烏鷺鳩(うろく)

切手・鉱物・文学。好きな事楽しい事についてのブログ

お年玉切手シート2019 : 猪目のカラーマーク

2019-01-31 | 切手


200枚あまりの年賀状の中で、たった1枚当たった! 
「お年玉切手シート2019」である!!
しかし、これ、私が当てたのではないのである・・・。母から譲ってもらったのだ。

まあ、いいさ。

というわけで、数枚しか届かない私の年賀状の中に当たりが出るはずもなく、受け取る年賀状の枚数が多い家族から譲ってもらうのである。


今年のお年玉切手シートは、珍しく「干支」に因んだ図案ではない。



縁起物の「招き猫」である。郵便局のHPを見たところ、「一年中使えるように、干支ではなく縁起の良い図柄」にしたようである。

ちょっと待て。何も干支はお正月に限った物でもないだろう。今年は「一年中亥年」なのであるから、猪の図案の切手を今年のいつに使おうがちっともおかしいことなんか無いではないか。

と、まあいささか立腹していたのである。これじゃあ猪さんがかわいそうである。
ところが、いざシートを手にしてみると、「これ、なかなかいいんじゃないの」なんて思うようになってしまったのだから、私も大概なやつである。



まず、目に付くのがこの穿孔(切り抜き)だろう。



「LUCKY」「HAPPY」と、縁起の良い文字を切り抜きでデザインしている。
その他、「松竹梅」、「打ち出の小槌」、「稲穂」、「鯛」、「小判」に「当たり目」と、ありとあらゆる縁起の良い図柄をこれでもかと盛り込み、ちゃっかり猪を紛れ込ませた、ゴージャス海鮮丼的お年玉切手シートなのである。

そして、一番注目してほしいのがこれ。



左下のカラーマーク。
「あ、かわいい、ハートだ!」
などと思ったあなた、甘い。これは「猪目」なのである!と思う。
「猪目」(いのめ)とは、古来より建築物などにもデザインされている文様の一つである。文字通り、「猪の目」を図案化した文様だ。魔除けや護符の意味合いがあるのだそうだ。実際にはハートを逆さにした形のことを指す。

別に郵便局のHPに、「猪目」と書かれてるわけではないので、もしかしたらハートなのかもしれないけれど・・・。いや、そこは郵便局の心憎い演出であると思いたいのである。


ところで、「お年玉切手シート」の歴史をみてみると、一番最初の発行は1950年の「円山応挙の虎」だった。以降、毎年発行されているが、必ずしも「干支」に関連した図案だけではなく、郷土玩具やそれこそ縁起物とされるグッズを図案に取り入れたりと、結構バラエティ豊かなようだ。


というわけで、ちゃっかり猪が紛れ込ませてある縁起物てんこ盛りの切手シートに、まんざらでもなく満足してしまった次第である。いやはや。

平成31年用年賀郵便切手(寄付金付き)

2019-01-17 | 切手


ゆったりたっぷりお正月を味わっていたら・・・いつの間にか松が明けていた!

というわけで、今年もどうぞ宜しくお願いいたします。

ずいぶんな正月ぼけついでに、毎年楽しみにしている切手をご紹介。
寄付金付きの「年賀郵便切手」である。私は勝手に「お年玉付き年賀切手」と呼んでいる。お年玉のくじ番号が付いているだけで、実際「お年玉」が付いているわけではないのだが、何となくそう呼んでいる。郵便局に行って窓口で、
「あの、お年玉付き年賀切手ください」
といってしまうのである。正確には、「平成31年用年賀郵便切手・寄付金付き」である。
一般には通称・「くじ付き年賀切手」と呼ばれていたような。


そして、仕事始めに上司から頂いた嬉しいお年玉をご紹介しよう。それがこちら!



郵便局で売っている「郵便グッズ」の一つ、「お年玉キットカット2019」である!!
これはかなり嬉しかったのだ!! 気にはなっていたがつい買いそびれた一品だったので、
「こいつは新年早々縁起が良いぞ!」
と、一人ほくそ笑んでいたのである。



パッケージの柄も3種類あったようで、その柄と同じ物が、キットカットの個包装にも描かれている。かわいい猪である!


