烏鷺鳩(うろく)

切手・鉱物・文学。好きな事楽しい事についてのブログ

サントメ・プリンシペ 恐竜と鉱物の切手シート 2009年(1)

2018-07-31 | 切手


恐竜(一部翼竜)と鉱物が1枚の切手シートに!!夢のコラボ切手である!ステーキの上にホアグラとトリュフをのせたと想像して頂いても結構である。兎に角、ゴージャス・プレミア丼の感が否めない、スペシャル切手なのである。


現在、我々が目にしている鉱物は数百万年、数千万年の時を経ている。それこそ、恐竜が生きていた時代に形成がはじまり、1億年経って美しい形に出来上がったのだろうと想像できるのだ。それぞれ描かれている恐竜と鉱物がどういったつながりで絵が描かれたのかはわからないのだが、鉱物の「種」ともいえる結晶のはじまりが、恐竜と共に存在していたのだという事を表しているのかもしれない。


ご覧のように、様々な種類の恐竜、翼竜、そして鉱物が描かれている。
まずは上段左の切手から見てみよう。



トリケラトプスの横に”Siderite e Sphalerite ps. Calcite”(「シデライトとスファレライトps.カルサイト」)と書かれた鉱物が描かれている。シデライトは「菱鉄鉱」。スファレライトは「閃亜鉛鉱」である。カルサイトは「方解石」。
ところで、この菱鉄鉱は方解石グループの一つである。方解石の組成式CaCO3のCa部分が鉄になると、菱鉄鉱FeCo3となるのだが、他にもニッケルなどの様々な金属によって置き換わったのが方解石グループの鉱物なのである。

という点を踏まえて、「ps.」という部分が何を意味するのか考えてみた。サントメ・プリンシペはポルトガル語が公用語である。「ps.」を調べてみたが出てこない。何かの略語であることがわかる。「ps」で始まる鉱物用語というのでまっさきに思いつくのが”Pseudomorph”(仮像[かぞう]/仮晶)なのだ。
ここで、方解石グループというのがヒントになるのである。どういう事かというと、似た組成の鉱物は、仮像を形成しやすいのである。化学組成の一部分を置き換えるからだ。
絵を見る限り、形は方解石の犬牙状結晶に似ている。というわけで、ここに描かれているのは、「菱鉄鉱と閃亜鉛鉱、方解石仮晶」ではないかと考えられるのだ。
ちなみに、「仮晶」は2つ持っているので、後でご紹介しよう。(残念ながら私の手元には菱鉄鉱も閃亜鉛鉱も無いので、手に入れたあかつきにはご紹介したいと思うのである。いつかはわからないが・・・。)


続いて右の切手である。



奇妙なフォルムをした翼竜、「バトラコグナトゥス」が描かれている。その下には「パイロモルファイト」、すなわち「緑鉛鉱」が描かれている。緑鉛鉱は、美しい緑色の鉱物なのだが、これまた残念なことに私の手元にない。
バトラコグナトゥス、なんだか非常に気になるので調べてみた。翼竜グッズをデザイン、販売するサイトに、詳しい説明が掲載されていたので、拙訳にてご紹介する。

The tiny pterosaur Batrachognathus volans is known from Upper Jurassic rocks of the Karabastau Formation in the central Asian republic of Kazakhstan. The depositional environment was a warm water lagoon, similar to what's seen in similarly aged rocks of Germany's Solnhofen limestone.

小さな翼竜、「バトラコグナトゥス・ヴォランス」は中央アジアに位置するカザフスタン共和国のKarabastau累層の上部ジュラ紀の岩によって知られている。堆積物によると生息環境は、暖かい沼地で、ドイツのゾルンホーフェンの石灰岩の同時代の岩石に同様に見られるものと似ている。

Batrachoganthus volans was first described in 1948 by Soviet paleontologist Anatoly Riabinin. The name Batrachognathus comes from the Greek words for “frog jaw” and the species name, volans, Latin for “flying.”

バトラコグナトゥス・ヴォランスは1948年にソビエトの古生物学者、アナトリー・リャビーニンによって初めて記述された。バトラコグナトゥスという名前はギリシャ語の「カエルの顎」に由来し、種名の「ヴォランス」はラテン語で「飛んでいる」という意味である。

The name references the short-faced skull with a round jaw seen in the only known specimen. Batrachognathus's delicate skull is incompletely preserved but shows that it had very large eyes set far forward and its jaws had a number of small, conical and slightly recurved teeth. The remainder of the skeleton is incompletely known, but does preserve some vertebrae, portions of the wings, and hind-limbs. Comparison of preserved elements with the same bones in similar pterosaurs shows that Batrachognathus had a wingspan of approximately 50 cm (20 inches).

