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旅行・スイーツ・お茶犬が大好き( *´艸`)

オスマン帝国外伝 第48話「死の宣告 」

2020年02月01日 | 映画&TV


第48話「死の宣告 」

さて。今回の物語のスタートは誰から?
治療院にいるギュルニハルをヒュッレムが見舞いにくるシーンから。
…っていう事で、ギュルニハルとヒュッレムでしたー。
始めに女の子から始まるのは、気分がいいわ。

「助かってよかった。心配したわ」
そういって、ギュルニハルに笑いかけるヒュッレムだが、ギュルニハルは、犯人は分からないの? と問う。
「…ええ。 そうなの。どこかに、殺人鬼がいる」
ヒュッレムの言葉にうなずいたギュルニハル。そして、皇子たちは元気か、ミフリマーフは? 会いたいな、と漏らす。
「元気よ。あの子たちも恋しがっている」
そう、話していると、スンビュルがやって来る。
「災厄の使途が来たわ。…何の用?」

ヒュッレムの言葉にギュルニハルが笑っているのを見て、平常心を保つスンビュル。
「ご所望の衣装が出来ました」
と、ブツブツと言っているスンビュルに、ちょっと驚いて思わず、あんたが、私の世話を? と聞いてしまう。
「勿論です。何なりとご命令を」
不満たらたらな表情のスンビュルに、ヒュッレムは、感心したわ。誰でも、いつかはまともになるのね、と言って出て行くのだった。


イブラヒムの屋敷の地下牢に閉じ込められているレオはというと…。
「レオ、ヒュッレム妃への手紙を読んだ。庭で合う約束をしてたな」
そう、レオに手紙の事を聞き出すがなかなか認めないレオは、「ワナだ」と言い出すが…。
「どこの誰が、お前にワナをかけるんだ」

確かに!
そりゃ、そうだ。
そんなワナなんて必要ないよね。流石はイブラヒム。鋭い!!

「俺、工房の嫌われ者。異教徒は出て行け、と言われた」
でも、レオも認めない。自分の都合の良い事実を伝えている。
「では、何故庭にいた?」
「散歩してただけ」
その言葉を何度も繰り返すレオ。勿論、イブラヒムはそれを信じない。
「散歩、だと? 皇帝の庭で?」
と、追及と脅迫の手を緩めないイブラヒムだか、グリッティが屋敷に到着した、との事で
追及は一時休戦。

グリッティは妹モ二カを伴って大宰相邸の夕食会に参加する。
スレイマンの肖像画の完成披露もされたが、イブラヒムはレオが既に帝国を去ったと嘘をつく。
しかも、ヒュッレムに分かるような言葉を使って。

食事も粗方終わったのか、男同士は外で何やら政の話をしている。
モニカは飲み物を用意してくれたサドゥカに名前を尋ねるが、それすらも主の許可がいるらしく、確認を取ると、名前を名乗った。
そして、「あなたも陛下の側女なのか」と問うとハティジェは「後宮の女性は、全て側女よ」と、どこかぎこちない笑顔で答える。

「そうなの? 私なら嫌」
と、嫌そうにモニカは言うと、それに大いに賛同したヒュッレムが答える。
「私だって、嫌よ」
気を取り直してモニカは、とんでもない質問をハティジェにしてしまう。それは何か、というと。
「イブラヒムにも後宮はあるのか」
と。モニカが今話をしている相手って誰なのかを理解しているのだろうか。慣習の違いはあるだろうけど、それだけでは済まされないような一国の皇女さまだっていうのに。陛下の妹君って、モニカは理解しているのだろうか。
その質問に、途端に不機嫌になり、「ない」の一言で終わらすハティジェ。
「女性は、あなただけ?」
「他の女性は禁止。不義があれば離婚する」

こんな話しは嫌だとばかりにヒュッレムはハティジェに「宜しければ、庭に行ってもよろしいでしょうか?」と言い出す。その案に、ハティジェも「いいわね、行きましょう」と直ぐに乗った。
その時のチラリとモニカを見遣ったって事は、いけ好かない女だと思ったからなのかなぁ~…。
夜も遅くになり、陛下はもう行かねば、と言い出すとハティジェが帰らずに泊っていらして、と伝えるがまたの機会にな、とやんわりと断られる。

そして、ヒュッレムは陛下がハティジェとグリッティとモニカの3人とで話をしている隙を見てイブラヒムにそそそ…と近寄り声をかける。
「イブラヒム。今すぐ話したい事がある」
しかし…。そのイブラヒムの返事は素っ気ないわー。
「焦るな。慌てずともよい。明日、話そう」
そういった時に陛下が「行くぞ」といって歩き出した為、ヒュッレムは本当は何か言いかけるが宮殿へと戻って行った。
イブラヒムは、夕食会が終わったので、地下牢にいるレオに再び会いに行き内容を聞き出そうと躍起になっている。
ただし、今度は「脅迫」ではなくヒュッレムの為、という「名目」で。

むむむ…!! やるな、イブラヒム。
「話さなければ、ヒュッレムを守れぬ」

ですってよー。そんな風に言えば、レオだって昔の事を話すでしょーよ。
作戦勝ち、っていったら作戦勝ちだよね。
レオからヒュッレムの幼少の頃を聞き出したイブラヒムは、地下牢から出て行った。
さぁ、どうなるレオ。暫くは悶々とした時間だよね。
頑張れ、レオ。

後宮に戻って休んでいたヒュレムは、水が欲しくてフラフラしながらも都合とした時に、倒れる物音を聞いたエスマが駆け寄り、誰かを呼びに外へ走って行った。
ニギャールと医女が部屋にやって来て、診察を終えた頃に、ニギャールが容体を確認すると、にこにこっと微笑む医女。
「ご心配なく。おめでたです」
その言葉を聞いたヒュッレムは一瞬、え? という表情の後に「何て?」と問う。
医女は、間をおいて今度はゆっくりとヒュッレムを見て言う。
「ご懐妊です」
確実にそう話した医女の言葉を聞いたニギャールはにこやかに、嬉しそうに言う。
そう。ヒュッレムは第四子を懐妊していた。

「おめでたいわ。またもや、ご懐妊よ」
そう、ニギャールに言われるが、ヒュッレムの表情は何処か曇っているように見えた。
そして、泣き出してしまった事に訝しむニギャール。
「…嬉しくないの?」
すすり泣きながらヒュッレムはこう答える。
「勿論、嬉しいわ。だから、泣いてるの」


ま、紛らわしいわー!!


翌朝。
寝台の上で浮かない表情のヒュッレムの部屋にダイェが「良い朝ですな」と言って入ってくる。
けれども、体調が悪いヒュッレムは「そうだといいわね」の一言で終わらせてしまうその姿に、「具合でも?」と問う。
ヒュッレムの表情が兎に角浮かない。少し、心配なダイェだった。
「体調が悪いの。恐ろしい夢も見たし」
寝台の上から動かないヒュッレムに対し、自分がここにきた理由を話す。
「母后さまがお呼びですが、お断りしましょうか」

母后さまが呼んでいるならば、という気持ちなのか。ヒュッレムは体調が悪くても行く、と起き上がった。その根性は、素晴らしい、と思うわ。
「すぐに用意して行くわ。私からも報告もあるので」


その頃の治療院。
スンビュルは甲斐甲斐しくギュルニハルの看病を一心でしている。
「枕を背に。ゆっくりね、そう…」
と、痛そうに顔を歪めているギュルニハルの背中にたくさんのクッションを入れている。
それをずっと見つめているギュルシャー。
「はぁ…」
とやっぱり痛いのだろうギュルニハルに「痛まない?」と声をかけるとコクコク、と頷いている。
そこへ、ギュルシャーが話しかける。
「宦官長。私は、どうなるの? マヒデブラン妃は何と? もう、動けます」

だけど、スンビュルの態度が冷たいし、何よりも目がコワーイ
「…寝てなさいな。上げ膳据え膳でしょ」
そんな態度も視線もものともしないギュルシャー。
「退屈なんです。お妃さまと話してくださる?」
と、微笑みまで見せているギュルシャー。そんな所にニギャールがやってきて、「何事?」とスンビュルに尋ねる。
「ギュルニハルを適切な部屋に移すの」
そういうスンビュルにニギャールは確認の為に「医女に伝えた?」と言葉にしただけなのに。

「指図する気? 出世したからって何さ」
「怒らないで…。具合は?」
あー、はいはい、とどこかスンビュルには投げやりな態度をとっているがギュルニハルには優しい。
「いいわ」
ギュルニハルの回答に気を良くしたニギャールが「では、教えてあげる」と自慢げに言う。
「ヒュッレム妃がご懐妊よ」
その報告に、ギュルニハルは笑顔に、スンビュルは少しあきれたような表情、ギュルシャーは落胆の顔を見せた。
「すごい、またなの?」
「またよ」
と、喧嘩しているのに、にこやかにしている、スンビュルとニギャール。
仲がいいのか悪いのか。全く以て謎である。

漸く、用意が終わったヒュッレムは、母后さまの部屋に行くと、既にマヒデブランと、ハティジェがいた。
「おはようございます」
何処か、元気のない挨拶をしているヒュッレム。それにまだ気が付かない母后さま。
「おはよう。こちらへ」
と、笑顔で近くに寄りなさい、というとヒュッレムはそれに従う。
「ご用ですか? お呼びとか」
「ハティジェとマヒデブランと離宮に行く。一緒にどう?」

あらま!
母后さまからのお出かけのお誘いだったんだわ
あー…だけど、ヒュッレムは体調がちょっと悪いのよねぇ。
「体調が悪くて」
と、断りの言葉を伝えていると、そこへハティジェが口をはさむ。
「昨日も元気がなかったわね」

目ざといですね、ハティジェさま。
ワタクシ、全然分かりませんでした。
その言葉に、何故かこくり、と生唾を飲んだヒュッレム。
「胃がムカムカして、めまいがします」
その言葉を聞いたマヒデブランがいち早く反応した。
分かったのか、その原因がっっ!

