烏鷺鳩(うろく)

切手・鉱物・文学。好きな事楽しい事についてのブログ

恐竜切手の切手:ウガンダ 2013年

2019-07-07 | 切手


空にランフォリンクスが舞う峡谷。イーゼルにはたった今描き上げたばかりのイグアノドンの絵。
恐竜の住む世界でスケッチをしているかのような気分になる。
そして、不思議な入れ子状のような空間と現実世界を結びつけるのは、絵筆を握る画家の手である。

ウガンダから2013年に発行された小型切手シートだ。この切手シート、過去に様々な国で発行された恐竜切手をモチーフにした、「切手の切手」なのである。


「切手の切手」というのは人気のあるトピックで、これを専門に集める収集家もいるくらいだ。
モチーフになっている切手というのは、過去に発行された有名な切手、例えばイギリスの「ペニーブラック」だったり、日本ならば「龍文切手」などである。
沖縄のふるさと切手には、戦後の米軍占領下で発行された「沖縄切手(琉球切手)」の一番最初と最後の切手を図案化したものが発行されている。
つまり、「切手の切手」は、そういった過去の切手にオマージュを捧げる様な意味合いがあるのだ。




さて、このウガンダの切手シート、切手の本体はマリで1984年に発行されたイグアノドンの切手なのであるが、私の手元にある資料、『よみがえる恐竜たち』に載っている切手と若干背景の色が異なる。さらには、ウガンダの方は元の額面が消されているのだが、「25」と読める。『よみがえる恐竜たち』に載っているバージョンは「175」なのだ。なんだろう、この違いって。
私はマリで発行されたオリジナルの切手を持っていないのでなんとも言えないのだが、もしかするとウガンダの方で背景の色と額面をわざと変えたか、マリの方で額面の異なる切手を実際に発行していたと言う可能性がある。これは今後の調査課題である。


シートの右側に描かれた切手を見てみよう。
一番上はアメリカで発行された1989年に発行された4種のうちの、プテラノドンである。



こちらが4種田型である。プテラノドンの他はティラノサウルス、ステゴサウルス、アパトサウルスだ。

その隣はマーシャル諸島発行のスティラコサウルスであるが、こちらは残念ながら手元に実物がない。こちらも今後の切手発掘調査の課題である。

お次は1993年発行のルーマニアのアパトサウルスである。



こちらは使用済みを持っているのだが、もう一種、アーケオプテリクスが不在なのである。是非未使用の揃いを発掘したいところだ。

さて最後はティラノサウルス。



こちらは1994年にタンザニアで発行された7種の切手のうちの1枚である。虹色のカラフルな背景といかにも爬虫類、もっというとゴジラっぽい質感の厳ついティラノサウルスだ。


モチーフになっている切手はそれぞれが面白いデザインであり、それぞれに楽しい情報が詰まったシリーズとなっている。
このウガンダの「恐竜切手の切手」、小型切手の題名は「恐竜 切手の中の世界」である。
観れば観るほど恐竜切手の奥深い世界が広がっていく。このシートの背景に描かれた峡谷のように、恐竜が闊歩する世界がこの小さな切手の中に何処までも広がっているように思えてならない。

使用済み切手を楽しむ:分類篇

2019-05-12 | 切手


ツバメの歌声が聞こえる。
青葉は目にまぶしく、乾いた風が爽やかに吹き抜ける。
五月。


「さあ、使用済み切手の森へ探検だ」


というわけで、今年もこの季節、どうしても心躍ってしまうのが、「切手剥がし」である。
なぜこの時期に、という方も大勢いらっしゃるだろう。
「スタンプショウ」が終わって、各ブースで手に入れた切手をひとまず整理し終える。すると、そこで手に入れた「使用済み切手どっさりパック」(個人的に命名)に手を付けたくなるのが、この時期、5月の休日というわけなのである。




