Rosso Laboratory

「矢橋ホキVRM車両化計画」を支援する話(2)

さて、今回からはデータの作り方の注意事項を推測してみましょう。第1回で紹介したFAQに、

※精密なポリゴンの操作が要求されるため、プロ向けのポリゴンツールが必要となります。(LW,softimage,MAX,MAYAが妥当ですが、現時点ではLWのみ対応可能)Shadeは、もともとスプラインベースのツールであるため、ポリゴン機能が強化された現行バージョンでもリアルタイムCG向けポリゴンデータの制作は困難が予想されます。3Dツールは用途によって向き不向きがあります。

とありますが、softimage,MAX,MAYAは「LightWave3D」よりも遥かに高価なので捨て置きます。
ここで「Shade」についての言及がありますが、これが書かれてから大分経つみたいなので「Shade」のポリゴンモデラーとしての機能はかなり強化されていますから「Shade」では無理であるということは言い切れません。私は「Shade」を本来のスプラインモデラーとしてしか使ったことがないのですが、「Shade」にもポリゴンモデラーとして絶対に必要なポリゴンの表裏表示及びポリゴン反転の機能等は存在しています。このポリゴンの表裏をしっかり確認して作るということは大切なはずです。


<Shadeの場合、面表示および法線ベクトル表示で対応できる>


<メタセコイヤの場合、面表示で対応できる(法線ベクトルが表示できるかどうかはまだわからない)>

ただし、まだよくわからない部分もあります。それが「両面ポリゴン」についてです。「Shade」は本来スプラインモデラーですから、ポリゴンの「片面」や「両面」というものには少々疎いような気はします。実際に「Shade」で書き出したlwoは果たして「片面」なのか「両面」なのか? これは実際にやる前には確認しなくてはいけないでしょう(一番下に少し実験した結果あり)。よって、「Shade」でモデリングするならば、「メタセコイヤ」も併用して使うという必要があるかもしれません。「メタセコイヤ」は「LightWave3D」同様にゲーム用モデラーとしての地位が確立しているようなので、この辺の機能は充実しているようです。ネットで調べた限りでは、メインの3Dツールと「メタセコイヤ」の組合せでモデリングしている例を多く見かけました。

だったら最初から「メタセコイヤ」でやれば良いのでは?という話にもなりますが、使い慣れたものから試してみたいので、とりあえず私は「メタセコイヤ」は併用候補ということで考えています(後で逆転する可能性もありますが、lwoを書き出すためにはシェアウェア版が必要なのでまずは出費を押えて手持ちのものでやる方が良いと考えます)

なお「六角大王」は今のところよくわかりません。「六角大王」のROKデータは全て両面ポリゴンとして扱われているらしいという情報もあるので、ちょっと微妙なところです。「ポリゴンの表裏表示」「反転」「両面化・片面化」という機能があれば問題はなさそうですがどうでしょうか? 「六角大王」は手元にないので調査が出来ません。

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3Dツール側の話ばかりになってしまったので、改めてこれをVRMの状況の中で説明して整理してみます。何故そういう機能が必要なのかという説明です。VRMをお使いならば、「ポリゴンに表と裏があるということ」や「両面ポリゴンという存在があること」は既にご承知でしょう。



<裏から見ると透過する片面ポリゴン>

このポリゴン裏面がオブジェクトの表側に出てしまったら、透過してしまうんでNGということはすぐにわかりますよね。


<両面ポリゴンが使われていると推測される「植生エンジン」とやら>

この両面ポリゴンが使われているらしい「田んぼ」は他の部品に比べて表示が重いです。表裏にポリゴンがあるのでポリゴン数2倍ですし、何枚も使っていますから当然そうなります。

(なお、車両と植生エンジンは何故かワイヤーフレームで表示されませんので、細かいことはわかりません。・・・しかし、この辺にアイマジック社のノウハウがあるから見せたがらないのかもしれないですが、これがわからなければこの後の対策の取りようもないので、ポリゴンに関する調査手段はある程度研究済みで大体の感じはわかっています。)

