「東の大観、西の栖鳳」と呼ばれ、「近代日本画」に大きな足跡を残した竹内栖鳳(1864-1942年)の過去最大規模の回顧展が、東京国立近代美術館で開催されます。



内覧会に行かせていただきましたので、取り急ぎご報告します(掲載の画像は、許可を得て撮影しました。)
円山四条派の流れを組む日本画家として、「西洋美術」と比肩しうる「日本画」のあり方を模索し、果敢に挑戦し続けた栖鳳。
本画110点、資料60点という圧倒的な作品数によって、「近代日本画の巨人」といわれる竹内栖鳳の画業を一望できる展覧会です(公式HPはコチラ)。

(子ども向けのパンフレットもあります)
会場には獅子や象、熊、鹿といった大きな動物から兎や仔犬、猫といった身近な動物たちなどさまざまな動物を観察して描いた作品が並びます。
鹿の家族を描いた作品も、仔鹿、母鹿、牡鹿それぞれの特徴が描きわけられていて、鹿の躍動感を感じさせる見事な描写です。
とても72歳の筆とは思えない生き生きとした力強い線、構成力。

(『夏鹿』昭和11年、1936年、MOA美術館蔵、前期展示、東京会場のみ)

(『夏鹿』下絵、昭和11年、1936年、京都市美術館蔵)
たとえば獅子というテーマについても、栖鳳は何点もの作品を残していますが、今回の展覧会ではさまざまなバージョンの獅子が並べて展示されているので、比較することができて大変おもしろいのです。

(『金獅』明治34年、1901年ごろ、株式会社ボークス蔵)

(『虎・獅子図』より「獅子」明治34年、1901年、三重県立美術館蔵、前期展示)
展示がえもあり、前期(9月23日まで)、後期(9月25日から)それぞれ見逃せない作品がありますので、各1回ずつは行くつもりでいたほうがよさそうです。
栖鳳は人を描くことがむしろ少なかったそうですが、人気の「絵になる最初」(大正2年、1913年、京都市美術館蔵)や「アレ夕立に」( 明治42年、1909年、高島屋史料館蔵、後期展示)はもちろん、長らく行方不明とされてきた作品も展示されています。
こんな戯画的な作品もあり、栖鳳のさまざまな側面を見ることができます。

(左から『酔興』『馬に乗る狐』共に大正13年、1924年、『雷公』昭和5年、1930年ごろ、3点とも京都市美術館蔵)
この展覧会をきっかけに、関東でも栖鳳人気が高まること必至の予感がします。まずはこの秋、東京国立近代美術館へ足を運び、栖鳳の画力をご自分の目で確かめてみてください。

(真ん中が展覧会図録。掲載作品、解説ともに充実しています。左右は『象図』明治37年、1904年、個人蔵の大型ポストカード。手前左は『春雪』昭和17年、1942年、京都国立近代美術館蔵のポストカード、手前右は『爐邊(ろべ)』 昭和10年、1935年、足立美術館蔵のポストカード)
東京国立近代美術館の「竹内栖鳳展」は2013年9月3日(火)から10月14日(月・祝)まで。そのあと、京都市美術館へ巡回します(2013年10月22日から12月1日まで)。
チラシや図録の表紙にもなり、文字通り看板猫の『斑猫』(山種美術館蔵)は後期展示だそうです。
東京国立近代美術館の常設展では、3階の日本画コーナーにも栖鳳作品1点をはじめ動物を主題にした作品を中心にすぐれた近代日本画が並んでいますので、そちらもお忘れなくお立寄りください。
※この後もうすこしご紹介を追加しましたので、よろしければどうぞ(コチラ)
《おすすめの本》
『もっと知りたい竹内栖鳳』平野重光監修、吉中充代・中村麗子著、1890円
竹内栖鳳(1864〈元治元〉年-1942〈昭和17〉年)は、江戸中期の応挙や呉春らの流れを受け継ぎ、近代の京都画壇に新たな時代を切り拓いた、日本画史上もっとも重要な画家のひとりであり、本書はこの並外れた画家の生涯に沿って、作画の根幹をなす写生から代表作・注目作をバランスよく紹介。見れば見るほど味わい深い日本画の美の極みに迫る初めての初心者向け評伝画集。



