QOOTESの脳ミソ

日記や旅の記録(現在進行中および過去の旅)がほとんどですが、たまに「腹黒日記風」になっているのでお気を付けください。

『ひと月9000円の快適食生活』魚柄仁之助

2025-03-02 21:19:47 | Books, Movies & Music
先日Bookoffで数時間、幸せな時間を過ごした。旅先でしかできないことの一つだ。

良く書くように村上春樹さんの長編は初読感の無駄遣いをしないようにするために、最近のモノは読まずに温存してある。でも本自体は読もうと思った時にいつでも読めるようにそろそろ買っておかないとなと見ていたら、1Q84などの文庫本はかなり古書が出回っているらしく、安めにたくさん出ていた。

よしよし。

綺麗で安いものを見つけ次第少しずつ買いためておこう。

新品の書店にしても古本屋にしても、いろんな本があって好奇心が非常に刺激される。贅沢な時間だ。

そうは言っても、今日どうしても買いたい本もないし、さて、帰ろうかとふと右を向いたら棚にあったのがこの本。アフィリエイトは一切やってないんだけど(笑)、どんな本かを紹介するためにアマゾンのリンクを入れておく。

もし面白そうだな、でもQOOTESが嘘ついてアフィリエイトやってたら癪だなと思った方は、リンクじゃなくて新規に書名を検索して買ってみてね(笑)。

 
節約本と言えば節約本ではあるんだけど、最近よくある主婦の時短レシピとか言って、掲載されているのが全部鶏ガラスープ味の料理だとか、ワンパンパスタばっかりとか、ああいうのとはちょい違う。

あ、少し前に炎上していた化学調味料界隈の話については全然賛成派です。美味しけりゃいいじゃん派。少々身体に悪くても僕もあと20年くらい生きたら終わりだし、ドクターストップがかからない以上は、少々のことでじたばたするより化学調味料が入っていても美味しいものを食べた方がいい。

だけど、自分で料理するときは味の素やハイミーを入れなくても美味しくできるのでわざわざ自宅には置いていない。反対ではないけど、無くても美味しい料理できるし、化学調味料は他の調味料のどこかに入っているし、余計なお金と(台所の)スペースを使いたくない、ただそれだけ。

で、この魚柄さんの本は、そういう「全部鶏ガラスープのレシピ」みたいな節約料理本とは違って、実は簡単な本格出汁を取る方法とか、実は簡単な魚のさばき方とか、実は簡単にできるよ手打ちうどんとか、そういう感じのオーソドックスな技や料理が実は手軽にできるんだよっていう「知恵」がたくさん書かれている。

僕が一番お気に入りなのは「ウニは高いからイカのワタを使って自分で作る」方法。日本酒一升飲めそうですよね(笑)。

和食寄りって言ってもいいのかな。これをパラパラッと読んで気になったものを実践すると酒の肴もいろんなバリエーションで作れると思う。

実は、この本、年収200万円くらいで生きてた頃に持っていて自分の飯を作るのにたまに参考にしていた書籍。あの時もBookoffで出会った。

脱線しますが、僕は年収200万円くらいのフリーターで生きていた20代から32~33歳くらいまでの時も、特に人を妬んだりしたこと一切ないですからね。ああいう妬み体質な貧乏人とは違う貧乏人だったので一緒にしないで(笑)。

妬んでないけど、妬みに聞こえるかもしれない表現もしないように特に気を付けていましたね。例えば友人がどこかに旅行に行って帰ってきたときに、

「オレはそんな金ない、いいよなぁ、おまえは。」など、わざわざ言うとか。

こういうこと言ったり、ネットに書き込んだことありませんか?

