素敵な安楽椅子探偵モノを読了。バルーンタウンシリーズの松尾由美さん作『安楽椅子探偵アーチー』です。安楽椅子探偵が出てくるミステリーは数あれど、安楽椅子自体が探偵であるミステリーは初めてでしょう。これこそ究極の安楽椅子探偵モノですよね。主人公の小学生の衛(まもる)がアンティーク屋で安楽椅子を購入したら、その椅子はしゃべる椅子だった…という設定で、いくつかの事件がこの安楽椅子アーチーによって見事解決する短編集です。 孫と祖父が話しているかのような衛とアーチーの会話は微笑ましいですし、ミステリーマニアの同級生野山さんなどのワキ役達も魅力的に描かれています。 バルーンタウンシリーズでは妊婦ばかりが住む未来の街という設定、この本では話す安楽椅子が探偵役という設定、と松尾さんのアイデアには毎回驚きますし、こんな驚くべき設定なのに、無理なく楽しく読むことができる本が書ける力量に感心しきりです。 安楽椅子探偵アーチー (創元推理文庫)松尾 由美東京創元社このアイテムの詳細を見る