母后さまは、「早く医女に」と言うが、ヒュッレムはもう診せましたと伝える。
そして、チラリ…とマヒデブランを見遣り少し言いにくそうに母后さまに報告する。
「妊娠だそうです」
母后さまは、チラリ、とマヒデブランを見遣り、そのマヒデブランは、口角を上げて笑う。
「おめでとう。安産で、すぐ生まれるといいわね」
母后さまからの言葉を貰った後にハティジェからの言葉を貰う。しかも笑顔付きで。
「御子の健康を祈るわ。無事に誕生しますように」
そして、母后さまはまたマヒデブランを見遣ってから話しかける。
「我が獅子には?」
「少し休んでから、吉報をお伝えしようかと」
喜んでいるようにも見えるが、疲れているようにも見れるその表情に流石の母后さまも許した。
「分かったわ。休みなさい。私たちは出かけます。ダイェ、料理長に、上げ菓子とソルベを用意させて。適切な時に配りましょう」
母后さまに、一通りの報告をしたのちに、ヒュッレムは「では、失礼します」と言って退室していくのだった。

なんか、アレ?
すんごいおしとやかなのは、体調が悪いから?
それとも、大宰相とこれから話しをするから?
そして、陛下。
どうやらヒュレムとお出かけしようとしたのだろう。その時にスンビュルがやってきた。
「お妃さまは、大宰相邸です。すぐに呼び戻します」
スンビュルの返答に陛下は「よい。私が行こう」と寛大な行動をする陛下に、まだまごまごとしている宦官長に、何か話したげと判断した陛下。

「何かあるなら、申せ」
というと、漸く口を開いたスンビュル。
「ご報告がございます。ご自分でお伝えしたいかも…」
と、もったいぶっているような様に、ちょっとイラついてきた陛下は、「早く言え」と促す。
ちょっと、ムスッとしているわ。
「ヒュッレム妃、ありがたくもご懐妊です」
スンビュルの言葉に、ムスッとしていた表情が段々と柔らかくなっている様をみると、相当のお気に入りなんだなー、と思わせる。

一方、イブラヒムの館では、今か今かとヒュッレムの到着を待っていたが、馬車がやって来るのに気が付いて、近くにいる者に命令する。
「地下にいる者をここへ」

ヒュッレムが部屋に入り、ニギャールが席を外した時にヒュッレムがイブラヒムに問う。
「何を知っている?」
「全て知ってるぞ、ヒュッレム。全て、だ。……例えば、初恋の相手がルテニアから合い来たとか」
ヒュッレムは、ただ黙って聞いている。その時に地下牢に閉じ込められていたレオが部屋に入ってきた。
「…やっと巡り合えたな」
何故か、ここで泣き顔のヒュッレム。

おいおい、何時もの調子はどうしたの? やっぱり身重だと言い返すのもつらいのか?
黙ったままだと、イブラヒムが増長するよ~?
「まだ否定するか?」
黙ったままのヒュッレムに、珍しく声を荒げるレオ。
「お妃さま、無実だ。俺が追い回した」
そう言うと、イブラヒムはレオの首を絞めつけたまま、声を上げて話し始める。
「手紙の話しをしよう。コソコソあっていたことも。……その対価が分かるか?」
ヒュッレムを見てそう話しているイブラヒム。
なんか、彼も大変だよね。今は落ち目のマヒデブランを守るため、とは言え、こんな大それたことをやらかすなんて。
「……どうしろと?」
ここで、久しぶりにヒュッレムが口を開いた。
「死ぬんだよ、ヒュッレム。これが明るみに出た時、陛下御自身がお前に死刑を命じる。お前だけではない。子どもたちも殺される」
その時に始めてイブラヒムをにらみつけるヒュッレム。
「1人1人、首を絞められてな。…こんな母親を持って気の毒に」

…って、イブラヒム。
それは、言いすぎだよ。イブラヒムに人を蔑ろにする権利はない。
大宰相だからって、それは通用しない。
至高の陛下だって、そういう人権を差別するようなセリフは言わない。

この言葉を聞いたヒュッレムは、震えながらも「嫌だ」とはっきり答える。
「そんなの、許さない」
イブラヒムは、どこか余裕な様子。
「そうなる。慣習と規則は絶対だからだ。例外はない」

このタイミングでレオがヒュッレムに許しを乞うが、思わずヒュッレムの頬がピクリとするだけ。
「俺が早く帰ればこんな事には…」

だぁー
今更そんなこと言ったって遅いんだよ
…っていうのが、ヒュッレムの内心でしょうね。

「イブラヒム。私は陛下を裏切ってはいない。焼かれても、不義は認めないわ。彼は私の皇帝。子どもたちの父親よ。レオは死んだと思ってた」
と、説明をしていくヒュッレムだが、イブラヒムはこれっぼっちも信じない。それどころか…。
嫌みさく裂!!

きぃー。
腹が立つ。

頑張れ、ヒュッレム。
今のこの逆境を乗り越えるんだッッ。

「陛下がいらした。庭でお待ちだ」
と庭をみてそう話すイブラヒムに、ヒュッレムは信じない。動揺させる作戦だと思ったのか。
「ウソをつくな」
「自分で確かめろ」
自分の目で確かめたら、少しふらついてしまうヒュッレム。やっぱり身重にはこのストレスは辛いよね。そして、イブラヒムは一つの小瓶を取り出した。
「これは、非常に強い毒だ。即効性がある」
その、黄色い毒をロクム(お菓子)に振りかけてヒュッレムに差し出すイブラヒム。

「時が来た、ヒュッレム」
「私はいいから、子どもたちは許して」
それに対して、イブラヒムは首を振る。
「警告したハズだ。己の立場をわきまえるがよい、と。今や、お前の命は私の手の中にある。
誰が生き残るのか、お前が決めろ」
そういって、毒入りのロクムを手渡した。
「分かったか」
そういって、立ち去るイブラヒム。
そして、泣き出すヒュッレム。

廊下で待っているニギャールの頬に手をかけて礼を言うイブラヒム。
「ありがとう、ニギャール。おかげで最大の懸案が解決する」

そして、陛下にソルベを頼まれたサドゥカ。
隠し持っていた短刀をスレイマンの首に押し当て復讐を遂げようとしていた。

大泣きしながら、ヒュッレムは毒入りのロクムを取る。

っていう所で今回終わるんだけどー。
ここで、終わり? 
最終回ってなってるんだけどー。
えー、なんて変な終わり方なの~??

と、思ったら続き、直ぐにあったわ。
早く観なくっちゃね。


オスマン帝国外伝 第46話「最後の手紙」、第47話「命がけの密会」

2020年02月01日 | 映画&TV


第46話「最後の手紙」

今回の物語のスタートはイブラヒム夫妻でした。
んー。どうでもいいや。
ワタクシ、イブラヒムは好まないから。
長い1日が終わり相当疲れたのだろうな、というのだけはわかるけどね。

一夜が明けて、陛下と2人の皇子たちが庭にいて、今日はここで勉強をしなさいと
伝えると、ムスタファは今日は休ませてほしいと懇願する。
珍しくそういうムスタファに訳を聞いてみると、
「昨夜泣いて暴れた。部屋もメチャクチャ。あんな姿を見るのは辛いよ。1人じゃ心配」と
なんだか、1人前の言葉を発するようになったのねぇ、と思ったワタクシ。
それを聞いた陛下は顔を曇らせる。

そんな頃の母后さまとマヒデブラン。
母后さまは、マヒデブランに「考えすぎよ」とか言ってるけど、母后さまもマヒデブランを
追い詰めのは変わりないと思うのよね。
だから、疑心暗鬼にもなる…のか?

そんな中、ニギャールに弱みを握られた形となったマヒデブランは、以前ヒュッレムの過失を
情報提供すれば昇格させると約束していた事をこの件で昇格させて、と伝えたらしい。
…ニギャールも、やるわね。

その願いが叶いニギャールは陛下付きの女官に出世したことダイェから聞かされて大いに喜んでいた。
あら、意外と野心というか野望ありありなのね~。

まぁ、スンビュルはさぼっていたり仕事を疎かにしている彼女が昇格するなんて、と
訝しんでいるけれど。

そして、ギュルニハルの様子を見てきたニギャールはヒュッレムに意識が戻ったことを伝えると、直ぐに治療院に行こう、と言って2人仲良く向かうのだった。
そんな治療院に足蹴く通うのは宦官長のスンビュル。

「ありがたや、美しい目が開いた」
と、つぶやいている表情は優しい微笑。何度も言うけど、余程のお気に入りなんだろうな~。
そうこうしていると、ヒュッレムがニギャールとやって来る。

「私の祈りを神が聞き届けてくれた」
と、ほっとした様子でギュルニハルを見つめると、横にいるギュルシャーをゆっくりと見つめる。
「誰に、刺されたの? 言って、処罰するから」
と、ギュルシャーに聞こえるように言うが、ギュルニハルは目をそらしていた。
「私は……見てない」
この答えに、スンビュルも、ニギャールもガッカリしていた。

そうこうしていると、マヒデブランがギュルシャーを見舞いにやってきた。

タイミングわるーい。

都合が悪いマヒデブランは、ヒュッレムの正論にも食って掛かり余裕のなさが浮き彫りに。
患者がいるのだから、静かにして。とヒュッレムの言葉にも異様なほどの噛みつきに
途中から入ってきたダイェはヒュッレム妃をお連れして、とマヒデブランから遠ざける指示を
スンビュルとニギャールに指示をしたんたけど。

その対応って、反対じゃないのー?