さて、今年も気ままに「烏鷺鳩」を更新していこうと思っております故、皆様、どうぞ宜しくお願いいたしまする。

東京ミネラルショー 2018 (2018年12月14日~17日)〈2〉

2018-12-18 | 鉱物
東京ミネラルショーの見所の一つに、鉱物や化石の展示がある。毎年第2会場にて、著名なコレクターの素晴らしい標本を展示したり、古生物の化石を展示したりと、これまた楽しみな企画なのである。去年は「カンブリア・モンスター」でおなじみのチェンジャンの化石が展示されていた。
今年は「ワイン産地にジオパーク ボジョレー地区のアンモナイト」と、「ローマ時代の金属鉱山 コソボ共和国 TREPCA MINE」の2大展示である。



ボジョレー・ヌーヴォーで有名なボジョレー地区ではアンモナイトの素晴らしい化石がたくさん見つかるのだそうだ。なぜボジョレー地区がユネスコ世界ジオパークに認定されたのかパンフレットに説明されていたのでご紹介しよう。

この地域に見られる変成岩と火成岩から成る結晶質の基盤岩からは、ヘルシニア造山帯が形成された過程の歴史を、ほぼ全て見てとることができます。ヘルシニア造山帯は、ゴンドワナ超大陸とユーラメリカ超大陸が衝突した後、古生代末期(3億5,000万年から2億9,000万年前)に形成された山脈です。この時期の地質は、高い山々の奥底で起こった地質学的変化の過程を、驚くほど明らかに示しており、ゆえに世界の地質学史においても非常に重要視されています。



ボジョレーの地質における二次堆積物は、約8,000万年に及ぶものとみられています。その岩質と構造はバラエティに富み、これは多種多様な堆積環境が特徴である縁海の地質の歴史と無関係ではありません。

古代三紀(4,500万年から2,500万年前)および新第三紀(1,000万年から500万年前)の間の地体構造運動により、ピレネー山脈とアルプス山脈が形成された際に、基盤岩とその上の堆積層が大規模に崩壊しました。結果、西ボジョレー地域は隆起し、東ボジョレー地域に崩れ落ちた堆積物が流れ込み、東地域の多様性に富む地層を形成したのです。

そして、ボジョレー山脈とジュラ山脈の間にできた大きな窪地からは、古第三紀末期と第四紀(約300万年~)において大規模なアルプス山脈周辺の化繊網が発展し、氷解した山の水がそこに流れ込むと、徐々にソーヌ河一帯の沖積層地帯が形成されました。

多種多様な地質に恵まれたボジョレー地域は、数多くの科学研究の対象となっており、また地質学の基礎研究や応用研究におけるあらゆる主要なテーマとして取り上げられています。


私は、ボジョレー・ヌーヴォーのお祭り騒ぎを「ちょっとなあ」などと思っていたのだが、この展示で、「アンモナイトの埋まる地域で産出したワインなんて素敵じゃないか」と、ほぼ180度見方が変わってしまったのは言うまでもない。かっこつけて、「まだ若いワインをこぞって飲むなんてどうなのよ」なんて言っていたのが、こうも手のひらを返すとは我ながらあきれるばかりである。人間なんて、そんな風に案外簡単なのかもしれない。


一方、「トレプカ鉱山」の長い歴史は興味深く、日本の神岡鉱山にその特徴が似ているというのもなかなか面白い展示であった。この標本は販売もしていたため、写真は控えてしまったのだけど、結構バシャバシャ撮ってる方々がいたから、気に入った標本を写真に撮っておけば良かったと若干後悔している。


展示を見終わり、今回広げられた左手奥の会場へと向かう。
日本産の鉱物を売っているお店で、「かぐや姫水晶」を発見した。大変かわいらしく、美しい形の標本である。
これはアメシストなのだが、球状の母岩を割ると、まるでかぐや姫が生まれたかのように薄紫色の水晶が顔を出すのである。福島県会津地方で産出する。まさか、ここでめぐりあうとは思いもよらず、嬉しい発見であった。


さて、一通り第2会場を堪能した後、再び第1会場へ。
ふらっと立ち寄った化石のお店で「デンドライト」の美しい標本が並んでいた! 始祖鳥が発見された事で有名な化石産地「ゾルンホーフェン」で採れる石である。



まるで風景画のような、繊細な景色が見える。これは、植物の化石とよく間違えられるのだが、マンガンなどが鉱物の隙間に染みこむことで生まれる模様なのだ。


たくさんのブースが並んでいるので、ただ見ているだけでも楽しい。
くんくんと鼻をきかせてお店の奥の方へと入っていくと、



写真左下の極小三葉虫を発見!! ルーペで見てみると、数字の「8」の形と、その体の凹凸までがはっきりと見て取れる。カンブリア紀中期の三葉虫である。すこしきらりと光るのはパイライトであろうか。


