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☆つる姫の星の燈火☆

つる姫的夏の18切符の旅・まじめバージョン~天空の城へ~

  腸の話

 

実は私は胃腸に問題を抱えている。

その割にはよく食べて飲む。

加齢によるものか病的なものかは定かではないが、日々朝の腸は最悪なのだ。

なので、朝早いお出かけは最低でも出発1時間半前には起床する。

そう言うわけで今朝も3時半に起床。

旅の疲れもあるのか、いつもより一段と最悪な腸と格闘したのち

無事に始発電車に乗り込んだ。

 

  道を選ぶ

  

車窓を流れて行く雲の多い空を見ながら、数分で竹田駅に到着。

竹田城址に登るルートはちょっと調べたのだが

たまたま歩いていたお婆ちゃんに道を聞いてみた。

最近衰えてきた方向感覚は、ハンパない。

 

竹田城址に登る道を尋ねると、

「短いけど急な道と・・・」

そこまで聞いて私は

「短い道を教えてください」

迷うことなくそう言った。

 

きつくても早く着きたい。

大体私はそう言う性格なのである。

せっかちというか、どうせなら早く着きたい!のだ。

そして、何より日常ではなまっている自分の身体が

旅に出ると130%の力を出せる事を知っている。

火事場の馬鹿力、に匹敵すると思う。

何より日頃から蓄積している非常用のアルコール燃料がある。

 

別れ際お婆ちゃんは霧のかかった山を見て

「何も見えんね」と笑った。

何も見えませんね!

と私も笑顔で答えた。

何の疑いもなく、霧はそのうち晴れると確信していた。

 

さて、登山道は表米神社からスタートである。

上までおよそ20分と書いてあったように思う。

お茶の子さいさい、朝飯前だ。

確かに朝飯を食べていない。

余裕綽々で階段を上り矢印通りに左に曲がった。

  

  死ぬかも知れない

 

霧の深い上り坂。

上り始めて間もなく、息が荒くなる。

思っていた以上に厳しい坂道だ。

気温はさほど高くはないが、汗が噴き出してくる。

マジか~~こんなにきついとは思わなかったしい~~。

苦し紛れに大きな声で独り言をいう。

 

そして私は大きな失敗に気づいた。

水を持っていないのだ。ケロッと忘れていた。

登山をする人から見たら大馬鹿である。

しかも、これほどまできつい道だと思っていないので

5キロほどのリュックを背負ったままだった。

つまり体重が一気に5キロ増えた状態で、きつい坂道階段を上っているのだ。

 

道に丸太を埋めて作ってある階段は

腿が胸に付くくらい上げないと上れない所もある。

今朝は腸との格闘がひどかったので、何も食べていない。

なのに汗は次から次へと吹き出してくる。

昨夜のビールが変化した液体に違いない。

おニューのシャツも、髪の毛も、

汗と霧で夕立に降られたようにびしょびしょになってしまった。

 

まさに心臓が飛び出しそう、とはこの状態を言うのだろう。

こんな急な坂道でふらりと倒れたら、転がり落ちて死ぬ。

お化けより怖いものがあるとしたら、こんな場所で死ぬことである。

いつ死んでもいいけど今はいやだ!?

 

そうだ! 手を打つ。

私は大口をあけて口で息をした。

周りに立ち込めた霧を口から摂取できないものかと本気で思ったからだ。

高山に生息する植物だって、水分を霧から摂取するではないか。

最悪の時は、ボウフラの湧いた溜り水でも飲める気がした。

デング熱?

山の上だからテング熱になるかも知れない。

 

何度も休み休み登りつづけた。

呼吸も心臓も少しも楽にならないが

頑張ろう。登るしかない。

 

そう言えばいつも見ている山の番組で

登山する人が両腕を組んで歩いているのを見たことがあるのを思い出し

その格好で登ってみた。

飛び出しそうな心臓を抱え込むような格好だ。

しかし、全く効果がなかった。

それどころか、万一躓きでもしたら顔から落ちると思ってやめた。

顔面強打で鼻血を垂らして歩くのは恥ずかしい。

 

そうこうしながらもついにやっと舗装された道に出た時に

前を4人組の若い女子が歩いていた。

 

  霧中で夢中

 

もうひと踏ん張りよ。

などと誰かが言っていたのが聞こえたので、

一番後ろを歩いていた女の子に話しかけた。

「駅から登って来たんですか?」

すると女の子は駐車場から来たという。

たぶん、きつくはないが時間のかかるルートから来たのだろう。

 

