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マンション管理組合の理事を辞退してはいけない!人任せが招く「最悪の事態」

2022-01-26 12:00:00 | 日記
下記の記事はダイアモンドオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。

マンションを購入したら、必ず回ってくるのが管理組合の役員、いわゆる「理事」の順番だ。マンション管理において、理事会と理事の果たすべき役割は非常に大きなものなのだが、「できれば理事にはなりたくない」と思っている人も多いだろう。今回は、そんな敬遠されがちな理事について話をしていこう。(株式会社シーアイピー代表取締役・一級建築士 須藤桂一)
理事の順番が回ってきた!
理事就任を拒否することは可能?
たいていのマンションでは、管理組合の理事(役員)の選出は、あらかじめ住戸ごとに就任の順番を決めておき、持ち回りで順番が回ってくる、いわゆる「輪番制」を採用している。
輪番制でいざ自分の番が回ってきた際に、「うれしい」と感じる人はそうはいないだろう。何とか就任しないで済むように、「仕事が忙しいので」「年齢的にちょっと厳しいので」「持病があるので」「親の介護が大変なので」などとさまざまな理由を持ち出し、辞退する方向に持っていこうとする人も少なくないはずだ。
マンションによっては、辞退金や支援金、あるいは協力金という名目で、一定の支払いをすれば理事就任を回避できる規定を設けていたり、反対に、理事に就任した人には報酬を支払ったり、何らかのインセンティブが働くようなルールを設定し、理事のなり手を確保する工夫をしているところもある。
このように、「できればなりたくない」と敬遠されがちな理事だが、そもそも区分所有者(組合員)であるなら、必ず理事にならなければいけないのだろうか?
結論から言うと、理事の就任は義務ではなく、拒否することができる。
管理組合については、「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)や「マンション標準管理規約」(標準管理規約)でさまざまな規定が設けられている。

そのうち、「管理者」(「理事長」がこれに当たる)や「役員」については、区分所有法の第3条「集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる」(一部抜粋)、第25条第1項「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる」や、標準管理規約の第35条第2項「理事及び監事は、総会の決議によって、組合員のうちから選任し、又は解任する」、同条第3項「理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事会の決議によって、理事のうちから選任し、又は解任する」と定められている。