“Braun Lapidary”はアメリカ・ユタ州から家族でいらっしゃっている。おじいちゃんとお父さんと、2人の兄弟、お母さんらしき人がいらっしゃっていた。
このお店、去年も面白い石がたくさん見つかったので、楽しみにしていたのだ。以前このブログでもご紹介した「ピカソ・マーブル」がその一つである。今年もたくさんの石や化石を取りそろえてらっしゃる。

お兄さんと思わしき青年に、とあるルース・ケースを見せてもらう。これを目にした瞬間、吸い込まれてしまった。
「恐竜の骨のルース(裸石)」である。
茶色や、緑、鮮やかな赤や、淡い青まで、色とりどりのカボションがぎっしりつまった箱だった。
青年が慎重に箱の蓋を留めていたピンをはずす。そしてそっと手渡してくれた。
恐竜の化石なのだが、瑪瑙化して大変美しい様相を呈しているのである。
じっと見つめていた。
ただ、やはりこれだけ美しいカボションは値段が張る。お父さんとおじいさんにお詫びして、一旦箱をお返しする。
「気にせずまた見に来て。今度来るときはいっぱい買ってね」
と、おだやかな笑顔でジョークを言ってくれた。
「多分私、また戻ってきます」
といって、一旦ブースを離れた。

第1会場をぐるぐる周りながらも、やっぱりあの「恐竜の骨のルース」が忘れられない。半周してから、やっぱりBraun Lapidaryへと戻ってきた。
「やっぱり戻って来ちゃった」
というと、優しい笑顔でルースケースを手渡してくれた。
お父さんが説明をしてくれる。
「恐竜の骨は、コレクションに規制がかけられてるんだ。これはおそらく1960年代に発掘された物で、私の友人が磨いた物なんだ。10年位前に亡くなったのだけど」
これほど美しい物はもう市場に出回ることはないから、どんどん値段も上がっていくのだとも教えてくれた。
たくさんのルースを慎重に手に取りながら、じっくりと選んだ。
深い赤と色々な色がまじっている、楕円形のルースに決めた。おじいさんが、
「いいのを選んだね」
と言ってくれた。
「わたし、アクセサリーを作るので、これで素敵なのを作ります!」
と言うと、
「きっと『カンバセーション・ピース』になるよ!絶対『これ、何の石?』から始まって盛り上がるから」
と、お父さんが言ってくれた。貴重な品を分けてもらって、なんだかとっても嬉しかった。


楽しみの一つだった「ジオード・クラッキング」は、今年もタイミングが悪くて参加できず。その代わりと言ってはなんだが、ちょっと大きめ、ずっしりとした石に惹かれる。
「ボルダーオパール」の原石だ。母岩の縞模様と、オパール部分の爽やかな色合いがとっても興味深い。


最後に一つ、と買い求めたのは、「サンダーベイ・アメシスト」。カナダで採れるアメシストだが、先の方が赤い。「レッド・キャップ・アメシスト」と呼ばれたりもするらしい。さらには「オーラライト23」というパワーストーン系の名前も付いている。23の鉱物を含む、神秘の石だということだ。


今回も、たっぷり6時間ほど歩き回って、色々な石を見た!
気がつくと足が棒である。
こちらが、「東京ミネラルショー2018」の漁獲である。



ディスプレイ用品もちょこっと買えて、大満足の収穫であった。
ミネラルショーでは、たくさんの国からも業者さんがやってくるので、国内では見ることない珍しい石も見かけることができた。なにより、お店の方とのお話が楽しかった。話しかけてみると、意外な物語が返ってきたりして。そうしたお話も石を見る度思い出すことだろう。


というわけで、「鉱物好きの年の締めくくり」、とも言うべき一大フェスティバルは終了した。また来年、皆さんにお会いできるといいな、と思うのだ。

東京ミネラルショー 2018 (2018年12月14日~17日)〈1〉

2018-12-16 | 鉱物



「吉良殿、お覚悟!!」
元禄15年12月14日、316年前に赤穂浪士が吉良邸に討ち入りしたこの日、私は東京ミネラルショーの会場へと乗り込んだ!!
私は忠臣蔵が大好きなのだ。ちなみに、吉良上野介の「吉良(きら)」は「雲母」のことで、吉良の地元で雲母がたくさん採れることに因んだ名字なのだとか。