内覧会に行かせていただきましたので、取り急ぎご報告します(掲載の画像は、許可を得て撮影しました。)
円山四条派の流れを組む日本画家として、「西洋美術」と比肩しうる「日本画」のあり方を模索し、果敢に挑戦し続けた栖鳳。
本画110点、資料60点という圧倒的な作品数によって、「近代日本画の巨人」といわれる竹内栖鳳の画業を一望できる展覧会です(公式HPはコチラ)。

(子ども向けのパンフレットもあります)
会場には獅子や象、熊、鹿といった大きな動物から兎や仔犬、猫といった身近な動物たちなどさまざまな動物を観察して描いた作品が並びます。
鹿の家族を描いた作品も、仔鹿、母鹿、牡鹿それぞれの特徴が描きわけられていて、鹿の躍動感を感じさせる見事な描写です。
とても72歳の筆とは思えない生き生きとした力強い線、構成力。

(『夏鹿』昭和11年、1936年、MOA美術館蔵、前期展示、東京会場のみ)

(『夏鹿』下絵、昭和11年、1936年、京都市美術館蔵)
たとえば獅子というテーマについても、栖鳳は何点もの作品を残していますが、今回の展覧会ではさまざまなバージョンの獅子が並べて展示されているので、比較することができて大変おもしろいのです。

(『金獅』明治34年、1901年ごろ、株式会社ボークス蔵)

(『虎・獅子図』より「獅子」明治34年、1901年、三重県立美術館蔵、前期展示)
展示がえもあり、前期(9月23日まで)、後期(9月25日から)それぞれ見逃せない作品がありますので、各1回ずつは行くつもりでいたほうがよさそうです。
栖鳳は人を描くことがむしろ少なかったそうですが、人気の「絵になる最初」(大正2年、1913年、京都市美術館蔵)や「アレ夕立に」( 明治42年、1909年、高島屋史料館蔵、後期展示)はもちろん、長らく行方不明とされてきた作品も展示されています。
こんな戯画的な作品もあり、栖鳳のさまざまな側面を見ることができます。

(左から『酔興』『馬に乗る狐』共に大正13年、1924年、『雷公』昭和5年、1930年ごろ、3点とも京都市美術館蔵)
この展覧会をきっかけに、関東でも栖鳳人気が高まること必至の予感がします。まずはこの秋、東京国立近代美術館へ足を運び、栖鳳の画力をご自分の目で確かめてみてください。

(真ん中が展覧会図録。掲載作品、解説ともに充実しています。左右は『象図』明治37年、1904年、個人蔵の大型ポストカード。手前左は『春雪』昭和17年、1942年、京都国立近代美術館蔵のポストカード、手前右は『爐邊(ろべ)』 昭和10年、1935年、足立美術館蔵のポストカード)
東京国立近代美術館の「竹内栖鳳展」は2013年9月3日(火)から10月14日(月・祝)まで。そのあと、京都市美術館へ巡回します(2013年10月22日から12月1日まで)。
チラシや図録の表紙にもなり、文字通り看板猫の『斑猫』(山種美術館蔵)は後期展示だそうです。
東京国立近代美術館の常設展では、3階の日本画コーナーにも栖鳳作品1点をはじめ動物を主題にした作品を中心にすぐれた近代日本画が並んでいますので、そちらもお忘れなくお立寄りください。
※この後もうすこしご紹介を追加しましたので、よろしければどうぞ(コチラ)
《おすすめの本》
『もっと知りたい竹内栖鳳』平野重光監修、吉中充代・中村麗子著、1890円
竹内栖鳳(1864〈元治元〉年-1942〈昭和17〉年)は、江戸中期の応挙や呉春らの流れを受け継ぎ、近代の京都画壇に新たな時代を切り拓いた、日本画史上もっとも重要な画家のひとりであり、本書はこの並外れた画家の生涯に沿って、作画の根幹をなす写生から代表作・注目作をバランスよく紹介。見れば見るほど味わい深い日本画の美の極みに迫る初めての初心者向け評伝画集。
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