当時、大学病院の診察は、午前中の時間帯しか見てもらえず、
どうしても町医者にたよわらざるをえませんでした。
後悔が残りますが、この現状ではやむおえませんでした。
それから以後、私はシロの事だけしか頭から離れませんでした。
毎日毎日何もしたくなくて、ただ呆然としていました。
ペットショプの前を通っても、仔犬が可愛いとは、ちょっとも思いませんでした。
仔犬を見たい…という気持ちにはなれず、いつも見ないようにしていました。
毎日辛くて…辛くて…自分を責めてばかりいました。
やがて、シロが亡くなり初夏が来て、1匹の秋田犬が我が家にやってきました。
シロが亡くなる前に自分で高床式犬小屋を造っていましたので、
その中でわんこを飼うことになりました。
「こんどこそ、シロの命を無駄にしてはいけない!!」そういう気持ちが強く沸いてきました。
秋田犬保存会の展覧会に何度も足を運び、犬を出陳したり、
秋田犬の皮膚病について、色々学んできました。
私は、これまでの自分の歩んできた道、そして経験を、
秋田犬の好きな方々に少しでも多くの事を伝えて行けたらいいのにな………
と思い、秋田犬のブリーダーの資格を取りました。
犬は可愛いだけで飼えないのです。秋田犬は、皮膚が弱い犬です。
私は、犬の良いところ、悪いところをきちんと皆様にお伝えして、
秋田犬の素晴らしさを解って秋田犬と共に人生を楽しんでいって頂けたらいいのにな…
と思っています。
血統書付の犬は、雑種犬と比較すると、先天的に病弱な場合が多いのも事実です。
だから、血統にこだわる事は、人間の自己満足にすぎず、犬にとっては迷惑なのかもしれません。
しかし、種を守る為には血統にこだわらなければならないわけですから、ブリーダーとしては、正直悩む所です。