その名前は、唯一知られている標本に見られる、丸い顎を持った短い頭骨に由来する。バトラコグナトゥスの繊細な頭骨は保存状態があまり完璧ではないが、前向きに離れている大変大きな目を持っており、顎には幾つもの円錐形でわずかに上向きに沿った歯があった事を示している。残りの骨格は不完全にしか知られていないのだが、いくつかの椎骨、翼の一部、そして後肢が残されている。似たような翼竜の同じ骨で保存されているものと比較するとバトラコグナトゥスの翼幅は50cmだったことがわかる。

Riabinin initially described Batrachognathus as being a member of the Rhamphorhynchidae, but noted strong similarities to the short-faced German genus Anurognathus (thought to be a rhamphorhynchid at the time). Subsequent research has confirmed the close relationship of Batrachognathus and Anurognathus as members of the Anurognathidae. Batrachognathus itself appears to be most closely related to the Middle Jurassic Chinese genera Dendrorhynchoides and Jeholopterus. All known anurognathids have short faces and those with preserved hindquarters show that they have short tails.

リャビーニンは始め、バトラコグナトゥスをランフォリンキダエ類の一種であると説明していたが、短い顔のドイツの種であるアヌログナトゥス(当時ランフォリンキダエ類だと思われていた)との非常に似ている点も記載していた。後の調査により、バトラコグナトゥスとアヌログナトゥスが、アヌログナティダエ類としての近縁種であることが確認されている。バトラコグナトゥス自体はジュラ紀中期の中国の種類、デンドロリンコイデスとジェホロプテルスと最も近しい関係であることが明らかになっている。アヌログナティダエ類として知られるすべてが短い顎を持ち、後肢が保存されているものには、短い尾を持っていたことが認められる。


Batrachognathus, like other anurognathids, is thought to have been an aerial insect hunter. They all share a number of adaptations for swift and acrobatic flight and likely pursued insects on the wing like bats, swifts, nightjars, and swallows. Well-preserved anurognathid specimens show that at least some species had long whisker-like filaments around their mouth, similar to what is found in nightjars.

バトラコグナトゥスは、他のアヌログナティダエ類同様、飛行する昆虫を捕らえていたと考えられている。彼らは敏捷かつアクロバティックに飛ぶための適用を幾つも経ており、コウモリやヨタカ、ツバメに似た翼で昆虫を追いかけていた。保存状態の良いアヌログナティダエ類の標本のうち、少なくともいくつかの種類には、ヨタカに見られるような物によく似た、ひげのような繊維が口の周りに認められるのである。


というわけで、バトラコグナトゥスはとても小さな翼竜で、面白い特徴を備えていることがわかった。その顔も想像してみると大変ユーモラスである。


まだまだご紹介したい恐竜と鉱物が満載なので、次回へ続く。



【参考サイト】
・PTEROS http://www.pteros.com/pterosaurs/batrachognathus.html 

「ジュラシック・ワールド カフェ」に行ってきた!!

2018-07-28 | グルメ


池袋のパルコに、ジュラシック・ワールドの世界を再現した素敵なカフェが期間限定で登場!!
「これは何が何でも行かねばなるまい!!」と、大興奮で早速出かける。
パルコの入り口では、開店前から10数名の行列が。20分前から私も並ぶ。並んで、メニューの予習をする。直前まで悩んでしまうほど、素敵なメニューが勢揃いなのである。

いよいよ開店である!!エレベーターに走る!!一番最後に乗ったから、7階に着いてからはズルをして最初の方に並ぶ。ここは弱肉強食の世界であるから、仕方ないのである!!
(最初に乗っていた方、どうもすみませんでした。)


平日だけれども、夏休みが始まったちびっこたちが大勢いらっしゃる。ライバル出現である。
私の順番がやってきた。
「何名様ですか?」
「(見ての通り)1人です(よ)」



家族連れやカップル、友人同士といったライバル達を横目に、私はカウンターに通された。原寸大ブルーのすぐ側の席である!!わたしの背後にブルーが!!もう完全に捕食される位置ではないか!!



素早く注文を済ませ、ブルーの写真を撮る。



ドアップである。素晴らしく良くできている。おばあちゃんとやってきた少女がいたのだが、恐怖のあまり後ずさりするほどの迫力であった。

店内にはオリジナルサウンドトラックが流れ、イスラ・ヌブラル島に居るかのような雰囲気の装飾が施されている。テーブルや椅子はシンプルでおしゃれである。皆さん、楽しそうにメニューをご覧になり、つり下げられたプテラノドン達を写真に納めていらっしゃっていた。そう、ここに来たならばみんな同じ恐竜好き仲間なのである!


店内の装飾に見とれていると、注文していたカフェ・ラテ(ホット)がやってきた!これは、3種類のラテ・アートがランダムに施されている。ティラノサウルス、ブルー、モササウルスのどれかがやってくる!



私のカフェ・ラテはなんとブルー!!こいつはかなりラッキーである。
そして、ドリンクを注文すると、もれなくオリジナルコースターがもらえるのだ。こちらもランダムで、上記3種類の他、プテラノドン、アンキロサウルスを加えた計5種類の内から1枚がもらえるのだ。



なんと、なんと、これまたブルー!!ブルーにこんなに縁があるなんて感激である。カフェ・ラテは思ったよりも大きなサイズで、普通のLサイズよりさらに一周り大きそうな感じである。

そして、私が注文した食べ物は何かというと、こちら!



