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70代が「老い」の分かれ道、よぼよぼの80代にならないための過ごし方

2022-01-30 12:00:00 | 日記
下記の記事はダイアモンドオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

人生100年時代。現在の70代の日本人はかつての70代とは違います。若々しく、健康になった70代の10年間は、人生における「最後の活動期」とも言えます。70代の過ごし方が、その人がどう老いていくかを決めるとも言えます。要介護状態を遠ざけ、自立した80代以降の老いを迎えるためには、どう過ごせばいいしょうか。30年以上にわたって高齢者専門の精神科医として医療現場に携わってきた和田秀樹さんの『70歳が老化の分かれ道 若さを持続する人、一気に衰える人の違い』(詩想社新書)から抜粋します。
平均寿命は延びたが
健康寿命は男女とも75歳に届かず
人生100年時代ということが語られて久しくなりましたが、実際に人々、とくに女性は90代まで生きることが当たり前の時代になりました。おそらく今後も医学の進歩が進むでしょうから、100歳というのは夢物語ではなくなることでしょう。
ところが日常生活にまったく制限なく生きていられる健康寿命の延びは、平均寿命の延びに追いついておらず、男女とも75歳に届いていません。
要するに、70代をうまく生きないと、長生きはできてもよぼよぼとしたり、介護を受ける期間の長い高齢者になってしまうということです。
一方で、高齢者というのはとても個人差の大きい年代です。
2016年の時点で、男性の健康寿命の平均は72.14歳、女性は74.79歳ということになっていますが、これはあくまで平均値です。男性でも80歳を過ぎて矍鑠(かくしゃく)とした現役の経営者や学者、そしてフルマラソンを走るような人がいる一方で、60代から要介護状態に陥ってしまう人がいます。
ただ、一般的には70歳の時点ではまだ頭も身体もしっかりしているという人が大多数であるはずです。ここで、どのような生き方をするかでいつまで元気で頭のしっかりした高齢者でいられるかが決まってくるのです。
私が長年高齢者とかかわってきて、痛感してきたことはいくつかあります。
気持ちが若く、いろいろなことを続けている人は、長い間若くいられる。
栄養状態のよしあしが、健康長寿でいられるかどうかを決める。
そして、それ以上に重要なのは、人々を長生きさせる医療と、健康でいさせてくれる医療は違うということです。
たとえば、コレステロールというものは長生きの敵のように言われていますが、コレステロールの高い人ほどうつ病になりにくいし、それが男性ホルモンの材料なので、男性ではコレステロールが高い人ほど元気で頭がしっかりしています。
血圧や血糖値にしても、高めのほうが頭がはっきりするので、薬でそれを下げると頭がぼんやりしがちです。また、高血圧や高血糖に対して塩分制限や食事制限が課されることが多いわけですが、生きる楽しみを奪われたり、味気ないものを食べることになるので、元気のないお年寄りになりがちです。
ところが、日本では大規模調査がほとんどなされておらず、この長生きのための医療にしても、それで本当に長生きできるのかははっきりしないのです。実際、コレステロールが高めの人や、太めの人のほうが高齢になってからの死亡率が低いことが明らかになっています。
高齢者をあまり診ていない人による旧来型の医療常識に縛られず、70代をどう生きるかで残りの人生が大きく違うというのが、私の30年以上の臨床経験からの実感です。
いまの70代は、
かつての70代とはまったく違う
私はこれまで30年以上にわたって、高齢者専門の医療現場に携わってきましたが、日本人にとっては今後、70代の生き方が、老後生活において非常に重要になってくると考えています。
70代の生き方が、その後、要介護となる時期を遅らせて、生き生きとした生活をどれだけ持続できるかということに、大きくかかわっているからです。
なぜ、70代の生活がその人の晩年のあり方を左右するようになってきたのか、まずはそこから本書を始めようと思います。