暫くして、ダイェとスンビュルが廊下で話をしている。
マヒデブランに対して気を遣って、とか、何日も絶食中で目などくぼんでしまった、
と話をしているところに陛下登場。
何か問題でもあるのか、と陛下から尋ねられたので今の状況を話した。

マヒデブランに疑念を抱いたスレイマンは自室を訪れる。
「1人にしてと言ったはず」
扉に背を向けているマヒデブランは其処に入った者が誰なのかをまだ知らない。
振り向くと、陛下が立っていたのに気づいて慌てて起き上がり、「お許しを」と言って謝罪する。

「言え、マヒデブラン。何が原因だ。」
けれど、何も言えない…じゃなくて、言わないマヒデブランに、陛下の声も段々と荒れてくる。
「悩みがあるなら申せ」
と、促して漸く話し始める。

「先日の事件か怖くて…神経過敏に」
そうマヒデブランが話し終わると陛下は更に言う。
「気に食わん。ムスタファまで不安にさせた」
ちょっと…いやかなり? お怒りのご様子な陛下。

「…お許しください。自制が利きませんで」
少しやつれたようなマヒデブランに容赦なく言い放つ。
「ならば、出て行け。具合は悪いし自制も利かないのだな。エディルネで療養するがいい」

あら、陛下。
マヒデブランを心配しているのね。
言い始めは追放のように聞こえたわ。多分、マヒデブランもそう感じたはずよね。
でも、どうしても宮殿に居たいマヒデブラン。
「ご容赦を。しっかりします」
と、言うと、陛下は「そうしろ」と一言を残して部屋から出て行ったのをみて、茫然と座り込む。
さて、どう復活するのか、今後のマヒデブランが楽しみです。

その頃のヒュッレムは、ミフリマーフとメフメトの食事のお世話をしている。
けれども何でかメフメトは食事をしない。
それに嫌気をさしたヒュッレムはエスマに、ニギャールは、なぜ私の世話をしないのだ?と問う。
すると、エスマからとんでもない事を聞いたヒュッレム。
「今は、陛下付きですから。ダイェさまと宦官長に次ぐ高い地位に就いたんです」
そんな事を知らされたヒュッレムは、ビックリしてちょーっとコワイ顔つきになってしまう。
けれど、エスマは最近慣れたのかあまり気にしていないようだった。


翌日。
後宮に朝がやって来る。
大部屋では側女が騒いでいるのを、疲れた様子でスンビュルが立ち尽くしている。
そんな所へ、ニギャールがやってきた。
「何してるの? 私にまかせっきりで。早く、皆をお稽古へ」

と、この頃のスンビュルはニギャールと会えば喧嘩小言ばかり言ってますね。
他に女官はいないのかー?
けれども、ニギャールは考える素振りをしてスンビュルに断りをする。
「重要な仕事があるの。別の女官に頼んで」
そうは、言ってもスンビュルはニギャールが良いのかな。凄んで見せている。
「陛下付きだからって、調子に乗らないでよ。懲らしめてやるから」
と、おさぼりだと思っているスンビュルはお怒りモードさく裂。けれども、ニギャールは微笑んでやり過ごす。
「重要な仕事って?」
ぽつり、とつぶやきながら、興味を持ったのだろう。ニギャールの後をつけていくスンビュル。

おいおい 皆をお稽古に連れて行かなくていいのか? スンビュルよ。

後を付けられているとは知らないニギャールは、庭に歩いていくと、其処にはレオがいた。
呼び出されていたようですね。

「これを、ヒュッレム妃に」
と、何か小袋を差し出すがニギャールは受け取らない。
「ダメ。人に見られたら、私も罰を受ける」
そうレオに当たり障りのない返答で、拒否をするがそこはレオの方が一役上だった。
「俺の絵 お妃さまが欲しがった。大丈夫」

この2人きりで合っているところを、スンビュルに見られていたニギャール。
そして、全く見当違いな勘違いをしてしまったスンビュル。
「チャラチャラ着飾っているわけだ。これは、懲らしめないと」
早速、行動に移したスンビュルは、イブラヒムに報告する。
報告っていうか…告げ口ですよね。サイテー。
「ニギャールが変なんです。振る舞いが奇妙でして。
サボり気味なのに、陛下付きに抜擢されました」
と、ちょっと不満を漏らすスンビュルだが、これはイブラヒムに窘められる。
「母后さまの決定に文句をつけるのか」

まぁ、そういわれるよね。ても、言いたたい事は別なのだ、とイブラヒムに言う。
「皇帝の庭で見かけたんです。絵師のレオから手紙を受け取っていました。
秘密があるのは明らか。なのでお耳に入れようと」

小声でそう話している。
「レオ? 間違いないだろうな?」
「この目で、バッチリ見ました」
告げ口…もとい、報告が終わり、スンビュルはテラスに呼ぶように伝える。

レオから預かった手紙を渡しに部屋に行くニギャールだが、何と!! 
間の悪いことに母后さまがご訪問中~。何とか早くに手紙を渡したいとして、外に出てと合図を
するが、出られないと拒否されたため、諦めるニギャール。そこへ、イブラヒムから呼び出しされてテラスへと向かう。

「叱られたら、目が覚めるでしょ」

この時のスンビュルの表情…っていうか、目。すんごーい、敵対している時の目だと思う。
正に、「目は口程に物を言う」の模範例だと思うワタクシ。
でも知らないから仕方ないけど、スンビュルのこの動きで、ヒュッレムはとても苦しむことになるって後で知ったらどうなるのかしら~?
これは、これでワクワクね。

何にも知らないで、イブラヒムの許にやってきたニギャール。
「渡してもらう。手紙だよ」
と、にこやかにいうが、ニギャールは何でそれを知っているのか、と少し動揺をしている。
すると、イブラヒムは、床を足で叩いて音をだし、威嚇する。
「レオがお前に渡した手紙だ」
びくついているけれども、まずは誤解を解こうとするニギャール。
「誤解です。誰がそんな? 手紙などありません」
と言うけれども、一歩、一歩イブラヒムが近寄るごとに一歩、一歩と後ずさりしているニギャールは、壁に追い込まれてしまう。
そこで、胸元にあった手紙を発見し、その手紙を見るが…。

ロシア語で書いてあるので、読めない。

残念でしたー。イブラヒム。

あぁ、だけどニギャールに読ませるのよね。
それを読んでくれ、と頼まれる。

「アレクサンドラ。天使の顔の恋人よ。君の望み通り僕らの愛の地ルテニアへ帰る」

泣きながら読み上げているニギャールからそっと離れてしまうイブラヒム。
多分、「え、何だ? 何のことだ? どういう事だ?」と絶賛大パニック中でしょうね。
更に続けるニギャール。
「ここを去る前に一目、会いたい。それだけかなえてくれ。一生君を愛し、喪に服す男の最後の願いだ。明日皇帝の庭の水場で待っている」

そこまで読ませてしてやったりな顔のイブラヒム。
「お前か、ヒュッレム。尻尾をつかんだぞ」

あのさー。
ワタクシ思うんですけど。
そこまで、イブラヒムはマヒデブランを庇う理由ってあるのかね。
そこまで、ヒュッレムを嫌う理由ってあるのかね。
そこまでして、陥れたいのか…。

陛下は、ヒュッレムを認めているのに、どうして弟であり、
下僕であるって自分でも言っているのに、認めないんだろうか。
そんな陛下が、気に入っている妃、なのに。

あの、毒入りだって何の処罰もなくのうのうとしているマヒデブラン。
だから、陛下だって公平にしようとしているっていうのに…。

まぁ、そうじゃなきゃドラマじゃないってか?



う~ん…って、いう所で終わるわけなんだけど…。
イブラヒムのドアップで終わるなんていやー。
この回は、終始イブラヒムだったわ。


*§*―――――*§*―――――*§*―――――*§*―――――*§*―――――*§*


第47話「命がけの密会」

さて、今回の物語のスタートは…。
イブラヒムと、ニギャールでした。
「恋文とはね…。つまりお前は、ヒュッレムとレオの橋渡し役、という訳だ」
と、何でもいいから難癖付けてしまえばいい、とイブラヒムは考えているのだろうか。
だから、当然だけど全く無関係なヒュッレムを擁護するニギャール。

「ヒュッレム妃に罪はありません。本当です。レオ先生の片思いでしょう。
ヒュッレム妃は無実だと誓います」
でも、それでは、イブラヒムがマズイのだよ、ニギャール。
彼が推している妃は、マヒデブランなのだから。

「何が誓いだ!!」
と大声を上げるイブラヒム。この時点で全然公平さはないよね。この場面を陛下にみて貰いたい…けど、ダメなのか? 陛下の耳に入ったら、こういう場合ヒュッレムって処罰されちゃうの?
過去の事なのに。…生娘で入ったことは陛下だって承知でしょうに。
ニギャールの瞳から、ポロリと涙が伝う。
「無実だと? ルテニア、とある。ヒュッレムの出身地だ」

そりゃ、そうでしょうよ。
誘拐される前は其処にいたのだから。だからと言って今回の件と結びつけるのは、
些か浅はかなのでは? なんて思うワタクシなのです。

ニギャール。貴女本当に、この男に思いを寄せているの? 都合が悪いと怒鳴り散らす、
こんな男に…。ワタクシ的には、趣味ワルーって思うんだけど。

「ヒュッレムの擁護など私には通用しない。知っていることを話せ」
そう、手紙をちらつかせてニギャールに詰め寄るイブラヒムに、何もありません、と答える。
「では、何故この手紙を持っている?」
ニギャールにその手紙を持っている理由を確認すると、ありのままを話した。
「絵だと言って渡されたんです。他の用件だとは思いもしませんでした。ヒュッレム妃からの報奨金を渡したこともありますが、レオは受け取らず返してきました。私は、それをヒュッレム妃へ」

真実を正しく伝えているのに、何故かイブラヒムは信じない。
「お前は、2人の使者を務めながら知らなかったと?」

ワタクシは、言いたい。何故信用しないのだ、と。
ニギャールがウソをついているっていう証拠は何処になるのだーっ。
って、叫びたいよ、ワタクシ。

「袋の中身を見る訳にはいきません」
あぁ、だけどニギャール。そりゃ嘘だ。あんた、盗み見していたでしょーよ。
でも、そんなこと言えないか。
けれども、その言い分はそれもそうだと、少しは納得したイブラヒムは次の作戦を考える。
「耳の穴をかっぽじって、よく聞け」