「ダイナソーエッグケーキ」と「何が出るかな?化石発掘ケーキ」の2種類を注文。
そう、ケーキを2種類注文という暴挙に出たのである。正直、「大噴火!ボルケーノカレー」とケーキ1種類にしようかと思っていたのであるが、甘い誘惑に負けたのである。食事系も美味しそうだったが、デザート類がとっても魅力的だったのだ。
というわけで、ケーキ2種類をお昼の代わりに。大人であるから。子どもはまねしちゃいけないよ。



まずは「ダイナソーエッグケーキ」。軽く私の手のひらくらいの大きさの卵から、怪しげな目が覗き、鋭い爪が伸びている。
横に添えられているのは、パッションフルーツのソースである。これをかけると、あたかも生まれたてのインドラプトルであるような「てらてら感」が出て、妙に生々しいビジュアルになる仕掛けである。



ほらね、なんかぬめっと感が出て、まるでほんものそっくり。
白い部分はミルクっぽいクリーミーなムースになっていて、中にレモンの甘く煮たものが入っていた。とっても美味しい!!見た目が楽しいだけではなく、味もちゃんと美味しい!!こちらは池袋限定メニューで、数量も限定なので、お早めにお出かけになられた方が良い。

続いては「何が出るかな?化石発掘ケーキ」である。化石発掘用の刷毛に見立てたブラシで、ココアクッキーの粉を丁寧に払っていく。



ラズベリー味のアイスと、イチゴが添えられている。クッキーの粉を丁寧によけてスプーンに載せ、口へと運んで片付ける。すると、段々と化石があらわになってきた!!こちらも3種類から何の化石が出てくるかはお楽しみである。



おっと、逆さまだが、それがまたリアル!これはどうやら、ティラノサウルスのようだ!!化石の埋まった泥岩は、美味しいクッキーであった。こちらも葉書くらいは優に超えるほどの大きさのクッキーである。陶器の器に盛られたケーキの上に被さっていた。中にカスタードとベリーのケーキが入っていて甘酸っぱく美味しい。スプーンで泥岩クッキーを割りながら、さらに地層を掘り進める感覚である。結構な食べ応えである。

2種類のケーキを交互に味わう。時々カフェ・ラテ。幸せである。周りを見渡せばあちらこちらに恐竜が。こういう時は食べたい物を食べちゃった方が楽しいのである!!映画のシーンを思い起こしながらの至福のひとときであった。



ふう。ごちそうさまである。どちらも甲乙つけがたく、どちらも楽しく美味しかった!


さて、食後のお楽しみはグッズ・ショップである。オリジナルキーホルダーのがちゃを回そうと思ったら、なんと!!・・・品切れ中であった。なんということだ。
がっかりするが、気を取り直してショップを見てみた。



素敵なガーゼハンカチを発見!大好きなトリケラトプスの刺繍が施されている。真珠パウダーを配合した、お肌に嬉しい一品のようである。他にもアパトサウルスやアンキロサウルスなんかもあったようだ。カラーバリエーションも豊富であった。迷ったあげく、やっぱりトリケラトプスを選ぶ。
もう一つ、ブルーの缶バッジを捕獲!顔のアップが素敵である。カフェでもブルーづくしだったので、これはとどめの一品である。


この幸福の1日はこうして終わったのだ、といいたいところだが、実はこの続きがあったのである。
午前中にカフェを満喫した私は午後、大事な用事をきちんと済ませて、なんと夕方、再びカフェを訪れたのである!!
それは、もう一つのとっておきのお楽しみ、持ち帰り専用ケーキを購入するためである!!
「この期に及んでまだケーキを食べる気かね?」というお声が聞こえてきそうだ。尤もである。しかし、このケーキをご覧に頂ければ、「1日に何個でもケーキ食べちゃうぞ」と思わずにはいられないこと必至である!





どうだろう、この素晴らしい出来映え!!ティラノサウルスはチョコ味、ブルーはピーチ味である。上顎はパイでできており、下顎はタルトでできている!ティラノサウルスはチョコの味が口一杯に広がり、ブルーの方はほんのり桃の香りと甘酸っぱさが口に広がる。細かいところ、例えば歯の作りなんかはとても繊細だ。とてもかっこいい上に、すごく美味しかったのだ!!


こうして、大満足の楽しい1日は美しい恐竜ケーキによって締め括られたのである。


池袋の「ジュラシックワールド カフェ」は8月6日(月)までの期間限定オープンである。ご興味のある方は、是非是非足を運んでいただきたい。「ジュラシック・ワールド」の世界が大好きな方なら必ず大満足できること請け合いである。(※混雑状況などは、公式ツイッターをご覧頂きたい。)

「ジュラシック・ワールド 炎の王国」を観に行ってきた!!:感想編

2018-07-27 | 映画


※ネタバレ注意!!