みすぼらしいですよ。

例えばネットアンケートで「今年のGWはどこに行きたいですか?」と言う質問に「お金がないからどこにも行けません。」ってわざわざみっともないこと書いたことないですか?おまけに「みなさん生活に余裕があるんですね。」とか嫌味を付け加えたり(笑)。

同じことを言うなら「今年はお金をかけられないので家にいる予定です。」とかね。でもそもそも「どこに行きたいですか?」って質問なんだから、どこにも行く予定がないなら書きこまなくてもいいんじゃないかって思いますね。

自分は事実を言っただけかもしれませんが、楽しんで帰ってきた人は嫌でしょ、そんな卑屈ないい方されたら。貧乏は貧乏でもそういう「みみちい貧乏人」にだけはならないようにしようと思ってました、あの頃(笑)。

本題に戻ります。

そんなフリーター生活のある日妹がやってきて「お兄ちゃん、何この本?面白そう、ちょっと貸して。」というので貸してやったら、面白いし、食事作りの参考になると絶賛して返してくれなくなった。いまも彼女のキッチンに置いてあると思います。

兄としてはこの男女平等の時代に専門職でバリバリ働いて年収もともすれば旦那よりも多い妹が家事を一切やらされているのはほんとにイラっとするので旦那をぶんなぐりたい気分だったのだが、ま、それは僕が口を出すことでもないかもしれないので置いておくと、

主婦が毎日の食事を作るうえで一番面倒なのが、献立を考えること。栄養を考えることもその一つではあるが、一番厄介なのか食う奴らが自分で作らねえくせに同じようなものが続いたら文句言ったりすること。

そういう問題を解決するのにもこの本は彼女の参考になったようで、それで「僕の本だから返して」とも言いにくくなっていた(笑)。

そんなのがもう20年強ほど前の話で自分でもほとんど思い出しもしなかった。しかし、最近は「思う存分孤独死するための家」計画がどんどん具体化してきて、そこでどういう生活をするかについて考えることも多くなってきているので、美味しい酒の肴を作るという計画の一環でこの本のことも思い出し、そのうちまた古書店で同じものを手に入れなきゃなと思っていた。

そんな折に、偶然札幌のBookoffで再会☆

運命。

手に取ってみたら、ほとんど劣化もなく古書としてとてもいい状態だったので迷わず購入したというわけ。税抜き定価1500円のところ、500円で販売されていた。

いい買い物ができたと思う。

因みに、同時期に同じように妹が返してくれなかった料理本で、栗原はるみさんの『もう一度、ごちそうさまが聞きたくて』というのもあった。もう一度と言うのは『ごちそうさまが聞きたくて』という書籍が先に刊行されて、それの第二弾と言う意味だ。

 
この本に載っていたので特に美味かったのは2品。

エビチリを作るときに最後に卵をふんわり炒り卵にして混ぜ込むというレシピ。これはマジ美味かった。えびのないときには牡蠣で同じようにふんわり卵入り牡蠣チリにもしてみた。それも美味かった。

もう一つは混ぜるだけチャーハン。炒り卵やエビやネギなどお好みのチャーハンの具だけをちょっと味強めにして作っておいて、それを炊きたてのご飯に混ぜ込むだけの混ぜるだけチャーハン。これも美味すぎてよく作ったが、食べすぎて肥った(笑)。



『オキナワ マヨナカ』カベルナリア吉田

2025-01-30 11:25:09 | Books, Movies & Music
『SHOGUN』と、その前にまだ少しだけ残っている本。今回の旅に持って行くのはこの2冊でいいかなと思い、『SHOGUN』のあとか、英文に疲れたときに自宅で読もうと思っていた本がこれ。

つまみ食いのようにところどころ読んでいて僕の好きなオキナワが描かれていて面白いなと思ったのだが、先ほど購入して初めて最初の2ページを読んでみたら。

ちょっとな(笑)と、それで、これも持って行って旅先で読んで帰ってきたらBookoff行きボックスに入れようと思った。

その「ちょっとな」ポイントは、昔のバックパッカー的な書き出し。バブル明けの頃の若いバックパッカーの書くものは大体こんな空気だった。

[アジアの旅から深夜便で早朝の成田に着き、疲れた頭のまま、でも躍動するアジアのパワーに十分に満たされた気持ちで電車で都内に向かう。ほどなくすると、通勤のサラリーマンが続々と乗り込んできて、車内はたちまち一杯になった。

ふと、彼らの顔を見ると、みんな同じ顔。ひとりひとり違う人たちなのに全員が同じ暗い顔をしている。僕がアジアで出会った子供たち、たくましく生きる人々のらんらんとした瞳とは全く違っていた。この旅から帰って、東京というコンクリートジャングルの生活の中で、僕もこんな風に表情を無くしてしまうんだろうか。