……あ、あの~
こんな時代にそんな言葉があったのでしょうか、と変なところをツッコミたいワタクシ。
「ヒュッレム妃に、この手紙を渡してこい。手紙を渡し、よく様子を観察しそれを報告しろ」
とニギャールに言う。
「もし、約束を破って誰かに話したら…。殺してやる」

またもや、首を絞めるイブラヒム。
ワタクシ、本当にこの人悪いけど、好かないわ~。


その頃の母后さまは、お膝の上に大切な孫娘のミフリマーフを乗せている。
「お前は日々美しくなるわね」
と、褒めている母后さまに、ヒュッレムは付け足す。
「それだでけでなく、聡明です」
けれども、流石は母后さま。
「どの孫もそうよ。神よ、長寿を授けたまえ。皆の幸せな成長を祈るわ」
その言葉を聞いたメフメトはニッコリと笑っているようにも見えた。
「ハティジェにも、子宝が恵まれますように」
と、母親の顔を見せた母后さまに、そう願います、と付け足したヒュッレム。

そろそろ、訪問終了の時間なのだろう。母后さまは、ヒュッレムに、必要な物は、ダイェが整える、と言ってきた。
「ありがとうございます。…ご訪問、光栄でした」
あのヒュッレムに真面なお礼を言われて、少し満足げな母后さまが退出したのを見て、子どもたちを外の空気を吸わせて、とエスマに頼むのだった。

そうして、運命の日。
夢見の悪かったヒュッレムは少しだけイライラしている。
普段ならニギャールの行動にも気が付くのだが、今日のヒュッレムにはその余裕はなく。
庭に行かないように邪魔をするニギャールだったが、それでも庭へ向かうヒュッレム。

母后さまとマヒデブランは、庭に来てギュルシャーの話しを始めた。
「まだ、治療中です。回復しだい戻ります」
そうマヒデブランが言うと、母后さまは「そろそろ引退の時期ね。お気に入りなのはわかるけど」とマヒデブランに告げる。
それに対して、マヒデブランは、異を唱える。今手放したらかなり拙いから…か?
「母后さま、ギュルシャーは10年も私に仕えています。もはや私の手足です。……他の者では無理です」

え、10年も仕えているから、他の人は無理って、あんだけ、叩いたのに。
いくら主従関係だからって、あんな暴力をしたのに…?
母后さまも、ダイェも引き離そうとしているの、ワカラナイの…?
この庭の雰囲気、すっごく悪いよー


さて、その頃のレオ先生は。
アレクサンドラが来るのをいまか、いまか、と心待ちにして、待ち合わせの場所にて既にスタンバイしている。
けれど、その待ち人は来るのか、来ないのか。あぁ…なんか、はらはらしちゃうわね。
廊下を、ヒュッレムはとてとてと歩いているけど、どこに向かっているのやら。

料理長から、ギュルニハルの為の食事を運んでいる時に、大部屋にいるニギャールを見つけて
また難癖をつけているスンビュル。
「私に構わないで。爆発しそう」
このイライラを当たりたいけれど、一生懸命に堪えているのをスンビュルは全然違う見解だった。
「なるほど。恋でおかしくなったのね」
はぁ~、というため息が聞こえそうですよ、ニギャールさん。小声で文句なんだったら、大声で叫べば良かったのに。「それは、こっちのセリフよ」とね。
スンビュルが今、なんて言ったの、と聞くがニギャールは「早く、スープを待ち人へ」と言って早く行け、と促した。

その態度が気に入らないのか、またまたスンビュルの表情が険しくなる。
「身の程知らずで、大宰相に叱られたくせに」
「自分は、どうなの?」
「この世は因果応報。全ては自分に跳ね返るのよ。危ない橋を渡っているのは忘れるな、と言ったはず」
そういって、ギュルニハルの許に歩いていくのをニギャールはつぶやく。
「宦官長、あなたのせいだと分かってないのね」

……だったら、言っておしまいよ
これが、ワタクシの思ったセリフ。

スンビュルは、ギュルニハルのために食事を与えている。
「かわいそうに。犯人を見つけるまでは眠らないから」
そういうスンビュルの言葉に、ギュルニハルは隣にいるギュルシャーを見ると、慌てて目をそらす。
「犯人は、手をもがれよ」
というスンビュルだけど、犯人は側にいる人ですから~。

何故か、突然イブラヒムは強硬手段をとる。
よくもまぁ、今まで「レオ先生」、「レオ先生」と言っていたのに、こんな手のひら返しが出来るものだと、ちょっと感心します。
痺れを切らしたのでしょうかね。本当の狙いの人がなかなか現れない事で。だからレオを拘束して監禁してしまうってか。
その、ヒュッレムの辿り着いた先は、何と。

母后さまの許でした。そこへ、陛下のご登場~♪
母后さまは、夕食を庭でしないか、と誘われるけれど、陛下は今夜はヒュッレムと大宰相邸へ行くのだと話をする。
すると、母后さまは「お前たちだけでね…」と、言うのだがあれ? なんだか拗ねてるの? って感じたわ。ワタクシ。
そこへ、陛下が伝える。
「ベネチアの息子を大宰相宅へ招待した。ヒュッレムは妹君の相手をする」
ただの、食事会ではなく政なのだと母后さまに伝えると少しご機嫌が治ったようだった。


あっ、強制監禁されたレオはどうなった? と思ったら、地下牢に閉じ込められていた。
「出せよ。俺何もしてない。俺、罪はない、出せ」
って、レオ。今更だよ…。さっさと絵を描いて出ていけば、こんな事にはならなかったのに。
っていうか、あんな手紙を送らなれば…。なんて、思ってもどうしようもないよね。

と、いう事でこの物語の終わりは、イブラヒムとレオでした。
ホント、イブラヒムって、ヒュッレムに関する事には、容赦ないよねー。
それだけ、マヒデブランを守るのが大切なのかって言いたいゾ。


オスマン帝国外伝 第45話「後宮の凶行」ー後編ー

2020年02月01日 | 映画&TV


ー前編ーはコチラへどうぞ。

今回の回はワタクシの感想が無駄に長すぎてしまいましたので、
二部構成となっています。
宜しければ、もう少しお付き合いください。





そうして、今回漸く陛下のお姿を拝見することが出来ました。
夜が明けて、着替えを済ませた所にイブラヒムの登場。
言いにくそうな雰囲気が伝わります。
そして、昨夜の事を何にも知らない陛下はグリッティ邸に行くのか? とイブラヒムに確認するが、
そのイブラヒムの顔には笑顔がない。
「良ければ、明日にでも」という答えだけが返ってくる。
「問題を抱えておるな? 申せ」

とにこやかに話しかけてくる陛下に、中々言い出せないイブラヒム。
けれど、意を決して話し始める。
「昨夜、再び殺人鬼が現れました」

という報告を聞いた陛下のにこやかな表情から一遍真面目な顔つきに。
「ギュルニハルが刺傷を。ヒュッレム妃の室内です。命は助かりましたが、重症です」
真剣な表情から少し怒りの入った表情に変化していく陛下。
「なぜ今頃重大な報告をする?」

そうねぇ。ヒュッレムの事ですものね。
もっと早くに知らせろ、というのはごく自然の事。
「母后さまのご命令がありました。ヒュッレム妃は御子さま方と母后さまのお部屋に避難を」
と、イブラヒムは今の様子を陛下に報告しているがまだ不機嫌は変わらない。
「後宮に人殺しがいるのだぞ。さっさと見つけ出せ!」

まぁ、陛下のお怒りはごもっとも。
なのに、なんでそんなビックリした表情をするのかな、イブラヒム。

ギュルニハルは生きている、とダイェからの報告を聞いてヒュッレムは治療院にやって来た。
横たわっている彼女の許に行き、顔をみてホッとする。
そして、近くにいる医女に「どうなの?」と症状を尋ねると、「処置はしました。あとは意識が戻れば…」とのこと。これを聞いたヒュッレムは、眠っているギュルニハルに声をかける。

「マリア、可哀想に。…私を独りにしないで。敵に負けないで」
というと、隣のベッドに横になっているギュルシャーに気が付いたヒュッレムが横になっているのは何故か、と問う。
「昨夜、階段から転落を」
そう聞くと、ギュルシャーのベッドに行くヒュッレムは、「怖がらなくていい。階段から転落したんですってね。どうしてそんな事になったの?」問うと、まさかの本人が自分のベッドに来るわけだから、そりゃあ、おびえてしまうよね~。
「突然でした。走っていたら、足がもつれて転がった」とたどたどしく答えているのを疑って聞いているヒュッレム。

治療院から帰ってくるヒュッレムは部屋の掃除がもう少しで終わるとニギャールから報告を受けたがどうにも浮かない顔をしている。

そりゃ、そっか。

そんな寝台に横にはなりたくないよねー。
「ギュルニハルの容体は」
と、様子を見に行けなかったニギャールがヒュッレムに聞いてくるけど、普通お妃さまに聞く言い方じゃないよーって、誰か教えてあげて~。
「ずっと眠っている。可哀想に。私のせいで死ぬかもしれない。あギュルシャーもいた。顔が傷だらけ。階段から落ちたっていうけど、嘘だわ。真相を調べて」
そう2人で話していると突然陛下がヒュッレムの部屋にやってきた。
そして、ニギャールたちは、そそくさと出て行くと2人だけになった、と思いきやファミリーだけになっていた。
「子どもたちの前では話すな」とヒュッレムにくぎを刺す陛下だが、ヒュッレムもそこは分かっているのだろう。

陛下がやってきて、子どもたちは大喜び。早速メフメトが話しかける。
「昨日、祖母さまのお部屋でネンネしたよ」
と、どこか自慢げに話しをするんだけど、可愛いねぇ。それに負けずにミフリマーフも自慢話し。
いいなぁ、ホッとする。
「お祖母ちゃまが、おとぎ話をしてくれた」
とこっちもかわいらしく話しをしていると、陛下はにこやかに言う。
「今夜は、父と寝よう。おとぎ話もするぞ」