10日という短い間に2度も鑑賞した映画はこれまでに一度もない。
「ジュラシック・ワールド 炎の王国」は、今までの「ジュラシック・パーク」シリーズとちょっと雰囲気が違ったのだ。何度も見て、何度も考えてしまう、そんな作品である。1度目では盛りだくさんすぎて味わい尽くせないから、ついもう一度見てしまった。つまりは、とっても面白かったのだ。「興味深い」方の面白さもあったのである。そんなわけで、短期間に2回も劇場に足を運んでしまった次第である。

過去の4作品、どれをとっても私は大好きで、特に、第一作目の「ジュラシック・パーク」(1993年)の恐竜を見た時の感動は今でも忘れない。初めて本物の化石を見た時と同じくらいの衝撃と感激を感じた。「恐竜が生きている!」と、思わずにはいられないほどだったのだ。そして特撮の技術はシリーズを追う毎に向上していき、より「本物っぽい」――人類の誰一人として本物を見たものはいないのだが――恐竜をスクリーンで見ることができるようになった。

「ジュラシック・パーク」シリーズ作品に対しては、「ストーリーに粗がある」とか、「人間が懲りずに同じ事を繰り返し、ワンパターン」だとか、色んな批判もあるようだが、私はそういったものに全然気づかないのである。「恐竜が動いている!!」と、ただもうそれだけで嬉しいので、そんな粗だとかに全く気がつかずに何度も鑑賞しているのである。動く恐竜が見られるだけでもう幸せなのである。

今回の作品がちょっと雰囲気が違う、というのは、次のような哲学的な問いが投げかけられている点である。
「人間は自らが作り出した生命に対し、生殺与奪の権を有しているのか?」


(※以下、ネタバレ注意)



かつてジュラシック・ワールドが建設され、多くの観光客で賑わっていた、イスラ・ヌブラル島は、今や恐竜たちが自由に住む島となっていた。恐竜たちの脱走でジュラシック・ワールドは破壊され、放置された結果、現在は人間の近づかない廃墟と化していた。
しかし、イスラ・ヌブラル島の休火山だった山が突然噴火を始める。いずれ、島は溶岩で覆われ、恐竜たちはそれに飲み込まれてしまう運命にある。
クレア・ディアリングが創立、運営する恐竜保護団体が、恐竜たちの保護を呼びかけるも、アメリカ上院の委員会では、「自然にゆだねる」という結論が。

この委員会で、イアン・マルコム博士が、遺伝子操作や核開発といった、人類が本当の意味でコントロールしきれていない科学技術を濫用してきたことに対して批判する。彼は1作目からパークの創設には反対の立場を取っていた。言うなれば、科学技術の「負の側面」を見つめ続け、批判をし続けてきた人物なのである。そして彼の委員会で発言する姿は、作品の冒頭と最後に分けて映し出される。委員会はクレア達が島に向かう前に終了している。ということは、作品の最後に、
“Welcome to Jurassic World.”(「ジュラシック・ワールドへようこそ」)
と彼が述べているのは、不吉な予言だった、ということが皮肉にも後から判明する、という構造になるのである。


北カリフォルニアのロックウッド邸に招待されたクレアは、ロックウッドから恐竜保護の申し出を受ける。しぶるオーウェンや、保護団体の仲間達と彼女はイスラ・ヌブラル島へと急ぐ。
飛行機で島に降り立ったクレアの足下がクローズアップされる。前作のピン・ヒールとはうってかわって今回はトレッキング・ブーツである。そういえば、髪型も、前作はストレート・パーマをかけた都会的で人工的な雰囲気も漂うボブ・カットだった。今回は、自然なロングヘアーで、あまり手を加えているようには見えない。こうした彼女のスタイルが、彼女自身の変化を表しているのである。
「ジュラシック・ワールド」の責任者だった頃は、人工的に作り出した恐竜たちや、インドミナスレックスを、単に見せ物、さらに言うと金儲けの道具としてみていた彼女が、今回の作品では「恐竜保護団体」を立ち上げ、島に残された恐竜たちの保護と移動を訴えるのである。つまり、クレアの恐竜の見方が180度変わっていると言えるのである。そうした変化が、履いている靴の種類、髪型にも表れているのだ。

オーウェンやクレア達は島に到着すると、ロックウッドのもとで働くミルズの雇った怪しげな傭兵達の集団と共に、トラックで恐竜たちのもとへと向かう。その途中、大地を揺るがす震動に、一行は不安な表情を浮かべる。古生物学者で獣医のジアは、その震動の原因を探るためにトラックの外に飛び出す。
すると、ブラキオサウルスがゆっくりと近づいてきた。ジアは本物の恐竜に出会い、感激の涙を流すのである。
このシーンは第一作の「ジュラシック・パーク」の感動的なシーンを彷彿とさせる。「パークⅠ」でも、主人公達が初めて遭遇するのが「ブラキオサウルス」なのである。巨大であるが穏やかな表情をした恐竜、ブラキオサウルス。植物食恐竜の持つ、優しげで穏やかというイメージを体現している恐竜の一つである。オーウェン達もブラキオサウルスを見上げて懐かしそうな微笑みを浮かべる。火山の噴火という危機の中で唯一ほっとする場面なのである。

