話自体も、かなり面白いのですが、芸術、「美」というものの奥深さを垣間見ることのできる小説でしたね。4編からなるこの本は一応ミステリーに分類されるのかな?但し、解決するのは血生臭い事件ではなく、難事なんです。
「美」の為、最高の品の為にそこまでやるかというくらい佛々堂先生の仕掛けは途方もなく大掛かりです。「平成の魯山人」こと佛々堂先生と出会う「人はいいけどちょっと不幸」な人々が先生の仕掛けによってみんな幸せになっていくところがこの小説の醍醐味でしょうか。しかーし!その仕掛けの本当の目的はそこではなく、あくまでも「美」の為というのがまた小憎らしく、各編の最後は必ずニヤッとしてしまいます。ステキです、佛々堂先生。イメージ的にはマンガ「美味しんぼ」の唐山陶人先生ですね~。
さらにこの本、面白いだけでなく、古美術や花木などの色々な豆知識を得ることができます。椿という花が日本原産でこんなに種類があるなんて…知りませんでした。これから椿を見る目が変わりそうです。
清談 佛々堂先生 (講談社文庫) 服部 真澄 講談社 このアイテムの詳細を見る |