いやだ、それは絶対嫌だ、と僕は声なく叫んでいた。]

・・・みたいな文章の本ばかりだったじゃないですか、あの頃(笑)。今の旅好きな若い物書きもこんな安い論調で書いているんでしょうか。

20歳の頃に初めてタイとインドに行って帰ってきた頃は、そういう描写を読んで(そうだ、そうだ。みんな死んだような顔をしている。僕はあんな風になりたくない!)と思っていたが、そのあと安っぽいなと思うようになっちゃって。

僕がまともに働き始めたのは33歳くらいの頃だったので、別に自分がサラリーマンになったからそう思ったわけではなくて、そのずっと前、まだ「なんちゃってバックパッカー」でバイト代がたまったら飛行機に乗ってどこかに行く生活をしていた頃にそう思っていた。

ま、この本自体も古い本なので、カベルナリアさんの「若気の至り」だろうからやり過ごせばいいんですが(笑)。ああいう論調は好きになれないので、断捨離の一環として手元に置く書籍を厳選している段階の今、一度読んで楽しんだらバーの情報など必要なものだけ記録しておいて、次に誰か読みたい人の元に届けるのがいいかなという結論に至りました。

冒頭のありがちな記述以外の内容は好きなので、この数日で楽しみたいと思う。

若い頃の話ではないのだが、40歳手前くらいの頃でしたか。よく行っていたほぼ日本人しかいないバーになぜか一人のウェールズ人が良く来ていたんです。

まあ、すごい酔っぱらい方する奴で、やはり彼のことを快く思わない人も少なくなく。僕は楽しかったからいつも一緒に飲んでお喋りを楽しんでいた。話の途中で、彼の勤め先が僕の勤め先の通りを挟んだビルだということがわかって、一度昼飯でも食おうということになった。

で、ある日約束をして昼飯を食ったのだが、夜の顔とは全く違って彼は静かで、夜に会う時のようには会話が続かない(笑)。(仕事で何かあって不機嫌なのかな)とこちらがいぶかしく思うほど。

あまりに居心地悪かったので、昼飯が終わる頃に彼に言ってみた。

「昼間は静かなんだねぇ」

そうしたら、彼は僕の目をまっすぐに見て、

「昼間まで夜みたいにハッピーPeopleでニコニコ騒いで喋りまくってたらただのバカでしょ。真剣に仕事してるんだから。」

と言われて(確かに。その通りだな。)と思った。

その時に、若いときに読んだ何冊ものバックパッカー本の、冒頭のようなステレオタイプな記述のことを思い出した(笑)。

因みにカベルナリア吉田さんは、5~6年前に稚内駅の前で見かけたことがある(笑)。

90年代のブラックムーヴィーをめぐる思考の旅。

2025-01-17 01:18:21 | Books, Movies & Music
BSで懐かしのベストヒットUSAを観ていたら、このPVが紹介されていて、今の曲なのに、80年代、90年代ぽい造りで懐かしくなった。Sony Music TVね(笑)。

曲は現代ぽいけど、好きです。


さて、ここから始まりました。脳内再生。

そう言えば、90年代と言えばブラックムーヴィー全盛の時代(でしたよね?)。スパイクリーのDo the right thingからMo' better Blues, Jungle Feverに至る初期3部作が大好きで。僕にとってニューヨークの象徴でしたね。ハイパーメディアクリエイターの高城剛さんがまだ売り出したばかりで、深夜番組でスパイクリーの映画を熱く紹介していました。

「マンハッタンの高感度な女性たちの間では、カルヴァンクラインの男性用ブリーフのキンタマのところを切り取って女性用のスポーツブラにするのが流行ってる」って紹介もしていました、ハイパーメディアクリエーターが(笑)。

僕自身は、90年代はアメリカ本土には少し住みましたが、まだニューヨークには行けませんでした。でも黒人がやたら多い南部に住んでいましたので、ブラックミュージック好きだった自分の好奇心は非常に満足させられましたね。彼の映画のサウンドトラックも当時のヒップホップやR&Bの曲が多く使われていて、日本でもアメリカの田舎でもよく聴きました。

