鳩山首相が沖縄・普天間飛行場の移設案を固めた。鹿児島県・徳之島に既にある空港と沖縄県名護市辺野古に新たに建設する桟橋方式滑走路を併用する計画である。これがさも自信ありげに言っていた「腹案」なのか。正直言って聞いて呆れる。
沖縄県民の負担軽減を声高に言い、日米間で合意していた辺野古移設をそのまま実行することはあり得ないと再三言っていたのに、蓋をあけてみたら結局は従前の辺野古移設案に徳之島の飛行場をくっつけた案しか考え付かなかったとは情けない。
しかもこの「腹案」が実現する可能性はきわめて低い。辺野古も徳之島も住民の多くは移設反対で固まっている。それを政府の意思で強行しようとすれば大混乱になりかねない。またアメリカはヘリコプター部隊と地上部隊の分離配置に基本的に反対しているので、米軍の説得も難しい状況にある。
「腹案」は問題の根本的解決には程遠く、言ってみれば外国の基地と言う汚染を拡散させるだけではないのか。そのためにまた税金ががっぽり使われる。先に触れたように沖縄の負担を本当に軽くするためには、アメリカ軍の日本国内駐留を認めている日米安保条約を改定する必要がある。
日米同盟関係から言って安保条約そのものをなくすわけには行かないけれども、米軍施設の配置・規模などを定めている条項を改定することは可能である。沖縄県民の負担をすぐ軽くすることは出来ないにしても、政府が安保条約改定に真正面から取り組むことなしに基地問題の根本的解決はありえないのだ。
現行の日米安保条約を締結してから既に50年経っている。半世紀も経つのに条約そのものが一度も見直されなかったことの方が不思議である。放ったらかしておいた自民党、政権交替した民主党もアメリカに対して安保条約改定交渉を持ちかける勇気がないとすれば情けない話だ。
新しい世界情勢を踏まえたうえで新しい日米安保条約交渉を行い、その過程で沖縄の負担軽減を図るのが本筋だと思う。