今年、私が手に入れたのは、「スタンプショウ」の主催者ブースで行っている「使用済み切手つかみ取り」の切手ではない。このつかみ取り、スタンプショウの公式ガイドブックを購入すると参加できる特典イベントなのだが、今回、「おそまつさん」効果と「改元」効果が相まって来場者が激増。その為ガイドブックは初日早々の売り切れだったと聞く。
「使用済み切手つかみ取り」のできなかった私はしょんぼりしながら5階会場をめぐっていたのだが、その時に目に入ったのがケネディ・スタンプ・クラブさんの「使用済み切手どっさりパック」だったのである。

計量の結果、台紙・ビニール袋も含めて504グラムであった!
「これは大分切手剥がしが楽しめるぞ」
と、わくわくで袋を眺め、いつ始めようかとうきうきしていたのだ。
が、ここで焦ってはいけない。
なんせ、この量である。闇雲に剥がし始めたら、おそらく収拾が付かなくなる。
というわけで、冷静に今後の計画を考える。
そう、まずは大まかに分類するところから。




みたところ、ほとんどが普通切手のようである。それならば、発行年代ごとにまずはざっくりと分類してみよう。



「さくら日本切手カタログ2019」を片手に仕分けする。
平成切手の1994年シリーズが圧倒的に多そうだ。あと、わかりやすいのは2007年から2009年に発行された、日本郵政公社時代の切手である。
それから私の好きな1989年シリーズの「ヒオウギガイ・41円」と「オオイトカケガイ・62円」も結構見つかった。

袋から少しずつ取り出して、山を切り崩すように分類を続ける。
意外に多いのが1976年シリーズの「はにわの兵士」である。日本郵政公社時代にも「はにわの兵士」が同じ額面200円で発行されているのだが、「200」の字体が微妙に異なるのだ。そして、じっくり観察した結果、やはり1976年のはにわの兵士である。面白いことに、1994年の平成切手シリーズを併せて貼ってあるケースが結構多い。



1時間経過したところで、なぜか、「クウェート」の切手を発見!!



約2時間後には「カナダ」の切手が出てきたりする。




約2時間半後にようやく年代ごとの分類が終わる。
写真左下の山が、全て「1994年の平成切手シリーズ」である。相当な量だ。
割と色々な種類が見つかったのが「年賀切手」。年代も様々である。
実は、その他にも
「こりゃお宝じゃないか!!」
と、私が大喜びした切手が数枚見つかった。後日の続編にて是非ご紹介したいと思う!




年代ごとに分類した結果、1994年シリーズがものすごい数になった。
他の年代のものをチャック付きビニール袋に入れて、1994年シリーズを再度分類することにした。



図案ごと、つまりは額面別に分類するわけだが、ヤマセミが他を圧倒。
シオカラトンボ(8円)やミカドアゲハ(15円)、テントウムシ(18円)が発見されるも、極めて少数なので、コアオハナムグリ(10円)を別として「昆虫」でまとめる。
サギソウ(190円)やカタクリ(350円)など草花もちらほら見つかるが、こちらはカワラナデシコ(270円)と共に「花」で分類する。

1994年シリーズだけで1時間半を分類に費やした。
それにしても、ヤマセミの大群!!
ヤマセミは他の年代の切手と併用されるパターンも多かったので、実際にはこれよりもまだ増えることになる。



分類だけで合計4時間かかった。
1994年シリーズだけでご覧の量である



他の年代の分類がそれを若干下回る量。
大小併せて合計13袋に分類した。


普通切手を分類していて改めて分かるのが、デザインが良く考えられているということである。
当たり前といえば当たり前なのだが、今回の分類でそのデザイン性と機能性の絶妙な両立を、身をもって実感することができたのだ。
特に平成の1994年シリーズは、図案の昆虫、鳥、植物と、その背景にある斜めの色分けによって、ものすごく短時間で仕分けすることが可能であった。
つまり、色味によって直感的に、切手の額面を見分けられる仕組みになっているのだ。
なるほど、普通切手のデザインは良くできているのだなあ。


さて、今後少しずつではあるが、分類した切手を剥がすという作業をコツコツと続けていく予定である。
全て剥がし終わるのに、さていつまでかかるのか?!今後を乞うご期待!!