……え、陛下のおとぎ話し? わ…わ、ワタクシも聞きたいですぅー。

ミフリマーフは、コクンと頷いて、メフメトは「作文書きたい」ですって。
あぁ、なんか癒されるわー。
当然、メフメトは偉いな、と陛下に褒められる。
そうして、ファミリーの時間は終わり、ヒュッレムは子どもたちをエスマの許に行かせる。
ここからは、大人の時間~。
いやー。まだ外は明るいのに~。
陛下は、ヒュッレムに安心させるために寄り添いながら伝える。
「案ずるな。犯人はそなたの目の前で処刑する」

と、ヒュッレムに伝えるんだけど、ワタクシだったら遠慮したい。
…いや、犯人は憎いけれども、何も処刑するところは見たいとは思わないから。
残酷やなぁ…と思ってしまう。
しかし、その言葉をスルーしたかのようにヒュッレムは陛下に伝える。

「いつもそばにいて、話を聞いて欲しい」
ちょっと考えた陛下は、昨晩の事を話す。
「昨晩、そばにいれば悲劇を免れた」
まぁ…。そうかもしれないけれど、起きてしまった事悔いてもね。
だからって、ヒュッレムさま。そういう言い方はちょっと…。

「私には敵がいる。ごく近くに潜んでいる。…誰なの?」
今回の事ではかなり参っているヒュッレムを陛下は抱きしめていた。


一方、陛下にさっさと見つけ出せ、と強く言われたイブラヒム。
ここで漸くスンビュルと直接話しをする。

んが…。

おいおい、大宰相殿、以前と同様な聞き取りですねって言ってやりたい。
陛下に強く言われたからって、途端に誰彼構わず宦官長をナイフで脅し歯をむき出しにして
聞き取りをするってどういうことなのよ。
最初からスンビュルにも事情聴取すればいいだけの事なのに…と思ってしまったワタクシ。
もうちょっと、このイブラヒムには、知的さが欲しいわ。

「何か疑わしいことはないか。お前を処刑したくない。隠さず言え」
と、首にナイフを当てられている宦官長は勿論ギュルシャーが怪しいと言うけれど、
もう既にそれは母后さまにも伝えてあるから、普通通りに聞いてくれれば、スンビュルだって
答えただろうに。

……バカだなぁ、イブラヒム。

そのイブラヒムは、「ギュルシャー」の名前を聞いた途端に大人しくなっちゃってさ。
その名前を聞いて背後に誰がいるのかが分かったのだろう。
いつも思うけど、マヒデブランに肩入れしすぎだよ。

さて、ニギャールは、というとヒュッレムに言われた事を遂行するために治療院に行き、ギュルシャーの元へ。
なんか、生き生きとしていません?

「養生しな。かなり重症ね……本当に転落のせい?」
と、間近でじっくりとギュルシャーの顔を見つめるニギャールは、そう聞くとギュルシャーが認めたため、ちょっとだけ実力行使する。
まぁ、これはイブラヒムのとは全く違うから、ワタクシ的には全然オッケー☆⌒d(´∀`)ノなんだけど。

グッとね、ギュルシャーの下顎を左手で持ち上げるニギャール。
「とぼける気? 吐け、何もかも」
ニギャールは、顔の傷を手でギュっと力を込めて抑えると、痛みからギュルシャーは痛い、
止めて、放してと訴えるが、必要な事は全然話さないため、隣で横になっているギュルニハルに顔を向ける。
「…見なさい、ギュルニハルを」
彼女の姿を見せた途端にギュルシャーの態度が変わるので、何か核心を得たのだろうニギャール。
「あんたの仕業ね。洗いざらい話しな。言わなきゃ命の保証はない。数滴の毒で殺してやる」
と言って、額の傷をググッと親指で押しあてると痛みからか大きな叫び声を上げる。
「あんたが犯人? そうでしょ?」
「…暗くて見えなかった」

この言葉を聞いた時、ニギャールの動きが一瞬止まる。しめた、と思ったのかしら。
「ヒュッレムだとばかり」
「……なるほどね。話して」
というニギャールに、やはり抵抗があるのか、中々答えようとしないギュルシャー。
また、下顎をギュッと掴んで答えるように仕向けるニギャール。
なんか、楽しそうに見えるわ。

「顔のケガは?」
「マヒデブランから殴打された」
「暗殺に失敗して?」
「お妃さまは関係ない。…私が話すと激高し殴打なさった。死ぬかと思ったわ。お妃さまは潔白。私が望んで勝手にやった。私を笑い者にしたからよ」
スゴイ。ここまで、ぺらぺらと話すなんて。どうしたの、ギュルシャー。
「凶器は?」
流石に、それは言いたくないのか、だんまりを決め込むギュルシャーに、ニギャールはまた下顎をつかんで聞き出そうとする。
「どこに隠した?」




聞き出したニギャールはその足でマヒデブランの部屋に行く。
「なんの用?」
考え事をしているかのようなその人に話しかける。
「お話がございます」
しかし、マヒデブランは、「暇がない。後にして」と無下に断られたことで、
ニギャールはふむ、と考えて次の言葉を発する。
「ギュルシャーを見舞いました。ぜひお耳を拝借」
その言葉に、癪に障ったのか、マヒデブランは少し感情をあらわに。
「無礼な。…お下がり」

しかーし、何故か余裕のニギャールからは笑みしか見られない。
「何もかも、聞きました。真の狙いはヒュッレム妃。……血迷った女官より、
お妃さまが疑われるのは必至」
そのニギャールの言葉を聞いて、マヒデブランが近寄る。
「偉そうに、私を脅すの? 私が犯人だとでも言う気?」
まだまだ、ニギャールに余裕の気持ちが溢れている。
「…めっそうもない」
でも、マヒデブランの方が余裕がなく動揺もしている。
「ウソつきの無礼者め。ギュルシャーが言うはずない。妃をなじるのか。出て行け」

あ、あのー。
マヒデブランさま? あなたは散々平気で人をなじっておいてそんな事を言うのかって
ワタクシ、ツッコミたい。
ニギャールもそんな思いなのか、「ふ~ん、そうなの」的な態度でふいッととある方向へ。
暖炉の上をチラチラとみて、にやりと笑いながら手を突っ込んで凶器を見つける。
そして、それをマヒデブランに見せつける。

「これは?」
白いナプキンに包まれた鮮血のついたナイフを見せつけられ、とても動揺している。
「ギュルシャーが場所を。誰にお渡しを? 大宰相殿または母后さま?」
「他に知る者は?」
白いナプキンでまたナイフを包み込んでいるニギャール。
「今は私だけ」

その確認をしたから、とうとうマヒデブランは真実を語った。
「あの者が勝手にした事。だから私は怒って殴った」
しかし、ニギャールは最もな事をいう。
「私は信じますが、他の者はどうだか」
ここで、マヒデブランはニギャールが何を望んでいるのかを聞き出す。
「何が望み? 申せ、何でもする。とにかく黙って」
ニギャールのにやにやした表情がとても嫌だわ~。悪だくみの顔しちゃってさ。
「バレたら私も命はない」
この言葉を聞いたマヒデブランはここで初めて笑みをみせた。
「陛下付きの女官にする。給料もあがる。それとは別に金も渡そう」
だけど、ニギャールは頷かない。
どうするの? ニギャール!!


その頃のヒュッレムは、ハティジェの訪問を受けていた。
「元気を出して。イブラヒムが犯人を見つける」
ヒュッレムの表情に元気がない事にハティジェはそういうと、少しだけ和らいだ表情を見せた。
「そうね。感謝しています。貴女が来てくれなかったら、話し相手もいない」
そう、話していると、ハティジェはいつでも屋敷に来て、と伝える。
そこへ、ミフリマーフとメフメトが走ってやって来て、一気に場が和む。

ふと、思い出したのか、ヒュッレムはハティジェに聞く。
「マヒデブラン妃が、ひどい顔をしていた」
「事件のせい。…とてもおびえてた」

事件から初めての夜。
陛下の部屋に、子どもたちがすやすやすや…と眠っているのをじーっと見つめている陛下。
「すぐ寝たな。天使のようだ。神のご加護を。…さぁ、そなたも休め」
と、ヒュッレムに言うがヒュッレムは、「殺人鬼かいては眠れない」と言い出す。
その言葉に陛下は安心させる言葉を伝える。
「安心せよ。警戒は怠らぬ。私がそばにいる」
そういわれても安心できないのだろうヒュッレムは、ふい、とそっぽを向いてしまう。
「…どうか、ギュルニハルの意識が戻りますように。犯人を見ていたかも」

ふと、思いついたことを伝えると、陛下もうん、と1つ頷いた。
「スレイマン、凄く怖い…。誰がやったの? 私が死んで得をするのは? 誰が私に殺意を? 
毒の次はこのありさま」
矢継ぎ早に陛下に質問(?)をしているヒュッレムと、ただじっと黙って聞いている。
そして、陛下は1つ頷いて言う。
「落ち着け。…もう考えるな。休め」
大きく息をすって、漸く眠りについた。

ニギャールに脅されたマヒデブランのイライラは止まらない。
夜になって、側女たちが食事の用意をしている。隣には最愛のムスタファもいる。
1人の側女が、「お召し上がりください」といってもマヒデブランは「下げて」と言っている事に心配をしている側女は更に言う。
「でも、昨日から何も」

もー。マヒデブラン。みんなあなたの事を心配しているのよ。
食事をとっていないことにね。
それなのに、ちゃぶ台返しはひどくない?
隣にいたムスタファもビックリして、怯えている。
そして、側女に「出てって。 消えてよ」と…これは八つ当たり?
物凄いヒステリックな状態になっている。
これは、母親というよりも、自分の事しか考えていない1人の女になってしまってるよね。