開場の45分前に到着したのだが、もうすでに200人は超えているかと思われる長蛇の列。今年も先着100名に配られるカレンダーはゲットできなかったが、良いのだ。もう既に私は夏の時点でカレンダーを購入していたのだ。「ジュラシック・ワールド 炎の王国」のカレンダーである。だから、もうすでにカレンダーについては満足である。
確かに、ミネラルショー名物の「鉱物カレンダー」は今年も素敵だった。写真がきれいなので大人気なのだ。いつか購入しようかなあと思っている。


列に並んでいる数十分の間、私はいつも本を読むのだが、いつもの事ながら、段々と頭に入ってこなくなるので途中で本をバッグにしまう。そわそわ落ち着かなくなってくるのだ。
チケットのもぎりとパンフレットの配布が始まるともう、頭は鉱物でいっぱい。一番最初に向かうお店の位置を頭の中で念入りに反芻するのみとなる。


さあ、いよいよ開場である!!
ここでダッシュなんかしたらいけない。人にぶつかるし、最悪の場合、石の並んだテーブルに激突し、お店の石をぶちまけてしまう。
だから、高鳴る心を抑えつつ、慎重に歩みを進める。


まず始めに、第一のお目当てであった”Bulgarian Minerals & Gems”のブースへ!!
こちらのお店では、去年、「水晶・方解石仮晶」を購入した。実はとあるアゲート(瑪瑙)を求めて尋ねてみたのだが、「新宿にはいつも持ってくるけど、池袋は持ってきていないんだ」と、お店の方が仰っていたのだ。
それでも、このお店、大変美しい標本を、たくさん揃えてらっしゃるので、前回にいっぺんで気に入ってしまったのである。並べ方も、鉱物の種類毎に揃えておくのではなく、色とりどりの標本を色のバランス良く並べてらっしゃるので、とても目を惹くのだ。

ところが、開場してすぐ向かったお店に、ブルガリアのおじさんがいない。仕方が無いので、並べられた鉱物を手に取って見せて頂いていた。と、あの、「オルフェウス・アゲート」が幾つも並んでいるではないか!!
もう「きゃー」といいたいほど嬉しくなってしまう。
「オルフェウス・アゲート」はブルガリアでしか採れない瑪瑙(メノウ)である。その色合いといい、インクリュージョンの複雑な美しさといい、憧れの瑪瑙であったのだ。

10分ほどして、おじさんがやってきた!!どうやらご飯を買いに出かけていたらしい。
そして今年もまた、ブルガリアのおじさんと鉱物話に花が咲く。
「去年、オルフェウス・アゲートのこと質問したのだけど」
「ああ。だから今年持ってきたんだよ」
嬉しい。覚えていてくれていたんだ。幾つもあるオルフェウス・アゲートを、おじさんは一つ一つ手に取りながら「これは、ここの部分がきれいだよね」とか、「この標本は完璧だ」とか、話が尽きない。とても悩んだ挙げ句、選んだのがこちら。



「オルフェウス・アゲート」のスライスと、「ブルー・アゲート」である。オルフェウス・アゲートの決め手は緑と茶色の部分のバランスと、まん中の樹木のようなインクリュージョンの見事さである。他の標本も甲乙付けがたく素晴らしかった。
そして、ブルガリアで採れるアゲートの中で一番珍しいという「ブルー・アゲート」。
「『サフィリン』と呼んでいるのさ。サファイアのようだからね。オルフェウス・アゲートよりも貴重だよ」
とおじさんが言っていた。透けるような淡いブルーが大変美しい。
「これはカボションに磨けばきれいな縞模様が現れると思う」とのことだ。半透明のブルーの層が、白い層を挟んでいる。一般的なブルー・レース・アゲートよりも透明感があり、一つ一つの層が厚みを持っているようだ。
「また来年お会いしましょう」と言って、おじさんと別れる。


次に向かったのは「アフガン・ブラザーズ」のブース。目当ては「ローマン・グラス」のビーズである。



こんな風に、美しいブルー・グリーンや紺色のガラスの破片をビーズに加工してある。
「ローマン・グラス」は、ローマ時代のガラス食器などの破片が、地中に長い年月埋まることでできた「銀化ガラス」と呼ばれる物である。銀化している表面の部分に、美しい虹色の光が現れる。大変面白いガラスなのである。
こちらのアフガン・ブラザーズでは、こうしたビーズ加工したものだけでなく、使用されていた当時のままの形で出土したローマン・グラスのカップなどがそろっているのだ。歴史のロマンみたいな物を感じる。まるで、ショーケースが博物館の一画のようで、見ているだけで嬉しくなった。
おまけに、「ラブラドライト」のブレスレットを頂いた!!


