
上段左からプレシオサウルス、ブロントサウルス、ステゴサウルス。ジュラ紀の古生物達である。
続いて白亜紀の古生物達。中段左からイグアノドン、ティラノサウルス、モササウルス。下段左から、トリケラトプスとプテラノドンである。

このベトナム切手、色合いがとても好きなのだ。プレシオサウルスの水の表現の仕方が特に素敵である。波を色分けして波頭を白い線で表現している。今まさに捕らえようとしている魚は白抜きになっている。

プテラノドンの翼が美しいグラデーションになっているところも、いいなあと思う。
ティラノサウルスの背景が白というのも、その存在の恐ろしさを表しているのだろうか。
さて、ベトナム社会主義共和国の通貨はなにかというと、「ドン」である。ところが、この切手、ほとんどが「xiu」、つまり「シュウ」という単位になっている。そこで、これが一体どのくらいかというのを、現在のレートで換算してみる。もっとも、これは39年前の切手だから、その頃と比べると物価は上がっているだろうけど。
1ドン=0.0048 円(2017年9月現在)。
1ドン=10ハオ=100シュウ。
「シュウ」は「ドン」の百分の一である。なお、現在は100、200、500ドンでさえ、ほとんど流通していないそうだ。
ちなみに、2014年の年賀切手は3000ドンと10500ドンであった。ということは、1979年当時と比べ、ベトナムの物価は約1万倍かそれ以上に高くなったということなのだろうか。
1975年にベトナム戦争が終結し、その4年後に発行されたのがこの切手。悲惨な戦争の記憶もまだ新しい頃だったろう。
私は、10年ほど前に親友達とベトナムを訪れたことがある。穏やかだけれど活気に溢れたホーチミン市を訪れたのだ。その時の、現地ガイドさんの言った言葉が未だに忘れられない。
「ベトナム戦争のときは、日本の皆さんに反戦運動をして頂き、どうも有り難うございました」
私とあまり年代の変わらない男性だった。もしかするとベトナム戦争を経験せずに住んだかもしれない世代だ。
私はすこし恥ずかしかった。というのも、第二次世界大戦中、日本軍がベトナムに侵攻し、食料を略奪したためたくさんのベトナム人が餓死したという話をきいたことがあったからだ。
「ありがとう」と言われる資格は本当はないのかもしれないけれど、それでもそんな風に言って下さったと言うことは、よほどベトナム戦争が悲惨だったということだろうか。
ガイドさんの言葉でもう一つ忘れられない言葉がある。
「ベトナム語で『こんにちは』は『シンチャオ』と言います。新茶の時期には是非ベトナムを思い出して下さいね」
お茶を飲む度に、楽しかったベトナムの旅を思い出していますよ。
【参考サイト・文献】
・ウィキペディア「ドン(通貨)」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%B3_(%E9%80%9A%E8%B2%A8)
・『よみがえる恐竜たち 切手ミュージアム1』長谷川善和・白木靖美著(未来文化社、1994年7月25日)