その言葉を受けた側女は、もう泣き顔になって出て行く。その時にマヒデブランは「皆、呪われろ」って言い放つ。

どのくらいの時間がたったのか、ハティジェがマヒデブランの部屋に訪れると、そこには、
食事が投げ出され、マヒデブランの隣にムスタファがいて、2人とも膝を抱えてうずくまっている。
「私は決して人殺しじゃない…」
そう言って、一筋の涙を流したのをみたハティジェは、思わず「あなたを信じる。犯人は明らかになるわ」と言った。
その言葉を聞いたマヒデブランは、漸く正気を取り戻し、未だに怯えているムスタファを抱きしめる。

バルコニーにいる陛下にイブラヒムは報告をする。
「人殺しは?」
だが、なかなか言い出せないイブラヒムに向かってバッサリ言う。
「役立たずどもめ。やり方が手ぬるい」
そういう陛下に対して、イブラヒムも流石に歯はむき出せないか。
「万全の態勢で慎重に調査中です」
イブラヒムは、そこで言い淀んでしまうと、陛下は1つ息を漏らした。
「以前、毒を盛られたろう。誰が犯人か承知していた。どうだ? 毒を盛った者の関与は」
「考えておりませんでした。…ギュルニハルに敵対する者の仕業かと」
イブラヒムの回答に不満げな様子の陛下。物凄い言葉を投下する。

「そうやって、かばい続けるがいい。いずれ犯人は必ず明らかになろう。その時には悪行の代償を払わせる」
イブラヒムの何とも言えない困った顔ー。
これはヒュッレムに見せてあげたいー
「誰であろうと容赦せぬ」
といって、バルコニーから出て行く陛下だった。
その言葉に、茫然としているイブラヒム。


っていう所で終わりましたー。
今回の回。
きゃー(≧∇≦)今回の感想はまたまた、大作になっちゃいましたので、二部構成にしました。
読みにくくて本当にごめんなさい。
これでも、沢山削ったのですがこれ以上は削れなかった…。

頑張れ、ギュルニハル。
負けるな、マヒデブラン。

どうしようか、ヒュッレム。
ニギャールも策士だよね。

今回は、本当にワクワクしました。
では、次の物語で。






オスマン帝国外伝 第45話「後宮の凶行」-前編-

2020年02月01日 | 映画&TV


第45話「後宮の凶行」


前回のハラハラとしたところから始まるのよね。
…っていう事は、今回の物語の始まりは、ギュルシャーからか…。

血まみれの小型ナイフをもって、にやりと笑う。
「……救われたのよ。ヒュッレムから私のお妃さまを悲しませることはない」
って言っているけれど、気が付いて、ギュルシャー。
貴女の行為が、マヒデブランを悲しませて、困らせているっていう事を!!


ヒュッレムの部屋で、セリムの鳴き声を聞きつけて、寝台を確認しに来るエスマ。
掛布団はもう、血で真っ赤に染まっている。
それを目の当たりにしたエスマが泣きながら廊下で大声をあげて助けを求めている。

側女の1人が駆けつけて、どうしたのかと尋ねても気が動転して何も答えられない。
そうこうしていると、スンビュルも駆けつけ理由を尋ねる。
けれどもね、やっぱり動転しているエスマはやはり荒い息を繰り返しているだけ。
更に、髪をおろしたニギャールも慌ててやってきて、エスマの様子がおかしいのは、
部屋に何かが起こっているから? という考えになるのは、流石後宮女官長。
「宦官長、皇子様方が…」

というと、スンビュルも慌てて部屋へと向かうその直後に、ヒュッレムが何処からか
やって来て、泣き叫んでいるエスマに声をかける。
ギュルシャーはビックリしている。

つまり、
「え? ヒュッレムはここにいる。でも、誰かを刺したのは間違いない」って事だろうか。
目がすっごい左右に揺れているから、かなりの動揺を感じられるわね。

先に部屋に入ったニギャールとスンビュルは、寝台の真っ赤に染まっている布団を発見。
泣き続けているセリムをニギャールが抱きかかえ、その横にいる人物を確認すると…。
ギュルニハルだった。

ギュルニハルが…。
刺されたぁ~(ノД`)・゜・。
あの、天使が刺されたのよ~
おぉう

スンビュルの珍しい叫び声。

「ギュルニハーァル」

そう叫びたくなるのも分かるわ。だって、ワタクシも同じ気持ちだったもん。
スンビュルの叫び声を聞いたヒュッレムは急いで自室にもどり「何事なの?」と
先に入った2人に確認を取ろうと寝台に視線を送ると…。
グッタリと倒れているギュルニハルを発見。

「あぁ!! ギュルニハル!」
と、身体を震わせてその惨事に驚いている。
「何とかしてっ!」
ヒュッレムはスンビュルに詰め寄ると、ギュルニハルはすぐさまスンビュルに
抱きかかえられる。
「ギュルニハル、耐えて。助けるから」
そう言って治療院へと運ばれていった。

その時に漸くダイェがやってきた。(遅いよ、来るのがって思っちゃった)
既に興奮しているヒュッレムは、ダイェに怒鳴り散らす。
「私が狙われたのよ。全員起こしてちょうだい。…陛下も、母后さまもみんな、起こして」
泣き叫んでいる。こりゃ、もう手が付けられない。
けれど、ダイェは冷静にヒュッレムに伝える。
「大声を出さないでください」

そう頼んでも、今のヒュッレムには中々難しいだろうなぁ…。
「ギュルニハルが私の身代わりに…」


マヒデブランの命で何の騒ぎなのかを確認しに行ったギュルシャー。
人違いで殺人を犯してしまい呆然自失の体で部屋に戻り、マヒデブランに報告をする。
…んだけど、流石主。

その刺客が、ギュルシャー本人だとマヒデブランは見破るのよるね。
「私じゃありません」
って、もう泣き顔になっているギュルシャー。
これでは、私が犯人ですって言っているようなものだよ。
マヒデブランは更に問い詰める。

「何故動揺する?」
その質問に、遂にギュルシャーは白状する。
「私はてっきりヒュッレムだと…」

そう聞くや否やマヒデブランは突き飛ばす。
「神罰が下るといい。よくも勝手なマネを。何をしてくれたのよ。
よくも。神よ、罰したまえ。どうか神罰を」

と言いながら、マヒデブランは命令を下してもいないのに
殺人を疑われる立場となってしまい、激怒したことで血がのぼってギュルシャーを折檻する。
これでもか、というくらい顔を叩いてマヒデブラン。
「…手を出すな、と言ったはず」

その言葉に、ギュルシャーは、「お妃さまのために…」と答えるが、また暴行が始まる。
「愚か者。もう終わりよ。お前のせいで首を斬られる。私の身が危ない」

この人は…。マヒデブランは…。
なんで、こんなにも自分勝手なんだろう、と思うワタクシ。
方法は間違っているけれど、ギュルシャーは貴女のためにやったこと。

それを。

「ここから出てって。顔も見たくない」
と追い出してしまう。
けれど、すこし冷静になったのか、直ぐに呼びもどすけれど、もう無理。
叩かれた事でフラフラなギュルシャーは階段を踏み外して落ちてしまうが、ちょうどそこへ宦官たちが歩いてきて、「階段から落ちた。治療院へ」と伝えると、2人の宦官はギュルシャーを運んで行った。


治療院って、遠いのね。
スンビュルに抱えられてきたギュルニハル。
側女の皆も心配で、ゾロゾロとついてきた。
……人望があるなぁ、ギュルニハルは。

スンビュルは、呪文のように呟きながら治療院へと向かっていく。
「ギュルニハル、死なないで。私が助けるから。死なせたりするもんですか」

あぁ…。

こんな事を言いながら、スンビュルはこんなにギュルニハルを運んでいるのよねぇ。
そんなにも気に入っていたとは…。
医女の手当を受けているギュルニハルをもう、ウルウルな瞳で見つめているだけのスンビュルは「死んだの?」と問うけれど、なかなか医女は答えてくれなくて…。
まぁ、それどころじゃないんだろうけど。
「…生きてます」
と、答えるのがやっとだったのかも。
「何としても救って」
ギュルニハルの治療している様を、何とも言えない表情をしているスンビュルを見て、
なんだか…ワタクシ誤解しそうになる。
「神よ、奪いたもうな」

私も、そう願いたい。
だって、天使だもん。
頑張れ、ギュルニハル。


後宮内が騒がしいのに気が付いた母后さま。ダイェを呼ぼうとした時に
その本人が報告の為にやってきた。
勿論、ちょっとお怒り気味な母后さま。

「夜中に、一体何の騒ぎ? 争いか何か?」
そう尋ねるが、ダイェはそれよりももっと深刻な事だと伝える。
「…ギュルニハルが刺されて、瀕死です。隣には、セリム皇子もおられました」

この報告に、母后さまは非常にビックリし、何時も以上に真剣な表情になりながら、
皇子の心配をすると、ダイェは、今は母親の許にいる、と伝えるとどこか少しホッとした
表情になっていた。
「ヒュッレム妃は、自分が狙われたと騒ぎ、皆が疑心暗鬼になっています」

と、最後まで報告を聞いて、母后さまは直ぐに参ろう、言って慌ててヒュッレムの許に行く。
流石、母后さま。
行動が素早いと思います。

「私を殺そうとしたのよ。…これは、私の血だったかも」
とセリムを抱っこしながら少しだけ落ち着きを取り戻したヒュッレムの許に、
母后さまがやって来る。
そして、ヒュッレムの寝台を見て息をのむそのタイミングでヒュッレムは母后さまに、
瞳をうるうるとさせ、漸く落ち着いたと思ったのにまた少し興奮しながら、話しかける。
「母后さま、殺人鬼は私を狙ってます」

しかし、どっしりと構えた母后さまは、狼狽えているヒュッレムに対して安心させてから、
ニギャールに状況を説明させる。
「私とお妃さまは浴場におり、戻るとギュルニハルが瀕死の状態でした」
淡々と答えるニギャールに母后さまは、今は本人の前で言ってはイケナイ言葉を口にする。
「死んだのか?」