まずは、第1会場をぐるっとする。と、「グレープ・カルセドニー」がたくさん並んでいるお店発見!!
その名の通り、葡萄のように球状の結晶がつぶつぶとくっついた、薄紫色のカルセドニーである。数年前にインドネシアで発見された鉱物だ。実はこれ、以前、イギリス人の女性がビデオ・ブログで紹介されているのを見て、興味をもった鉱物なのだ。
割と大きめで、きらめきもある標本なのではないかと思う。


第1会場を後にして、CORO CORO STONEさんに会いに第2会場へ行く。
こちらの会場もすごい人だかりである。挨拶をして、ふと目にとまったのが「アホーアイト・イン・クォーツ」。極小のマイクロマウント標本である。
このアホーアイト、アホー石とか、アホイトとも呼ばれているのだが、超希少鉱物らしくて、そこそこの大きさだと、かなり高額になる代物である。それが、こんなお手頃価格で手に入るとは!!「ラッキー」とすぐさま手に取る。



左下のちびっこいケースが「アホーアイト・イン・クォーツ」である。私にはルーペという強い味方が付いているために、こうした極小結晶も「どんと来い」なのだ。
「小さいけど、しっかりミントグリーンのアホーアイトが確認できますね」と、ここでも店長さんと石話で盛り上がる。こういう、お店の人と石に関する色んな話をするのも、ミネラルショーの醍醐味の一つだと思うのだ。その醍醐味を存分に味わう。


第2会場を見て回る。チェコからいらしたブースで、これまたおもしろ鉱物発見!!
「クリノクロア・クォーツ」である。両錐水晶の表面をクリノクロアが覆って、黒っぽい緑のきらめきを放っている。これはあとでじっくりと調べてみたい鉱物だ。
お店の人によると、これは2年位前にロシアで発見されたのだという。まだまだ地球上には未知の鉱物が埋まっているのだ!!何というロマン。


さてさて、ここからもまだまだ続くので次回へ。

神田古本祭り(神保町)と梟書茶房(池袋)〈2〉

2018-11-30 | 旅行
神田古本祭りを堪能した私と親友・麦であったが、この日のメイン・イベントに備え、後ろ髪を引かれる思いで午後3時頃神保町を後にする。目指すは池袋!!

さて、何のイベントかというと、とある小説家のトークショー。
ヒント①:神保町にはこの方の有名な小説シリーズに登場する、とある探偵が事務所を構えている。
ヒント②:池袋には、その小説シリーズに登場するとある刑事行きつけの酒場「猫目洞」がある。

ここでピント来た方、なかなかマニアックなファンでいらっしゃる。


正解は、あの、・・・・・


京極夏彦さん!!!!!


麦は京極さんの20年来のファンである。筋金入りである。参加した京極さんのイベントは数知れず。一方私は、麦が熱心に京極さんと京極さんの作品について語るのを聞いているうち、最近ファンになったのである。にわかである。


会場はちょっと不思議なカフェ&書店、「梟書茶房」である。
心躍らせながら地下鉄に揺られ、池袋へ。


場所はEsolaの4階。エスカレーターを降りると、そこには本好きにとっての桃源郷が広がる。
ゆったりとコーヒーを飲みながら読書が楽しめる。大きな革張りの茶色いソファーが並んでいたり、図書館風の机が並んでいたり。その時の気分によってくつろぐ場所を選べるようになっている。
と、ここでもやっぱり写真を忘れた・・・。我々、大分興奮していたのだ。

まずは楽しみだった書籍コーナーへ。
ここは販売している書籍はなんと全て袋とじ。
ここでちょっと怪しい妄想をした方もいらっしゃると思うが、無理もない。
「袋とじ本」である。
つまりは、どんな本が入っているのか分からないのである。表に書いてあるのは、タイトルの代わりの数字とその本の紹介文。そこに書いてある文章で、読みたいか、読みたくないかを直感的に決めるという仕組みである。
いつも決まりきった読書傾向になりがちな私にとっては、これ、結構画期的だなと思った。

というわけで、麦と二人、書籍コーナーに置いてあったカタログも参考に、「これだ!」と思う一冊を探す。

「これって、○○じゃない?」とタイトルを想像したり、「この紹介文からするとこれがピンと来る」などと盛り上がりながら、お互いの気になる本を探していく。あっという間に小一時間が経過していた。

というわけで、私が選んだのはこの2冊!!