6時過ぎに登りつめた城址はこのありさまである。

しかし幻想的と言い換えれば美しい風景である。

私はもうじき晴れてくるであろう霧の中で長い時間を過ごした。

遅くても9時37分の姫路方面行の電車に乗ろうと考えていた。

時間は3時間ある。

 

夢中で小さな生き物や花の写真を撮りながら贅沢な時を過ごした。

2014年霧中の旅。

 

霧はますます深まるようにも思える。

今日は曇りだとテレビも言っていたような気がするし

次の電車に乗れるように山を下りようかなあ、と弱気になる。

今なら7時13分の電車に乗れる。

麓でビール^^なぞとお下品で低俗な想いが頭をよぎる。

とても当分仙人にはなれそうにもない。

いや、一生なれないに違いない。

 

上を下へと、うろついていたら先ほどの女の子たちに会った。

「何も見えないですね」と言うと、先ほど言葉を交わしたかわいい子が

「いいえ!あきらめません!」

と若くて美しい目を輝かせてそう言い切った。

そうだった。私もきっと晴れると思ってここに登って来たのだ。

おばさんだって諦めないわ!と

美しい目をあげて、再び霧の中を歩いた。

すると

どうぞ座ってくださいな、と切り株さんが声をかけてくれた。

私はこの素敵な椅子を陣取って、霧の中で贅沢な時間を過ごした。

そうだそうだ!

昨夜和田山駅の近くの手作りパン屋さんで買ってあったアンパンを食べた。

う・・・・うまい。

こういう場合は美味しいというより、うまい、という方がふさわしい。

物を食べるという事は、こころにもよいらしい。

 

食べると喉が渇くかと思ったが、不思議に喉の渇きは感じない。

霞のお蔭だろうか。

 

時間は7時半を過ぎた。

次の電車は8時20分だ。

風もなく霧が流れる感じもしない。

これで雨でも落ちてきたらすっきりと諦められるのだが。

 

   諦めるタイミング

 

私は考えた。

諦めなければ夢は叶う、と幼い子どもたちに言い続けて来たが

かくいう自分はいくつものことを諦めて生きてきた。

諦めるという事は簡単なようで、実はそのタイミングが非常に難しい。

 

私は諦めるタイミングを、9時37分の電車に乗れる時間に設定することにした。

駅までは、多く見ても30分はかからない。

9時まで待って霧が晴れて来なかったら山を下りよう。

 

切り株に躓いて転ぶウサギのお話を思い出したり

今日こそおいしいものを食べようと頭を巡らせたりした。

切り株の周りをせわしく歩き回る大きな黒い蟻。

幼い頃山に行くと必ずいたこの大きな蟻は確か、オオヤマアリ。

写真を撮ろうとすると葉っぱの下に逃げ込んでしまう。

霧に包まれて過ごす時間はゆっくりと流れる。

思えばなんて贅沢な時だろう。

一匹だけど、蟻がとう。

 

ふと足元から目をあげて空を見た。

 

つづく

 

最後までお付き合いくださり

ありがとうなら、みみずはたち。謎

 

感謝をこめて

つる姫


私の好きなものは笑顔。笑顔は世界を救うと信じるつる姫のブログです。

コメント一覧

つる姫
ブライトあいさん
朝早かったせいもあり、数えるほどしかいなくてよかったです。
やはり早起きは徳ですね、得かな。
腸の調子は震災以来それ以前に増してわるくなってます。
上手く付き合うしかないとも思いますが
旅の時には少し不安ですよね。
今回の旅のブログは長くなりそう。。
つる姫
ブラボーさん
くまさんのぬいぐるみ作ってるんですか?
今度見せてくださいね。
ブログは結構毎日書いています。
時間があったらお立ち寄りください。
ブライトあい
静かな竹田城址!
こういうお天気だからこそ撮れた写真が
とても素敵!

お天気がいい日は観光客がいっぱいで
どちらを向いても人人人・・になってたかもですね。

消化器系、私も少々難ありであれこれ試し
最近は内臓マッサージなるものも学んでみました(笑

旅の続きを楽しみにしています!
ブラボー
この日記迫力有るわね
オハヨウ~♪
ご無沙汰しちゃったね。いつから始まったの?私も最近動き始めたから、時間無くてねクマさんの縫いぐるみも作らなきゃだし。。あっコレは私の独り言ね。
まったく無茶するんだから。。。と心配だったけど、まぁ~何とか目的は果たせて、明日の日記が楽しみだわ
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