スタンプショウ2019(2)

2019-05-02 | 切手


お腹も一杯になって、疲れも癒えたので人混みをかき分け「外国郵政」のブースへ向かう。
列がいくつかできていて、どれが何処につながっているのか分からない。取り敢えず列の最後尾について、前の老紳士に尋ねる。
「こちら、ムーミンの列ですか?」
「そう」
老紳士もフィンランド郵政のムーミンの消印に並ぶ。



私はスナフキンの切手を選んだ。ムーミンワールドの消印である。ムーミン谷の仲間達が大集合!これはかわいいぞ。

続いて隣の列にも辛抱強く並ぶ。今年は、リヒテンシュタイン、スロベニア、ハンガリーの郵政が出張している。どれも記念印が欲しかったのだけど、楽しみだったリヒテンシュタインの記念印を押してもらう。



「リヒテンシュタインは美しい切手を出す国だ」と、切手を集め始めた頃に父が言っていた言葉の刷り込みで、「リヒテンシュタイン切手=美しい」という公式が私の頭の中に出来上がっていたためである。
確かに美しい!デザインが素晴らしいではないか。押印するおねいさんが、
「昨日の消印も押印できますが、今日のでいいですか?」
「昨日のもお願いします!」
と、2日分の切手を購入。消印も素敵じゃないか。


なんとか楽しみだったムーミンとリヒテンシュタインの記念印を手に入れ、再び5階へ。
お昼に出会った紳士のお誘いで「植物切手研究会」のブースへ。
「こんにちは」
とお声をかけると、
「ああ、こんにちは。さっき声をかけてこちらに誘ったんだよ」
と、仲間の紳士と淑女に紹介して下さった。
研究会のブースでは、それぞれのテーマの切手を紹介したり、会員のコレクションから格安に分けてくださったりするのだ。
数冊の植物切手のバインダーを手渡された。使用済みの美品がなんと1枚10円!
種類ごとに分類された植物の切手を眺めていると、いつのまにか夢中になってしまっていた。
「植物切手はいつまでも見飽きないですよね」
とご婦人が仰る。
「本当、植物切手面白いですね」
とすっかりその魅力に引き込まれる私。
と、そこへ若い女性が声をかけてきた。
「これは何処の国の切手ですか?」
福引きで引き当てた植物切手を手に、ブースへやってきた。もう一人の紳士が、植物切手のカタログ、それも洋書をさっと取り出した。
ご婦人が、
「カンボジアですね」
と、答えると、カタログの紳士は、
「ああ、これは6枚揃いだね。あと1枚でそろいなんだけど」
と、詳しい説明。こうやって手持ちの切手を調べて下さったりもするのだ。

私はというと、花の切手に魅せられ、幾つもの切手をバインダーから引き出す。



きれいな切手が手に入って大満足!特に台湾の菊の切手、これはなかなか見事なんじゃないだろうか。
植物切手研究会の皆さんにお礼を言ってブースを去る。例会にお誘い頂いたので、是非参加してみようかなあと思っている。


さて、再び「恐竜・古生物」のバインダーを探そう。
ふと足を止めたブースで、バインダーを眺める。すると、ここでもおもしろ切手発見!



「ウドムルト共和国 恐竜 加刷切手」以来、なんとなく「加刷切手」に目がいってしまう。ここでも発見した!!これは調べ甲斐がありそう。
それと、懐かしの「ふみカード」が!!しかもヒサ・クニヒコさんのイラストによる、福井の恐竜のカードである!!これはもう静かに大興奮。
ふみカードは郵便局の窓口や切手の自動販売機なんかで使えたカードで、私もうっすら記憶の片隅に残っていた程度であったが、まさかここで出会うとは。ヒサ・クニヒコさんのファンとしてはこれはもうお宝である!!


