343．THE TYMES 'SO MUCH IN LOVE'

【ALBUM "THE BEST OF THE TYMES"】

　学生時代、日光浴をしながらラジオを聴いていたんです。すると、
スピーカーから、フィンガー・スナップを鳴らしながらアカペラで歌
う、きれいな「コーラス」が聞こえてきたのです。

　「あれっ、これなんていう曲なんだろう・・・」

　それ以降、調べようと思っていたのですが、なんとなくわからない
まま時が経過してしまいました。

　曲の名前は'SO MUCH IN LOVE '。わかったきっかけはインターネッ
トでした。なんとなく覚えていた断片的な歌詞から「検索」し、まず
曲名が判明したのです。ヒットしたのはHUEY LEWIS & NEWS がライヴ
で演奏している映像でした。あの"YOU TUBE"です。興味のある方は、
探しだしてみてください。

　写真に掲載されているのは、THE TYMES のベスト盤ＣＤです。告白
いたしますと、"YOU TUBE"で観たHUEY LEWIS & NEWS がこの曲のオリ
ジナルだと一瞬思ってしまったのです。「知らない」ということと、
「思い込み」は恐ろしいことですね。そこで、遡って調べていくと、
1963年にTHE TYMES がリリースし、同年 8月 3日付けで「ビルボード」
で第一位に輝いたヒットナンバーだったのです。以下に、その前後で
「ビルボード」第一位となったナンバーをご参考までにご紹介いたし
ます。

■US №1 DISKS（Billboard）
　　（★は本記事で話題に触れている曲）

【１９６３】

　01/12 - 01/19 [ 2] GO AWAY LITTLE GIRL _ Steve Lawrence
　01/26 - 02/02 [ 2] WALK RIGHT IN _ Rooftop Singers
　02/09 - 02/23 [ 3] HEY PAULA _ Paul & Paula
　03/02 - 03/16 [ 3] WALK LIKE A MAN _ Four Seasons
　03/23 　 　　 [ 1] OUR DAY WILL COME _ Ruby & the Romantics
★03/30 - 04/20 [ 4] HE'S SO FINE _ Chiffons
　04/27 - 05/11 [ 3] I WILL FOLLOW HIM _ Little Peggy March
　05/18 - 05/25 [ 2] IF YOU WANNA BE HAPPY _ Jimmy Soul
　06/01 - 06/08 [ 2] IT'S MY PARTY _ Lesley Gore
★06/15 - 06/29 [ 3] SUKIYAKI _ Kyu Sakamoto
　07/06 - 07/13 [ 2] EASIER SAID THAN DONE _ Essex
　07/20 - 07/27 [ 2] SURF CITY _ Jan & Dean
★08/03 　 　　 [ 1] SO MUCH IN LOVE _ Tymes
　08/10 - 08/24 [ 3] FINGERTIPS PART 2 _ Little Stevie Wonder
　08/31 - 09/14 [ 3] MY BOYFRIEND'S BACK _ Angels
　09/21 - 10/05 [ 3] BLUE VELVET _ Bobby Vinton
　10/12 - 11/09 [ 5] SUGAR SHACK _ Jimmy Gilmer & the Fireballs
　11/16 　　 　 [ 1] DEEP PURPLE _ Nino Tempo & April Stevens
　11/23 - 11/30 [ 2] I'M LEAVING IT UP TO YOU _ Dale & Grace
　12/07 - 12/28 [ 4] DOMINIQUE _ Singing Nun(Soeur Sourire)

【１９６４】

　01/04 - 01/25 [ 4] THERE! I'VE SAID IT AGAIN _ Bobby Vinton
★02/01 - 03/14 [ 7] I WANT TO HOLD YOUR HAND _ Beatles

　1964年の 2月、やっとビートルズが登場しました。ジョージ・ハリ
ソンが'MY SWEET LORD 'で「盗作」問題となった原曲、シフォンズの
'HE'S SO FINE'も確認（1963.03.20）できます。坂本九氏の「上を向
いて歩こう」は'SUKIYAKI'ですね。ありました。

　'SO MUCH IN LOVE 'は、山下達郎氏やイーグルスのＴ・シュミット
そして、上述したHUEY LEWIS & NEWS のほか、多くのアーティストが
カバーしています。いわゆる「ドゥー・ワップ」とは異なる独特かつ
洗練されたハーモニーをもつ、素敵なソフト・コーラスです。冒頭の
「Ｅ→Ｄ♯→Ｃ＃→Ｂ」の循環的なＢＡＳＳパートのラインで「あっ
この曲だ」とわかるほどインパクトの強いラインです。

　1983年にリリースされた、BILLY JOELの'THE LONGEST TIME'もこの
曲と同じ趣をもつ曲ですね。ちなみにビリーは、「TYMES のコーラス
スタイルで'THE LONGEST TIME'を作った」と述べています。