よって、両面ポリゴンは本当に必要な部分にしか使えません。リアルタイムレンダリング3Dのゲーム用モデリングですから、処理速度向上のためにポリゴン数は極力減らす努力が必要です。だからこの両面ポリゴンは「植生エンジン」とやら以外には、車両の内側表示ぐらいにしか使われていないはずです。樹木や人形は常にこちらを向いていますから、あれもきっと片面ポリゴンでしょう。

つまり、3Dソフトのlwo出力によってすべてのポリゴンが両面ポリゴンで作られてしまうようなことがあると重くて使い物にならないので、ちゃんと片面・両面を制作した通りにlwo出力してくれるものが必要であるということです。ネットで調べたところでは、どうも昔の「Shade」は両面で出力されていたらしく「Poser」との連携で問題が出ていたようです。

VRM用(に限らずゲーム全般)のモデリングに対しては、ポリゴンの「表」や「裏」、「片面」や「両面」というものに気を使わねばならないということで、ちょっと面倒臭いと感じるかもしれませんが、これはまず絶対的なお約束というレベルなのでしょう。静止画しか作っていない私には大分感覚が違うところですが

そう言えば、「精密なポリゴンの操作」なんてことも書いてありましたが、あれは「ポリゴンのポイントとポイント、エッジとエッジは隙間なく精密に(数値制御とかも使い)接続させるように」という意味でしょう。当たり前なんで特に取り上げるつもりはありませんが、スキマがあったりポイントがズレているものがNGなのは言うまでもないでしょう。まぁ、VRM4内でもそういうポカがたまにありますけど。

<今回の結論>
1.ポリゴンの表裏はちゃんと確認して作ること。
2.両面ポリゴンは極力減らすこと。使わないつもりでも良いかもしれない。
3.上記2点が確実に反映されてlwo出力されることが必要。

以上を実施する上で「メタセコイヤ」は大丈夫そうですが、「六角大王」や「Shade」の場合は事前に出力lwoを確認するか、「メタセコイヤ」との併用を検討する必要がありそうです。

・・・多分、ゲーム用のモデリングをやっている人から見たら、当たり前すぎることを書いているんだろうなぁ。

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<ちょいと実験>
Shade8.5ポリゴンメッシュ→(lwo)→メタセコイヤ


Shadeでこの状態のものが


メタセコイヤではこうなった。

この絵ではわかりづらいですけど、ポリゴンはちゃんと片面になっていて問題はなかったのですが、表裏が完全に逆転しています。しかし、完全に逆転しているならば一発で修正できるのでそんなに大きな問題ではなさそう。簡易的な実験なので実施前には両面等の件も含めて、もう少し細かく調査する必要があるでしょうが。

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次回は、ポリゴンの表裏の話から続いて、ポリゴンの形状及び配置・分割等についての話になる予定。静止画作りしかやらない私から見ると大分変わったことやっているように見えるので、多分これが最も重要な内容になるでしょう。

仕事があるし、今度はかなり資料を作らないといけないので結構先になりそうですが。

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コメント一覧

zio
大丈夫ですよ。仕事で使っていますし、この件には関係なくバージョンアップしなくてはいけないので。

今までは暫定措置としてどのバージョンからでもバージョンアップ出来たのですが、今後は昔のように2つ前までからしかバージョンアップ出来なくなりますので。
USO800鉄道
お!イイですねぇ~。この際、3D系デビューしちゃいましょうか(笑。こういう系統は専門ではありませんが、興味はありますので私自身ののバージョンアップにもイイかもしれません。
しかし、Zioさんがこの件の為に購入されるのであれば大変申し訳ないです。無理に高価なソフトを購入してまでの企画ではないとも思っていますので、少し心配です。
zio
USO800鉄道さんもProfessional版ですか? ならば今度のVer10へバージョンアップした方が良いかもしれないですね。LWOを書き出せるグレードはProfessional版だけみたいなので。3/6までなら安くバージョンアップ出来るので私は注文するつもりです。http://shade.e-frontier.co.jp/10/buy/index.html
USO800鉄道
机の奥底のソフトの収納BOXを探しました。SHADEは6PROでした。古すぎて話しにならないかもですね(笑

P.S.ちびてさん
ご支援&ご協力ありがとうございます!
zio
なるほど、シェアウェア版だとありますか。
水曜日はアキバをうろつく予定なので、メタセコの本を見てみます。Trainzも買ってみっかなぁ。
ちびて
シェアウェア版だとローカル座標が標準でありますし、幾つかローカル座標関連のプラグインもありますので、試用ライセンスをしてみてはどうでしょうか?