その言葉を聞いたヒュッレムの表情は、悲しみに満ちて泣き出してしまう。
「泣くな。子どもたちと私の部屋へ。
…ダイェ、容体の確認を。マヒデブランとムスタファの様子も見て」
と、ここでもテキパキとダイェに指示をだしているところは、本当に母后様って頼りになるわね。

でも、ダイェあっちこっち動いて大変ね。
自分でちゃんと動いて、実際に見てくるんだなーとちょっと関心。
…ほら、部下とか沢山いそうなのに。

母后さまの命で、治療院へとやってきたダイェ。そこには、運んでから心配のあまりか
てこでも動かないスンビュルが立っている。
「神よ、娘を救いたまえ」
と、余りの酷い状態につぶやいたダイェ。

「……お妃さまの部屋に入るほど不敵な殺人鬼がいる。警戒を怠らず、側女達を守って」
と隣にいるスンビュルにどこか疲れたような様子で頼むダイェ。
その時に、治療院の扉が開いて、ギュルシャーが運ばれてきた。

ダイェが宦官に「どういった状態?」と尋ねると、宦官の1人が「階段から転落を」と答えるが…。
「転落? 殴られた痕よ。口も鼻も血だらけ」と、ギュルシャーの怪我の状態を見てつぶやく。
その状況を母后さまに知らせる為、1度部屋に戻るのだった。

あー、忙しい夜だよね。
頑張れ、ダイェ。

戻って空くに報告するのは、「ギュルニハルは生きている」という事。
その報告を聞いたヒュッレムは、またウルウルな瞳のままで、「ハァッ」と喜びのため息と、
笑顔を見せたら、ダイェも母后さまも、少しだけ表情が和らいだのよね。
やっぱり、心配だもの。
……なんだけどさぁ、ぬか喜びさせてはイカンってば、ダイェ。

「医師が手尽くしていますが、予断を許しません」
この言葉を聞いたヒュッレムはまたまた険しい顔に逆戻り。
あぁ、可哀想。(´;ω;`)ウゥゥ

母后さまは、もう1人の妃はどうしているかも心配でダイェに様子を聞くと、ダイェは淡々に
「騒ぎは知らないのか、休んでいます」と報告。
それに対しては「良かったわ…」と胸をなでおろしているが…。

果たして、本当にそうなのか。
粗方の状況が確認できたとして、母后さまは寝具を用意させ一晩を明かす。

明け方に、ニギャールはイブラヒムに報告をしているところから始まりました。
けれどさぁ…。その報告の仕方ってあるか? って思っちゃいましたね。
「ヒュッレム妃の仕業ではありません」って酷いセリフだと思うよ、ワタクシ。

イブラヒムは疑っていたのか、それとも全員を疑っているのか。
「いつ、浴場に?」
と質問をしていると、ニギャールが、
「陛下がお帰りのあと、子守を頼まれたギュルニハルは、セリム皇子を抱いて寝たようです。
ヒュッレム妃と私は、非常事態とも知らずに浴場で雑談をしました。
ヒュッレム妃は狼狽えて、殺されるとおびえていた」

と、一連の流れの報告をニギャールがしているけれど、スンビュルがその場にいないのは
何故なんだろう…とワタクシは思うのね。
こういうのって、スンビュルが報告するのが当然なのでは…?
そう思っていると、まだイブラヒムの質問は続くのよねー。
先に到着しているのは、スンビュルなのに。
女官長の方が気配りとかが、細かいのかな? だから、聞くのか?

「目撃者は?」
「おりません」
「怪しい者に心当たりはないか?」
…ここで、ちょっと考えた素振りを見せた上での返答。
「分かりません。アイシェも刺殺でした。我々の中に殺人鬼が紛れています」
って、ニギャールが答えた内容が気に入らないのか、それとも忌々しいと感じたのかな、
イブラヒムがちっちゃく舌打ちをしたのよね。
…チッって。

チッって、ナニー

そして、宙を見てはポツリと一言。
「困ったものだ」
そして、ふと思ったのか、イブラヒムは「陛下はご存知なのか?」と問うと、ちょーっと顔が曇りましたね、ニギャールさん。
「昨夜は、母后さまの命で、ご伝達はせず」
と聞くと、数回頷いただけ。そして、信じられない言葉を言うのよね。
「もう行け。この件は私が調べる」

いや、いいのよ。調べるのは。
だけどさ、イブラヒムは部下の報告に対してさ、もう少し労いの言葉をかけたりしないのかっ? とワタクシ感じたのですが。
もう行け、の前に。
少なくとも、ご苦労だった、ってなんで先にこういう言葉がでないかなー。
こんな上司チョー嫌だ。ヽ(`Д´)ノプンプン

一方、夜が明けた母后さまのお部屋では、スンビュルとダイェが説教をくらっていましたね。
あぁ、だからイブラヒムの方にはスンビュルがいないのか…。
「後宮の監督者たる者、人殺しが皇子の寝室に侵入した折、どこにいた? 役立たずめ」
と、ダイェに向かって激を飛ばすけど…。母后さま、そりはいきなり無茶苦茶ですぅ~。
けれども、ダイェはグッと堪えてこう言う。

「お許しください。犯人は見つけます」
ついで、スンビュルも。
「母后さま、必ずこの手で処罰いたします」
余程、ギュルニハルを刺した犯人が憎かったのか、と思いましたワタクシ。
母后さまは、スンビュルの言葉に対して、「それが偽りなら、私がお前を処罰する」
と、言い放った時のスンビュルの表情ったら。
ぴくっと反応したかと思えば、気になる点が1つあったようで、早速報告する。

「母后さま、1つご報告が」と言った時の隣にいたダイェの表情がまるで
「余計な事を言うな」とでも言わんばかりの顔つきでスンビュルを見つめる。
それを見返したスンビュルだが、母后さまが「言いなさい」と言った事で、話し始める。
「昨夜、ギュルシャーも治療院に。顔が傷だらけです。ダイェ女官長もご覧に」

スンビュルが報告している時に、ダイェは思わず上目遣いをして母后さまを見つめていた。
この時の彼女の心境はどうだったのかな~~。
母后さまは、「まことか」とダイェに確認を取っている時にも神妙な顔つきでいたので、言いたくなかったのに…。そんな感じなんだろうか。
「本当です。様子を見に来てから階段から転落を。落ち方が悪くひどい状態です」

ダイェからの言葉で母后さまはひとつため息をついてから、「マヒデブランを呼びなさい」と伝えると、隣にいたスンビュルを見ては、「お呼びします」と答えた時。
血相を変えてやってきた皇女ハティジェがやってきた。
「母上、何事ですか?」
ハティジェは、どこからどういった情報が入ったのかな。その娘の姿をみて、思わず本音を漏らす母后さま。
「あぁ、ハティジェ。…もうさんざんよ」


本当、ワタクシもそう思う。


母后さまに呼ばれたマヒデブラン。どことなく、様子がおかしい事に気が付いていた。
「ギュルニハルの容体は深刻だと伺っています」と、目を伏せながら話しをしていると、
ハティジェはすかさずに言う。
「ギュルシャーもよ」
この言葉に、マヒデブランは顔を上げて始めて2人を視界にとどめたところが、「私、知ってます。私も関与しています~」と言っているようで、2人からして、もう怪しさ満点ですね。

「…騒ぎの様子を見に行かせたんです。ぼんやりして足がもつれたようです」
説明を聞いている2人の視線は、すっごーい冷たい。やはり相当疑っているようですね~。
「マヒデブラン、今回の件にそなたの関与はない?」
母后さまが聞いてくると、少しワナワナとしているマヒデブラン。
「母后さま、まさか私の仕業だと? 人を殺めるなど。ハティジェさま」
そう答えるマヒデブランに、やはり冷たい2人の態度。そして、ハティジェは更に募った。
「可能性すら考えたくない」
と、表情がもう、冷たいとしか言いようがないよー。

「私もよ。何か知っていることがあれば、話しなさい」
と、母后さままでもが疑ってかかる。今までのような擁護は感じられない。
まるで、その姿は対ヒュッレム用のもの、とずっと思っていただけに、マヒデブランにまでそういう態度をとるとはワタクシ、全然思いもしませんでした。

「息子に誓って何も知りません」
母后さまにそう伝えるも信じて貰えない状況に、母后さまの部屋に入る前から目が真っ赤だったのが、更に真っ赤になっている。
「そう願いたいが、偽りなら私でもお前を救えない」
そうキッパリと言うと、マヒデブランは意気消沈したようになってしまう。
「側女の無事を祈ろう」
と言って、マヒデブランとの話は終わったようだった。

頑張れ、母后さま。


今回の回はとても長い感想になってしまいましたので、
この続きはー後編ーへ続きます。

良かったら、最後までお付き合いください。



オスマン帝国外伝 第44話「悪夢」

2020年02月01日 | 映画&TV


第44話「悪夢」

さて、今回の物語の始めに出てくるのは…。
皇子様たちでしたー。
仲良くお勉強をしているのかと思えば…。ふとしたことで、兄弟げんか。

「メフメトに、拭きなさい」とムスタファは言うけれど、ムスタファは拭きはしない。
それどころかムスタファにこういう。
「僕は皇帝だ。自分で拭け」
と言い放つと、ムスタファは「皇帝には、僕がなるんだ」と反論。

あらら。
その様子を迎えに来ていたギュルシャーが止めに入る。
「ムスタファ殿下、おやめください」
と言っていると、ムスタファが「弟がインクをこぼした」といい、メフメトは「ペンを貸さないから」と
お互いの主張を言うのだけど…。
ここで、ギュルシャーがトンデモナイ発言をしたのよっっ。

「メフメト。お兄様に失礼です。黙りなさい」
ですって。
失礼なのは、お前の方だろーっっ!! と言ってやりたい。
皇子様に向かって呼び捨てとは何事ぞっっ。
それを感じたのか、メフメトもキッ、とギュルシャーを見上げている。

