■測ったら
では、4時30分から6時までの1.5時間の測定で7点のデータが取れたとしましょう。今度はそれをグラフ化します。
何だか学校の勉強のようですね。そうです、皆さん方は占星術をやるため学校へ行き、嫌な勉強をしたのでしょう? こうしたワザが必要になるので、学校で習ったのです。全ての学びは占星術へ通じる! 今度はその努力を成果に結びつける番です。
学校と言えば、上では縦、横といった表現をしましたが、学校用語ではY座標、X座標の値でしたね。
さて、縦は縦軸、横は横軸で左のようにプロットします。測定値をそのままのcmで描くと大きいなあと思う場合は1cmを半分の5mmに縮めるとか、それなりの工夫はして下さいね。
ここで真西が90になるよう横軸を調整していますが、こんなことをせずに測った長さを目盛って戴ければ結構です。
要は、右下に下がっている、ということがわかれば良いのです。
これで終わり? いいえ、本番はこれからです。
■移動量を求める / 1cm=1° ラジアンの秘密 / 手尺
左上が4時30分、右下が6時でした。では、左上の点から右下の点までの長さを、今度は、モノサシで測りましょう。測角器がモノサシに変身です。
ざっと測ると24cm、1時間あたり16cm、つまり角度の16°です。
おっと、待って下さい。cmが°(度)に変身していますよ。
上で申し上げました。測る時は57cm離して見ると。この57が秘密のカギで、1°という角度で広がっていくと、57cm先で1cmになるのです。10°なら10cmです。人間の腕の長さが57cm位というのは偶然でしょうが、だいたいそうなっています。本当かどうか、暇な時に、一度、測ってみて下さい。
それで、「手尺」というものが作れます。「手酌」じゃあ、ありません。左の図のように、軽く、握りこぶしを作って左右を測ってみるとほぼ10cmです。これも実際にどの程度の力でこぶしを作れば10cmになるか、確かめておくと良いと思います。
この「手尺」では10°という角度が測れます。
●ラジアン
実は、57はラジアンにまつわる数字でした。皆さん、学校で弧度法、ラジアン、を習いましたね。半径と同じ円弧の長さを見込む角度が1ラジアンでした。1ラジアン=57°、忘れてましたか? 忘れていても結構です。そういう用語があることを知っていることが大事なのです。
したがって、1°=1/57ラジアン、つまり57cm先の1cmというわけです。
●太陽の日周運動 15°/時
さて、話はこれからです。先ほど1時間に16°としましたが、本当は15°ですね。太陽は24時間で一周するのですから、360°÷24時=15°/時 です。
太陽の日周運動は1時間に15°と、多くの方はご存知でしょうが、実際、測ったという人はそうはいないでしょう。今回、手持ちの測角器では16°になりましたが、これを皆さんはどう評価されますか? 道具がちゃちい、測り方が下手、不真面目、などなど、いくらでも批判できるでしょう。しかし、どうでしょうか? やったことがない人から批判されたいと思いますか? そんな批判を受け入れようと思いますか? たとえ精度の悪いデータにしろ、まぶしい太陽を相手に涙を流しながら、震えるウデを押さえて、長い時間かけて得られたデータです。「そんならお前がやってみろ」と言いたくありませんか?
さ、これでまた一歩、前進です。
なお、この15°/時という角度単位は黄道帯の分割によってできたサインやハウス等に反映されていますから、占星術では最も重要な単位の一つと言えます。占星術に関心を持たれている皆さんがこれを体験的に把握しておくことはとても大切なことです。
*)備考:円周とラジアン、360°は2π=6.28ラジアン
円周=2πr、にいぱいあーる、と覚えていますよね。rは円の半径でした。半径と同じ弧長になる角度が1ラジアンで、円の一周が半径の2π倍ですから、円の一周360°が2π=6.28ラジアンです。
*)備考:弦の表との関係
57cm先の1cmを1°としましたが、この1cmは厳密には円の一部ですから曲がっています。曲がっているのを測るより、真っすぐな尺の方が楽なので、円弧を真っすぐに結び、その長さを測るようにしました。その長さと角度を結びつけるのがアルマゲストの弦の表です。ここでは真っすぐに線分長を測っていますので、測角器は正確には弦の長さを測っていますから、測角器を使うことはアルマゲストに従った正統的な西洋古典占星術の実践ということになります。
福島 憲人(2021.3.18.)
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