【ALBUM “TELL ME (OX ON STAGE №1) ”】
オックスは、1967年12月に結成され、翌年 1月には以下のメンバー
で固定された。
野口ヒデト (ヴォーカル)
赤松愛 (オルガン)
岡田志郎 (ギター)
福井利男 (ベース)
岩田裕二 (ドラムス)
「失神」で有名なオックスであるが、デビュー当時はステージ上で
ケンカをしたり楽器を破壊するパフォーマンスをしていたというから
ある意味GSの中で、いや当時の日本芸能界において「先進的な存在」
だったのかもしれない。
シングル・デビューは、1968年 5月である。ビクターから「ガール
フレンド」をリリースした。ますはその「いでたち」をご覧いただき
たい。
SINGLE 「ガールフレンド」
これは、今見ても強烈なインパクトだ。「芸能」としてGSを見ると
すれば、これほど最強のグループはいないと思う。タイガースやテンプ
ターズも彼らの比ではない。「失神」に代表されるように、オックスの
ステージは非常に過激(当時としては)であったため、社会問題にまで
発展した。従ってシングルでは、残念なことにその過激さが抑制されて
しまったのである。シングル第3弾の「スワンの涙」もそうであるが、
そのいでたちや静かな曲想からは、あの「失神」はとても連想できない
だろう。
SINGLE 「スワンの涙」
ところが、唯一音源からオックスの過激さを垣間見ることができる
アルバムがあるのだ。それは『テルミー(オックス・オン・ステージ
№1)』である。「№1」というからには、ファンは「№2」も期待
したものだが、ついにリリースされることはなかったのである・・・。
では、アルバムをちょっと覗いてみよう。
TELL ME (OX ON STAGE №1)
(1968年名古屋労音にて中継録音:タイトル表記は原文ママ)
01.スワンの涙
02.オックス・クライ
03.ハロー・アイ・ラブ・ユー
04.一人ぼっちの世界
05.オール・マイ・ラビング
06.ガール・フレンド
07.ベイビー・カムバック
08.ジョニー・ビー・グッド
09.サニー
10.雪が降る
11.出船
12.わらべ歌メドレー
とおりゃんせ~母さん歌~子守唄
13.ドント・プレイ・ザット・ソング
14.テル・ミー
前半は、ドアーズあり、ストーンズあり、そして「ジョン・レノン
作詞,ポール・マッカートニー作曲」(曲目紹介原文ママ)のビート
ルズあり。「オール・マイ・ラビング」は、なんともポップな演奏。
3連符のカッティングはなく、ジャマイカ・ビートである。しかし、
オックスの演奏はしっかりしている。やはり、GSの実力はライヴの
演奏を聴かないと評価できないと思う。
そして後半。怪しげな『童謡メドレー』は「失神」への静かな序曲
なのだろうか。お約束の失神はもはや近い。まず、赤松が「ドント・
プレイ・ザット・ソング」で半狂乱状態になり失神。騒然となる観客。
続いて、倒れている赤松をそのまま放置し「テル・ミー」のイントロ
が流れる。「ジャカジャカジャ~ン」(「アンガールズ」ではない)
という岡田のコード「D」が響く。ファンは「お願い、もうやめて~」
と戦々恐々の状態だ。そんな中、声を振り絞り野口が静かに歌い出す。
次第にそのボルテージは高まる。野口がハイになった頃、倒れていた
赤松が突然復活し、野口に代わり歌いだす。そして今度は野口が失神。
大混乱の中、緞帳が静かに下りていく・・・。
実に、計算されたステージだ。
◇◆◇
オックスを語る上でやはり、オルガンの赤松愛ははずせないだろう。
彼(?)の中性的な魅力は、あいざき信也、城みちる等に代表される
次の時代のアイドル・イメージに通じるところがあるように思える。
しかし、人気絶頂の1969年 5月に赤松愛が芸能界に飽き突然脱退する。
折りしもタイガースの加橋かつみが脱退したばかりだ。赤松はその時
「ジョン・レノンの弟子になる」
という謎のコメントを残して、イギリスのアップルのオフィスまで
出向いたという。まさに「東西交渉史」。その頃のジョンは、「ヘ○
イン中毒」にかかり、すっかり創作意欲が減退していたのだ。希望が
叶わず、失意のうちに帰国した赤松の心情を知るものは誰もいない。
さて、メンバー交代後のオックスは「毒」が抜けてしまい、なんと
歌謡曲路線に転じてしまった。これが致命傷になり人気は一気に下降。
1971年 5月に解散したのである。
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懐かしいです(笑!)
「失神ライブ」、一度TVでも放映されたのを覚えています。赤松愛がキーボードを弾きながら倒れ…そして、確かに、次の曲では、フツーに起き上がっていました。
私は「ダンシング・セブンティーン」も好きでした。あと、失神にまつわる(?)曲で「メンズ・メンズ・ワールド」というのがあったような気がするんですが…あれは誰の曲だったのでしょうか??
放映されたですか♪
何かのちょっとした映像の記憶があるのですが
すっかり忘れてしまいました。
やはり赤松愛のインパクトは強烈でした。
ケンカもいちばん強かったそうです。(^^;
「ダンシング・セブンティーン」もよかったです♪
「ズンズンチャ~ンカ、ズンズンチャ~カ」
というオックスらしい「リズム」でした。
「メンズ・メンズ・ワールド」については
残念ですが現在のところ情報がありません。
何かのきっかけでわかるとよいですね。