現在の70代の人たちは、戦前生まれの人が70代になった頃と比べて、格段に若々しく、元気になってきました。
戦後の大幅な出生人口増加期に生まれた団塊の世代(1947~1949年生まれ)の人たちも、2020年にはみな70代になっていますが、この団塊の世代に代表される現在の70代は、少し前までの70代の人とは、大きく違います。身体の健康度、若々しさがまったく違うのです。
たとえば1980年当時、60代後半、つまり65~69歳の人のおよそ10%近くの人が普通に歩行することができませんでした。しかし、2000年には、正常歩行できない人が2~3%に激減しています。
第2次世界大戦後
元気な70代が増えた理由
私も高齢者を長年診ていますが、かつての70代はそれなりによぼよぼしていましたが、いまの70代はまだまだ元気な人が多く、10歳くらい若返ったような印象です。
このような元気な70代が増えた理由には、第2次世界大戦後の栄養状態の改善が挙げられます。戦後の食糧難にあえぐ日本に、アメリカから余った脱脂粉乳が大量に送り込まれましたが、このころから日本人の栄養状態が改善します。
成長期の栄養状態が改善したことで、日本人の寿命は延び、体格もよくなり、現在の若々しい元気な高齢者を出現させています。
戦後の結核の撲滅については、ストレプトマイシンという抗生物質のおかげだと考えている人も多くいますが、実際はタンパク質を多くとるような栄養状態の改善が、免疫力の向上をもたらしたことによって可能となったのが真相です。
そもそもストレプトマイシンは結核になってからの治療薬であって、それが結核を激減させた理由にはなりません。結核を予防するBCG接種も、開始されたのは1950年ころからです。赤ちゃんのときに接種して、その効果で結核が減るとしても、統計に現れてくるのは少なくとも赤ちゃんが成長した10年後くらい、1960年代くらいからになるはずです。
しかし、結核の減少は、1947年くらいから始まっています。これは、アメリカからの支援物資による栄養状態の改善時期と一致します。
戦前の日本人も摂取カロリーでいえば、それなりにとっていましたが、タンパク質は驚くほどとっていませんでした。そのため免疫力が低く、結核で亡くなる人が多かったのです。
それが戦後の栄養状態改善で結核が減り、若いときに死ぬ人が激減しました。これによって平均寿命が一気に延びたのです。若くして亡くなる人を減らすことが、平均寿命を延ばす大きな要因になります。
また、それと同時に日本人の体格も向上していきます。男の平均身長が170センチを超えたのが、1970年前後です。昔は子どもの頃の栄養失調もあって、小さい高齢者がときどきいましたが、いまではほとんどいません。
戦後生まれの人たちはこうして平均寿命を延ばし、体格も立派になって、健康で若々しさを保つようになってきたのです。その先駆けが、いま、70代を迎えている人たちなのです。
もはや70代は現役時代の延長で
いられる期間となった
日本よりも栄養状態のよかったアメリカでは、これまでの世代とは違った元気な70代が、日本よりも一足先に社会に登場します。
1974年、アメリカの老年学の権威であるシカゴ大学のベルニース・ニューガートンは、それまで65歳以上を高齢者とみなしていた社会に対して、75歳くらいまでは、体力的にも、知的機能的にも中高年とたいして変わらないと提起します。そして、その世代を「ヤング・オールド」と呼びました。
さらに、75歳を過ぎるころから、認知機能が落ちてきたり、病気などで介護が必要な人も出てくる世代ということで、「オールド・オールド」と定義しました。これはのちに、日本における前期高齢者、後期高齢者という考え方につながっていきました。
しかし、ニューガートンがこの考え方を提唱した1970年代当時の日本では、まだ、75歳の日本人たちは、若いころの栄養状態も悪く、身体も小さく、老いるのがいまより早かったのです。そのため、アメリカの高齢者のように元気と言える状況ではありませんでした。
それが1990年代に入ったあたりから、日本でも元気な高齢者が増えてきました。私は1988年から浴風会という高齢者専門の総合病院に勤めていましたが、多くの高齢者を診てくるなかで、次第にニューガートンと同じ考えを持つようになりました。
