「不可視の両刃」放射線に挑む~英国大学院博士課程留学~

英国に留学して放射線研究に取り組む日本人医師ブログ

大学院留学後の就職について

2019-01-13 | 雑記
海外へ留学した後、進路に迷う例は少なくありません。もちろん、私もそうでした。海外での体験は、日本に生まれ育った者に対して、自分がやりたいことは何か(希望)、自分に向いていることは何か(適性)を改めて考えさせるものがあるのでしょう。したがって、その後の進路については、色々と悩ましいものなのですね。

かつて大学院博士課程修了後の方々が路頭に迷う「漂流する博士」が問題となりましたが、さらに海外で研鑽した者が日本国内で活躍できない「ガラパゴス化する日本」も問題でした。とりわけ今回の私の場合、その両方に該当してしまうわけで、英国大学院留学後の身の振り方についてはやはり悩ましかったのでした。とはいえ、私には医師免許がありますので、研究を止めれば臨床医として食っていくことはいつでも可能ですので、すこし心の余裕がありました。つまり、仕事として研究して生きていくことが問題なのではなく、最大のポイントは「自分のやりたい放射線の研究を、自分が主体的な(独立的な)立場で、継続できるかどうか」にかかっていました。せっかく英国で放射線生物学・腫瘍学の大家に師事して学位を得ながら、日本でそれを活かせないようでは、あまりにも残念だと思っていたのです。

幸いにも、最近、望外のポジションが提案されまして、自分が希望していたようなある程度主体的な立場で、新しい放射線治療を研究することが出来る見込みになりました。臨床も研究もやらないといけないという忙しいポジションですが、仕事の裁量も大きいですし、とにかくやりたいことがやれるので、若手の医師、医学者にすぎない私に対してはかなり有り難い申し出でした。実は、放射線研究できるポジションがなかなか取れずに困っていたところでしたので、まさに「捨てる神あれば拾う神あり」といったところでした。
こちらの大学院の友人たちと、先日、博士号(PhD)取得後の就職について話をしたのですが、やはりと言うべきか、就職先が決まらずに困っている方もいます。友人らに比べれば、私ははるかに恵まれたポジションを得ることが出来たといえるでしょう。医師免許を持っているので、就職が比較的容易なのは当たり前と言えば当たり前ですが、でも私としては就職先の目処がたつまでやはり苦しかったです。それなりにもがき苦しんだのでした。それを過去形で言えるのは、きっと幸せなことです。

留学は、それ自体がゴールではなく、あくまでキャリアパスの中における一通過点です。
英国に限らず海外への留学は、単純にとても楽しいですし、自分の視野を広げてくれる貴重な経験になりえますが、その後のことまでよく考えることが大事ですね。日本から逃げるようにこちらに留学してくる人たちを少なからず見てきましたが、彼らはこちらでの滞在期間が終わった後に日本に戻り、結局、それなりに苦労していらっしゃるようでした。もしかしたら私自身もちょっと考えが足りない部分があったかもしれないと、今になってちょっぴり自省しています。
留学はある種の自分探しでもありました。しかし、結局、「自分」とはこれまで積み重ねてきたもの全てに他なりませんでした。したがって、進路を選ぶにしても、今までの自分がやってきたこと、築いてきたものだけが頼りです。色々と悩み、苦しみますが、今までの自分を見つめ直し、前へ進むしかありません。

歌手のスガシカオさんが『Progress』という曲のなかで良いことを言っています。私も同感です。

ずっと探していた 理想の自分って
もうちょっとカッコよかったけれど

ぼくが歩いてきた 日々と道のりを
ほんとは "ジブン"っていうらしい

世界中にあふれているため息と
君とぼくの甘酸っぱい挫折に捧ぐ…
"あと一歩だけ、前に 進もう"

2 コメント

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おめでとうございます (トモandアイ)
2019-01-13 23:19:31
こんばんは、日本から応援している一人として、

とても良かったとホッとしました。

昔からよく言われているように、人生は、

自分がやった分だけの幸せがあるって🎶

私の人生は、後半に入っていますが、

やった分が~ちょっと少なかったかな?

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いつもありがとうございます。 (管理者)
2019-01-14 02:20:58
トモandアイ様
いつも応援をありがとうございます。色々と葛藤もありましたが、医師として臨床もしながら、最先端の設備で研究できるという環境を選ぶことにしました。
私がこれから何が出来るかは判りませんが、今後も自分なりに頑張っていきたいと思います。
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