順天堂大学医学部附属順天堂医院で「新生児取り違え」が起きたのではないかという報道を受けて、順天堂は4月6日付でプレスリリースを行い、その可能性が「極めて高い」と認めました。
この手の話はよく聞くというか、例えば推理小説のネタに使われたり、漠然と「もしかしたら起こりえるのかもしれない」とは思っていましたが、実際に大学病院で起きた可能性が高いとなると、ちょっと愕然としますね。2組の両親と子供が入れ替わってしまったことで、その子供たちは本来とは全く異なる人生を歩むことになったでしょうから。色々な意味で、とても酷な話であるように感じますし、しかしそれもまた運命だったのかもしれないとも思います。
1999年横浜市立大学医学部附属病院で起きた患者取り違え事件(平成11年1月11日という1が連続する珍しい日付に起きました)は約20年前になりますが、それ以降、医療安全は各医学部でも重視されてきました。したがって、最近ではこのような取り違え事案は発生しないだろうと思っています。どの病院でも患者の本人確認の仕方はかなり徹底されています。しかし今回の順天堂の事案は50年前とのことですから、医療従事者としては「あってもおかしくはないかも」という気がしないでもありません。
順天堂のお隣にある東京医科歯科大学に勤務している知人はいるものの、順天堂には知り合いがちょっと思い浮かびませんね。私としては関係者の皆さんがどう思っておられるのか聞いてみたい気もするのですが、すこし不謹慎でしょうか。当時の順天堂医院のスタッフはさすがに全員退職されていらっしゃるとは思われますが…
私が医学部生だった頃、ある産婦人科の先生から「念のために子供のDNA検査はしておくといいよ」という話がありました。その先生が熱く語っていたのはもっとゲスなこと(いわゆる託卵など)でしたが、たしかに今回のような可能性がないとは限りません。50年前はともかく現在は色々な科学的方法がありますから、念のために本当に自分の子供かどうかを調べるというのは、とくに男親にとっては重要なのかもしれませんね。
たとえ血がつながっていなくても家族は家族という意見もあるでしょうし、過ごした時間とは関係なく血縁を重視する見方もあるでしょう。どちらが正しくて、どちらが間違っているという話ではないのだろうと私は思います。
それにしても色々と考えさせられる事件ですね。
順天堂医院での新生児取り違え事案についてのお知らせ
学校法人 順天堂
一部週刊誌にて順天堂大学医学部附属順天堂医院(以下「当院」という。)において、約50年ほど前に、出生した新生児を取り違えた事案が発生していたという記事が掲載されました。本事案発生の概要、その後の当院での調査結果及び対応等を下記の如くご説明申し上げます。
■本事案発生の概要
今から約50年ほど前に当院で出生されたお子様について、最近になって当事者の方及び当事者のお母様のご協力によりDNA検査を実施し、当事者の方とお母様との間に親子関係が存在しないことが判明しました。当院を退院された後に取り違えが発生することは考えにくいものと思われます。従って、当院にて取り違えが発生した可能性は極めて高いと判断致しました。当時の新生児確認は、分娩後、臍帯は医師が切断し、助産師が新生児を沐浴室に連れていき、沐浴後に新生児の足裏に母親の名前を記すという方法が採られていました。取り違えが発生したとすれば、新生児の足裏に母親の名前を記す前に起きたことなどが想定されます。しかしながら、当時出産された方々のカルテを確認いたしましたが、そこには取り違えを疑わせる記載は認められませんでした。
■当事者ご本人様及びお母様へのお詫びと協議の経緯
当事者ご本人様及びお母様からは、ご相談を頂いて以降、出生時の状況等をお伺いしました。それらの内容と、当院での確認調査から、当院で取り違いがあった可能性が極めて高いと判断して、お詫びをし、解決に向けて、弁護士等の意見を踏まえ話し合いを行ない、ご了解して頂くことに至りました。
■取り違えの相手方当事者様の調査
取り違えの相手方当事者様は、当院に保存してあった過去のカルテにより、確定ではありませんが、ある程度絞られました。しかしながら、退院後約50年に亘り親子関係や社会関係を築いておられると推測されることから、さらに調査し、ご本人様やその親である方にお知らせすることが適切かどうかについて、慎重に検討を行いました。この問題については、さまざまな考え方がありうるものと思料いたしますが、専門家の意見を基に、50年以上経過後にお知らせすることによって、現在の平穏な生活を乱し、取り返しのつかないことになるのではないかと考え、お知らせしないことといたしました。また、この事態を公表すること自体も、相手方当事者様にとって望まない結果になりうることを懸念して、当院からその時点での公表を差し控えることといたしました。しかしながら、本事案が週刊誌に掲載されたことを受けて、当のご本人様あるいはご家族からお問い合わせがある場合には、誠意をもって適切に対応する所存です。
■関係者の皆様へのお詫びと今後の対応
当院において本事案を生じさせたことにつきまして、当事者ご本人様をはじめとする関係者の皆様に対し心よりお詫び申し上げます。
本学では既にこうした取り返しのつかない事態が発生することのない体制を整備しておりますが、あらためて万全の態勢により細心の注意を払って参る所存です。
なお、当事者の方及びご家族に関する情報、当事者ご本人様とお母様との協議の詳細及び相手方当事者の方に関する一切の情報の開示は、本学としては控えさせていただきますことを何卒ご容赦下さいますよう、お願い申し上げます。
■本件に関するお問い合わせ先
順天堂大学医学部附属順天堂医院事務部管理課
電 話:03-3812-0860
ファクシミリ:03-5802-1144