1997年には、『75歳現役社会論』(NHK出版)という本を著し、そこで、75歳くらいまでは、知的機能や体力、内臓機能など、中高年のころと大差なく、現役時代同様の生活ができるということを説きました。
そして、当時からさらに20年以上が経ったいま、医療はさらに進歩し、70代の人の要介護比率も改善してきています。その現実を踏まえれば、現在の日本では、75歳ではなく、80歳までは、多くの人が現役時代のような生活を送れる可能性がある社会になってきたと言えるでしょう。
これまでは70代ともなると、大病を患ったり、病院での生活を強いられたり、介護が必要となったりする人もそれなりにいましたが、今後は、自立して多くの人たちが70代を過ごすことになっていきます。70代の10年間は、ある意味、中高年の延長で生活できる期間となったのです。
それは、人生における「最後の活動期」と言ってもいいと思います。70代が活動期になったからこそ、その過ごし方が、80代以降の老いを大きく左右するようになったのです。
70代であれば、身体も動くし、頭もはっきりしていますから、日々の生活の心がけ次第で、80代以降の健やかな生活につながります。
ただ、70代には特有の脆弱さもありますから、放っておいたら衰えは進みます。だから意図的に、心がけることが大事になってきます。
「人生100年時代」に
70代はターニングポイント
現代の日本において、70代の過ごし方が重要性を増してきた理由には、超長寿化によって、老いの期間がこれまでより延長するようになってきたという点も挙げられます。
そもそも、前述したように、これまで日本人は、戦後の栄養状態の改善によって、大きく寿命を延ばし、前の世代よりも若々しくなってきました。
かつて漫画『サザエさん』の連載が始まったのは1947年ですが、父親の磯野波平は当時、54歳の設定でした。いまの私たちから見ると、どう見ても60代半ばに見えます。それくらい、現代の日本人は若返ってきたのです。
しかし、この栄養状態の改善が、人々の若返りや寿命の延びに寄与してきたのも、1960年くらいに生まれた人たちまでで終わったと私は考えています。実際、日本人の平均身長の推移も、戦後、急速に伸びてきましたが、ここ20年くらいは伸びが止まっています。もはや栄養状態の改善は、日本全体に行きわたり、そのことが寿命の延びを牽引していくという時代は終わっているのです。
しかし実際にその後も、日本人の平均寿命は延び続け、これからも延びていくと予想されています。これは、医学の進歩がそうさせるのです。
日本人は戦後に劇的に若返ってきた体験をしているので、「人生100年時代」などと言われると、いまよりさらに若返りが可能になり、寿命が延びていくと考える人もいますが、それは正しい認識ではありません。
80歳や90歳になっても、いまの70代の人たちのように元気に活躍できるようになって、人生のゴールがどんどん後ろにずれていくというのは幻想でしかありません。
若返るのではなく、医学の進歩によって、「死なない」から超長寿になるというのが「人生100年時代」の実像です。
伸長した老いの期間を
左右するのが70代になる
80歳にもなれば、みな老いに直面することになります。しかし一方で、寿命だけは延びていく。これは、私たちの人生設計を大きく変えることになるかもしれません。これまではせいぜい10年ほどだった「老い」の期間が、15~20年に延長する人生が標準になっていくからです。
今後は、伸長した老いの期間をどう生きるかが重要な課題になっていくでしょう。そして、その延長した老いのあり方を左右するのが、人生終盤の活動期である70代ということになります。
寿命がますます延びていく「人生100年時代」だからこそ、70代はますます重要性を増してきているのです。
本書では、運転免許を返納してはいけない、肉を食べる習慣が「老い」を遠ざける、運動習慣などの「老いを遅らせる70代の生活」、70代の人のかしこい医師の選び方などの「知らないと寿命を縮める70代の医療との付き合い方」、趣味を働いているうちにつくろう、高齢者の「うつ」の見分け方などの「退職、介護、死別、うつ……『70代の危機』を乗り越える」について紹介しています。
和田秀樹:精神科医


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