昨夜芭蕉の句を挙げたが、眠くて眠くて肝心の句を落としてしまいました。
○ 山里は万歳遅し梅の花 芭蕉
真蹟懐紙前書に「伊陽山中初春」(『芭蕉全句集』雲英末雄・佐藤勝明・2010)
生まれ故郷伊賀は山里でいかにも万歳の来るのが遅い。梅の花は咲いてもう春の陽気であるよ。
三冊子は「山里は萬歳おそしといゝはなして、梅は咲けりといふ心のごとくに、行きて帰る心、 発句なり」という。発句の格をそなえた句なのである。ふくよかな香をただよわせて咲く梅を見 ながら、万歳を待っている山里の人の心持を詠んだ句である。
これが一茶になると
○万さいや馬の尻へも一祝い 『七番日記』調子にのったまんざいがかたわらにいる馬のお尻を囃している。馬の尻は滑稽感に満ちている。芭蕉とはまた違いますね。そして
○大声や廿日過ぎての御万歳 『七番日記』万歳は一月一日から十九日をめどにやってきたものだそうです。伊賀には大和万歳か伊勢万歳がきたのでしょう。
○ 鷹一つ見つけてうれしいらご崎 『笈の小文』
○草臥れて宿かる比や藤の花 『猿蓑』
これが一番好きかな