さっそく恐竜保護に取りかかったと思えば、彼らはミルズに騙されていたことに気がつく。噴火は激しくなる。バリオニクスの攻撃をかわし、逃げる。逃げる途中でカルノタウルスが襲ってくる。ティラノサウルスの登場である。オーウェン達とは前作で共に戦った仲間という認識が彼女の中に芽生えたのかどうかは知らないが、彼らの危機一髪の瞬間、颯爽と登場し、カルノタウルスをばくっと片付けて、クールに去っていくのである。

命からがら、オーウェン達は恐竜を積んだ「アルカディア号」に忍び込む。船は桟橋から離れていく。
島を振り返ると、桟橋にブラキオサウルスが一頭立ち尽くし、遠ざかっていく船の方を見つめている。悲しげな鳴き声が響く。溶岩が次第に迫ってきて、海へと流れ込み始めたのか、白い水蒸気が立ち上る。ブラキオサウルスの姿は厚い水蒸気のベールに包み込まれ、その影だけが浮かび上がる。悲しげな鳴き声がさらに響く。水蒸気の中で光が瞬く。その瞬間、長い首は不自然に左右に振れる。船尾のランプウェイ(車両が乗り込む際の床のような部分。蓋のように閉まる)がゆっくりと引き上げられる。ブラキオサウルスは、その影が白い水蒸気に飲み込まれるかのように、ゆっくりと倒れていった。
美しく描かれた残酷な場面であった。涙が止まらない。
難しい理由はいらない。生命が失われることの悲惨さが痛いまでに伝わってくるのだ。(恐らく、空間の限られた船内には背の高いブラキオサウルスは乗れない、との理由で選別され、人間達に捨てられた命なのだ。)
「アルカディア」とは古代ギリシャで「理想郷」とされた地の名前である。痛烈な皮肉で、行く先は積み込まれた恐竜にとってユートピア(理想郷)ではなくディストピアなのである。




後半は、北カリフォルニアのロックウッド邸での「恐竜オークション」の様子が描かれる。招かれる客達は、有名な富豪から武器商人、裏社会の住人と思われる人物などである。愛玩、兵器として、など、様々な理由で恐竜を購入しようとする人々が続々と屋敷に集まってくる。

ロックウッドにはメイジーという「孫」がいる。好奇心旺盛でおてんばな彼女が秘密の地下室に忍び込み、インドラプトルに遭遇するシーンがある。後ずさりする少女の長い髪を、インドラプトルの手がゆっくり伸びていき長い爪がそっと触れる。単に獲物としてメイジーを認識していれば、素早く気づかれないうちに彼女の首をつかみ取っていたことだろう。このシーンから、インドラプトルはメイジーに興味を抱いたのではないかと感じられるのである。
この後、雨が降る中、メイジーの部屋の屋根にインドラプトルが這い上がるシーンがあるのだが、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』に登場する怪物の姿に重なって見えて仕方が無かった。フランケンシュタイン博士が作り出した怪物は、次第に言葉を学び、思考し、意志を持つようになる。それでも、その醜い姿から人間に恐れられ、孤独に生きて行かざるを得ない。怪物はその心に悲しみを抱えてさ迷うことになるのだ。
兵器としての訓練を受け、殺戮を目的として作られたインドラプトルに悲しみが感じられているかどうかはわからない。しかし、メイジーの存在とインドラプトルの存在はまるで「鏡写し」のようなのだ。実はメイジーは、ロックウッドの亡くなった娘のクローンだったのである。共に遺伝子操作によって生み出された存在/生命なのだ。
自分の部屋に逃げ込んだメイジーに再びインドラプトルがそっと手を伸ばす。いたぶってから殺そうとしているのか、それとも興味を示しているのか。このようにどちらとも解釈できるシーンが2回登場するのである。こうしたことから、メイジーとインドラプトルは「対の存在」として描かれているのではないかと思うのである。


クライマックスで、恐竜たちの檻が集まる部屋に、シアン化ガスが充満していく。システムの故障によって換気システムが作動しない。このままでは、「ガス室」の中の恐竜たちは死んでしまう。クレアは檻の扉を開ける。狭い空間に逃げ惑う恐竜たち。捕食する側とされる側、共にガスによって苦しんでいる。クレアがその先にある扉を開放しようとするも、オーウェンに止められる。扉の外は人間達の住む世界なのだ。そこへ恐竜が放たれてしまったら、何が起こるのか予測はできない。まさに「カオス」である。
大人達が恐竜の死を受け入れようとする中、メイジーは恐竜たちを外の世界へと解放してしまう。
「私と同じ。クローンで作られた命にも、生きる権利はある」
彼女には迷いはない。生きているものを見殺しにする、それはどんな理由があったとしても、本能的に避けねばならない事なのである。

「人間が科学技術を駆使して作り出した生命を、人間がそれらを生かすも殺すも自由であり得るのか?」という問いが、我々見るものに投げかけられているのではないだろうか、と思えるのだ。
人間は実際、家畜を飼い、殺し、食料にしているではないか、と仰る方もいるだろう。そう、食べるために生物を繁殖させ、殺し、それを食べているのが我々である。あるいは、ペット動物のように、愛玩のために繁殖させ、売り買いし、共に暮らして楽しむのである。
そうして人間は生きている。それは紛れもない事実で、否定することは現実的ではない。ただ人間は、科学技術を過信するあまり、予測のできない状況を引き起こしてはいないだろうか。あるいは、あまりにも自分達の能力を過信してはいないだろうか。