Shadeの件はどうも、R6.5くらいの昔のVerだけの話なのかもしれませんね。
zio
有難う御座います。ちびてさん。
私も六角の情報はメタセコのサイトが情報源だったのですが、やはり六角onlyは厳しそうですね。私は今メタセコLEで座標数値入力によるポリゴンの編集方法を探っているのですが、頂点座標の編集はやはりメタセコは強いですね。ただローカル座標系の機能がないようなので斜面相手にモデリングするような場合にはちょっと厄介かなぁという印象です。

Shadeの件はまだ70ポリゴン程度のものですがLWO経由では特に大きな問題はなくメタセコで表示できます。もっと多いポリゴン数になった時がどうなるかというところですね。
ちびて
こっちでも、製作中の名鉄車とかを中心に実験に協力したいと思います。

六角についてですが、メタセコのヘルプによると、
「フォーマット自体に面の方向が定義されていないため、面の方向は保証されず、大抵の場合は修正が必要になります。」だそうです。

ちなみに、Shadeのほうも、LWOで出力すると、一部だけ面が反転して修正が面倒になる場合もあるようです。
zio
バージョン上げれば六角でもいけるかもしれませんがやはり微妙ですね。メタセコも数値制御の部分がイマイチわからないので、やはりShadeでいくことになりそうです。USO800鉄道さんのお持ちのShadeと私の持っているShadeではバージョンやグレードが違う可能性が高いので、これまた微妙なところもありますが。
USO800鉄道
>「ポリゴンの表裏表示」「反転」「両面化・片面化」という機能があれば問題はなさそうですがどうでしょうか?

久しぶりに六角を触ったので操作もぎこちなく、サンプルも要領良く作れないので、ハッキリとは分かりませんが、表裏の機能がない(両面ポリゴン?)の感じに見受けられます。ヘルプでもざっと関連もの探しましたが、それらしきものが見当たりませんでした。う~ん、六角はNGっぽそうですねぇ・・・
zio
有難う御座います。tettaさん。連絡し忘れていましたが、VFTCはあれからβ版を使わせてもらっています。表示がわかりやすくなっているので助かりました。

火曜朝の納期の図面が終わったので、今は試作実験と3DCG用の資料を作っているところですが、画像枚数特盛り状態です(笑)。結構枚数が多くなりそうなので、実践編は次々回からにしようと思っていますが、「今の3Dモデリングって意外と簡単じゃん」ということになると思いますよ。多分(笑)。VRM特有のモデリングに対する対処方法も見えてきましたし、勢いで始めたこの企画も何とか目処が立ちそうです。
tetta
こんばんは。
これでも昔8bitPCでCGの講義を受けた事もあるんですがさすがに時代の差を感じました。私には難しすぎて・・・(笑)

VFTCですが、E233も含めβ版を使わないと貼付け位置が分りにくいとに今更ながらに気づきました。正式パッケージング化を検討しています。E233系ポータブル作成の際はβ版をご利用下さいと、お知らせまで。(笑)

3D系の話、楽しみにしている読者の為にもかんばって下さい。私も何となく分ってきましたので次も楽しみにしておりますが・・・仕事優先ってことで。
zio
なるほど。MAXは多少は扱えますので、Trainzが入手できたらGmaxあたりも調査してみようかと思っています。
ちびて
http://tibite.kuronowish.com/
企画に興奮して挨拶を忘れてしまいました。すいません。

TrainZやMSFSなど、Gmax使用のソフトに持っていくのは結構制約が多いので難しそうですが、
BVE4用のオブジェクトくらいにはなりそうです。
zio
確か「はじめまして」ですね。ちびてさん。

ブログは拝見させてもらっていましたが、やはりメタセコでしたか。
メタセコはまだ殆どわからないので、助かります。

そうか。VRMで駄目でも、RailSimやTrainzに持っていくことは可能ですね。
ちびて
http://tibite.kuronowish.com/
メタセコのシェアウェア版なら、
ID持ってますので、協力できますよ~。
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