三井記念美術館で開催中の「河鍋暁斎の能・狂言画」展

(展覧会のチラシ)
幼少のころから大蔵流の狂言を習い、免状もいただき、素人ながら実際の舞台にもたっていたという暁斎。
単に観て楽しむだけでなく、実際に演じ精通しているからこそ、能・狂言の「『実』を描き得た」と高い評価を得ているそうです。
2008年に京都国立博物館で開催された大回顧展で熱狂的なフィーバーを巻き起こし、今春は東京でも同時に2箇所(もうひとつは太田記念美術館)で暁斎の展覧会が開催されるなど、高い求心力を持ち続ける暁斎。
その「もうひとつの顔」を間近に確認できる展覧会です。
90点近くの展示作品は、本格的な肉筆画から戯画的な作品、版画、下絵など多岐にわたっています。
なかでも、狂言師の大蔵弥太郎宅で狂言面を、宝生九郎宅で宝生家の名品を写生したという「能・狂言面之地取画巻」は圧巻。
たとえば面も、面そのもののスケッチだけではなく、実際に面をつけて演じている様子を写した画もあり、「見る」だけではなく「演じる」視点を常にもっていたことが伝わってきます。
もうひとつ、忘れ難いのが「道成寺」の鐘のなかの様子を描いた「道成寺図(鐘の中)」。
白拍子姿から蛇体に変身したシテが、手鏡を覗いて姿をチェックしている様子が描かれています。
鐘の中は狭くて暗いので、当時は蝋燭で灯りをともしたそうですが、通常では決してみることができないそうした描写も、能・狂言の世界に精通していた暁斎ならではです。
この展覧会こそ、能や狂言が好きな方が観たらおもしろさも倍増。
能・狂言にはそれほど詳しくない私でも、知っている演目があるとより興味をひかれます。
暁斎という画才のある人材が身近にいたからこそ、能・狂言を題材にこれだけの作品がのこったともいえます。
たとえば、暁斎が能・狂言ではなく文楽に近いところにいたら、人形や人形遣い、太夫や三味線の技について、何か描き残してくれたかもしれません。
もしそうだったら、と思うと文楽好きの私にはたまりません。
暁斎という人材を得られて、「能・狂言」もラッキーだったというわけですね。
この展覧会は、6月16日までは東京・三井記念美術館で。その後7月12日から金沢能楽美術館で開催されます。
東京での展覧会も後半にさしかかり、展示替えもあるようです。ぜひ、お見逃しなく。
《おすすめの本》
『もっと知りたい河鍋暁斎』狩野博幸著、本体1,800円、2013年04月、B5判、96頁
幕末から明治にかけて活躍した狩野派の奇才の、驚異的な画技と豊かなイマジネーションを、比較的知られる戯画、幽霊・妖怪画はもとより、美人画、風景画、武者絵、動物画など暁斎の多彩な才能をあますところなく紹介。近年とくに注目される肉筆画もたっぷりお見せします。
****以下、美術館HPの開催概要より****
幕末~明治に活躍した河鍋暁斎(1831-89)は、傑出した画力をもって歴史画・仏教絵画・風俗画など多様な作品を遺しました。今日、一般にも暁斎作品に注目が集まっており、確かな技術に裏付けられた多彩な絵画群の知名度も上がっています。
本展覧会では、暁斎およびその一門の描いた能面・狂言画を展示いたします。暁斎自身が能を愛好していたため、作品は舞台を活写する臨場感にあふれています。彼の能・狂言画やその下絵類を幅広く集積することで、絵師の愛した劇芸術世界を構成いたします。

(展覧会のチラシ)
幼少のころから大蔵流の狂言を習い、免状もいただき、素人ながら実際の舞台にもたっていたという暁斎。
単に観て楽しむだけでなく、実際に演じ精通しているからこそ、能・狂言の「『実』を描き得た」と高い評価を得ているそうです。
2008年に京都国立博物館で開催された大回顧展で熱狂的なフィーバーを巻き起こし、今春は東京でも同時に2箇所(もうひとつは太田記念美術館)で暁斎の展覧会が開催されるなど、高い求心力を持ち続ける暁斎。
その「もうひとつの顔」を間近に確認できる展覧会です。
90点近くの展示作品は、本格的な肉筆画から戯画的な作品、版画、下絵など多岐にわたっています。
なかでも、狂言師の大蔵弥太郎宅で狂言面を、宝生九郎宅で宝生家の名品を写生したという「能・狂言面之地取画巻」は圧巻。
たとえば面も、面そのもののスケッチだけではなく、実際に面をつけて演じている様子を写した画もあり、「見る」だけではなく「演じる」視点を常にもっていたことが伝わってきます。
もうひとつ、忘れ難いのが「道成寺」の鐘のなかの様子を描いた「道成寺図(鐘の中)」。
白拍子姿から蛇体に変身したシテが、手鏡を覗いて姿をチェックしている様子が描かれています。
鐘の中は狭くて暗いので、当時は蝋燭で灯りをともしたそうですが、通常では決してみることができないそうした描写も、能・狂言の世界に精通していた暁斎ならではです。
この展覧会こそ、能や狂言が好きな方が観たらおもしろさも倍増。
能・狂言にはそれほど詳しくない私でも、知っている演目があるとより興味をひかれます。
暁斎という画才のある人材が身近にいたからこそ、能・狂言を題材にこれだけの作品がのこったともいえます。
たとえば、暁斎が能・狂言ではなく文楽に近いところにいたら、人形や人形遣い、太夫や三味線の技について、何か描き残してくれたかもしれません。
もしそうだったら、と思うと文楽好きの私にはたまりません。
暁斎という人材を得られて、「能・狂言」もラッキーだったというわけですね。
この展覧会は、6月16日までは東京・三井記念美術館で。その後7月12日から金沢能楽美術館で開催されます。
東京での展覧会も後半にさしかかり、展示替えもあるようです。ぜひ、お見逃しなく。
《おすすめの本》
『もっと知りたい河鍋暁斎』狩野博幸著、本体1,800円、2013年04月、B5判、96頁
幕末から明治にかけて活躍した狩野派の奇才の、驚異的な画技と豊かなイマジネーションを、比較的知られる戯画、幽霊・妖怪画はもとより、美人画、風景画、武者絵、動物画など暁斎の多彩な才能をあますところなく紹介。近年とくに注目される肉筆画もたっぷりお見せします。
****以下、美術館HPの開催概要より****
幕末~明治に活躍した河鍋暁斎(1831-89)は、傑出した画力をもって歴史画・仏教絵画・風俗画など多様な作品を遺しました。今日、一般にも暁斎作品に注目が集まっており、確かな技術に裏付けられた多彩な絵画群の知名度も上がっています。
本展覧会では、暁斎およびその一門の描いた能面・狂言画を展示いたします。暁斎自身が能を愛好していたため、作品は舞台を活写する臨場感にあふれています。彼の能・狂言画やその下絵類を幅広く集積することで、絵師の愛した劇芸術世界を構成いたします。
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