映画の原題は”Jurassic World :Fallen Kingdom”(「ジュラシック・ワールド:崩れ落ちた王国」)である。イスラ・ヌブラル島の火山によって、恐竜たちの王国が崩壊する。しかし、恐竜たちが北カリフォルニアという、孤島ではなく大陸において放たれたことで、人間達の「王国」がそれまでとは予測のつかない事態に陥っていくことが、映画の最後でほのめかされている。モササウルスがサーファーを飲み込もうとする。あたかもサメがサーファーを襲う事故のように。ティラノサウルスが突然動物園に現れる。グリズリーやワニが突然人家の庭先に出没するかのように。今までとは全く違った生活が始まる。遺伝子操作によって生み出された生命が、人間界に解き放たれることで。崩れ落ちたのは「人間の王国」でもあるのだ。このように、映画の題名に二重の意味が込められているのである。


「ジュラシック・ワールド 炎の王国」はこれまでのシリーズ作品とは全く異なり、後味が悪い、というか、ざわざわした感じを残す、バッド・エンドと言えるかもしれない。CG技術の向上により、より一層本物っぽい恐竜たちが大暴れする、大変面白い作品であった。と、同時に、今まで何の疑問も抱かず享受してきた科学技術の恩恵に、やや疑念を抱かせるようなストーリーでもあった。
絶滅した恐竜が復活したのは、我々に生命というものについて考え直すきっかけを与えてくれたのではないかと、ふと思ってしまうのである。

「ジュラシック・ワールド 炎の王国」を観に行ってきた!!:恐竜グッズ編

2018-07-23 | 映画


2018年7月13日(金)、ついに「ジュラシック・ワールド 炎の王国」が封切りである!!
公開3日目にしてレイトショーに出かけた! この日をどれだけ待ちわびていたことか!!


というわけで、始まる1時間ほど前に映画館に到着。慣れない機械操作を映画館のおねいさんに手伝っていただき、前売り券を使ってど真ん中の席を確保した!!
私は映画館に行くと必ずど真ん中、前から後ろから右から左から、どこからどう見てもど真ん中の席を取る。ここは譲れないこだわりである。銀幕を独り占めした気分を味わいたいのである!

席を確保して少しほっとする。お次はもちろんお楽しみのジュラシック・ワールド・グッズである。



まずはたった1枚売られていた「恐竜保護団体Tシャツ」。”SAVE THE DINOS”(恐竜を救え)と書かれたかわいいTシャツである。これなら映画のエキストラになった気分を味わえる!いろいろな恐竜がデザインされているが、なかでもハート型のトリケラトプスのデザインが秀逸である。こちらは女性用のみの販売である。

お次は「ブルー」のマスコット付きボールペン。ティラノサウルスの姐御とかなり迷ったあげく、やはり人気のブルーを捕獲。小さいながらも細かい作りで良くできている。

ボールペンときたら、「ノート」がなけりゃお話にならない。ということで、ティラノサウルスの骨格シルエットが描かれたA5ノートを。これで趣味の英語の勉強もばっちりはかどるというものである。いや、もしかしたら、もったいなくてなかなか使わず眺める、ということにもなりそうな予感である。

そして忘れちゃいけないのがパンフレットである。映画を見終わった後も、じっくり読み込んで、「そうだったのか!」と新たな知識を得ながら2度楽しむためには欠かせないアイテムである。
出演恐竜たちが載っているかなと思ったのだが、これには紹介されていなかった。ストーリーをもう一度確かめ、撮影の舞台裏を楽しむのには良いかもしれない、という内容だ。


さて、劇場限定のグッズを一通り見た後は、「一番くじ」の挑戦である。
A賞はなんと45cmの「ブルーのフィギュア」なのである!!これは気合いを入れねばなるまい、と思いきや、なんと・・・早くもA賞は出てしまっていたのだ。ドキドキ感もほんの一瞬でお終いである。



気を取り直して引いてみると、B賞の「グラス」をゲットした。箱に入っているのでどのデザインかは開けてみるまでわからない。ドキドキ・わくわくを楽しんだ後にそっと開けてみると・・・。恐竜保護団体や、インドラプトルのデザインされた様々なロゴマークがついた、おしゃれなグラスである!! ジュースを飲むのもよし。このサイズならウィスキーのロックを飲むのもよしである。大人であるから。
もう一つはD賞。ハンドタオルである。これは好きなデザインから選べるのでかなり迷ったが、恐竜の骨格が美しく描かれたジュラシック・ワールドのロゴ入りハンドタオル!!
大汗かき子の私にはありがたい一品であった。
この夏、大活躍しそうな二品である!!


ここでエネルギーを使い果たしてはいけない。本編がお待ちかねである。
いろんなCMが15分も流れると、「いいかげんにしなさいよ!!」とポップコーンをぶちまけようかと思ったくらいだが、そこはお下品な上にポップコーンがもったいないので静かに我慢。


さてさて、映画の感想は次にじっくり、ということで、お約束の「前売り券特典フィギュア」のお披露目である!!