次はロータスフィラテリックセンターさんのブースへご挨拶。
「ああ、こんにちは。今日は恐竜は持ってきてないけど、このバインダー見て」
そうは仰っても、きちんと恐竜、いましたよ。



少しでもこういうのをご用意しておいて下さる辺りが、さりげないけど細やかなお心遣いだなあ、と思うのだ。
「またお店の方に遊びに来て下さい」
と仰って下さる。
この切手シート、帰宅後にじっくり見てみると、あのオヴィラプトルがいたではないか!念願のオヴィラプトル切手を捕獲。


「使用済み切手つかみ取り、楽しみにしていたんだけどなあ。今年は無しか」
と、さびしく思っていると、あちらこちらで魅惑のパックが目に入る。使用済み切手のどっさりパックである!
「そうか、その手があったか!」
ガイドブックが売り切りれて、「使用済み切手つかみ取り」ができなくなったけど、買えばいいじゃない!
ケネディスタンプクラブさんで、ぎゅうぎゅう詰めの切手のパックが並んでいた。一つ一つ中身を吟味する。と言っても、袋の外側からお宝がないかチェックするのである。
そして、「もしや!」と思った切手が含まれたパックを選んで購入。



どうだろう、このボリューム!!ずっしり重たい!!こりゃ半年かけて「切手剥がし」が楽しみめるぞ、とほくほく顔である。
家に帰ってから試しに重さを量ってみる。



堂々の504グラムである!!(ビニールの袋を含む)


最後に見つけたのは、「サンマリノ 恐竜切手 9種完」!これで私にとって重要な切手がそろったのだ!!なぜ重要なのかはまたの機会にご説明しよう。



「アメリカの恐竜切手、すごく安いじゃないか!」
と合わせて買ったのだが・・・。よっぽど私、会場の雰囲気に飲まれていたのか、一番最初のブースでも同じものを購入していた・・・。2枚買っちゃった・・・。
まあ、いいじゃないか。恐竜切手は何枚あっても嬉しいし。


今回のスタンプショウは思わぬ誤算があった一方で、素敵な出会いがあった。切手収集の大先輩達との楽しい会話。新しい切手の世界を紹介して下さった。感謝の気持ちで一杯である。
さあ、切手の整理が忙しくなるぞ。

そして、あのどっさりパックの使用済み切手、一体何枚入っているのだろう?そして全て剥がし終わるのにどのくらい時間がかかるだろうか?
切手の楽しみは続く。

スタンプショウ2019(1)

2019-05-01 | 切手


若葉を潤す春雨の降る中、浅草へ。
今年もいよいよスタンプショウの時期がやってきた!「今年は休日に開催なのだなあ」と漠然とした印象しか持たずに会場へ向かう。が、しかしである。
予想だにしなかった大誤算がここで明らかになるのだ。

行列!!
かつてないほどの行列ができているではないか・・・。なぜだ?なぜこんなに駐車場にまで何列にもなる行列ができているのか!?
ここでもまだ私は薄ぼんやりとした思考しか働いておらず、列が進むにまかせて前進する。

「『おそまつさん』グッズ販売の最後尾はこちらです!!」
「宮内庁押印の方はこちらにお並び下さい!!」
あ・・・そういうことね。

そうだ、2日目の4月30日は「平成最後の日」であった・・・。
普段から押印にあまり食指の動かされない私は、この事態を全く想定していなかったのである。
切手収集の割と基本な部分、それが押印であると言っても過言ではない。
切手の発行日に押される「初日印」、有名な観光地で押してもらえる「風景印」、そして特別な日に押される「記念印」。
そう、この日は結構な特別な日であったのだ。
むしろ、通常は切手を収集しなくても「この日は特別だから」ということで、記念印に人々が殺到することぐらい、予想できたものを。甘い。推測の詰めが甘すぎる私であった。