これらの映画の中でも僕はJungle Feverが一番好きでした。ニューヨークの黒人男性とイタリア系移民の女性の恋愛を題材にした物語でした。ふぞろいの林檎たちが全編サザンオールスターズだったのと同じように、Jungle Feverのサウンドトラックは全編スティービーワンダーが手掛けています。

しかし、エンディングのこの曲(Feeding Off The Love Of The Land)だけはなぜかサウンドトラックのCDには収録されていなくて。そこそこの成功を納めている黒人の主人公男性がラストシーンで町を歩いていて、曲がり角で鉢合わせたヤク中の女に「2ドルでしゃぶるよ」って言われるのですが(黒人社会の問題を象徴しているシーン)、その直後にかかる曲。いい曲なんです。

曲もいいけど詞も非常にいい。


この曲が収録されているマニアックなチャリティCDが一枚だけあるのは昔から知っていたのですが、以前はヨーロッパのとある国からの輸入しか手段はなかったんですね。(その頃はアマゾンはありませんでした。)

でも今アマゾンで調べたら、日本の中古盤屋さんで販売しているところがありました。インターネットはやっぱりすごいですね、薬にも毒にもなりますが(苦笑)。

スパイクリーの登場から数年時代を下って90年代半ばになると、下品なブラックムーヴィーというのもかなり流行って、そのなかでも有名なのが、Don't be Menaceという作品です。

アメリカから帰ってきて大学院を修了してから市ヶ谷の編集プロダクションに転職面接に行ったんですが、最初に面接をした担当者がブラックムーヴィー好きでこの映画の話で盛り上がりましたね。他の担当者には僕の印象があまりよくなかったようで採用には至りませんでしたが(笑)。27~28歳くらいのときの昔話ですね。

この映画、すぐに人は射殺するわ、黒人のバーさんが下品な話するわで、子供には見せたくない映画ですね(笑)。でも、黒人のコミュニティってこういう感じだったなと思わせるところもたくさんあって、リアリティがあるから黒人の子供たちにもウケたんでしょうね(笑)。

この映画のサウンドトラックも90年代半ばにヒットしたR&Bの歌手が多く参加しているのです。婦女暴行で(たしか)実刑喰らってるR.Kellyとか、日本でもビルボードでたまにライブやってるJoeとか、「どエロR&B」の歌手ですね(笑)。女の子が聴くだけでパンツ濡れそうな歌をうたう人たち。

げ、Youtubeに映画自体がフルで上がってた(笑)。あとで観よ。


でもサウンドトラックの方がお勧めです。この曲とか。


ま、いい時代でしたね。

まだストリーミングが普及し始めたころに、広島のソウルミュージックを流しているソウルバーが営業時間中に店で流しているのと同じものをリアルタイムで流していたのを夜に流して眠りについていました。

日本でも落ち着いてブラックミュージックが聴ける店があると嬉しいんですけどね。あっても若い子がうじゃうじゃいてうるさくて隅っこでマリファナの臭いしてるような店か、R&Bを何か高等な趣味みたいにしちゃってる中高年男性しかいない店のどちらかしかなくて。

草もうんちくも要らないの、いい音楽と美味い酒さえあれば(笑)。

円安でずっと延期になってるけど、そろそろアメリカの禁断症状が出てきてるんだと思います。レンタカーに乗って、R&Bか「ロッケンロール」のラジオ局にカーオーディオを合わせて、左手でハンドル、右手でクリスピークリームドーナツ持ってかじりながら田舎を走りたいんだよね、いつもやってたように。

給油するついでに、スタンドの雑貨屋でポルノ雑誌も買ってね(笑)。

『語るに足る、ささやかな人生』駒沢敏器

2025-01-11 09:14:58 | Books, Movies & Music
 
遅読癖のせいでまだ手元の本を読んでいないのでSHOGUNが読み始められない。ゴールデングローブ賞を獲った今のうちならペーパーバックを扱う古本屋でいくらかにはなると思っているんだけど(笑)。