そんな約束したの?と思われる方もいらっしゃったに違いないが、「前売り券の回」で映画鑑賞後にお披露目するとお約束していたのである。

まずはティラノサウルスの姐御から。



どうだろう、この勇姿!!映画の名シーンを彷彿とさせる存在感である。
自立させるために、足が若干大きめに作られているようだ。なんだかコミカル。ちゃんと背景用の紙も入っていた。これは小さいながらも迫力のある写真が撮れたのではなかろうか。



こちらは口が稼動する。咆吼が今にも聞こえてくるかのようである!!


お次はスティギモロクのスティギーである。
映画をご覧になった方はもうおわかりだろうが、この前売り券のフィギュア3種類(もう一つはブルー)の恐竜たちは、重要な役どころを演じているのである。



こちらも足が若干大きめの作り。そして首が稼動する。



頭の飾りが結構細かく作られていた。


さて次回はいよいよ映画の感想を紹介したいと思うので、続く。
ちなみに、ネタバレの危険性が高いので、これから鑑賞される方はご注意いただきたい。


美しい恐竜切手:マナマ(アジュマン)古生物切手

2018-07-15 | 切手


これほどまでに美しいデザインの恐竜・古生物の切手があったであろうか。
まるでガラスの板に絵の具を塗りつけ、勢いよく描いたかのような躍動感を感じる。
恐竜と古生物の白い輪郭線は、大胆に描いたようにも、また、鳥の羽のような繊細な線のようにも見える。


ロータス・フィラティックセンターさんで、恐竜切手のバインダーを眺めていて見つけた。この鮮やかな色合いと、白い羽毛のような線が目に飛び込んできた。そしてすぐに魅了されてしまったのである。「なんて美しい恐竜切手だろう!」と。



上段・左から、プラテオサウルス、スティラコサウルス、アロサウルス。


さて、この切手、どこで・いつ発行されたものなのだろう。発行年は記載されていない。発行したのは、なんと、”Manama, Dependency of Ajman”(マナマ/アジュマン属国)だったのである。
アジュマンといえば、郵趣家のあいだでは悪名高き「アラブ土候国」と呼ばれる国の一つなのである。

切手収集の趣味は世界的なものであり、世界各国も比重に差こそあれ郵便事業の利潤獲得のために、収集家が喜んで購入し死蔵されるような美しい切手が発行されることは少なくない。また小国では国家財政の重要な歳入源になっている。

しかし土侯国切手は、実際には郵便事業に使われないような切手を濫発した結果、世界中の切手収集家の顰蹙を買った。伝統的な切手の収集家は、こうした郵便事業の趣旨から大きく逸脱した切手を「いかがわしい切手(doubtful stamps)」と呼んでいる[1]。世界的な切手カタログである「スコットカタログ」に収録されていないほか、切手収集家による国際的な切手展(切手コレクションコンクール)の出品リーフに土侯国切手を入れると大きな減点にされる。(ウィキペディア「土候国切手」)


というわけで、土候国と呼ばれる国から発行された切手というのは、ちょっと怪しいというか、大分危険な香りが漂うのである。というのも、切手本来の価値、「郵便に貼って送れる」という大事な一面が抜け落ちているかもしれないからである。
「かもしれない」と言ったのは、実際に使用された形跡のある切手も存在する、という説もあるからだ。


上段、ステゴサウルス、ブロントサウルス。

石油ショック以前は、石油はメジャ-と呼ばれる多国籍企業が牛耳っておりおかげで石油の値段は安く定められ産油国といえども今のように豊かではありませんでした。現在のアラブ連合が国家として成立する前その地には土侯国と言われる国家?が数多く存在し、乏しい収益を補うため英国の代理店と手を組み大量の切手を発行しました。

もちろん外国のコレクタ-や子供相手の商売ですからその国に受けそうな題材が選ばれまたあまりに大量の種類の切手が発行されたため国際機関より切手として認めないということになってしまいました。

さてこの切手は日本では土侯国切手と呼ばれ最初は、雑誌「郵趣」等でも販売していましたが後には「これは切手ではないから収集の対象にならない」と方針転換しこれは「シ-ル」であるということで抹殺?されてしまいました。

ところで、この切手は実逓便もあり(私は写真でしか見たことはない)実際はその国では使用できたそうなので(国際機関で認められない切手がなぜ流通したのかは各説があります)まるっきり無視するというのはどうでしょうか。

土侯国切手は、国名が アブダビ、アジマン(マナマ)、デュバイ、フジエラ、ラサールカイナ、シャルジャ、ウムアルキウェン となっています。 (「切手の世界」)