(www.juntendo.ac.jp/news/20180406-06.html)
この手の話はよく聞くというか、例えば推理小説のネタに使われたり、漠然と「もしかしたら起こりえるのかもしれない」とは思っていましたが、実際に大学病院で起きた可能性が高いとなると、ちょっと愕然としますね。2組の両親と子供が入れ替わってしまったことで、その子供たちは本来とは全く異なる人生を歩むことになったでしょうから。色々な意味で、とても酷な話であるように感じますし、しかしそれもまた運命だったのかもしれないとも思います。
1999年横浜市立大学医学部附属病院で起きた患者取り違え事件(平成11年1月11日という1が連続する珍しい日付に起きました)は約20年前になりますが、それ以降、医療安全は各医学部でも重視されてきました。したがって、最近ではこのような取り違え事案は発生しないだろうと思っています。どの病院でも患者の本人確認の仕方はかなり徹底されています。しかし今回の順天堂の事案は50年前とのことですから、医療従事者としては「あってもおかしくはないかも」という気がしないでもありません。
順天堂のお隣にある東京医科歯科大学に勤務している知人はいるものの、順天堂には知り合いがちょっと思い浮かびませんね。私としては関係者の皆さんがどう思っておられるのか聞いてみたい気もするのですが、すこし不謹慎でしょうか。当時の順天堂医院のスタッフはさすがに全員退職されていらっしゃるとは思われますが…
私が医学部生だった頃、ある産婦人科の先生から「念のために子供のDNA検査はしておくといいよ」という話がありました。その先生が熱く語っていたのはもっとゲスなこと(いわゆる託卵など)でしたが、たしかに今回のような可能性がないとは限りません。50年前はともかく現在は色々な科学的方法がありますから、念のために本当に自分の子供かどうかを調べるというのは、とくに男親にとっては重要なのかもしれませんね。
たとえ血がつながっていなくても家族は家族という意見もあるでしょうし、過ごした時間とは関係なく血縁を重視する見方もあるでしょう。どちらが正しくて、どちらが間違っているという話ではないのだろうと私は思います。
それにしても色々と考えさせられる事件ですね。
順天堂医院での新生児取り違え事案についてのお知らせ
学校法人 順天堂
一部週刊誌にて順天堂大学医学部附属順天堂医院(以下「当院」という。)において、約50年ほど前に、出生した新生児を取り違えた事案が発生していたという記事が掲載されました。本事案発生の概要、その後の当院での調査結果及び対応等を下記の如くご説明申し上げます。
■本事案発生の概要
今から約50年ほど前に当院で出生されたお子様について、最近になって当事者の方及び当事者のお母様のご協力によりDNA検査を実施し、当事者の方とお母様との間に親子関係が存在しないことが判明しました。当院を退院された後に取り違えが発生することは考えにくいものと思われます。従って、当院にて取り違えが発生した可能性は極めて高いと判断致しました。当時の新生児確認は、分娩後、臍帯は医師が切断し、助産師が新生児を沐浴室に連れていき、沐浴後に新生児の足裏に母親の名前を記すという方法が採られていました。取り違えが発生したとすれば、新生児の足裏に母親の名前を記す前に起きたことなどが想定されます。しかしながら、当時出産された方々のカルテを確認いたしましたが、そこには取り違えを疑わせる記載は認められませんでした。
■当事者ご本人様及びお母様へのお詫びと協議の経緯
当事者ご本人様及びお母様からは、ご相談を頂いて以降、出生時の状況等をお伺いしました。それらの内容と、当院での確認調査から、当院で取り違いがあった可能性が極めて高いと判断して、お詫びをし、解決に向けて、弁護士等の意見を踏まえ話し合いを行ない、ご了解して頂くことに至りました。
■取り違えの相手方当事者様の調査
取り違えの相手方当事者様は、当院に保存してあった過去のカルテにより、確定ではありませんが、ある程度絞られました。しかしながら、退院後約50年に亘り親子関係や社会関係を築いておられると推測されることから、さらに調査し、ご本人様やその親である方にお知らせすることが適切かどうかについて、慎重に検討を行いました。この問題については、さまざまな考え方がありうるものと思料いたしますが、専門家の意見を基に、50年以上経過後にお知らせすることによって、現在の平穏な生活を乱し、取り返しのつかないことになるのではないかと考え、お知らせしないことといたしました。また、この事態を公表すること自体も、相手方当事者様にとって望まない結果になりうることを懸念して、当院からその時点での公表を差し控えることといたしました。しかしながら、本事案が週刊誌に掲載されたことを受けて、当のご本人様あるいはご家族からお問い合わせがある場合には、誠意をもって適切に対応する所存です。
■関係者の皆様へのお詫びと今後の対応
当院において本事案を生じさせたことにつきまして、当事者ご本人様をはじめとする関係者の皆様に対し心よりお詫び申し上げます。
本学では既にこうした取り返しのつかない事態が発生することのない体制を整備しておりますが、あらためて万全の態勢により細心の注意を払って参る所存です。
なお、当事者の方及びご家族に関する情報、当事者ご本人様とお母様との協議の詳細及び相手方当事者の方に関する一切の情報の開示は、本学としては控えさせていただきますことを何卒ご容赦下さいますよう、お願い申し上げます。
■本件に関するお問い合わせ先
順天堂大学医学部附属順天堂医院事務部管理課
電 話:03-3812-0860
ファクシミリ:03-5802-1144
(www.juntendo.ac.jp/news/20180406-06.html)