そのあとで読みたくて温存しているのがこの本。

僕が20代の頃から長らくNHKラジオ英会話のテキスト上で作家・翻訳家の駒沢敏器さんが連載していた「Small Town Talk」が書籍化されたものだ。アメリカ文化に造詣が深いと言えば語感が硬いが、僕と同じアメリカがすきな人だったのだろうと思う。

この本は僕も住んでいたようなアメリカの田舎の小さい町を彼が巡って綴ったエッセイ集。書籍化にあたってこのような面白くないタイトルになってしまったのが悔やまれるが、英会話のテキストでそこそこ読んでいるから内容は折り紙付きだ。

ブログに書こうとアマゾンで調べたら文庫本なのになんと中古で3000円している。でもこの本は大切だから売れないな。ずっと持っていたい一冊だ。

なぜここまで高騰しているかと言うと、絶版になっているから。なぜ絶版になっているかと言うと、おそらく著者が数年前に自ら命を絶っているから。享年51歳。今調べたら2012年のことだった。当時は驚いた。

ラジオ英会話講座の連載で彼の文章を知ったが、その頃はまだそれほど作品を出版していなかったと思う。修論を書いていたWindows95でデスクトップで彼の名前を検索したら草思社という出版社の簡易なウェブサイト上で『58号線の向こうへ』という連載をされていたので、それをむさぼるように読んだ。

58号線なので沖縄の物語。だが、焦点を当てるのは米軍がもたらした文化と混ざり合った沖縄の姿。今僕が年に何度も沖縄を訪ねるその好奇心の背景にあるものと同じ。

全何回の連載だったかは忘れたが、基本的に一回につき1エピソードの形で連載されていた。連載が終わって僕も読み終えてしばらく経った頃だった、久しぶりに好きなエピソードを読みたいと開いたら、連載の家一階分が欠番になってテキストが表示されなかった。たしか、米軍の仕事の関係か何かで沖縄に渡ってそのまま当地の教会の牧師さんになられたアメリカの方のエピソードだったと思う。

そのエピソードで描かれた方との間で、何か許可がとれていなかった事柄があったのか、その他の理由か。

その連載もまた『アメリカのパイを買って帰ろう: 沖縄58号線の向こうへ』という、内容を十二分に引き出せていない凡庸なタイトルの単行本になったのに加え、出版社は草思社ではなく日経BPに替わっていた。何があったのだろう。

日系BP社には学生時代の5つ上の先輩が働いている。同窓会つながりでたまに彼の名前を聞くことはあるが彼のことは非常に嫌いだったので、特に個人的な交流はない。物知り自慢の男で、よくサブカル界隈の雑談をみんなでしている時に「〇〇のこと知ってるなんて、やるじゃん」と上から言ってくるのが嫌いだった。自慢じゃないが、硬軟取り混ぜた知識の幅は僕の方が彼よりも圧倒的に広い。

5年や10年早く生まれたくらいでは、知識量なんてそんなに変わらない。重要なのは、どれだけの濃さの一年一年を重ねたか。

脱線した。

この『アメリカのパイを買って帰ろう: 沖縄58号線の向こうへ』、ウェブの時に全部読んでいたので書籍は要らないとは思っていたが、ある時草思社のウェブ上では見られなくなっていたのを発見したので一冊購入しておいた。これも当然、今は中古で4000円程度まで高騰している、が、売らない。中身は知っているので敢えて読んではいない。おそらく欠番になったエピソードは端折られたままなんだろう。

表題の作品と二冊一緒にいつか旅に持って行って、滞在先で読もうと思っている。できればアメリカ南部をのんびり旅行している時がいいですね。

彼の作品をもっとたくさん読みたかったのになぁ。

過日、エチオピア航空機内で改めて観た「ショーシャンクの空に」が良かった。

2024-09-22 15:50:05 | Books, Movies & Music
やはり時差ボケなのだろうか、非常に眠くて寝ていたらさっき(15時頃)宅急便のベルで起きた。受け取ったがきっと(こんな時間に呑気に寝やがって)と思われていることだろう。ごめんなさい。

昨日のブログでケープタウンへの行きのエチオピア航空で観た映画「ショーシャンクの空に」の話を書いたら、Youtubeにそれに関連した動画が出てきて、ネットって怖いなと思いつつも、それらのいくつかを観たら全部面白かった。特に興味深かったものが一つ。この動画だ。

