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世界の宗教

昨年の8月に京都において「第8回世界宗教者平和会議」が開催された。同会議には世界中から宗派を超えた各宗教指導者が集まり、4日間に渡って世界平和への道を探す会議が行われた。残念なことに、この会議には世界の紛争に大きく関わっているキリスト教やイスラム教の原理主義の宗派指導者の参加は無かった。また国内においても、世界会議の主催団体が事実上、立正佼成会であることから、何かと同会に反目する創価学会などの不参加となった。会議の理念は高く評価されるべきものであるが、世界宗教の歩み寄りという高邁な理想への険しい現実が露呈された結果となった。マスコミの扱いも、ほんのさわりが報道されただけで、突っ込んだ取材を行うところも無かった。日本人の世界宗教に対する関心の薄さを象徴するかのような出来事であった。

日本の総人口に対するキリスト教徒の人口比率は僅かに1パーセントにすぎないと言われている。ましてやイスラム教徒やユダヤ教徒の人口比率など推定できないほどの僅かな人数であろう。データが少々古いが、下記に1997年の調査結果をご覧頂きたい。

□各宗教(主な宗派別)人口
●キリスト教 ■イスラム教 ▲仏教 ★ユダヤ教 ○その他 ○数字は順位

●カトリック(キリスト教:10億4000万①
●プロテスタント(キリスト教:3億6100万⑤
●東方正教(キリスト教):2億2300万⑥
●英国教会派(キリスト教):5500万⑩
■イスラム教・スンニ派 :9億5200万②
■イスラム教・シーア派:1億8400万⑧
■イスラム教・ワッハーブ派:1100万⑭
○ヒンドゥー教: 7億4700万③
○儒教・道教:3億6900万④
▲大乗仏教:1億9800万⑦
▲上座部仏教: 1億3400万⑨
▲チベット仏教: 2100万⑫
○シーク教: 2300万⑪
★ユダヤ教:1500万⑬

上記に含まれないその他の小宗派を合計した宗教人口
●キリスト教合計: 19億6700万人
■イスラム教合計: 11億4700万人
▲仏教合計: 3億5300万人
★ユダヤ教: 1500万人

世界の人口が60億強とすれば、キリスト教徒の人口比率は約33パーセント。イスラム教徒は約20パーセントになる。実に世界の人々の三人に一人はキリスト教徒であり、五人に一人はイスラム教徒なのである。また世界の先進国の大半はキリスト教国であるが、先進諸国の中でわが国のようにキリスト教徒が少ない国は稀有である。明治以降、西洋文明化が図られた中で、国民がキリスト教化しなかったことは世界史の奇跡である。

ともすれば現代の日本人は無宗教であるといわれることも多い。しかしながら日本人は宗教心が薄いかといえば、答えは否である。お金を本尊とする拝金教という新興宗教に毒された、一部の人たちを除けば、日本古来の神道と外国伝来の仏教がうまく融和して宗教心は大多数の日本人の生活、風習、倫理感の中に深く息づいている。自分は無宗教と考える人も多いが、実はそうではない。神仏混淆の教えを身と心の奥深くまで自然に受容している為、当たり前すぎて宗教としての自覚が無いだけである。


人類の歴史を振り返り、また未来を望見したとき、重要な鍵を握るのは、良くも悪くもキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の三宗教と言っても決して過言ではない。周囲にこれらの宗教の信徒が少ないわが国において、三宗教に興味や関心を持てないことは当然の結果ではある。しかし、これらの宗教の成り立ちや教義を少々理解すれば、国際政治の動きが、しいては国際社会における日本と日本人の役割さえもが見えてくるのである。今後、回を重ねながら、スピリチャルな視点も交えた考察をご紹介していきたいと考えている。

続く

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