その頃、ヒュッレムやミフリマーフ、ギュルニハルは、大部屋で側女たちと食事をしている。
すっごい、楽しそうだったわ~。
でも…。食指に金貨を入れるのは、頂けないわ。
せめて焼き菓子とかにしてほしかったよ、ヒュッレムさま…

そんな他愛のない会話をしていると、ヒュッレムはメフメトの事が気になったらしく、
ギュルニハルに聞いていた。
「ムスタファの所に連れてった。会いたがっていたから」
とにこやかーな会話。
あぁ…。平和な会話だなーって思っていたのよね、ワタクシ。

そんな所に、ギュルシャーとメフメトがご登場。
ギュルニハルに、メフメトを渡して帰ろうとした時に、ヒュッレムが声をかける。
要は、何故お前が送っているのだ、と。
なので、ムスタファ皇子とメフメト皇子を教室から連れ帰ったことを、
「ムスタファ殿下のお迎えのついで」と答えるのよね。

ば、ばかギュルシャー。
そこへメフメトが口をはさむのよね。
「あいつ、僕を叱った」って。
それを聞いた両名。
ギュルシャーは、ちょっと真っ青な表情になり、ヒュッレムは怒りに満ちた表情に。

「二度と皇子にメフメトに近づくんじゃないわよ。息子のことは、"殿下"とお呼び」
と、ヒュッレムはギュルシャーに言うけれど、動じない。

「…舌を切られたい?」
ポツリ、とそう言うとニッコリと笑うギュルシャー。
「私は、ムスタファ殿下に仕える身なの」

と言い切る前にヒュッレムに噛みつかれる。
「皇子を差別する気? しかも、叱っただと?」

その剣幕に、周りを見渡しているギュルシャー。
「ヒュッレムさま」

と何かを言おうとした時にまたまた噛みつくヒュッレム。
「お妃さまと呼べ。…出ていけ。そのネズミ顔は見たくない」

そこまで言われて、再び周囲を見ると、側女たちがクスクスと笑っている。
「…尻尾を踏まないよう後ずさりで下がれ。うせろ」

と言われて、漸くギュルシャーは出て行った。その後に、メフメトにキスをするヒュッレムの姿に
母として我が子を守った、という描写があるわぁ、と思いましたね。

そして、ムスタファが母マヒデブランの許にくらーい表情で帰ってきた。
「メフメトが皇帝になるの?」
と、先程の勉強の時に言っていた言葉を投げかける。
突然そんな事を言い出した息子に「何故?」と問うと、「本人が言っていた」と答えるムスタファ。
マヒデブランは、穏やかな表情で「幼いからよくわかってないのよ」と落ち着かせようとしている姿に、コチラにも母の姿が見える。

いいわぁ~。
こういうやり取りも大好き。

「弟のお母さまがそう言っているみたい」
と素直な顔で話しているムスタファも可愛い。
その言葉を聞いたマヒデブランから、スッと表情が暗くなり、側に控えているギュルシャーを見ると、もう涙目。
これじゃあ、悪くなくてもヒュッレム悪者~。

「弟が何を言おうと第1皇子のお前が玉座に上るの」
と、ムスタファの目を見ながら言うマヒデブランの顔をみて、漸くホッとしたのが息子の表情が
柔らかくなっていく。
「お父様同様、世界の王になる」
そういって、息子を抱きしめながら、再びギュルシャーを見ると、大きな目からポロリと涙が流れたのをみて、「着替えてらっしゃい」とその場をうまく退場させたマヒデブラン。

2人きりになった途端、マヒデブランはギュルシャーに話しかける。
「聞いた? あの女は幼子を洗脳してる」

って、ちょっと待ってぇ。
以前、マヒデブランさまも同じような事をして、母后さまにたしなめられたの、忘れちゃったの~~?
おまけに、マヒデブランは、全然第2夫人を敬っていないじゃんかー。
「あの女」ってナニよー。

でも、漸くギュルシャーの異変に気が付いた主。
気付くの遅いわ。涙ボロボロなのに。
「ギュルシャー? 何事?」

もう、悔しくて悔しくて息も絶え絶えのギュルシャー。
「ヒュッレムが憎くて。我々を悲しませる女が笑っているのですよ」

…ってギュルシャー。アナタ、ソレはお互い様でしょうよ。
ヒュッレムだって、同じだと何故気が付かない。

「あの女の命を…」
「ダメ。人殺しにはならない。…待つのよ。過失を見つけるのよ」

とはっきりキッパリ言い切ったマヒデブラン。
これで、ギュルシャーの暴走を止められるだろうか。
頑張れ、マヒデブラン。
我慢してね、ギュルシャー。


そうして時間が経ち、その衝動も抑えられたと思うギュルシャー。
胃が痛いから、レモン入りのハッカ水が欲しいと頼まれたため、側女たちがいる大部屋を
通り過ぎるギュルシャー。
そこで側女から、ネズミの鳴き声をマネされて大笑いされている。しかも…。
「ネズミだ。尻尾を踏むよ」
と陰口を叩かれてこそこそしているギュルシャーではない。勇敢にも「何て?」と聞き返す。

側女の1人が「ヒュッレム妃が言ったの。ネズミって」と言い他の側女が大笑いしていると、
其処へ手を挙げるギュルシャー。
だけど、かなわない。
「やめて、放してよ。…ヒュッレム妃に怒れば?」
もう、ギュルシャー、ウルウルな瞳で我慢できるのだろうか。
そうこうしていると、他の側女も続けて言う。
「無理ね。ネズミは逃げるだけ」
そういわれて、ギュルシャーは何も言う事も出来ずに当初の目的を…。
マヒデブランの為に、レモン入りのハッカ水を取りに行く。
頑張れ、負けるなギュルシャー。

そうしていると外で陛下とイブラヒムが何やら話をしているところに、弓の稽古をしているムスタファ。けれど、どうにもうまく的にまで届かない。
弦が悪いのか、何なのか。それを教えて欲しくて、陛下の傍らで仕事をしているイブラヒムに声をかけるのよね。
だけど、当たり前なんだけど…。仕事中な訳で。断られてしまう。

イブラヒムにとって、陛下の方が当然なんだけど、優先。分かってはいるものの、どうにもやるせないのかも。
「イブラヒム大宰相。命令だ。早くこい」
今度は、少し強い口調で言ってみるが、相手は皇帝陛下に仕えているイブラヒム。
今度は、父である皇帝陛下に窘められる。
「ムスタファ。あとだ」

その言葉にしょげかえっているムスタファに、ペコリと礼をる。

大部屋の側女からの意地悪を潜り抜けて食堂に来たギュルシャーは、レモン入りの
ハッカ水を料理長に頼む。
目を離した隙に手前にあった小型ナイフをくすねてしまうギュルシャー。
それで、ナニをしようっていうの、ギュルシャー。
とワタクシ、もうドキドキです。


所変わって母后さまのご機嫌伺にメフメトともにやってきたヒュッレム。
食事中だったらしく、「お召し上がりを」と伝えると、一緒に食事をとりましょう、と誘われる。
マヒデブランの向かい合わせに座ると直ぐに気が付くマヒデブラン。
暫く後に母后さまもブローチに気付く。
「陛下の最高傑作です。真夜中の贈り物。チューリップは、皇族の象徴だと」

その視線に気が付いたヒュッレムは、そう説明をすると、何も言えない表情をする母后さま。
あ、いやいや。違うかな? 母后さまもそう言うしかないのかも?
「…大切にね」
「ありがとうございます」

得意げな、満面な笑みを見せるヒュッレムに、マヒデブランは忌々しいという表情のまま
夜を迎える。
「あの女の厚かましいこと。"真夜中の贈り物"だと」

就寝の準備をしているようで、ギュルシャーも懸命にその感情を堪えている。
「嘆かれますな」
としか言いようがないよね。ギュルシャーだって。
だけど、主であるマヒデブランの言葉は止まらない。
「陛下にもあきれるわ。あんなに甘やかして。…間違いない。ヒュッレムは悪魔よ。
陛下の魂と心と理性に魔法をかけた」

そのマヒデブランの言葉に、ギュルシャーの表情がスッキリとして見える。
どうして? 何でスッキリとした表情でいられるの?
「終わりは来ます」
いや、そりゃそうだけど…。
「おやすみなさい」と言ってマヒデブランの部屋から出て行ったギュルシャー。

ここで、マヒデブランの夜の姿を映したんだから、当然ヒュッレムにもあっていいよねー。
って思っていたらやっぱりありました。
お着替えをしているヒュッレムの部屋に、なんと。
陛下がやってきたー!!

ヒュッレム、ビックリ。
思わず、可愛い事を言ってしまう。
「陛下、いらしてくださるなんて。思わぬことで、こんな姿でごめんなさい」
何て、乙女なセリフなのー。ヒュッレムよ。

陛下も「問題ない」と言って、寝台に座る。
ヒュッレムは、近くに控えていたギュルニハルに、「セリムを連れていって」とお願いすると、
完全に2人きりに。
「来い」
と立ち尽くしているヒュッレムに陛下は言う。
「どんな姿でも美しい。…心躍る時間だったか?」
と、何ともいえない、今までと違う陛下を見たわ。

ど…どうしたんですかー。陛下。この心変わりは。
そう問いたいワタクシ。
でも、ずっと一緒にいる訳ではなく、部屋に戻ってしまった陛下。
甘い雰囲気のまま、ヒュッレムは安心していると、ギュルシャーが後宮内をウロウロ、
ウロウロとしている。1度は、自分の部屋に戻りまた、ヒュッレムの部屋へと舞い戻る。

そうして、闇に紛れてヒュッレムとセリム皇子が就寝する寝台(ベッド)のふくらみに向け
憎悪を込めて何度も短刀を振り下ろして突き立てた。

鈍い音と、潜血が豪華な布団にあっという間に染み渡る。

ギュ、ギュルシャー。あんたってば、なんてコトしでかしたのっっ。
こんなところで今回の回は終わりなんて、ちょっと、どうしたらいいのさー。

かなり動揺しているワタクシです。