いつものように4階の会場にご挨拶をして、つまりはぐるっと回ってから、5階のディーラーズブースへと向かおうと思っていたが、とんでもない事態になっていた。
「すみません、『公式ガイドブック』ください」
「申し訳ありません、ガイドブックは売り切れてしまって。スタンプラリーの用紙ならございます」
「・・・あ、いいです」
なんとなんと、「公式ガイドブック」が売り切れていたのである!!
これは緊急事態発生である。
楽しみにしていた「切手つかみ取り」ができない・・・。公式ガイドブックを持っている人の特典が、100g切手つかみ取りなのである。とほほ。
これはどうやら今年のキャラクター「おそまつさん」の仕業であるらしいことが後ほど分かるのである。


さて、気を取り直して5階へと向かう。
「きっと5階も大変な騒ぎだろうな・・・。やれやれ」
と思いきや、割と落ち着いた雰囲気である。ほっ。
人混みに若干酔い気味の私が、いささか朦朧として吸い寄せられたのが「中川スタンプ商会」さんのブース。「恐竜・古生物」のファイルが目にとまったのである。最初に捕獲したのがこちら!



面白いものが目にとまった。ちょっとコレクションに斜めな視点というか、変化を持たせてくれるような切手もたくさんあって、いきなり大漁である!!



「チェコ恐竜切手1994年3種完」は、前から欲しかったものだったのでかなり嬉しい。
三角形の恐竜切手や、カラフルな古生物切手のシリーズも面白い。
中でも「英領南極」の6枚組のシリーズは、南極大陸が2億8千万年前から現在に至るまでどのように移動したかを描いた、大変興味深い切手だ。
こちらのお店、クラシカルなものがそろっている上にどれも美品なので必ずチェックしているのだ。今年も美品の揃いが捕獲できて大満足である。


続いて5階会場をぐるぐると回る。
目を皿のようにして「恐竜・古生物」のバインダーを探す。と、なんとバインダー①~④と豊富に取りそろえてらっしゃるブースが!!
はるばる京都からいらっしゃった「フジスタンプ」さんである。実はこちらのホームページ、いつも拝見しながら「いいなあ」と思っていたのだ。ネットでも恐竜切手が大充実。
ブースでも4冊もバインダーをご用意下さっていた!!
早速机に向かって椅子に座り、じっくりページを繰る。
これもいいな、あれもいいな、と迷いながらも大興奮である。
おそらく外から見ればただバインダーをむっつり眺めているようにしか見えないだろう。
しかしである。その実、心は躍り上がらんばかりに興奮し、無数の恐竜切手からせいぜいその1割以下の枚数に絞り込まなければならないという重圧に押しつぶされ、頭は大パニックなのである。
「ああ、きっと皆さんもそうなのかな」
と、周りを見回し、ふとそんなことを思う。落ち着いてバインダーに向かっていらっしゃるように見えるおじ様方も、内心はうきうきわくわくなのであろう。
さて、私が苦しみにもだえながら絞り込んだのは、こちら!!



こちらは個性的な切手が充実しているブースで、去年も「おもしろ恐竜切手」(スティラコサウルス)を捕獲したお店である。
そして、今回も、去年に劣らず個性的で面白い切手が大量に発掘できたのだ!!是非とも一つ一つをご紹介していきたいのだが、今回の「スタンプショウ2019」の白眉はこちら!!



「恐竜切手の切手」である!!
一瞬見過ごしてしまうかと思う位、控えめな、落ち着いたデザインの切手である。
ところが、よくよく見てみるとなんと興味深い一枚であろうか!

