ある税理士のつぶやき(旧:とある明石の弁護士、つれづれ日記)

弁護士(りんどう法律事務所)を廃業し、現在、姫路市で税理士をやっています。折に触れ、生活情報等をつぶやきたいと思います。

大晦日

2011-12-31 21:02:22 | ブログ

今年最後のブログです。

今年は、日本全体では、震災と原発事故という大きな不幸に見舞われました。

震災に遭われた方のお気持ちは察することができても、本当のご苦労や苦しみは、実際に体験していない者にはなかなか分からないと思います。

でも、この出来事を忘れずに、私たちにできることでいいので、復興に向かって、一人ひとりが少しずつ、何かを、継続的にやっていくことが大切だと思います。

という私も、日頃は仕事に追われ、またその他雑事に追われ、震災や原発のことを考えていない日も多いですが、大晦日の今日、テレビやラジオで1年を振り返っているニュースを見て、改めて、復興、いや復旧にもまだまだ時間がかかるな、と思いました。

不幸な出来事に捉われるというのでなく、復旧・復興に向けた前向きの思いを持っていきたいと思います。

今日1日の雑感でした。


レオパレス問題-サブリース業者強引な家賃減額申入れ等について

2011-12-18 13:57:44 | 社会・経済

サブリース業者からの強引な家賃減額申入れについて、以前も述べましたが、再度述べます。

レオパレスのように、本来の所有者から、アパート等を一括で借り上げ、それを実際の入居者に貸すような形態をサブリース契約と言います。

以前も述べたように、大阪弁護士会では、一度、110番と言って、サブリースに関する無料相談会を実施したそうです。

相談内容で多かったのは、家賃減額で、「減額をしないと解除する」と迫らせるということらしいです。

この場合、どのように対処すべきでしょうか。私の考えを述べます。

1.解除について

  この問題は、私の考えは、25年なり、30年なりの約定を無視して、一方的に解除できないというものです。

  各々の契約書で、約定文言等が違うようなのですが、契約に至る過程で、長期一括借上げを強調して自分のところの物件を建築させ、賃貸借契約の時も長期一括の借上げばかり強調して、解除のことなどまったく言わない。建築資金には、何千万という借入れを勧める。ということは、だいたい共通しているようです。

  そんな状況で契約させておいて、業者の都合で、途中ではしごを外していいはずがありません。そのようなことが許されるのなら、サブリース契約では「何でもあり」になってしまいます。

  サブリース業者もそれは分かっていると思います。現に、解除の件で、弁護士が介入したところ、解除を撤回してきたという情報もあります。

  ただ、私の探したところ、これについての裁判例がありませんので、裁判所がどのような判断をするかは、今の所分かりません。私は、解除の件で、レオパレスに対して訴訟を提起していますので、そこで精一杯戦って行こうと思っています。

  いずれにしろ、解除は簡単にできるとは思えませんので、業者が一方的に解除をちらつかせてきても、交渉で下手に出ることはありません。もし、契約書に、「解除は当事者が協議しないとできない。」と入っていればなおさらです。

2.賃料減額について

  最高裁判所の判例では、家賃交渉については、所有者とサブリース業者間にも借地借家法が適用されるとしています。

  とすれば、家賃減額について、基本的には、近隣の同程度の家賃の相場等が重要になります。

  しかし、もともと業者側が一方的に決めた家賃で、それを保証するようなことを言って、建物を建てさせてるという経緯が多いと思われます。

  そこで、、最高裁も、「サブリース」契約であることも重視しており、一般の大家と賃借人の場合とまったく同じように交渉していいとは言っていません。

  そして、最高裁を受けて、判決を出した高等裁判所の判決では、「家賃をどんなに下げても、ローンと固定資産税の支払を下回るような減額はダメ。」と言っています。
  ですから、家賃の交渉も、業者がローンの支払を無視した赤字になるような提案をしてきたら、無視して交渉を打ち切ればいいと思うのです。それまでに至らなくても、あまりに減額がひどいと思ったら交渉を打ち切ればいいと思います。
  その後、業者がどうしても減額したいと思うなら、調停を申し立ててくるかも知れません。その場合は、応じる必要があります。調停は、間に調停委員が入ってくれます。調停委員は、法律的知識や不動産の知識を持っておられます。ですから、威圧的に交渉してくる業者を直接相手にするより、調停委員を間に挟んで、相手と話し合いする方がいいと思います。

