らば~そうる “IN MY LIFE”

旅、音楽、そしてスポーツのこと。過去、現在、そして未来のこと・・・「考えるブログ」。

1257.リーダーは洞察者であれ

2009-04-15 | 61.Business
 今日は、東北楽天ゴールデンイーグルス監督の野村克也氏の談話を
ご紹介いたします。「仕事力」について年頭に朝日新聞に掲載された
ものです。「メンバーの能力をいかに引き出すか」。野村氏の日々の
コメントの根底にあるキー・メッセージを感じました。

「朝日新聞」2009年 1月11日13版第19面より引用


 部下の行動ではなく気持ちに目を凝らす

 人間というのは、自分のことは自分が一番よく分かっていると考え
がちですが、決してそうではありません。周囲の人のほうが的確に見
ているものですし、相応の評価をしているものです。私はいつも目に
見える人の行動を見るのは「観察」であり、目には見えないが、人を
そういう行動に駆り立てる心の内を見るのは「洞察」であると思って
います。おそらく優れたリーダーであるには、この洞察力が必要なの
だと思います。

 人生の師であった草柳大蔵さんがよく語っていた「ものの見える人
が千人、ものの見えない人が千人いる。見ている人は見ているのだか
ら、仕事はいつも一生懸命でなくてはならない」という言葉がありま
す。その教えがまさに正しかったと痛感した出来事が、ヤクルトの相
馬和夫球団社長が自ら、私を監督にと要請してくださったことでした。
折りに触れて私の文章を読み、野球解説を聞き、「うちの球団を立て
直せる監督は野村さんしかいない」と熱心に誘ってくださったのです。
うれしさを感じると同時に、すべてを見られている怖さも身に染みま
した。

 相馬社長のように、上に立つ人間はものを深く見てしかも冷静でな
ければなりません。そして組織や部下を活かすすべを終始考えていな
くてはならないのです。例えば野球選手は体調やスランプによって迷
いも出るし、結果が悪い日もありますが、そういう表に表れたことで
ほめたり叱ったり、方針を変えたりしてはいけないのです。また、選
手の適材適所も見誤れば育成は中途半端になり、プロ社会においては
選手を骨の髄まで腐らせてしまいます。
 
 だからこそ、資料もデータも、洞察力も駆使して選手を見極め、自
信を持たせ、本人に気付かせる必要があります。監督の仕事のほとん
どは、この「気付かせ屋」であると思います。

 「判断」は頭でして最後は覚悟を決める

 私は捕手の時代に、自分のポジションは危機管理であると気付きま
した。投手と捕手をバッテリーと言いますが、私の解釈では、投手が
プラス思考、捕手がマイナス思考です。投手は「負けてたまるか」と
いう闘争心の塊ですが、捕手は常に冷静に周りを見て視野を広げ、一
球一球サインを出していくのです。だからデータをきっちり頭に入れ
て、今はこうだからストレート、次はこういう理由で変化球という根
拠のあるサインでなければなりません。捕手の指一本で試合が動く、
その脚本を書いているのです。

 それは監督と類似しています。野球が好きで、研究熱心でなくては
なりません。判断のためにデータがフル回転していなくてはなりませ
ん。その上で、これで行くという決断は、腹をくくって覚悟します。
チームの勝利のために一人ひとりを最後の瞬間まで活かせたか。自信
を持たせるやることができたか。いまも毎日、自問自答です。

 私の考えの根本にあるのは、今日の試合もみんなの力を引き出せた
かということです。勝敗の結果は大切ですが、すべてではありません。
その後ろにあるプロセスこそが重要であり、「プロフェッショナル」
の「プロ」とは「プロセス」の「プロ」であると信じています。




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