過去に発行された各国の恐竜切手を図案化しているのである。通常の「切手の切手」、つまり、やはり過去に発行された有名な切手を図案化した切手というのは、結構人気のあるトピックなのだ。「切手の切手」を専門に集める方も少なくない。例えば外国でいうなら「ペニーブラック」というイギリスの超有名な切手を図案化したものが発行されているし、日本でいうなら「龍文切手」という日本で最初の切手を図案化した物などが発行されている。
つまり、切手の中に図案化されている切手は、オマージュを捧げられるような存在なのであり、つまりは重要な切手と言うことである。

この「恐竜切手の切手」も、そんな有名どころへのオマージュを捧げた一枚であるのだ。
恐竜切手収集家としてはこれは大発見の一枚であるといっても過言ではない。
「いや、こりゃいいもの見つけたじゃないの」
と、帰宅後にやつくこと、しきりであるのだ。


少しお昼には早いのだけれど、結構お腹が空いてきた。
今年こそは「神谷バー」へ!!と思っていたのだが、会場の人の多さに圧倒され、やや疲れてしまったので、11時半頃早々にお昼休憩を取ることにする。
4階の会場には、お弁当屋さんやお菓子屋さん、酒屋さんのブースが並んでいるのだ。ちょっと気になっていたお弁当屋さんへ。



普通のお弁当だとちょっと私には多いかな、というボリュームだったので、こちらのおにぎり弁当にする。
お弁当屋さんの前にテーブルと椅子が置かれているのでそこで休憩することに。
おじいさんが助六寿司を召し上がっている。お隣には別の人の荷物があったので、前の席に座る。
「こちら、よろしいですか?」
「ええ、どうぞどうぞ」
紳士は快く席を勧めて下さる。
梅のおにぎりをほおばりながら、会場の熱気を観察する。梅干しの酸っぱさが疲れを癒してくれ、気分をさっぱりさせてくれる。
女子達が「おそまつさん」のスタンプラリーに長蛇の列。
斜め向かいにも老紳士が席を取り、同じおにぎり弁当を開いていた。
何となく、会話が始まる。
「今年はすごい人数だね」
「そうですね、驚きます」
と言うところから始まり、3人でお弁当をたべつつ、静かに会話。会場の騒ぎはBGMである。
やはり今年は元号の切り替わりということもあり、例年以上に盛り上がっているのだそうだ。「宮内庁」の出張押印には長蛇の列で、10:45の時点で締め切っているとのこと。
「押してあるものを販売するのもあるけど、自分で用意した紙に押印する人もいるから。スタンプ1個じゃどうしたって押す数に限界があるからね。それで締め切ったんでしょう」
と、助六寿司の紳士が仰っていた。
「今年の記念品もすごい行列だね。12時半頃、ダメ元で並んでみようか」
とおにぎり弁当の紳士。
「私は早々に諦めちゃいました」
と、頭を掻く私。
「平成最後の押印」は手に入らなかったけれど、会場の騒然とする熱気の中で、こんな素敵な出会いがあったことが、なんだかとっても嬉しかった。大先輩の収集家さん達とお話しできたことが、私にとっては「平成最後の」記念だったような気がする。
助六寿司の紳士が、
「私は植物切手の部会に入っていて、上でやってるから、良かったら見にいらして下さい。無料で切手差し上げてますから」
と誘って下さった。なんと、切手部会のブースの方にお会いするなんて、これはラッキー!! 各部会のブース、興味はあったもののどうアプローチしていいのか分からなかったので、千載一遇の好機である!


二人の紳士とお別れして、4階を何とかしてめぐろうとする。どうしても行きたかった「外国郵政」のブースへやっとの事で辿り着いた。


ということで、この続きは是非とも次回ゆっくりご紹介したい。

世界初の古生物切手:インド 1951年 「地質調査100年」

2019-04-14 | 切手


体の半分の長さはあろうかと思われる、巨大な牙。現生のアフリカ象よりも長く伸びた牙である。
学名は「ステゴドン・ガネサ(ガネーシャ)」。「ガネサ」、つまり「ガネーシャ」は、ヒンドゥー教の象頭の神の名前である。
牙と牙の間が狭いために、鼻は左右どちらかに垂れ下がっていたのではないか、という復元に基づく図案である。
「自然界において、そんな左右非対称のアンバランスを常態とする生物がいるもんだろうか?」という疑問が沸いてくる。もしかしたら、もっと短くて平たい鼻が牙の上にきちんと乗っかっていた、なんていう想像だってできるはずだ。なんせ、鼻は柔らかいから化石に残らないのだ。