実は、この切手を発見した後、使用済み切手の山を漁っていた時に、この「スティラコサウルス」の使用済みを発見したのである。



辛うじて”MANAMA”の最初のほうが読める気がする。しかも、印は○ではないようだ。
正直、この使用済み切手を発見した際、そう、例えるならば「彼女、悪い女だってみんなに言われているけど、本当はこんな純粋な一面もあることを発見したんだよね、自分だけは」とのたまう純朴な青年の心境を一瞬だけ感じたことは否定できない。「悪名高き土候国の切手っぽいけど、ちゃんと使用済みもあるから、切手としての価値もあるよね」みたいな。
ただし、使用済み切手、つまり消印が押されていても安心してはいけない。例えば、「FDC」(初日印をおしたもの)だとか、記念印を押したものを、台紙から剥がした可能性も否定はできないからだ。

しかしながら、ただの土候国切手ではないと思わせる点がもう一つ。上段右端のブロントサウルスと下段右端のディアトリマの切手にご注目いただきたい。この2枚だけ「地の色」が金色であることに気づかれるだろう。この2枚は額面が他よりも高く、さらに”AIR MAIL”の表記がなされている。わざわざ、航空便用の切手を収集家の死蔵品として作るものだろうか? これは実際使用する目的で発行したのではなかろうか、という大変心許ない希望が沸いてくるのである。
怪しい。そして妖しくも美しいのである。


下段、左からマストドン、ウインタテリウム、ディアトリマ。


ところで英語版ウィキペディアによると、「マナマ」というのは、アラブ首長国連邦の内の一国、アジュマン(アジマン)首長国の「飛び地」であるそうだ。
1920年代に真珠採取業が破綻し、当時のアジュマン首長がその飛び地・マナマを「パン籠」(穀倉地帯の意味もある)とすることにし、パパイヤやレモンの木が植えられたのだそうだ。その後、野生のミツバチによる蜂蜜採取産業も盛んになった。

さらに、切手発行に関する経緯が英語版には載っていた。拙訳でご紹介しよう。

Philately(郵趣)

In 1963, Britain ceded responsibility for the Trucial States' postal systems. An American philatelic entrepreneur, Finbar Kenny, saw the opportunity to create a number of editions of stamps aimed at the lucrative collector's market and in 1964 concluded a deal with cash-strapped Ajman to take the franchise for the production of stamps for the government. Kenny had made something of a specialty out of signing these deals, also signing with the Ruler of Fujairah in 1964[2] - and getting involved in a bribery case in the USA over his dealings with the government of the Cook Islands.[3]

1963年、英国はアラブ首長国連邦の郵政システムの権限を割譲した。アメリカ人の郵趣家で起業家のFinbar Kennyは、富をもたらす郵趣市場を目的とする数々の切手発行を生み出すという機会に遭遇し、金欠のアジュマンとの協定で政府の代わりに切手を生産するという特権を得るに至ったのだ。Kennyはこのような協定にサインするために専門知識を利用し、1964年にもフジャイラの統治者とも協定を結んだ―さらにはクック・アイランドの政府との協定に関して、アメリカで贈賄事件に巻き込まれている。


These stamps, luridly illustrated and irrelevant to the actual emirate of Ajman (editions included 'Space Research' and 'Tokyo Olympic Games') became known together with stamps produced by other Trucial States at the time, as 'dunes'. Their proliferation eventually devalued them. Among these editions, following the opening of a 'post office' in Manama on July 5, 1966, were nine editions published from 'Manama, Dependency of Ajman'.[4]

こうした、けばけばしく描かれ、アジュマン首長国とは実際関連性のない(「宇宙探査」や「東京オリンピック」を含む発行)切手は、他の首長国で制作された切手と共に、’dunes’(「砂丘」の意味。所謂「土候国切手」のこと)として知られるようになるのだ。こうした切手の急増は結果的に、それ自体の価値を下げることになった。これらの発行の中には、1966年7月5日、マナマでの「郵便局」開設をうけて、’Manama, Dependency of Ajman’(「マナマ、アジュマンに属する」)として、9回の発行が行われたのである。

Few collectors would realise Manama was a remote agricultural village consisting of a few adobe houses on a plain overlooked by the Hajar Mountains.

マナマが、ハジャール山脈を望む平原にわずかな日干しレンガ造りの家からなる、飛び地の農村であることに気づいたコレクターはほとんどいなかったのだ。


(※‘edition’は「版」という意味なのだが、印刷の回数という意味で「発行」と訳している。)


以上が「土候国切手」と呼ばれるものが発行された経緯である。Finbar Kennyという郵趣家は、自分の発行したい切手を発行したいように発行する権限を得たことで、使用実態のない切手を乱発することになったのだ。
ただし、それはかなり目を引くものだった。はっきり言って、魅力的だったのである。


さて、このマナマの古生物切手であるが、1966年から1974年ころまで発行された切手の中に含まれているものなのだろうか? 果たしてそれ以降の発行による、「実態を伴った切手」であるのだろうか。謎は謎のままである。
世界的権威(スコット切手カタログのこと)に認められなくとも、大変魅力的で、「妖しく美しい切手」なのである。



【参考サイト】
・「切手の世界」 http://www.urban.ne.jp/home/shoji/arabu.htm 
・ウィキペディア「土候国切手」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E4%BE%AF%E5%9B%BD%E5%88%87%E6%89%8B
・Wikipedia “Manama, Ajman” https://en.wikipedia.org/wiki/Manama,_Ajman