また、標準管理規約の第38条から第41条には、それぞれ理事長、副理事長、理事、監事の役割や業務内容について規定されているが、就任についての義務は定められていない。つまり、たとえ輪番制で理事の順番が回ってきても、本人の意思に反して理事への就任を強制することはできないのだ。
そうはいっても、理事就任の辞退者が続出してしまっては、管理組合の運営が成り立たなくなる。そうした事態を避けるために、マンションの管理規約に理事就任を義務化し、強制的に理事になるような規定を設けてはどうか、と思う方もいるかもしれない。
しかし、本人の意思に反して理事就任を強制することは、民法第90条の「公序良俗」や第91条の「任意規定と異なる意思表示」に抵触するため、たとえ管理規約にそのような規定を設けても、実際には無効となってしまうのだ。
ずさんな理事会運営が招いた?
理事長による修繕積立金横領事件
法的にも理事就任は義務ではないと知って、「次回は理事の順番が回ってくるが、辞退してしまおう」とさっそく思った方もいるのではないだろうか。正当な辞退理由があるならばそれも良いだろうが、「理事会には関心もないし、自分一人くらい理事にならなくても、次の人がうまくやってくれるだろう」というような考えなら、安易に辞退を決めてしまうのはやめたほうがいい。
ここで、これまで私が見てきた中で、あまりにもずさんな理事会運営を行ってきたことで、大変な目に遭ったマンションの例を紹介しよう。
そこは首都圏にある築30年ほどの約40世帯のマンションで、30年の間に修繕積立金の月額がおよそ8.5倍になった上、その長年積み立ててきた修繕積立金がごっそり消えてしまった……という事例である。
私に相談を持ちかけてきたのは、7年前にそのマンションで75平方メートルの居室を購入した方だった。マンションの修繕積立金は、新築当時は1平方メートル当たりの単価が70円だったものが、年を重ねるごとに150円→350円→600円と大きく値上がりしており、その方は現在、管理費1万5000円と修繕積立金4万5000円(600円×75平方メートル)の合計6万円を毎月支払っているという。
そのマンションは駅にも近い好立地で、中古マンション市場が活況を呈している現在では、普通なら高値が付く物件なのだが、管理費と修繕積立金の支払いが月額6万円という高額負担のために、資産価値はガタ落ちで、とても売却できそうにないと相談者は困り果てていた。
しかも、問題はそれだけではなかった。築30年を迎え、設備更新や大規模修繕工事を考えるタイミングになったため、修繕積立金の口座の残高を確認したところ、積み立てられているはずの修繕積立金がなくなっていた、というのだ。
修繕積立金が消えた原因は理事長にあった。自身が経営する会社の資金繰りが厳しくなり、修繕積立金に手を付けてしまったのである。さらに、使い込みが発覚する直前に、理事長は自己破産を申請し、会社を整理してしまった。現在は刑事事件として立件され、裁判中だというが、管理組合側としては、使い込まれた修繕積立金を回収することは難しいだろうということであった。
使い込んだ理事長が悪いのは当然だが、修繕積立金の大幅な値上げも含め、なぜこんな事態になってしまったのかといえば、それは全て、このマンションの区分所有者が管理組合の組合員としての意識が希薄だったことに起因する。
大半の組合員がマンション管理に関心がなく、理事会も長年適当な運営を続けてきていた。理事はみな輪番制で仕方なく就任したという意識で、理事会は年に数回ほどしか開催されず、理事の出席率も常に低かった。マンション管理も管理会社にお任せの状態だったという。
そんな中で、修繕積立金を使い込んだ件の人物は、十数年にわたって理事長を務めてきた。他の理事や監事はやる気がないのだから、理事会の運営は理事長のやりたい放題となっていた。管理会社には良い顔をして、どんなに高額な見積もりでも承認し、いわば管理会社の言いなりで修繕工事を繰り返していたそうだ。
そんなふうに無計画なお金の使い方をしていたら、修繕積立金が不足するのは当たり前だ。その結果、修繕積立金が足りなくなったとして値上げを繰り返し、結果、新築当時の8.5倍という金額に膨れ上がってしまった。そして、揚げ句の果てに、理事長が修繕積立金を横領するという最悪の事態が起こってしまったのである。
7年前に物件を購入した相談者は、こうした事態になったことをとても悔しがっていたが、時すでに遅しと言うしかない。現在では、この相談者が理事となって、理事会活動を活発化させ、まだまだ意識の低い組合員の意識向上を目指して奔走しているところだ。
理事就任は「義務」ではなく
「権利」と思うべし
このマンションの話はまれなケースかもしれないが、このように理事会が機能していないマンションで起こり得るさまざまな問題が、今後は大きな社会問題に発展すると私は予想している。大げさかもしれないが、南海トラフ巨大地震や首都直下地震と同じくらいの確率で襲ってくる恐ろしい問題だと思っているのだ。
実際、リゾートマンションや投資型マンションなどでは、既にこれと似たような問題がいくつも起きている。それらも結局は、組合員たちの管理組合への意識の希薄さが直接的な原因だと考えられる。

そもそも、誰もこんな問題を抱えたマンションに住みたいと思わないだろうし、ひいてはそれがマンションの資産価値の下落にもつながることになる。よく「マンションは管理を買え」という言葉が使われるが、それは管理会社側の問題だけでなく、組合員側の問題でもあることを忘れてはならない。