それはそうと、学名に「ガネーシャ」を入れた辺り、素敵なネーミングセンスを感じてしまう。ちなみにガネーシャは、シヴァ神の妻、パールヴァティが自らの垢と香油で作ったとされているが、「リグ・ヴェーダ」などの叙事詩には登場しないので、比較的新しい信仰だとされている。なんせ、20世紀になって映画の世界から生まれた女神様もいる位だから、歴史と共に新しい神様が生まれてきたとしても全然不思議ではないのが、インドのヒンドゥー教である。大変興味深い。


さて、肝心の1851年に行われたとされる地質調査についてであるが、情報を得ることができなかった。今後の課題である。
その代わりにと言っては何だが、ステゴドン科についての興味深い記事が見つかったのでご紹介したい。

第2回 実はゾウの楽園だった日本列島(ナショナルジオグラフィック)
さて、日本列島が、意外にも「ゾウの楽園」だったかもしれない話。

 まだ、今の形の「列島」になっていなかった多島海時代の1800万年から1600万年前には、ステゴロフォドンというゾウがいて、時代が下るに従って小型化していったという。

 そこから先、日本のゾウはどうなったのか。

 実は、よく分からないのだそうだ。なぜなら、1600万年前から600万年前までの間、ゾウに限らず陸の生き物の化石記録がほとんどないからだ。



「とにかく化石記録がないのでそこはすっ飛ばしまして、600万年ぐらい前になるとツダンスキーゾウというのが見つかります。アジア大陸に当時いたでっかいゾウなんですがそれが日本に渡ってきている。渡ってきた時点では、大陸と日本がつながっていたのかもしれないんですが、その後、しばらくまた切り離されて交流がない状態が続きます。それで、何百万年かにわたって日本で独自に進化していくんです。ミエゾウ、ハチオウジゾウ、アケボノゾウという系列。ハチオウジゾウは2010年に命名されたばかりです。原始的なアケボノゾウという位置づけで別種にする必要はないという説もあるんですが」

この系列は、ゾウの系統でいうと、ステゴドンというアジアに広く分布していたグループだ。長く前に突きだした牙が特徴。牙と牙の間が狭くて、鼻が間を通らなかったのでは、と言われるものもある。前に出てきたゴンフォテリウムやステゴロフォドンよりは、現生のゾウに近いが、分類学的に言うと「ステゴドン科」として、「ゾウ科」と区別されるようだ。しかし、ここではほかにもいろいろな種類が出てくるので、分岐図を見て系統関係を理解した方がいいだろう。

「日本のゾウ」として関係してくるものとしては、まず原始的なゾウの先祖から、ゴンフォテリウムが分かれて、その後、ステゴロフォドンや、さらにステゴドンが出る。さらに、アジアゾウ類が分岐して、その先にマンモスの仲間と現生アジアゾウの仲間が分かれる。現生アジアゾウとナウマンゾウは、ほとんど「きょうだい」のような近縁だ。


ステゴドン科は、アジアに広く分布していた象の仲間であり、実は、あのマンモスよりも古い時代の生き物だということが分かり、結構驚いた。
正直、私はこの時代の生物達については、全く知識があいまいなのだ。
この奇妙な象の仲間をきっかけに、新生代の古生物についてももっと調べてみようと思った次第である。


【参考サイト・文献】
・ナショナルジオグラフィック「第2回 実はゾウの楽園だった日本列島」
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20140710/407028/
・『インド神話の謎』丸山勇・写真、佐藤和彦・文(学研、1998年1月26日)