1994年の映画なので今更ネタバレに気を遣わなくてもいいとは思うが、もしまだ観てないが観てみたいのでネタバレは困るという方がいたら、この下は読まないでくださいね。


この動画は映画が公開されてからずっと後のもので、当時の脚本家と主演の二人(ティムロビンスとモーガンフリーマン)による対談の一部。脚本家自身が元々書いた映画とは違うクライマックスについて話している。

彼によると、本来彼が書いたクライマックスはモーガンフリーマン演じる「レッド」がティムロビンス演じる「アンディ」に呼ばれてメキシコに行くバスに乗っている場面で終える予定だった。そのバスにはこれから彼を待っている未来の象徴としての意味を持たせていた。スティーブンキングの原作でもそんな感じの終わり方になっている。

だが、「この二時間超という長い映画を辛抱強く観てきた観客に、何らかの形で二人が長い時を経て再会するというカタルシスを提供するのは我々の責任なのではないか」と言われ、その構想は制作陣によって否定された、と言っている。

そうやってあの美しいクライマックスのシーンが生まれたわけだ。

実際の場面の切り抜きもあったので貼ってみる。


改めてモノを作る人々のすごさというのを感じずにはいられない。

それに加えて、「我々にはその責任がある(owe)」と言う表現が実にアメリカ人らしいなというところが非常に興味深いし、僕はそういう彼らの言語表現が非常に好きなのである。(oweの訳し方が間違ってたらごめんね(笑)。)

僕だけかも知れないが、owe(負う)って言う動詞は英語の勉強をしている時にもっとも肌感覚に落とし込むことが難しかった単語の一つだった。それなのに、当のアメリカ人がいろんな場面でいろんな使い方をしてくるので本当に厄介だった(笑)。

同じようにdeserve(価値がある)という動詞も最初はめんどくさい単語だった。今では自分でも使うことができるが、ちょっと日本語にはない動詞なので。日本語だと動詞ではなく同じ意味の形容詞を使う。帰国子女とかハーフ(ハーフの友達が最近自分たちのことは「ダブル」って呼べとかうるさいのがいるけど、私はハーフでいいのよと言ったのでここではハーフで行く(笑))だと日本語を一切orほとんど介さないので僕のような困難は感じていないと思う。

映画はどちらかと言えば好きだが元々映画館に足繁く通う方ではない。というか映画館にはほぼ行かない。去年久しぶりに行ったがあれは10年超ぶりの映画館だったと思う。

じゃ、自宅のテレビで観るかと言うと、それがそんなに観ない。実は一番映画を観るのは国際線の機内だったりする。

(そんなに海外旅行をしているのか)と言われるかと言われれば若干逆で、それくらいの頻度でしか映画を観ないということになる。

ただ機内だとなぜか普段よりも感受性が高まっているので、映画にしてもオーディオプログラムの音楽にしても心に染み入ってくることが多く、より楽しめる。聞いたことのないアーティストの歌をなんとなく聴いてみたら、意外に良くて降りてからCDを買うことも多い。映画は新作もたくさん入っているし。

以前ANAの機内エンタメで歌手のJUJUさんの特集番組があってご本人がゲストで出られていたことがある。ANAのプログラムなので番組中に彼女の旅に着いても聞くのだが、彼女がこんなことを言っていた。原文通りではないが書いてみると、

「飛行機の旅ってすごく楽しいじゃないですか。なんか疲れたなと思うと、長距離の国際線に乗ってどこかに行くんです。座ると、映画も音楽もたっぷり用意されていて、眠くなったら寝ればいいし、(おなかすいたな)(のどが渇いたな)と思えばCAさんにお願いすると何か持ってきてくださるし。あんな快適な空間ってないですよね。」みたいな意味のことをおっしゃっていた。

彼女はきっとJFK行きのファーストクラスの話をしているんだろうが(笑)、僕は飛行機に乗っているのが好きなので、エコノミーユーザーでも彼女の気持ちはわかる。

「本日は皆さまの迅速なご搭乗へのご協力のおかげで〇〇分早く到着いたしました」って言われると、本当に残念な気分になる(笑)。