どうも1冊には絞れなかったのである。
1冊目の「666」の紹介文は、「これは、ある作家……、いや、友に対する、鎮魂歌である」の一行。どういうわけだか、妙に気になった。
2冊目の「66」はどうやら詩集であるということは何となく分かった。詩は普段あまり読まないのでこれは良い機会である、と両方とも購入。


どんな本が入っているのかわくわくしながらカフェへ。
夜に備えてしっかり腹ごしらえである。

注文した物が出てくる間に、お楽しみの袋とじ本を開けてみる。



右側と中央の二冊が入っていた!!
『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』については、普段の私だったら絶対選ばない一冊だ。なんとなく、思想的なところとか、食わず嫌いで読まなかった作家である。これを機会に読んでみようかな、と思わせる内容の一冊であった。
『ポー詩集』は、実は前から「欲しいな」と思っていた一冊なので、これは奇跡的な選択である。昔、大学時代に授業で読んだ「大鴉」を、もう一度読んでみたくなっていたのだ。しかもこれ、原文も一緒に載っているのが嬉しい!!
どちらも、私にとっては「当たり」であった。自分では絶対読まなそうな本と、読みたかった本の2冊だったのだ。

お互いの本でわいわい盛り上がっていると、食事がやってきた。



まずは、果物たっぷりのフルーツ・ティー。適度な甘さが歩き回った疲れを癒してくれる。
食事の方であるが、これまたさんざん迷った挙げ句、こちらを選ぶ。



フライパンに入ったパンケーキである!!童話の世界に登場しそうなメルヘン情緒たっぷりの一品である。しかも、期間限定の「モンブラン・パンケーキ」!!今日は贅沢しちゃうぞ。
縁の部分がかりっとしていて、ふっくらしながら心地よい弾力のある美味しいパンケーキであった。
ちなみに麦はキノコたっぷりのスパゲッティ。こちらも美味しかったのだそうだ。


さあ、今夜のメイン・イベントの始まりである。



京極さんが「池袋」、「本」、「コーヒー」についてお話ししてくださるのだ。
京極さんが登場すると、もう雰囲気は「京極ワールド」!黒い着物の裏地は深紅。黒い足袋に黒い草履の鼻緒はこれまた深紅。かっこいい!!「百鬼夜行シリーズ」の「京極堂」こと「中禅寺秋彦」を彷彿とさせる!!我々二人は静かに大興奮。
もう、お話が楽しくて、笑いが絶えないトークショーであった。
まずはハロウィンについて。京極さんは博識でいらっしゃる。ケルト起源のこの行事について様々な角度から語ってくださった。
池袋といえば、「池袋の女」という話も面白かった。昔、「池袋の女」という怪奇現象が頻繁に起こっていた、という話からポルターガイストまで。
「コーヒー」に関しては、いつ頃からドリップ・コーヒーを飲み始めたか、とか、好みの銘柄とか。麦と私はメモをとりながら熱心に耳を傾けた。

あっという間の1時間半。夢のようなひとときであった。
そして、なんと、お土産が付いていた。



京極さんをイメージして作られたコーヒー、「京極ブレンド」!!これはトークショーで1杯ずつ配られ、とても美味しかったのだ。これを飲みながら「百鬼夜行シリーズ」を再読したら、この上ない至福であろう。
ちなみに、豆の状態でも販売していたから、麦と私は始まる前にちゃっかり購入していた。
それと、梟書茶房のカタログ。千冊くらいの本の番号と紹介文が載っているので、「次はこの番号の本を買ってみようかなあ」などと、色々妄想、じゃなかった想像と期待がふくらむのだ。


こうして、夢のような「本」の1日は過ぎていった。この日のことは忘れられない大切な思い出となった。
京極さんの世界を紹介してくれた麦には感謝してもしきれないなあ、と改めて思った次第である。