ、すごくそそられるよ」
「からかわないで! もう帰りたいの……早く」
「自分が来たいって行ったくせに、そんなワガママが許されると思うな。せっかく来たんだ、もっと愉しめよ」
俺の言うこと、きけるよな?
杏奈。
視線を合わせたまま、駿は足元に放ってあった小さな茶色の紙袋を拾い上げた。
ガチャリ、と硬いものがぶつかり合うような音。
駿が袋の中から細長い棒のようなものを取り出して、にんまりと笑う。
背筋にぞわりと悪寒が走った。
「そ……それ……」
「嬉しいだろ? 杏奈の大好きなオモチャ、持ってきてやったんだから」
杏奈の目は、濃い紫色をしたシリコン製の塊に吸い寄せられた。
男性の生殖器を模して作られた、悪趣味な性具。
前に一度だけ、行為の最中に使われたことがある。
不気味な異物を挿入されるのが怖くて、悲鳴をあげて嫌がったのを駿も覚えているはずなのに。
杏奈は、いや、いや、と繰り返しながら後ずさりした。
波に足がとられる。
ばしゃん、と膝のあたりにまで水しぶきが飛んだ。
「絶対に嫌だって言ったじゃない! わたし、そんなもの」
「好きなだけ嫌がればいい。俺はさ」
泣きながら感じる杏奈の顔が、もっと見たいから。
ぞわり。
鳥肌がおさまらない。
伸ばされた駿の手に、縛られたままの腕をきつくつかまれた。
「や、やだ……」
「来いよ、今度は思い切りいかせてやる」
低く響く声に、興奮の色が混じる。
いつもそうだ。
杏奈が抵抗して逃げようとするそぶりを見せると、駿の眼は堪えきれない欲望でぎらついていく。
杏奈の肉体を虐め抜くことに全精力を傾けてくる。
異常な性癖。
ふたりだけの秘密。
『怖い、もう付き合いきれない』
『いいの。駿になら何をされてもかまわない』
胸に去来する真逆の感情。
足首まで波の中に浸かったまま動けずにいるうちに、杏奈は濡れた砂の上に引き倒された。
冷たくざらついた地面に背中が打ち付けられる。
「いやっ、いやあっ!」
「もっと抵抗しろよ、そのほうが面白い」
濡れた両脚をめちゃくちゃにばたつかせて暴れた。
駿の白いシャツにいくつもの黒い点が散る。
そんなことに動じる様子もなく、駿は杏奈の右足を肩の上に抱え上げ、左足の上にのしかかるようにして杏奈を押さえ込んだ。
両手と両脚の自由を封じられてしまうと、もうどうすることもできない。
駿の視線は鋭いまま、涙と砂で汚れた杏奈の顔に向けられている。
レイプまがいの行為はいつものことだが、今夜のやり方は特に冷酷なように思えた。
「こんなのひどすぎるよ……どうして? ねえ、駿!」
「おまえが悪いんだろう? 俺が何も知らないとでも思っているのか」
「え? わたし、何も……んっ……!」
大きく開かれた秘部の中央に、丸みを帯びた性具の先端が押し当てられた。
硬く冷たい玩具が微弱な振動を繰り返しながら、うっすらと口を開いた秘裂にゆっくりと埋まっていく。
ぬぷっ、と丸くくびれた亀頭の部分がめり込んでくる。
指とは違う強烈な異物感に、思わず尻が浮き上がった。
時間をかけた愛撫でたっぷりとほぐされていた蜜襞が、待ちかねたように疑似男根に絡みついていく。
きゅうっ、と膣が収縮するのがわかる。
あの蕩けるように甘い痺れが、再び下腹から全身へじんわりと広がっていく。
あ、あ、とかすかな喘ぎが漏れた。
息が弾む。
喉の奥が干上がっていく。
水浸しになって冷えきっているはずの体に、ありえないほどの熱が籠っている。
杏奈は無意識のうちに、自分からシリコン棒に秘肉を擦りつけようとするかのように腰を揺らしていた。
……わたし、すごく感じてる。
こんないやらしい道具、見せられるだけでも虫唾が走るほど嫌いなのに。
自分自身の一部が、突き崩されていくような気がした。
やめなくちゃいけない。
こんなもので感じたりしたくない。
杏奈は残された理性をかき集めて駿に懇願した。
「お願いだからやめて……わたしが何か悪いことをしたなら、謝るから……」
「まだごまかすつもりか? 勝手にルールを破ったくせに」
「ルールを……? あっ、だめ、だめえっ……!」
性具が勢いをつけて根元まで挿入された。
指では届かない深い場所まで到達した後、ずぶり、ずぶり、と淫肉を擦り上げながら杏奈の中を突き上げてくる。
どれだけ抗おうとしても、怒涛のような快楽が次から次へと押し寄せてくる。
泣き声と叫びが絶え間なく声帯を震わせる。
絶頂感がもうすぐそこまで来ている。
なのに、駿を怒らせた理由がわからない。
わたしは何のルールを破ったのだろう。
朦朧とする頭では、何も思いつかなかった。
オーガズムを目前にした杏奈の真上に、駿の顔があった。
涙で霞んでしまい、彼の表情を読み取ることはできない。
教えて。
いったい何のことを言っているの?
切れ切れの声。
駿が吐き捨てるように呟く。
「昨日、他の男と一緒に帰ってきたよな。俺といる間は、他のやつと付き合ったりしないって約束じゃなかったのか」
「あ、あのひとは同じ会社の……そんな関係じゃないって前にも……あぁっ……!」
全身が大きく反った。
腰がガクガクと震え続けている。
だめ、もうイッちゃいそう。
下品な玩具なんかで。
でも、いい。
このまま、もっと、もっと。
ぼやけた視界の中、駿の顔が近づいてくる。
唇が触れそうな距離。
綺麗な瞳が不安に揺れているように見えた。
「俺に嘘はつくなよ。本当にあいつとは何でもないんだな?」
「ない……本当に……」
ただ残業で帰りが遅くなったから、心配してマンションまで送ってくれただけ。
わたしには、駿しかいない。
だから、もう許して。
荒い吐息交じりの言葉に、駿がわずかに表情を緩めた。
「……ルールは絶対守れ。わかったか」
頷こうとしたそのとき、静かに唇が重ねられた。
温かな舌先が潜り込んできて、口の中を探りながら激しく唾液を啜りたてていく。
まるで、杏奈のすべてが自分のものだと自己主張するかのように。
この態度。
もしかして、嫉妬していたの?
それに気づいた瞬間、胸の奥に柔らかな感情が流れ込んできた。
いつも自信満々で、どんなものでも手に入れられる彼が。
わたしをほかの男に盗られたと思って怒っていたなんて。
たしか、前にも同じようなことがあった。
理由なんてどうでもいい。
まだ求められているのだと思えるだけで、飛び上がりそうなほど嬉しい。
彼にとってのくだらない『遊び』が、いつか本気の恋に変わりますように。
白く輝く月明かりの下、杏奈は密やかな願いが大きく膨らんでいくのを止められずにいた。
(サンプルはここまでです)
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よろしくお願いいたします。
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