 その際、業者の非常なやり方を十分に調停委員に説明してください。

 とくに、レオパレスは、ここ1年内に家賃を減額したばかりなのに、さらに大幅な減額を言ってきています。このような事情は、オーナーに有利な事情ですので、調停委員に話してください。

 調停は、裁判と違い、あくまで話し合いですので、納得できなければ合意する必要はありません。減額するかしないか、するとしたらどのくらいの幅にするか、調停委員の話を聞きながら、納得できた場合に合意してください。また、その時に、約定期間まで借り上げすることを調停調書に入れてもらうようにすれば、さらにいいと思います。

 もし、調停が整わなければ、業者が裁判にするかも知れません。その時に注意すべき点は、業者が今までの賃料をそのまま支払っていた場合、もし家賃減額という判決が出た場合、もらいすぎている分に年1割の割合で利息を付けて支払わなければならないので、それに備えて賃料から幾分かはストックしていくことです。

 私の考えでは、1年もたたないのに業者が減額を言ってきても、認められにくいと思います。あまりに、オーナーの地位を不安定にするからです。そして、最高裁は、交渉過程も考慮して賃料を決めるべきと言っています。とすれば、1年前に、お互い納得して決めた賃料を、頻繁に減額させようとする業者の姿勢を、裁判所が業者に不利な判断材料にすることは十分に考えられることだと思うからです。

3.レオパレスについて

  私が現在争っているのは、レオパレスですので、それについての情報が一番集まっています。

  レオパレスは、以前さとし氏のコメントにもあったように、現在賃貸部門にてこ入れを行っています。

  私が話した担当者の話では、銀行から強く言われているらしく、その意向にそって現在動いているようです。

  それが顕著になったのは、おそらく今期になってからではないかと思われます。昨年の同時期に、家賃減額交渉を行った時は、レオパレスの担当者はもっと紳士的で、オーナーの意向も汲んでくれていました。

  ところが、今年の夏頃から、減額や解除の話しをよく聞くようになったと思います。それだけ、レオパレスも必至になのだと思います。

  オーナーがレオパレスのこういった動きに対し、どのように対処するかは、それぞれのオ-ナーの考えによります。争えば、今の権利を守ることはできるかも知れませんが、いろいろ物理的・精神的な負担があります。一方で、そのような負担はご免だとして、レオパレスの意向を受け入れれば、結果的にそのオーナー達だけが会社の犠牲になった・・・ということにもなりかねません。どちらにも一長一短はあると思います。これについては、また別途述べたいと思います。

 ただ、どちらにしろいえることは、どの企業についてもいえることですが、いつまでも安泰ということはなく、時勢に応じて変化して行くものです。極端に言えば、倒産することだってあります。サブリース業界も、オーナーが一括借上げだからといって、すべて業者に任せておけば安泰という時代ではありません。そのため、オーナーも自己防衛をした方がいいと思います。特にローンを抱えているわけですから、その支払に対処できるよう、現在の収入をできるだけ返済にまわし早期にローンを支払ってしまう、または賃料できるだけストックし賃料支払が滞った時等に備えるなど。

 また、現在は、ハウスメーカーではなく、サブリース自体を専門に行う業者もあります。そのような業者は、一括借上げを途中で解除ということは考えにくいです。ただし、賃借の条件はハウスメーカーより厳しい条件になるのではないでしょうか。そのような、他の業者の情報を収集し、もしもの時に乗り換えることにも備えるようにした方がいいと思います。

 ただ、業者に契約責任を追求したい場合は、合意解除等に素直応じるのは得策でないと思うのです。これについても、別途述べたいと思います。

 上記と矛盾するようですが、私は、何でもかんでも争えばいいとは思っていません。以前当ブログで述べましたように、私は「平穏な生活」が一番幸せだと思っています。その「平穏」をどのように実現するか。それは、サブリース契約に関して言えば、それぞれのオーナーの考え方によります。