マンションの居室を購入し、組合員になったからには、「自分は快適に生活ができればそれで良いので、マンションの管理や管理組合の活動は誰かに任せてしまおう」というお客様感覚を捨て、管理組合の活動はマンション(=自分の財産)のためという意識を持つことが何より大切だ。
冒頭で、「理事への就任は義務ではない」という話をしたが、これから理事になる方にはぜひ「理事への就任は権利である」という考え方をしていただきたいと思う。マンションの設備や環境を自分たちで守り、資産価値を向上させるために、直接活動できる好機だと思ってほしいのだ。
理事会では、「こんなマンションを目指そう」「こんな管理組合にしていこう」という目標を掲げ、積極的に取り組むことが望ましい。コロナ禍の昨今ならば、むしろ今まで以上に理事会が細やかに活動する必要性が感じられる。
これまでに多くの理事の方と出会う中で、「理事の仕事はやりがいがあった」「自分のマンションをよくするという意識が高まり、勉強にもなった」「仕事と違ってヒエラルキーがなく、自分の意見が尊重されたことがうれしかった」「思っていた以上に楽しかった」などという感想を聞いており、大半の方が「理事を経験して良かった」と言っている。
そして、そうした理事経験者たちが増えていくほど、管理組合も成熟していき、管理会社とも対等で、適切な付き合い方ができるようになっていく。だから、マンションの管理組合やコミュニティといった面では、中古マンションのほうが質の高いところが多いといえるのだ。
適材適所と新任理事の意識向上が
理事会運営のコツ
理事会を上手に運営していくコツはいろいろあるが、まずは「適材適所に人材を配置する」ことが大切だ。当然ながら、人には個性があり、さまざまな特性を持っている。例えば、リーダーシップのある人、コミュニケーション能力の高い人、鋭い一言を言う人、広報的なことが好きな人、IT関係に強い人、マンション内部の事情通の人、ママ友付き合いの上手な人、子どもが好きな人、高齢者への配慮や支援ができる人など、マンションにはいろいろな人がいるはずだ。
そこで、それぞれの得意な分野や適性を考慮して、理事の役職や役割を決めるといいだろう。新任理事が集まって、理事会で役職を決める際には、くじ引きやジャンケンなどではなく、みんなで自己紹介がてら、いろいろなことを話し合って、役職や役割を決めていくことをお勧めする。

仮に、2年任期で半数改選の理事会だとするなら、前半の1年目は、先輩の理事が新任理事の個性や特性を見て、後半の2年目で、その人にふさわしい役職や役割を決めるようにすると、本人も周りの人も納得がいきやすいだろう。
そうはいっても、理事を経験したことがない人で、最初から管理組合の活動への意識が高いという人にはなかなかお目にかかったことはない。だから、初めて理事を経験する人には、管理組合の活動に興味を持てるようなきっかけを作ってあげることが大切だ。
そこで、次のような手順で、新任理事への声かけを行ってみてはいかがだろうか。
〈理事就任の手順〉
1 次期輪番の理事への通知
2 現理事が新理事候補者を訪問
3 オリエンテーション
4 総会にて新理事および監事の承認
5 役職決定(理事、監事)
※できれば理事長や他の役職者もここで決定
6 担当者ごとに引き継ぎ
※できれば新旧の理事間でコミュニケーションを取る
1・4・5はたいていのマンションで行われていることだが、できればぜひ2と3も積極的に取り入れてみていただきたい。1で突然通知が届き、その後いきなり4で理事に就任ということでは、新理事としては不安だらけになる。
そこで新理事就任前に、現理事が数人で新理事候補者を訪ね、3のオリエンテーションも兼ねて、組織や役職の業務内容、現在の活動内容などを説明しながら、いろいろな話をすることでお互いに理解が深まり、管理組合や理事会の活動にも興味を持ってもらうきっかけになるのだ。要するに、早いタイミングで次期の理事の意識向上を図るのである。
新理事候補者としても、通知の紙1枚だけが届くよりも、現理事の訪問を受けて話をすることで、良い意味での「同調圧力」が働き、次期の理事を引き受けてみようという気持ちになりやすいだろう。
仕事や家庭のことと理事の役目との両立は、大変な面もあるだろうが、理事に就任してみて初めて分かることも多いものである。理事の順番が回ってきた際には、ぜひ積極的に理事の仕事に取り組んでみてほしい。
「マンションは自分の人生で一番の高額の買い物だ」という人が多いと思うが、人生最大の購入資産が目減りしないように、しっかりと組合員としての「権利」を行使し、より良いマンション環境の実現と資産価値の向上を目指していただきたいと思う。
須藤桂一
株式会社シーアイピー代表取締役・一級建築士


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